お金の寺子屋

FP2級実技解説-2018年(平成30年)5月・問11~18

【問11】
西山和美さん(51歳)が保険契約者(保険料負担者)および被保険者として加入している生命保険(下記<資料>参照)の保障内容に関する次の記述の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる数値を解答欄に記入しなさい。なお、保険契約は有効に継続しているものとし、和美さんはこれまでに<資料>の保険から、保険金および給付金を一度も受け取っていないものとする。また、各々の記述はそれぞれ独立した問題であり、相互に影響を与えないものとする。

<資料/保険証券1>
<資料/保険証券2>
和美さんが現時点で、交通事故で即死した場合、保険会社から支払われる保険金および給付金の合計は( ア )万円である。
和美さんが現時点で、初めてガン(乳ガン・悪性新生物)と診断されて16日間入院し、その間に約款所定の手術(給付倍率40倍)を1回受けた場合、保険会社から支払われる保険金および給付金の合計は( イ )万円である。
和美さんが現時点で、足を骨折して10日間入院し(手術は受けていない)、退院日の翌日から約款所定の期間内に10日間通院した場合、保険会社から支払われる保険金および給付金の合計は( ウ )万円である。
正解:210万円、318万円、6万円
(ア) 医療保険から、三大疾病保障定期保険特約200万円が支払われます。
ガン保険から、死亡給付金10万円が支払われます。
よって、合計210万円が支払われます。
(イ) 医療保険から、疾病入院給付金5,000円×(16-4)=6万円+手術給付金5,000円×40=20万円+女性疾病入院特約5,000円×(16-4)=6万円+三大疾病保障定期保険特約200万円が支払われます。
ガン保険から、ガン診断給付金50万円+ガン入院給付金1万円×16=16万円+ガン手術給付金20万円が支払われます。
よって、合計318万円が支払われます。
(ウ) 医療保険から、災害入院給付金5,000円×(10-4)=3万円+通院特約3,000円×10=3万円が支払われます。
ガン保険からの給付はありません。
よって、合計6万円が支払われます。
【問12】
三上賢一さんが契約している個人年金保険(下記<資料>参照)に関する次の(ア)~(エ)の記述について、正しいものには○、誤っているものには×を解答欄に記入しなさい。

<資料:個人年金保険の契約内容>

保険契約者(保険料負担者):三上 賢一
被保険者:三上 賢一
年金受取人:三上 賢一
死亡給付金受取人:三上 智恵子(妻)
保険料払込期間:60歳払込満了
基本年金額:50万円
年金支払開始:60歳(10年確定年金)
税制適格特約付加

(ア) 賢一さんが毎年受け取る年金は、一時所得として所得税の課税対象となる。
(イ) 賢一さんが死亡し、智恵子さんが受け取った死亡給付金は、相続税の課税対象となる。
(ウ) 賢一さんが契約日から6年後に解約して受け取った解約返戻金は、雑所得として所得税の課税対象となる。
(エ) 賢一さんが毎年支払う保険料は、所得税における個人年金保険料控除の対象となる。
正解:×、○、×、○
(ア) 個人年金保険の年金は、雑所得として所得税の課税対象となります。
(イ) 正しい記述です。契約者(保険料負担者)と被保険者が同一である場合の死亡保険金は、相続税の課税対象になります。
(ウ) 個人年金保険の解約返戻金は、一時所得として所得税の課税対象となります。
(エ) 正しい記述です。税制適格特約が付いている個人年金保険の保険料は、個人年金保険料控除の対象となります。
【問13】
安藤さんは、同一の疾病により2回の入院をした。下記<資料>に基づき、安藤さんが契約している医療保険の入院給付金の日数に関する次の記述の空欄(ア)、(イ)に入る数値を解答欄に記入しなさい。なお、安藤さんはこれまでにこの医療保険から一度も給付金を受け取っていないものとする。

<資料>

安藤さんが請求することができる入院給付金の日数は、1回目の入院につき( ア )日分であり、2回目の入院については( イ )日分である。

正解:42、18
(ア) 入院1日目から最大60日間支払われますから、1回目の入院について、42日分の入院給付金を請求する事ができます。
(イ) 2回目の入院は、前回の入院と同一の理由で、退院の翌日から180日以内の入院ですから、1入院とみなされます。よって、請求する事が出来る入院給付金は、前回の入院で余った18日分が限度となります。
【問14】
皆川敏夫さんが契約している火災保険(下記<資料>参照)に関する次の(ア)~(エ)の記述について、適切なものには〇、不適切なものには×を解答欄に記入しなさい。なお、超過保険や一部保険には該当しないものとし、<資料>に記載のない特約については付帯がないものとする。また、保険契約は有効に継続しているものとする。

<資料>
(ア) 火災による損害の補償に関する建物の保険金額は、1,380万円(免責金額0円)で契約している。
(イ) 竜巻が原因で建物と家財が全損となった場合、合計で2,080万円の保険金が支払われる。
(ウ) 洪水が原因で建物と家財が全損となった場合、合計で2,080万円の保険金が支払われる。
(エ) 休日に敏夫さんが自転車で走行中、誤って他人にケガを負わせた場合の損害賠償責任についても、保険金が支払われる。
正解:○、○、×、○
(ア) 正しい記述です。
(イ) 正しい記述です。竜巻は風災ですから、竜巻が原因で建物と家財が全損となった場合、建物保険金額と家財保険金額の両方が満額支払われます。
(ウ) 資料より、水災は補償されていないことが分かります。
(エ) 正しい記述です。個人賠償責任特約によって、自転車事故による損害賠償責任に対して保険金が支払われます。

【問15】
【改題】広尾さん(68歳)の2017年分の収入等が下記のとおりである場合、広尾さんの2017年分の所得税における総所得金額として、正しいものはどれか。なお、記載のない事項については一切考慮しないこととし、総所得金額が最も少なくなるように計算すること。

<収入および経費>

老齢基礎年金:72万円
遺族厚生年金:132万円
駐車場収入:80万円
駐車場収入に係る必要経費:20万円

広尾さんは、駐車場経営を始めた2006年から青色申告者であり、帳簿書類の備付け等により、10万円の青色申告特別控除の適用を受けるための要件を満たしている。なお、この駐車場経営は、事業的規模には該当しない。(注)制度改正あり
<65歳未満の者の公的年金等控除額の速算表>(注)制度改正あり
収入金額 公的年金等控除額
130万円未満 70万円
130万円以上
410万円未満
収入金額×25%+37.5万円
410万円以上
770万円未満
収入金額×15%+78.5万円
770万円以上 収入金額×5%+155.5万円
<65歳以上の者の公的年金等控除額の速算表>
収入金額 公的年金等控除額
330万円未満 120万円
330万円以上
410万円未満
収入金額×25%+37.5万円
410万円以上
770万円未満
収入金額×15%+78.5万円
770万円以上 収入金額×5%+155.5万円
1. 50万円
2. 60万円
3. 134万円
4. 144万円
正解:

不動産の貸し付けが事業的規模に該当しない場合、青色申告特別控除額は10万円になります。

老齢基礎年金の金額が公的年金控除額以下で、遺族厚生年金は非課税ですから、雑所得は0です。
不動産所得の金額=収入-必要経費-青色申告特別控除額=80万円-20万円-10万円=50万円です。
不動産所得の金額は、その全額が総所得金額に算入されますから、総所得金額は50万円になります。

【問16】
会社員の住吉さんは、2018年7月に勤務先を定年退職する予定である。住吉さんの退職に係るデータが下記<資料>のとおりである場合、住吉さんの退職一時金に係る退職所得の金額として、正しいものはどれか。

<資料>

勤続年数:32年3ヵ月
支給される退職一時金:2,500万円
住吉さんは、勤務先の役員であったことはない。
退職は障害者になったことに基因するものではない。
「退職所得の受給に関する申告書」は適正に提出するものとする。
1. 395万円
2. 430万円
3. 790万円
4. 860万円
正解:
退職所得=(収入金額-退職所得控除額)×1/2、
勤続年数が20年を超える場合の退職所得控除額=70万円×(勤続年数-20)+800万円(1年未満の端数は切り上げ)より、
退職租特控除額=70万円×(33-20)+800万円=1,710万円ですから、
退職所得=(2,500万円-1,710万円)×1/2=395万円です。
【問17】
細井恒彦さんが2017年中に支払った生命保険の保険料は下記<資料>のとおりである。この場合の恒彦さんの2017年分の所得税における生命保険料控除の金額として、正しいものはどれか。なお、<資料>の保険について、これまでに契約内容の変更は行われていないものとする。

<資料>

[終身保険(無配当)]
契約日:2011年9月1日
保険契約者:細井 恒彦
被保険者:細井 恒彦
死亡保険金受取人:細井 玲奈(妻)
2017年の年間支払保険料:105,000円

[ガン保険(介護医療保険契約)]
契約日:2016年8月1日
保険契約者:細井 恒彦
被保険者:細井 恒彦
死亡保険金受取人:細井 玲奈(妻)
2017年の年間支払保険料:36,000円

<所得税の生命保険料控除額の速算表>

2011年12月31日以前に締結した保険契約(旧契約)等に係る控除額
年間の支払保険料の合計 控除額
25,000円以下 支払金額
25,000円超
25,000円以下
支払金額×1/2+12,500円
50,000円超
75,000円以下
支払金額×1/4+25,000円
100,000円超 50,000円
2012年1月1日以降に締結した保険契約(新契約)等に係る控除額
年間の支払保険料の合計 控除額
20,000円以下 支払金額
20,000円超
40,000円以下
支払金額×1/2+10,000円
40,000円超
80,000円以下
支払金額×1/4+20,000円
80,000円超 40,000円
生命保険料控除の金額は、契約日が同じである場合、一般生命保険料控除、個人年金保険料控除、介護医療保険料控除ともに同じ計算式で計算する。
支払保険料とは、その年に支払った金額から、その年に受けた剰余金や割戻金を差し引いた残りの金額をいう。
1. 50,000円
2. 68,000円
3. 78,000円
4. 80,500円
正解:
終身保険の保険料は、一般の生命保険料控除の対象となり、5万円が控除されます。
ガン保険の保険料は、介護医療保険料控除の対象となり、36,000円×1/2+10,000円=28,000円が控除されます。
よって、生命保険料控除の金額は、50,000円+28,000=78,000円になります。
【問18】
会社員の榊原さんが2017年中に支払った医療費等が下記<資料>のとおりである場合、榊原さんの2017年分の所得税の確定申告における医療費控除の金額として、正しいものはどれか。なお、榊原さんの2017年中の所得は、給与所得650万円のみであるものとし、榊原さんは妻および小学生の長男と生計を一にしている。また、セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)については考慮せず、保険金および自治体の助成金等により補てんされる金額はないものとする。

<資料>
1. 282,200円
2. 279,000円
3. 158,200円
4. 155,000円
正解:
美容のためのホワイトニングは医療費控除の対象外、重大な疾病が発見され引き続き治療を行った場合の健康診断費用は医療費控除の対象、緊急の場合のタクシー代は医療費控除の対象、通院の際の駐車場代は医療費控除の対象外です。

よって、医療費控除の対象となる支出は、15,000円+190,000円+50,000円+3,200円=258,200円です。
したがって、医療費控除の金額=258,200円-100,000円=158,200円となります。

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