FP2級実技(個人)解説-2018年1月・問1~9
会社員のAさん(55歳)は、妻Bさん(53歳)および長男Cさん(26歳)との3人暮らしである。Aさんは、高校卒業後から現在に至るまでX社に勤務している。先日、友人が急逝したことから、Aさんは自身が死亡した場合の家族の生活などについて考えるようになった。そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。
Aさんおよびその家族に関する資料は、以下のとおりである。
<Aさんおよびその家族に関する資料>
〔Aさん〕(会社員)
生年月日:昭和37年7月2日
厚生年金保険、全国健康保険協会管掌健康保険、雇用保険に加入している。
〔妻Bさん〕(専業主婦)
生年月日:昭和39年2月18日
高校卒業後から25歳でAさんと結婚するまでは厚生年金保険に加入していた。結婚後はAさんの被扶養配偶者として国民年金に加入している。また、Aさんが加入している健康保険の被扶養者である。
〔長男Cさん〕(会社員)
生年月日:平成3年5月25日
厚生年金保険、全国健康保険協会管掌健康保険、雇用保険に加入している。
※ | 妻Bさんは、現在および将来においても、Aさんと同居し、生計維持関係にあるものとする。 |
※ | 妻Bさんおよび長男Cさんは、現在および将来においても、公的年金制度における障害等級に該当する障害の状態にないものとする。 |
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
・ | 「妻Bさんの公的年金制度への加入については、国民年金の種別変更の手続を行い、( ① )被保険者として、国民年金の保険料を納付することになります」 |
・ | 「妻Bさんの公的医療保険制度への加入については、妻Bさん自身の年間収入が( ② )未満で、かつ、長男Cさんの年間収入の2分の1未満である場合、妻Bさんは、原則として、長男Cさんが加入している健康保険の被扶養者となることができます。この際の妻Bさんの年間収入には、公的年金制度から支給される遺族厚生年金の金額は( ③ )。 なお、妻Bさんが長男Cさんの加入する健康保険の被扶養者となるための条件を満たさなかった場合、妻Bさんは、国民健康保険に加入することになります」 |
イ.第1号 ロ.第2号 ハ.第3号
ニ.103万円 ホ.130万円 ヘ.180万円
ト.含まれます チ.含まれません
① | 国民年金の第2号被保険者が死亡した場合、その人に扶養されていた第3号被保険者は、第1号被保険者になります。 |
② | 健康保険の被扶養者となる為には、原則として年間収入が130万円未満で、扶養者の年間収入の2分の1未満である事が要件とされています。 |
③ | 健康保険の被扶養者となるための判定をする際の収入には、遺族年金の金額も含まれます。 |
1. | 「妻Bさんは、65歳から老齢基礎年金と老齢厚生年金を受給することになりますが、その場合、遺族厚生年金は、その額のうち、妻Bさんの老齢厚生年金の額に相当する部分の支給が停止されます」 |
2. | 「妻Bさんは、特別支給の老齢厚生年金の受給権を法定の支給開始年齢到達時に取得した場合、特別支給の老齢厚生年金と遺族厚生年金を同時に受給することができます」 |
3. | 「妻Bさんが65歳以後に受給する遺族厚生年金には、経過的寡婦加算の加算は行われません」 |
1. | 正しい記述です。遺族厚生年金と老齢厚生年金は併給されます。その際、老齢厚生年金が優先され、遺族厚生年金の方が金額が大きい場合に限り、差額が支給されます。 |
2. | 遺族厚生年金と特別支給の老齢厚生年金は併給されません(どちらかを選択して受給します)。 |
3. | 正しい記述です。昭和31年4月2日以降に生まれた人には、経過的寡婦加算は支給されません。 |
<計算の手順> | |
1. | 基本額(円未満四捨五入) (a+b)×( ① )=□□□円 (①に入る適切な数値を、解答用紙の「1/3、2/3、3/4、4/5」からら選びマルで囲むこと) |
2. | 中高齢寡婦加算額 妻Bさんの場合、中高齢寡婦加算額は加算( ② )。 (解答用紙の「される/されない」のいずれかをマルで囲むこと) |
3. | 遺族厚生年金の年金額 ( ③ )円 |
① | 遺族厚生年金の金額は、基本的に、報酬比例部分の年金額の4分の3です。 |
② | 中高齢寡婦加算は、厚生年金保険の被保険者である夫の死亡当時、40歳以上65歳未満の子のない妻に支給されます。 |
③ | a=300,000円×7.125/1,000×264=564,300円、 b=400,000円×5.481/1,000×177=388,054.8円より、 基本額=(564,300円+388,055円)×3/4≒714,266円です。 したがって、遺族厚生年金の年金額=714,266円+584,500円=1,298,766円です。 |
Aさんが運用対象として検討しているX社債および米ドル建て定期預金に関する資料は、以下のとおりである。
発行会社:国内の大手企業
購入価格:101.00円(額面100円当たり)
表面利率:0.6%
利払日:年2回(3月末日、9月末日)
残存期間:4年
格付:A
預入金額:20,000米ドル
預入期間:6カ月満期
利率(年率):0.5%(満期時一括支払)
為替予約なし
適用為替レート(円/米ドル)
〔預入時〕
TTS:108
TTM:107
TTB:106
〔満期時〕
TTS:111
TTM:110
TTB:109
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
1. | 「A格相当の債券は、投資適格債券に該当しますので、確実に元利金が約定どおり支払われます」 |
2. | 「X社債の購入後に市場金利が上昇した場合、購入価格よりも高い価格で売却できる可能性があります」 |
3. | 「 仮に、X社債を購入して、2年後に額面100円当たり102.00円で売却した場合の所有期間利回り(年率・単利)は、約1.09%となります」 |
1. | 社債には元本割れリスクがあります。 |
2. | 固定利付社債は、市場金利が上昇すると、価格が下落します。 |
3. | 所有期間利回り={0.6+(102-101)÷2}÷101×100=1.0891…%です。 |
1. | 「日本国内に本店を有する金融機関に預け入れた外貨預金は、預金保険制度の保護の対象となります」 |
2. | 「外国銀行の在日支店に預け入れた外貨預金は、預金保険制度の保護の対象となります」 |
3. | 「日本国内に所在する金融機関に預け入れた外貨定期預金(為替予約なし)の満期による為替差益は、一時所得として総合課税の対象となります」 |
1. | 外貨預金は、預金保険制度による保護の対象外です。 |
2. | 外貨預金は、預金保険制度による保護の対象外です。 |
3. | 外貨預金の為替差益は、為替予約をしない場合、雑所得として総合課税の対象となります。 |
<計算の手順> | |
1. | 預入時に必要な円貨の額 ( ① )円 |
2. | 満期時における米ドルベースでの元利金の額 ( ② )米ドル |
3. | 満期時における円ベースでの元利金の額 ( ③ )円 |
4. | 円ベースでの運用利回り(単利による年換算) ( ④ )% |
2,185,450(円)、2.36(%)
① | 円を外貨に換えるレートはTTSです。 よって、20,000米ドル×108円/ドル=2,160,000円です。 |
② | 20,000米ドル×{1+(0.005×0.5)}=20,050米ドルです。 |
③ | 外貨を円に換えるレートはTTBです。 よって、20,050米ドル×109円/ドル=2,185,450円です。 |
④ | 半年間の利回り(%)は、(2,185,450円-2,160,000円) ÷2,160,000円×100の式で求める事ができますから、単利による年換算利回り(%)=(2,185,450円-2,160,000円) ÷2,160,000円÷6/12×100=2.356…(%)となります。 *半年間の利回りを、単純に2倍します。 |
Aさんは、25年間勤務していたX社を平成30年3月末に早期退職し、同年4月から個人で飲食業を開業する予定である。Aさんは、開業後直ちに、青色申告承認申請書と青色事業専従者給与に関する届出書を開業届出書とともに所轄税務署長に対して提出したいと思っている。
Aさんの家族構成および平成29年分の収入等に関する資料等は、以下のとおりである。
<Aさんの家族構成>
[Aさん(54歳)]
会社員
[妻Bさん(50歳)]
専業主婦。平成29年中の収入はない。
[長女Cさん(20歳)]
大学2年生。平成29年中にアルバイトで給与収入80万円を得ている。
<Aさんの平成29年分の収入等に関する資料>
[X社からの給与収入の金額]
800万円
[上場株式の譲渡損失の金額]
20万円(上場株式の譲渡は、証券会社を通じて行ったものである。)
[生命保険の解約返戻金額]
1,100万円
<Aさんが平成29年中に解約した生命保険の契約内容>
保険の種類:一時払変額個人年金保険(確定年金)
契約年月:平成21年5月
契約者(=保険料負担者):Aさん
被保険者:Aさん
死亡給付金受取人:妻Bさん
解約返戻金額:1,100万円
一時払保険料:1,000万円
※ | 妻Bさんおよび長女Cさんは、Aさんと同居し、生計を一にしている。 |
※ | 家族は、いずれも障害者または特別障害者には該当しない。 |
※ | 家族の年齢は、いずれも平成29年12月31日現在のものである。 |
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
・ | その年の1月16日以後、新たに業務を開始した者が、その年分から所得税の青色申告の適用を受けようとするためには、その業務を開始した日から( ① )以内に、所定の事項を記載した青色申告承認申請書を納税地の所轄税務署長に提出して承認を受けなければならない。 |
・ | 青色申告者が受けられる税務上の特典としては、青色申告特別控除や青色事業専従者給与の必要経費算入、最長で( ② )間にわたる純損失の繰越控除などがある。このうち、青色申告特別控除については、事業所得に係る取引を正規の簿記の原則により記帳し、それに基づいて作成した貸借対照表等を添付した確定申告書を法定申告期限内に提出した場合、最高で( ③ )を所得金額から控除することができる。(注)制度改正あり |
イ.2カ月 ロ.3カ月 ハ.4カ月
ニ.3年 ホ.5年 へ.7年
ト.9年
チ.10万円 リ.38万円
ヌ.65万円 ル.103万円
① | 1月16日以後、新たに業務を開始した者が、その年分から所得税の青色 申告の適用を受けようとする場合、青色申告承認申請書を業務の開始の日から、2ヵ月以内に提出する必要があります。 |
② | 青色申告者は、純損失を最大3年間繰越控除する事ができます。 |
③ | 事業所得の計算上控除する事ができる青色申告特別控除額は、65万円です。 正確に言えば、青色申告特別控除額は、基本的に最高55万円ですが、電子申告要件等を満たした場合、最高65万円になります。 |
1. |
正しい記述です。配偶者控除を受けるための配偶者の合計所得金額の要件は、38万円以下である事とされています。 <参考> |
2. |
給与収入が80万円である場合、給与所得は80万円-65万円=15万円となり、合計所得金額が38万円以下となりますから、扶養控除の対象(控除対象扶養親族)となります。 <参考> |
3. | 正しい記述です。所得税の確定申告の期限は、翌年の2月16日から3月15日までです。 |
Aさんの平成29年分の各種所得の金額は、以下の表のとおりである。 | |
各種所得 | 各種所得の金額 |
給与所得の金額 | ( ① )万円 |
譲渡所得の金額(上場株式の譲渡) | ▲20万円 |
総所得金額に算入される一時所得の金額 | ( ② )万円 |
※▲は、マイナスを表す。 |
以上から、Aさんの平成29年分の総所得金額は、( ③ )万円となる。
<資料>給与所得控除額 | |
給与収入金額 | 給与所得控除額 |
180万円以下 | 収入金額×40% (最低65万円) |
180万円超 360万円以下 |
収入金額×30%+18万円 |
360万円超 660万円以下 |
収入金額×20%+54万円 |
660万円超 1,000万円以下 |
収入金額×10%+120万円 |
1,000万円超 | 220万円 |
① |
800万円-(800万円×10%+120万円)=600万円です。 <改正後> |
② | 一時所得の金額=1,100万円-1,000万円-50万円=50万円です。 一時所得の金額は、その2分の1だけが総所得金額に算入されますから、総所得金額に算入される金額は、25万円です。 |
③ | 株式等に係る譲渡所得のマイナスは、他の所得と損益通算する事ができません。 ゆえに、総所得金額=600万円+25万円=625万円です。 |
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