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FP2級実技(個人)解説-2020年1月・問10~15

【問10】~【問12】は、以下の資料を元に解答してください。

<設例>
Aさん(70歳)は、10年前に父親の相続によりM市内(三大都市圏)にある甲土地(625㎡)を取得している。甲土地は、父親の代からアスファルト敷きの月極駐車場として賃貸しており、駐車場は満車の状態が続いているが、収益性は高くない。
Aさんは、先日、ハウスメーカーのX社から「甲土地は、最寄駅から徒歩5分の好立地にあり、需要が見込めるので、自己建設方式による賃貸マンションでの有効活用をお勧めします。建築後のマンションは弊社(X社)が一括賃貸借契約(サブリース契約)で賃貸・管理し、賃料を保証します」との提案を受けた。

<甲土地の概要>
甲土地は、建蔽率の緩和について特定行政庁が指定する角地である。
指定建蔽率および指定容積率とは、それぞれ都市計画において定められた数値である。
特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域ではない。
上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。
【問10】
甲土地上に耐火建築物を建築する場合における次の①、②を求めなさい(計算過程の記載は不要)。
① 建蔽率の上限となる建築面積
② 容積率の上限となる延べ面積
正解:500㎡、1,875㎡
特定行政庁が指定する角地は、建蔽率の上限が10%緩和されます。
準防火地域耐火建築物を建築する場合、建蔽率の上限が10%緩和されます。
よって、建蔽率の上限となる建築面積=625×(60+10+10)%=500㎡となります。
前面道路(複数の道路に面する場合、最も広い幅員の道路)の幅員が12m未満であるため、容積率の上限は、前面道路の幅員によって定まる容積率の上限、もしくは、指定容積率(300%)のどちらか小さい方になります。
前面道路の幅員によって定まる容積率の上限は、8×4/10=320%です。
よって、延べ床面積の上限は、625㎡×300%=1,875㎡となります。
【問11】
X社が提案する自己建設方式に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。

「Aさんが甲土地に賃貸マンションを建設した場合、相続税額の計算上、甲土地は貸家建付地として評価されます。甲土地の自用地価額を1億円、借地権割合60%、借家権割合30%、賃貸割合100%とした場合の相続税評価額は1,800万円です」
「一括賃貸借契約(サブリース契約)において賃料が保証されていても、経済事情等により賃料を減額請求されることがあります」
「Aさんが金融機関から融資を受けて賃貸マンションを建設した場合、相続税額の計算上、当該借入金は債務控除の対象となります」
正解:×、○、○
貸家建付地の相続税評価額=自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)=1億円×(1-60%×30%×100%)=8,200万円となります。
正しい記述です。
正しい記述です。
【問12】
地積規模の大きな宅地の評価(以下、「本規定」という)に関する以下の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句または数値を、下記の〈語句群〉のなかから選び、その記号を解答用紙に記入しなさい。

「2018年1月1日以後の相続、遺贈または贈与により取得する宅地で、所定の要件を満たすものは、本規定の定めを適用して評価します。本規定の新設に伴い、従前の広大地の評価は廃止されました。
地積規模の大きな宅地とは、三大都市圏では( ① )㎡以上、三大都市圏以外の地域では1,000㎡以上の地積の宅地をいい、本規定の対象となる宅地は、路線価地域においては、普通商業・併用住宅地区および( ② )に所在するものになります。
なお、市街化調整区域に所在する宅地、工業専用地域に指定されている地域に所在する宅地、指定容積率が( ③ )%(東京都の特別区は300%)以上の地域に所在する宅地等は、地積規模の大きな宅地から除かれています」
<語句群>
イ.150 ロ.200 ハ.300 
ニ.400 ホ.500 ヘ.600 
ト.普通住宅地区 チ.高度商業地区 
リ.繁華街地区
正解:ホ、ト、ニ
地積規模の大きな宅地とは、三大都市圏においては500㎡以上の地積の宅地、三大都市圏以外の地域においては1,000㎡以上の地積の宅地をいいます。
「地積規模の大きな宅地の評価」の対象となる宅地は、路線価地域に所在するものについては、地積規模の大きな宅地のうち、普通商業・併用住宅地区及び普通住宅地区に所在するものとなります。
ちなみに、倍率地域に所在するものについても、地積規模の大きな宅地に該当する宅地であれば対象となります。
工業専用地域に指定されている地域に所在する宅地や指定容積率が400%(東京都の特別区においては300%)以上の地域に所在する宅地等は、地積規模の大きな宅地から除かれます。

【問】~【問】は、以下の資料を元に解答してください。

<設例>
Aさん(73歳)は、父親から相続した先祖代々の土地で不動産賃貸業(個人事業)を営んでいる。Aさんの年間の不動産収入は4,000万円であり、所得税および住民税の負担が大きいと感じている。現在、Aさんは、X社(不動産保有会社)を設立し、賃貸不動産をX社に売却して、不動産賃貸業を法人化することを検討している。
Aさんは、現在、妻Bさん(68歳)および長女Cさん(44歳)と自宅で同居している。長男Dさん(41歳)は、県外の企業に勤務しており、故郷に戻って来る予定はないようである。
Aさんは、不動産賃貸業を同居する長女Cさんに引き継がせたいと思っているが、大半の財産を長女Cさんに相続させた場合に、長女Cさんと長男Dさんとの間で争いが生じるのではないかと不安を感じている。

<Aさんの推定相続人>
[妻Bさん]
専業主婦。Aさんと自宅で同居している。

[長女Cさん]
Aさんの不動産賃貸業を手伝っている。Aさん夫妻と同居している。

[長男Dさん]
会社員。妻と子2人でマンション(持家)に住んでいる。

<Aさんの所有財産(相続税評価額)>
[現預金]
1億2,000万円

[自宅]
①敷地(240㎡):7,000万円
②建物:3,000万円

[賃貸マンション甲]
①敷地(300㎡):1億円
②建物(築30年):7,000万円

[賃貸マンション乙]
①敷地(400㎡):1億2,000万円
②建物(築25年): 8,000万円

合計:5億9,000万円

自宅および賃貸マンションの土地は「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」適用前の金額である。
上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。
【問13】
現時点(2020年1月26日)において、Aさんの相続が開始した場合における相続税の総額を試算した下記の表の空欄①~③に入る最も適切な数値を求めなさい。なお、相続税の課税価格の合計額は5億9,000万円とし、問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」で示してある。

(a)相続税の課税価格の合計額 5億9,000万円
(b)遺産に係る基礎控除額 ( ① )万円
課税遺産総額(a-b) □□□万円
相続税の総額の基となる税額
妻Bさん □□□万円
長女Cさん ( ② )万円
長男Dさん □□□万円
(c)相続税の総額 ( ③ )万円
<資料>相続税の速算表(一部抜粋)
法定相続分に
応ずる取得金額
税率 控除額
1,000万円以下 10%
1,000万円超
3,000万円以下
15% 50万円
3,000万円超
5,000万円以下
20% 200万円
5,000万円超
10,000万円以下
30% 700万円
10,000万円超
20,000万円以下
40% 1,700万円
20,000万円超
30,000万円以下
45% 2,700万円
正解:4,800、3,720、16,935
基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数です。
よって、3,000万円+600万円×3=4,800万円となります。
課税遺産総額=5億9,000万円-4,800万円=5億4,200万円です。
よって、長女Cさんの法定相続分に応ずる取得金額=5億4,200万円×1/4=1億3,550万円となり、これに対応する税額は、1億3,550万円×40%-1,700万円=3,720万円となります。
課税遺産総額=5億9,000万円-4,800万円=5億4,200万円より、妻Bさんの法定相続分に応ずる取得金額=5億4,200万円×1/2=2億7,100万円となり、これに対応する税額は、2億7,100万円×45%-2,700万円=9,495万円となります。
また、長女Cさんと長男Dさんの法定相続分は等しいため、長男Dさんの法定相続分に応ずる取得金額に対応する税額は、長女Cさんと同じ3,720万円です。
ゆえに、相続税の総額は、9,495万円+3,720万円+3,720万円=16,935万円となります。
【問14】
不動産賃貸業の法人化に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。

「不動産賃貸業を法人化し、AさんがX社から役員報酬を得ることになれば、給与所得控除額の適用があります。また、妻Bさんや長女CさんがX社の役員になり役員報酬を得ることで、所得の分散を図ることもできます」
「Aさんが賃貸マンションの建物だけをX社に移転した場合、権利金の認定課税を回避するためには、X社はAさんと連名で『土地の無償返還に関する届出書』を法務局に提出する必要があります」
「賃貸マンションの土地と建物をAさんからX社に譲渡した場合、先祖代々の土地の取得費が小さければ、譲渡所得の金額が大きくなり、Aさんに多額の所得税が課される可能性があります」
正解:○、×、○
正しい記述です。
土地の無償返還に関する届出書は、税務署に提出します。
正しい記述です。
【問15】
Aさんの相続等に関する以下の文章の空欄①~④に入る最も適切な数値を、下記の〈数値群〉のなかから選び、その記号を解答用紙に記入しなさい。

「妻Bさんが自宅の敷地を相続により取得し、当該敷地の全部について、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けた場合、減額される金額は( ① )万円となります。なお、自宅の敷地について優先して本特例の適用を受けた場合、貸付事業用宅地等として適用を受けることができる面積は所定の算式により調整しなければなりません」
「遺言により賃貸マンション等の相続財産の大半を長女Cさんに相続させた場合、長男Dさんの遺留分を侵害する可能性があります。仮に、遺留分算定の基礎となる財産の価額が6億円である場合、長男Dさんの遺留分の金額は( ② )万円となります」
「相続税の申告期限までに遺産分割協議が調わなかった場合、相続税の申告時において、未分割の財産に対して配偶者に対する相続税額の軽減や小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けることができないというデメリットが生じます。その場合、相続税の申告の際に『申告期限後( ③ )年以内の分割見込書』を税務署に提出し、申告期限後( ③ )年以内に遺産分割協議が成立すれば、それらの特例の適用を受けるため、分割後( ④ )カ月以内に更正の請求を行うことができます」
<数値群>
イ.1 ロ.2 ハ.3 
ニ.4 ホ.5 ヘ.6 
ト.1,400 チ.3,500 リ.3,750 
ヌ.5,600 ル.7,500 ヲ.15,000

正解:ヌ、ル、ハ、ニ
自宅の敷地について小規模宅地等の特例の適用を受けた場合、330㎡まで80%が減額されますから、減額される金額は、7,000万円×80%=5,600万円となります。
相続人の組み合わせが配偶者相続人と第一順位の血族相続人(=直系尊属のみではない)ですから、抽象的遺留分の割合は1/2であり、長男Dさんの法定相続分は1/4ですから、長男Dさんの具体的遺留分の金額は、遺留分算定の基礎となる財産の1/8=6億円×1/8=7,500万円となります。
相続税の申告書の提出期限までに相続又は遺贈により取得した財産の全部又は一部が分割されていない場合において、原則として申告期限までの分割を要件とする各種特例の適用を申告期限後受けようとする場合、「申告期限後3年以内の分割見込書」を税務署に提出する必要があります。
「申告期限後3年以内の分割見込書」の提出後に更生の請求を行う場合、分割が行われた日の翌日から4ヵ月以内に手続きをする必要があります。

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