お金の寺子屋

FP2級実技(FP協会)解説-2021年1月・問1~10

【問1】
ファイナンシャル・プランナー(以下「FP」という)が、ファイナンシャル・プランニング業務を行ううえでは関連業法 等 を順守することが重要である。FPの行為に関する次の(ア)~(エ)の記述について、適切なものには○、不適切なものには×を解答欄に記入しなさい。

(ア) 生命保険募集人・保険仲立人の登録をしていないFPが、生命保険契約を検討している顧客のライフプランに基づき、有償で必要保障額を具体的に試算した。
(イ) 税理士資格を有していないFPが、相続対策を検討している顧客に対し、有料の相談業務において、仮定の事例に基づく一般的な解説を行った。
(ウ) 社会保険労務士資格を有していないFPが、有償で 顧客である個人事業主が受ける雇用関係助成金申請の書類を作成して 手続きを代行した。
(エ) 弁護士資格を有していないFP(遺言者や公証人と利害関係はない成年者)が、顧客から依頼されて公正証書遺言の証人となり、顧客から適正な報酬を受け取った。
正解:○、○、×、○
(ア) 必要保障額の計算は誰でも行うことができます。
(イ) 仮定の事例に基づく一般的な説明は誰でも行うことができます。
(ウ) 社会保険に関する手続きも代行は、社会保険労務士の資格を持った人以外が行ってはいけません。
(エ) 公正証書遺言の証人のなるために保有しておかなくてはいけない資格はありません。
【問2】
フィデューシャリー・デューティー(受託者責任)を遂行する軸として2017年3月に金融庁が公表した「顧客本 位の業務運営に関する原則」 以下「本原則」という に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1. 本原則では、金融事業者は顧客の資産状況、取引経験、知識等を把握し、当該顧客にふさわしい金融商品の販売、推奨等を行うべきだとしている。
2. 本原則は、金融事業者がとるべき行動について、金融庁が詳細に規定する「ルールベース・アプローチ」のみを採用するとしている。
3. 金融事業者が、本原則を採択したうえで、自らの状況等に照らし、本原則の一部を実施しない場合は、その理由や代替策を十分に説明することが求められる。
4. 本原則を採択する場合、金融事業者 は 策定した業務運営に関する方針を定期的に見直す必要がある。
正解:
1. 正しい記述です。
2. フィデューシャリーデューティーの原則においては、金融事業者がとるべき行動について、(ある程度詳細なルールや規則を制定し、それらを個別事例に適用していく)ルールベースアプローチと(規制対象の金融機関が尊重すべき重要ないくつかの原則や規範を示したうえで、それに沿った行政対応を行っていく)プリンシプルベースアプローチを組み合わせるべきであるとしています。
3. 正しい記述です。
4. 正しい記述です。
【問3】
個人向け国債に関する下表の空欄 (ア)~(エ)にあてはまる語句または数値に関する次の記述のうち、 最も適切なものはどれか。

1. 空欄(ア)にあてはまる語句は、「変動」である。
2. 空欄(イ)にあてはまる語句は、「1年」である。
3. 空欄(ウ)にあてはまる数値は、「0.05」である。
4. 空欄(エ)にあてはまる語句は、「半年」である。
正解:
(ア) 3年物の個人向け国債は固定金利です。
(イ) 個人向け国債の利払いは半年ごとに行われます。
(ウ) 個人向け国債の金利には0.05%の最低保証があります。
(エ) 個人向け国債は、原則として、発行から1年経過すれば中途換金が可能になります。
【問4】
下記<資料>について、この企業の株価が2,260円である場合、2020年11月期通期の業績予想ベースにおける次の記述の空欄(ア)、(イ)にあてはまる数値を語群の中から選び、解答欄に記入しなさい。なお、解答に当たっては、小数点以下第3位を四捨五入すること。

<資料>
問題作成の都合上、一部を「*」としている。
PER(株価収益率)は( ア )倍である。
配当性向は( イ )%である。
<語群>
1.77 1.99 17.29 18.10 
22.29 30.60 34.42 39.46
正解:22.29、39.46
(ア) PER=株価÷1株あたり当期純利益=2,260円÷101.37=22.294…≒22.29倍です。
(イ) 配当性向=1株当り配当金÷1株あたり当期純利益=40円÷101.37=0.39459…≒39.46%です。
【問5】
下記<資料>に関する次の記述の空欄(ア)、(イ)にあてはまる語句の組み合わせとして、正しいものはどれか。

<資料>
[販売用資料]
TA株式会社 2024年1月25日満期 米ドル建て社債
期間:3年
利率:年1.70%(米ドルベース)
売出期間:2021年1月12日~2021年1月25日

[売出要項]
売出価格:額面金額の100%
お申込み単位:額面金額1,000米ドル単位
利払日:毎年3月、9月の各26日(利払い日が休日の場合は翌営業日)/年2回
受渡日:2021年1月26日
償還日:2024年1月26日
格付:BBB(スタンダード・アンド・プアーズ[S&P]社)

適用される為替レート(1米ドル)が110.00円の場合、この債券の最低単位の購入代金は( ア )となる。
この債券は( イ )に分類される。
1. (ア) 11万円 (イ)投資適格債
2. (ア) 11万円 (イ)投機的格付債
3. (ア)110万円 (イ)投資適格債
4. (ア)110万円 (イ)投機的格付債
正解:
(ア) 申し込み単位が1,000米ドル単位ですから、円ベースでの最低購入代金は、1,000米ドル×110.00円/米ドル=11万円となります。
(イ) トリプルB相当格以上の債券は、投資適格債であるとされます。

【問6】
志田さんはTS投資信託を新規募集時に1,000万口購入し、特定口座(源泉徴収口座)で保有して収益分配金を受け取っている。下記<資料>に基づき、志田さんが保有するTS投資信託に関する次の記述の空欄(ア)、(イ)にあてはまる語句の組み合わせとして、正しいものはどれか。

<資料>
[TS投資信託の商品概要(新規募集時)]
投資信託の分類:追加型投資信託/国内/株式
決算および収益分配:毎年10月9日(休業日の場合には翌営業日)
申込価格:1口当たり1円
申込単位:1万口以上1口単位
基準価額:当ファンドにおいては、1万口当たりの価額で表示
購入時手数料(税込み):購入金額1,000万円未満 購入金額に対して3.3%
            購入金額1,000万円以上 購入金額に対して2.2%
運用管理費用(信託報酬)(税込み):純資産総額に対し年1.21%
信託財産留保額:1万口につき解約請求日の翌営業日の基準価額に0.3%を乗じた額

[志田さんが保有するTS投資信託の収益分配金受取時の運用状況(1万口当たり)]
収益分配前の個別元本:9,200円
収益分配前の基準価額:10,000円
収益分配金:1,000円
収益分配後の基準価額:9,000円

志田さんが、TS投資信託を新規募集時に1,000万口購入した際に、支払った購入時手数料(税込み)は、( ア )である。
収益分配時に、志田さんに支払われた収益分配金のうち800円(1万口当たり)は( イ )である。
1. (ア)220,000円 
(イ)普通分配金
2. (ア)220,000円 
(イ)元本払戻金(特別分配金)
3. (ア)330,000円 
(イ)普通分配金
4. (ア)330,000円 
(イ)元本払戻金(特別分配金)
正解:
(ア) 新規募集時には、1口=1円で募集されますから、新規募集時に1,000万口購入すると、購入金額は1,000万円となります。
よって、購入時手数料は、購入金額に対して2.2%が適用されますから、1,000万円×2.2%=22万円となります。
(イ) 分配落ち前基準価額10,000円と分配落ち後基準価額9,000円の差額のうち、個別元本9,200円を上回っている部分(800円)が普通分配金で、下回っている部分(200円)が元本払戻金(特別分配金)です。
【問7】
下記<資料>は、野村さんが購入を検討している中古マンションのインターネット上の広告(抜粋)である。この広告の内容等に関する次の(ア)~(エ)の記述について、適切なものには○、不適切なものには×を解答欄に記入しなさい。

<資料>
(ア) この広告の物件の専有面積として記載されている壁心面積は、登記簿上の内法面積より小さい。
(イ) この物件のように、建物の敷地が2つの用途地域にまたがる場合、制限のより厳しい用途地域における用途制限が適用される。
(ウ) この物件を購入した場合、野村さんは管理組合の構成員になるかどうかを選択できる。
(エ) この広告の物件を購入する場合、現在の区分所有者が管理費を滞納していると、新たな区分所有者となる野村さんは、滞納分の管理費の支払い義務を引き継ぐ。
正解:×、×、×、○
(ア) 壁芯面積は内法面積よりも大きいです。
(イ) 建物の敷地が二つの用途地域にまたがる場合、敷地に占める面積が大きい方の用途地域における用途制限が適用されます。
(ウ) 区分所有建物の所有者は、強制的に管理組合の構成員になります。
(エ) 区分所有建物の購入者は滞納されている管理費の支払い義務を引き継ぎます。
【問8】
下記<資料>は、長岡さんが購入を検討しているマンションの登記事項証明書の一部である。この登記事項証明書に関する次の(ア)~(エ)の記述について、適切なものには○、不適切なものには×を解答欄に記入しなさい。

<資料>
(ア) 「権利部(甲区)」には、所有権の移転登記のほか、差押え等が記載される。
(イ) 登記記録上、このマンションの707号室の現在の所有者は、株式会社LX不動産であることがわかる。
(ウ) 長岡さんが金融機関からの借入れによりこのマンションの707号室を購入して金融機関が抵当権を設定した場合、抵当権設定に関する登記事項は「権利部(甲区)」に記載される。
(エ) 登記事項証明書は、法務局において手数料を納付することにより、誰でも交付の請求をすることができる。
正解:○、×、×、○
(ア) 正しい記述です。権利部の甲区には、差し押さえなど、所有権に関する事項が記載されます。
(イ) 当初の所有者が株式会社LX不動産ですが、所有権は抹消されており、現在の所有者は、関根健二さんです。
(ウ) 抵当権設定に関する事項は、所有権以外の権利に関する事項が記載される権利部の乙区に記載されます。
(エ) 正しい記述です。登記事項証明書は誰でも交付の請求をすることができます。
【問9】
建築基準法に従い、下記<資料>の土地に建築物を建てる場合の延べ面積(床面積の合計)の最高限度として正しいものはどれか。なお、記載のない条件は一切考慮しないこととする。

<資料>
1. 486㎡
2. 540㎡
3. 756㎡
4. 810㎡
正解:
前面道路の幅員(7m)が12m未満ですから、容積率の上限は、指定容積率(30/10=300%)と前面道路の幅員×法定乗数のどちらか小さい方になります。
前面道路の幅員に応じて定まる容積率の上限=7×4/10=2.8=280%ですから、容積率の上限は280%となります。
したがって、延べ床面積の最高限度は、270㎡×280%=756㎡となります。
【問10】
固定資産税に関する次の記述の空欄(ア)~(エ)に入る語句の組み合わせとして、適切なものはどれか。

固定資産税は、( ア )が、毎年( イ )現在の土地や家屋等の所有者に対して課税する。課税標準は固定資産税評価額だが、一定の要件を満たす住宅が建っている住宅用地(小規模住宅用地)は、住戸一戸当たり( ウ )以下の部分について、課税標準額が固定資産税評価額の( エ )になる特例がある。
1. (ア)市町村(東京23区は都) 
(イ)1月1日 (ウ)200㎡ 
(エ)6分の1
2. (ア)市町村(東京23区は都) 
(イ)4月1日 (ウ)240㎡ 
(エ)3分の1
3. (ア)都道府県         
(イ)1月1日 (ウ)240㎡ 
(エ)6分の1
4. (ア)都道府県         
(イ)4月1日 (ウ)200㎡ 
(エ)3分の1
正解:
(ア) 固定資産税の課税主体は市町村です。
(イ) 固定資産税は、毎年1月1日現在の土地や家屋の所有者に対して課税されます。
(ウ) 固定資産税の小規模住宅用地の特例は住戸一戸あたり200㎡以下の部分の課税標準が、6分の1になる特例です。
(エ) 上記(ウ)の通りです。

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