FP2級実技(個人)解説-2024年9月・問10~15
【問10】~【問12】は、以下の資料を元に解答してください。
《設例》
会社員のAさん(50歳)は、1年前に父親の相続(単純承認)により取得した甲土地(600㎡)を所有している。甲土地は、Aさんの父親が50年前に取得した土地であり、月極駐車場として賃貸しているが、収益性は高くない。なお、Aさんの父親の相続において、法定相続人はAさんのみであり、相続に係る申告・納税等の手続は完了している。
Aさんが甲土地の売却を検討していたところ、不動産会社を通じて、スーパーを経営するⅩ社から「甲土地に新規出店させていただけませんか。Aさんには、建設協力金方式による有効活用をご検討いただきたいと考えています」との提案を受けた。
会社員のAさん(50歳)は、1年前に父親の相続(単純承認)により取得した甲土地(600㎡)を所有している。甲土地は、Aさんの父親が50年前に取得した土地であり、月極駐車場として賃貸しているが、収益性は高くない。なお、Aさんの父親の相続において、法定相続人はAさんのみであり、相続に係る申告・納税等の手続は完了している。
Aさんが甲土地の売却を検討していたところ、不動産会社を通じて、スーパーを経営するⅩ社から「甲土地に新規出店させていただけませんか。Aさんには、建設協力金方式による有効活用をご検討いただきたいと考えています」との提案を受けた。
<甲土地の概要>



・ | 甲土地は、建蔽率の緩和について特定行政庁が指定する角地である。 |
・ | 指定建蔽率および指定容積率とは、それぞれ都市計画において定められた数値である。 |
・ | 特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域ではない。 |
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
【問10】
甲土地上に耐火建築物を建築する場合における次の①、②を求め、解答用紙に記入しなさい(計算過程の記載は不要)。
① | 建蔽率の上限となる建築面積 |
② | 容積率の上限となる延べ面積 |
正解:480(㎡)、1,800(㎡)(各2点であると思われる)
① | 準防火地域に準耐火建築物を建てる場合には、建蔽率の上限が10%緩和されます。 また、特定行政庁が指定する角地に建物を建てる場合には、建蔽率の上限が10%緩和されます。 よって、建蔽率の上限は、60%+10%+10%=80%となります。 したがって、建ぺい率の上限となる建築面積は、600㎡×80%=480㎡です。 |
② | 前面道路の幅員が12m未満である場合、容積率の上限は、指定容積率と前面道路(複数の道路に面している場合、幅員が広い方の道路)の幅員によって定まる容積率のうち、いずれか小さい方となります。 前面道路の幅員によって定まる容積率=8×4/10=3.2=300%ですから、容積率の上限は、300%となります。 よって、容積率の上限となる延床面積は、600㎡×300%=1,800㎡です。 |
【問11】
甲土地の売却に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。
① | 「甲土地の売却にあたって宅地建物取引業者と専任媒介契約を締結する場合、当該契約の有効期間は2カ月を超えることができませんが、当該契約の有効期間内に甲土地の買主が見つからなかったときは、契約を更新することができます」 |
② |
「甲土地の売却に係る譲渡所得の金額の計算上、取得費は、原則として、Aさんの父親が甲土地を取得した際の購入代金や購入手数料等の合計額となりますが、その金額が不明である場合、甲土地の売却価額の10%相当額を取得費とすることができ ます」 |
③ | 「甲土地の売却に係る譲渡所得の金額の計算上、『相続財産に係る譲渡所得の課税の特例』(相続税の取得費加算の特例)の適用を受けるためには、甲土地を相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までの間に譲渡する必要があります」 |
正解:×、×、○(各1点であると思われる)
① | 専任媒介契約の契約の有効期間は、3ヵ月を超えることができません。 |
② | 譲渡所得の計算上、取得費が不明である場合、売却価額の5%相当額を取得費とすることができます。 |
③ | 正しい記述です。相続税の取得費加算の特例の適用を受けるためには、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までの間(=相続開始を知った日の翌日から3年10ヵ月を経過する日までの間)に譲渡する必要があります。 |
【問12】
建設協力金方式の一般的な特徴等に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。
① | 「建設協力金方式は、AさんがⅩ社から建設資金の一部または全部を借り受けて、Ⅹ社の要望に沿った店舗を建設し、その店舗をⅩ社に賃貸する手法です。Aさんが借り受けた建設資金は、通常、賃料の一部で返済していくことになります」 |
② | 「建設協力金方式では、建設した店舗に係る固定資産税の納税義務はⅩ社が負い、甲土地に係る固定資産税の納税義務はAさんが負うことになります」 |
③ | 「建設協力金方式では、AさんがⅩ社に店舗を賃貸した後、その賃貸期間中にAさんの相続が開始した場合、相続税額の計算上、店舗は貸家として評価され、甲土地は貸宅地として評価されます」 |
正解:○、×、×(各1点であると思われる)
① | 正しい記述です。 |
② | 建設協力金方式では、建物と土地はどちらも、土地所有者の名義となりますから、建物と土地に係る固定資産税の納税義務は、どちらもAさんが負うことになります。 |
③ | 建設協力金方式では、賃貸期間中に建物と土地の所有者が死亡した場合、建物は貸家として評価され、土地は貸家建付地として評価されます。 |
【問13】~【問15】は、以下の資料を元に解答してください。
《設例》
非上場会社であるX株式会社(以下、「X社」という)の代表取締役社長であるAさん(67歳)は、自宅で妻Bさん(62歳)および長男Cさん(40歳)家族と同居している。Aさんは、3年後をめどにX社の専務取締役である長男Cさんに事業を承継する予定であり、将来、長男CさんにはX社株式のすべてを取得させ、妻Bさんには自宅および相応の現預金等を相続させようと考えているが、長男Cさんと長女Dさん(36歳)が遺産分割でもめてしまうのではないかと心配している。
また、Aさんは、長女Dさんから、「マンションの購入資金を援助してほしい」と頼まれており、資金援助を検討している。
非上場会社であるX株式会社(以下、「X社」という)の代表取締役社長であるAさん(67歳)は、自宅で妻Bさん(62歳)および長男Cさん(40歳)家族と同居している。Aさんは、3年後をめどにX社の専務取締役である長男Cさんに事業を承継する予定であり、将来、長男CさんにはX社株式のすべてを取得させ、妻Bさんには自宅および相応の現預金等を相続させようと考えているが、長男Cさんと長女Dさん(36歳)が遺産分割でもめてしまうのではないかと心配している。
また、Aさんは、長女Dさんから、「マンションの購入資金を援助してほしい」と頼まれており、資金援助を検討している。
<Aさんの親族関係図>



<Aさんの主な所有財産(相続税評価額)> | ||
現預金等 | : | 5,500万円 |
X社株式 | : | 1億6,000万円 |
自宅敷地(350㎡) | : | 7,000万円(注) |
自宅建物 | : | 1,500万円 |
合計 | : | 3億円 |
(注) | 「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」適用前の金額 |
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
【問13】
Aさんの相続に関する以下の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を、下記の〈語句群〉のなかから選び、その記号を解答用紙に記入しなさい。
Ⅰ | 「遺言により、自宅および現預金等を妻Bさん、X社株式を長男Cさんに相続させた場合、長女Dさんの遺留分を侵害するおそれがあります。仮に、遺留分を算定するための財産の価額を3億円とした場合、長女Dさんの遺留分の金額は、( ① )万円となります」 |
Ⅱ | 「遺言は、自筆証書遺言や公正証書遺言などの種類によって作成方式が異なっており、公正証書遺言の作成にあたっては、証人2人以上の立会いが必要とされています。仮に、Aさんの公正証書遺言を作成する場合、妻Bさんおよび長男Cさんは証人となることが( ② )。なお、作成した公正証書遺言は、Aさんの相続開始後、家庭裁判所における検認が( ③ )です」 |
Ⅲ | 「妻Bさんが自宅建物とその敷地を相続により取得し、当該敷地(相続税評価額7,000万円)について、特定居住用宅地等として限度面積まで『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けた場合、相続税の課税価格に算入すべき当該敷地の価額は( ④ )万円となります」 |
<語句群>
イ.1,400 ロ.1,720 ハ.1,875
ニ.3,500 ホ.3,750 ト.できます
チ.できません リ.必要 ヌ.不要
イ.1,400 ロ.1,720 ハ.1,875
ニ.3,500 ホ.3,750 ト.できます
チ.できません リ.必要 ヌ.不要
正解:ホ、チ、ヌ、ロ(各1点であると思われる)
① | 抽象的遺留分の割合は、相続人が直系尊属のみである場合を除いて、遺留分算定基礎財産の1/2です。 また、各相続人の具体的遺留分は、抽象的遺留分を遺留分権利者が法定相続分通り按分した割合となります。 よって、長女Dさんの具体的遺留分の割合は、1/2×1/4=1/8です。 したがって、具体的遺留分の額は、3億円×1/8=3,750万円となります。 |
② | 未成年者や推定相続人などは、公正証書遺言の証人になることはできません。 |
③ | 公正証書遺言は、原本が公証役場に保管されており、改ざんなどの恐れが無いため、検認は不要です。 |
④ | 自宅の敷地は特定居住用宅地等として330㎡まで80%評価減されますから、相続税の課税価格に算入すべき金額は、7,000万円×330㎡/350㎡×(1-80%)+7,000万円×20㎡/350㎡=1,720万円となります。 |
【問14】
「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」(以下、「本制度」という)に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。
① | 「本制度の適用を受けるためには、取得等した住宅用家屋の床面積が50㎡以上200㎡以下でなければならず、また、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるものである必要があります」 |
② | 「長女Dさんが、Aさんおよび妻Bさんのそれぞれから住宅取得等資金の贈与を受けてマンションを購入し、本制度の適用を受ける場合、当該マンションが一定の省エネ等住宅に該当するときは、Aさんおよび妻Bさんから贈与を受けた資金について、それぞれ1,000万円を限度として贈与税が非課税となります」 |
③ | 「長女Dさんが、Aさんから贈与を受けた住宅取得等資金について本制度の適用を受け、その後、Aさんの相続が開始した場合、本制度の適用を受けたことにより贈与税が非課税とされた金額を相続税の課税価格に加算する必要はありません」 |
正解:×、×、○(各1点であると思われる)
① | 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の適用を受けるための床面積の要件は、50㎡(受贈者の合計所得金額が1,000万円以下の場合は40㎡)以上240㎡で、2分の1以上場居住用であることとされています。 |
② | 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の特例の適用により非課税となる金額は、受贈者1人当たりの金額です。一定の省エネ基準を満たした住宅の取得資金の贈与について本特例の適用を受ける場合、贈与者の人数に関わらず、非課税限度額は1,000万円となります。 |
③ | 正しい記述です。直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の特例の適用により非課税となった金額は、生前贈与加算の対象外です。 |
【問15】
現時点(2024年9月8日)において、Aさんの相続が開始した場合における相続税の総額を試算した下記の表の空欄①~③に入る最も適切な数値を求めなさい。なお、課税遺産総額(相続税の課税価格の合計額-遺産に係る基礎控除額)は2億円とし、
問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」で示してある。
問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」で示してある。
(a)相続税の課税価格の合計額 | □□□万円 |
(b)遺産に係る基礎控除額 | ( ① )万円 |
課税遺産総額(a-b) | 2億円 |
相続税の総額の基となる税額 | |
妻Bさん | □□□万円 |
長男Cさん | ( ② )万円 |
長女Dさん | □□□万円 |
(c)相続税の総額 | ( ③ )万円 |
<資料>相続税の速算表(一部抜粋) | ||
法定相続分に 応ずる取得金額 |
税率 | 控除額 |
1,000万円以下 | 10% | - |
1,000万円超 3,000万円以下 |
15% | 50万円 |
3,000万円超 5,000万円以下 |
20% | 200万円 |
5,000万円超 10,000万円以下 |
30% | 700万円 |
10,000万円超 20,000万円以下 |
40% | 1,700万円 |
正解:4,800(万円)、800(万円)、3,900(万円)(各1点であると思われる)
① | 相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×3=4,800万円です。 |
② | 長男Cさんの法定相続分に対応する取得金額は、2億円×1/4=5,000万円となります。 これに対応する相続税額は、5,000万円×20%-200万円=800万円です。 |
③ | 妻Bさんの法定相続分に対応する取得金額は、2億円×1/2=1億円となります。 これに対応する相続税額は、1億円×30%-700万円=2,300万円です。 また、長女Dさんの法定相続分に対応する相続税額は、長男Cさんと同じです。 したがって、相続税の総額は、2,300円+800万円+800万円=3,900万円となります。 |
スポンサーリンク
スポンサーリンク
<戻る | ホーム | 進む> |