FP2級実技(生保)解説-2021年9月・問10~15
会社員のAさんは、妻Bさん、長男Cさんおよび二男Dさんとの4人家族である。Aさんは、2021年中に妻Bさんの入院・手術に係る医療費を支払ったため、医療費控除の適用を受けようと思っている。また、Aさんは、2021年中に養老保険(平準払)の満期保険金500万円および一時払変額個人年金保険(10年確定年金)の解約返戻金500万円を受け取っている。
<Aさんとその家族に関する資料>
[Aさん(58歳)]
会社員
[妻Bさん(60歳)]
専業主婦。2021年中にパートタイマーとして給与収入50万円を得ている。
[長男Cさん(24歳)]
大学院生。2021年中の収入はない。
[二男Dさん(21歳)]
大学生。2021年中の収入はない。
<Aさんの2021年分の収入等に関する資料>
[給与収入の金額]
750万円
[養老保険(平準払)の満期保険金]
契約年月:1991年3月
契約者(=保険料負担者):Aさん
被保険者:Aさん
死亡保険金受取人:妻Bさん
満期保険金受取人:Aさん
満期保険金額:500万円
正味払込保険料:400万円
[一時払変額個人年金保険(10年確定年金)の解約返戻金]
契約年月:2012年3月
契約者(=保険料負担者):Aさん
被保険者:Aさん
死亡保険金受取人:妻Bさん
解約返戻金額:500万円
正味払込保険料:400万円
※ | 妻Bさん、長男Cさんおよび二男Dさんは、Aさんと同居し、生計を一にしている。 |
※ | Aさんとその家族は、いずれも障害者および特別障害者には該当しない。 |
※ | Aさんとその家族の年齢は、いずれも2021年12月31日現在のものである。 |
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
① | 「Aさんが受け取った一時払変額個人年金保険の解約返戻金は、契約から10年以内の解約のため、金融類似商品に該当し、源泉分離課税の対象となります」 |
② | 「Aさんが適用を受けることができる配偶者控除の控除額は、38万円です」 |
③ | 「会社員のAさんは、勤務先に所定の書類を提出することにより、年末調整によって医療費控除の適用を受けることができます」 |
① | 契約から5年を超えて解約した一時払変額個人年金保険の解約返戻金は、一時所得となります。 |
② | 合計所得金額が900万円以下の人が適用を受けることができる配偶者控除の額は、38万円です。 |
③ | 所得控除のうち、医療費控除、雑損控除、寄付金控除(ふるさと納税のワンストップ特例を除く)の適用を受けるためには、確定申告をしなくてはいけません。 |
イ.5 ロ.10 ハ.20
ニ.12,000 ホ.24,000
ヘ.38,000
ト.68,000
チ.88,000 リ.120,000
① | 合計所得金額が200万円を超える人が適用を受ける医療費控除の金額は、正味負担した医療費の金額から10万円を控除した金額(最高200万円)です。 |
② | セルフメディケーション税制の適用を受けた場合の医療費控除の金額は、正味負担したOTC医薬品の購入額から12,000円を控除した金額です。 |
③ | セルフメディケーション税制の適用を受けた場合、医療費控除の金額は、最高88,000円となります。 |
給与所得の金額 | □□□円 |
総所得金額に算入される一時所得の金額 | □□□円 |
(a)総所得金額 | ( ① )円 |
医療費控除 | □□□円 |
社会保険料控除 | □□□円 |
生命保険料控除 | 100,000円 |
地震保険料控除 | 30,000円 |
配偶者控除 | □□□円 |
扶養控除 | ( ② )円 |
基礎控除 | ( ③ )円 |
(b)所得控除の額の合計額 | 3,000,000円 |
(c)課税総所得金額((a)-(b)) | □□□円 |
(d)算出税額((c)に対する所得税額) | ( ④ )円 |
<資料>給与所得控除額 | |
給与収入金額 | 給与所得控除額 |
180万円以下 | 収入金額×40%-10万円 (最低55万円) |
180万円超 360万円以下 |
収入金額×30%+8万円 |
360万円超 660万円以下 |
収入金額×20%+44万円 |
660万円超 850万円以下 |
収入金額×10%+110万円 |
850万円超 | 195万円 |
<資料>所得税の速算表 | ||
課税される 所得金額 |
税率 | 控除額 |
195万円未満 | 5% | - |
195万円以上 330万円未満 |
10% | 97,500円 |
330万円以上 695万円未満 |
20% | 427,500円 |
695万円以上 900万円未満 |
23% | 636,000円 |
900万円以上 1,800万円未満 |
33% | 1,536,000円 |
1,800万円以上 4,000万円未満 |
40% | 2,796,000円 |
4,000万円以上 | 45% | 4,796,000円 |
① | 給与所得の金額=750万円-(750万円×10%+110万円)=565万円となり、これは全額総所得金額に算入されます。 一時所得の額=(500万円+500万円)-(400万円+400万円)-50万円=150万円となり、この2分の1相当額である75万円が総所得金額に算入されます。 よって、総所得金額=565万円+75万円=640万円となります。 |
② | 扶養控除の額の計算上、19歳以上23歳未満の控除対象扶養親族は、63万円の控除対象となります。 |
③ | 合計所得金額が2,400万円以下の人が適用を受けることができる基礎控除の額は、48万円です。 |
④ | (640万円-300万円)×20%-427,500円=252,500円です。 |
Aさん(75歳)は、妻Bさん(72歳)とX市内で暮らしている。長女Cさん(40歳)は、現在、会社員の夫、孫Dさん(10歳)および孫Eさん(8歳)と4人でX市内の賃貸マンションに住んでいる。Aさんは、普段から身の回りの世話をしてくれる長女Cさんに対して生活資金や孫の学費等について面倒を見てやりたいと思っており、現金の贈与を検討している。
<Aさんの主な所有財産(相続税評価額、下記の生命保険を除く)> | ||
現預金 | : | 8,000万円 |
自宅(敷地400㎡) | : | 1億円(注) |
自宅(建物) | : | 2,000万円 |
(注) | 「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」適用前の金額 |
契約者(=保険料負担者):Aさん
被保険者:Aさん
死亡保険金受取人:妻Bさん
死亡保険金額:2,500万円
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
Ⅰ | 「仮に、Aさんの相続が現時点(2021年9月12日)で開始した場合、Aさんの相続における遺産に係る基礎控除額は( ① )万円となります」 |
Ⅱ | 「妻Bさんが自宅の敷地および建物を相続により取得した場合、『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けることで、自宅の敷地(相続税評価額1億円)について、相続税の課税価格に算入すべき価額を( ② )万円とすることができます」 |
Ⅲ | 「妻Bさんが受け取る死亡保険金(2,500万円)は、みなし相続財産として相続税の課税対象となりますが、死亡保険金の非課税金額の規定の適用を受けることで、相続税の課税価格に算入される金額は、( ③ )万円となります」 |
イ.500 ロ.1,000 ハ.1,500
ニ.2,000 ホ.3,400 ヘ.4,200
ト.4,800
チ.5,400 リ.6,600
① | 相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数=3,000万円+600万円×2=4,200万円となります。 |
② |
自宅の敷地は特定居住用宅地等として330㎡まで80%評価減されますから、相続税の課税価格に算入すべき金額は、1億円×330/400×(1-80%)+1億円×70/400=3,400万円となります。 <別解> |
③ | 相続人が受け取る相続税の課税対象となる死亡保険金は、500万円×法定相続人の数まで非課税(課税価格に不算入)となりますから、 相続税の課税価格に算入される金額は、2,500万円-500万円×2=1,500万円となります。 |
Ⅰ | 「Aさんが生前贈与を実行するにあたっては、暦年課税による贈与、相続時精算課税制度による贈与、教育資金の非課税制度を活用した贈与などが考えられます。仮に、長女Cさんが暦年課税(各種非課税制度の適用はない)により、2021年中にAさんから現金600万円の贈与を受けた場合、贈与税額は( ① )万円となります」 |
Ⅱ | 「Aさんが長女Cさんに現金を贈与し、長女Cさんが相続時精算課税制度を選択した場合、累計で( ② )万円までの贈与について贈与税は課されませんが、その額を超える部分については、一律( ③ )%の税率により贈与税が課されます」 |
<贈与税の速算表> | ||
[20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた財産の場合] | ||
基礎控除後の 課税価格 |
税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | - |
200万円超 400万円以下 |
15% | 10万円 |
400万円超 600万円以下 |
20% | 30万円 |
600万円超 1,000万円以下 |
30% | 90万円 |
[上記以外の場合] | ||
基礎控除後の 課税価格 |
税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | - |
200万円超 300万円以下 |
15% | 10万円 |
300万円超 400万円以下 |
20% | 25万円 |
400万円超 600万円以下 |
30% | 65万円 |
600万円超 1,000万円以下 |
40% | 125万円 |
① | 20歳以上の人が直系尊属から贈与を受けた財産は特例贈与財産となりますから、(600万円-110万円)×20%-30万円=68万円となります。 |
② | 相続時精算課税制度を選択した場合、累計で2,500万円の特別控除額が与えられます。 |
③ | 相続時精算課税制度を選択した場合、特別控除額を超える部分については、一律20%の税率により贈与税が課されます。 |
① | 「本制度の適用を受けた場合、受贈者1人につき1,000万円を限度に贈与税が非課税となります。ただし、学習塾などの学校等以外の者に対して直接支払われる金銭については500万円が限度となります」 |
② | 「贈与者であるAさんが死亡した場合において、非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額があるときは、当該残額は受贈者のその年分の贈与税の課税価格に算入されます」 |
③ | 「受贈者である孫Dさんが30歳に達したことにより教育資金管理契約が終了した場合において、非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額があるときは、当該残額は受贈者のその年分の贈与税の課税価格に算入されます」 |
① | 本制度の適用を受けた場合、受贈者1人につき1,500万円を限度に贈与税が非課税となります。 |
② | 本制度の適用を受け、贈与者が死亡した場合において、非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額(未使用額)があるときは、当該残額は受贈者の相続税の課税価格に算入されます(一定の非課税規定があります)。 |
③ | 正しい記述です。 |
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