FP2級実技(生保)解説-2019年5月・問10~15
会社員のAさんは、妻Bさん、長男Cさんおよび長女Dさんとの4人家族である。Aさんは、2018年中に一時払変額個人年金保険の解約返戻金と一時払終身保険の解約返戻金を受け取っている。
Aさんとその家族に関する資料および2018年分の収入等に関する資料は、以下のとおりである。
<Aさんとその家族に関する資料>
[Aさん(50歳)]
会社員
[妻Bさん(46歳)]
2018年中に、パートタイマーとして給与収入90万円を得ている。
[長男Cさん(19歳)]
大学生。2018年中に、アルバイトにより給与収入40万円を得ている。
[長女Dさん(16歳)]
高校生。2018年中の収入はない。
<Aさんの2018年分の収入等に関する資料>
[給与収入の金額]
1,000万円
[一時払変額個人年金保険(10年確定年金)の解約返戻金]
契約年月:2010年7月
契約者(=保険料負担者):Aさん
被保険者:Aさん
死亡保険金受取人:妻Bさん
解約返戻金額:650万円
一時払保険料:500万円
[一時払終身保険の解約返戻金]
契約年月:2014年5月
契約者(=保険料負担者)・被保険者:Aさん
契約者(=保険料負担者)・被保険者:Aさん
死亡保険金受取人:妻Bさん
解約返戻金額:480万円
一時払保険料:500万円
※ | 妻Bさん、長男Cさんおよび長女Dさんは、Aさんと同居し、生計を一にしている。 |
※ | Aさんとその家族は、いずれも障害者および特別障害者には該当しない。 |
※ | Aさんとその家族の年齢は、いずれも2018年12月31日現在のものである。 |
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
① | 「Aさんが受け取った一時払変額個人年金保険の解約返戻金は、一時所得の収入金額として総合課税の対象となります」 |
② | 「Aさんが受け取った一時払終身保険の解約返戻金は、契約から5年以内の解約のため金融類似商品に該当し、源泉分離課税の対象となります」 |
③ | 「Aさんの場合、総所得金額に算入される一時所得の金額が20万円を超えるため、所得税の確定申告をしなければなりません」 |
1. | 正しい記述です。 |
2. | 一時払終身保険の解約返戻金は、解約の時期を問わず一時所得となります。 |
3. | 正しい記述です。 一時所得の金額=(650万円-500万円)+(480万円-500万円)-50万円=80万円です。 よって、総所得金額に算入される一時所得の金額=80万円×1/2=40万円となります。 |
Ⅰ | 「Aさんの合計所得金額は( ① )万円以下であるため、Aさんは38万円の配偶者控除の適用を受けることができます。仮に、Aさんの合計所得金額が( ① )万円を超えると、配偶者控除の額は段階的に縮小し、合計所得金額が( ② )万円を超えると、適用を受けることができません」 |
Ⅱ | 「長男Cさんの合計所得金額は38万円以下となりますので、Aさんは長男Cさんについて( ③ )万円の扶養控除の適用を受けることができます」 |
イ.48 ロ.58 ハ.63
ニ.900 ホ.950 へ.1,000
ト.1,200 チ.2,000
① | 配偶者控除の額は、納税者の合計所得金額が900万円以下の場合には38万円で、これを超えると、段階的に減額されます。 |
② | 配偶者控除を受ける為には、納税者の合計所得金額が1,000万円以下である事とされています。 |
③ |
19歳以上23歳未満の控除対象扶養親族は、特定扶養親族として、63万円の控除対象となります。 <参考> |
給与所得の金額 | □□□万円 |
一時所得の金額 | □□□万円 |
(a)総所得金額 | ( ① )円 |
社会保険料控除 | □□□円 |
生命保険料控除 | 100,000円 |
地震保険料控除 | 30,000円 |
配偶者控除 | 380,000円 |
扶養控除 | ( ② )円 |
基礎控除 | 380,000円 |
(b)所得控除の額の合計額 | 3,000,000円 |
(c)課税総所得金額((a)-(b)) | □□□円 |
(d)算出税額((c)に対する所得税額) | ( ③ )円 |
<資料>給与所得控除額 | |
給与収入金額 | 給与所得控除額 |
180万円以下 | 収入金額×40% (最低65万円) |
180万円超 360万円以下 |
収入金額×30%+18万円 |
360万円超 660万円以下 |
収入金額×20%+54万円 |
660万円超 1,000万円以下 |
収入金額×10%+120万円 |
1,000万円超 | 220万円 |
<資料>所得税の速算表 | ||
課税される 所得金額 |
税率 | 控除額 |
195万円未満 | 5% | - |
195万円以上 330万円未満 |
10% | 97,500円 |
330万円以上 695万円未満 |
20% | 427,500円 |
695万円以上 900万円未満 |
23% | 636,000円 |
900万円以上 1,800万円未満 |
33% | 1,536,000円 |
1,800万円以上 4,000万円未満 |
40% | 2,796,000円 |
4,000万円以上 | 45% | 4,796,000円 |
① |
給与所得の金額=1,000万円-220万円=780万円であり、これは全額総所得金額に算入されます。 <改正後> |
② |
長女Dさんは、合計所得金額が38万円以下の16歳以上23歳未満の扶養親族ですから、一般の控除対象扶養親族として、38万円の控除対象となります。 <参考> |
③ | 課税総所得金額=820万円-300万円=520万円ですから、 所得税額=520万円×20%-427,500円=612,500円となります。 |
非上場会社であるX株式会社(以下、「X社」という)の社長であるAさん(73歳)の推定相続人は、妻Bさん(69歳)、長男Cさん(44歳)および長女Dさん(40歳)の3人である。Aさんは、昨年から体調を崩すことが多くなったため、勇退し、X社の専務取締役である長男Cさんに事業を承継しようと考えている。
Aさんが保有する主な財産等は、以下のとおりである。
<Aさんが保有する主な財産(相続税評価額、下記生命保険を除く)>
[現預金]
9,000万円
[X社株式]
2億5,000万円(注1)
[自宅敷地(330㎡)]
5,000万円(注2)
[自宅建物]
1,000万円
[その他]
上記のほかに賃貸アパート等の収益物件を所有している。
(注1) | Aさんは、X社の発行済株式の全株を保有している。なお、相続税におけるX社の株式の評価上の規模区分は「大会社」であり、特定の評価会社には該当しない。 |
(注2) | 「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」適用前の金額である。 |
契約者(=保険料負担者):Aさん
被保険者:Aさん
死亡保険金受取人:長男Cさん
死亡保険金額:4,000万円
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
(a)相続税の課税価格の合計額 | 3億8,000万円 |
(b)遺産に係る基礎控除額 | ( ① )万円 |
課税遺産総額(a-b) | □□□万円 |
相続税の総額の基となる税額 | |
妻Bさん | ( ② )万円 |
長男Cさん | □□□万円 |
長女Dさん | ( ③ )万円 |
(c)相続税の総額 | ( ④ )万円 |
<資料>相続税の速算表 | ||
法定相続分に 応ずる取得金額 |
税率 | 控除額 |
1,000万円以下 | 10% | - |
1,000万円超 3,000万円以下 |
15% | 50万円 |
3,000万円超 5,000万円以下 |
20% | 200万円 |
5,000万円超 10,000万円以下 |
30% | 700万円 |
10,000万円超 20,000万円以下 |
40% | 1,700万円 |
20,000万円超 30,000万円以下 |
45% | 2,700万円 |
30,000万円超 60,000万円以下 |
50% | 4,200万円 |
60,000万円超 | 55% | 7,200万円 |
① | 遺産に係る基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数です。 法定相続人の数は3人ですから、遺産に係る基礎控除額=3,000万円+600万円×3=4,800万円となります。 |
② | 課税遺産総額=3億8,000万円-4,800万円=3億3,200万円です。 妻Bさんの法定相続分は2分の1ですから、妻Bさんの法定相続分に応ずる取得金額は、3億3,200万円×1/2=1億6,600万円です。 よって、妻Bさんの法定相続分に応じる相続税額は、1億6,600万円×40%-1,700万円=4,940万円となります。 |
③ | 長女Dさんの法定相続分は4分の1ですから、長女Dさんの法定相続分に応ずる取得金額は、3億3,200万円×1/4=8,300万円です。 よって、長女Dさんの法定相続分に応じる相続税額は、8,300万円×30%-700万円=1,790万円となります。 |
④ | 長男Cさんの法定相続分に応じる相続税額=長女Dさんの法定相続分に応じる相続税額=1,790万円より、相続税の総額は、4,940万円+1,790万円+1,790万円=8,520万円となります。 |
Ⅰ | 「 X社株式の相続税評価額は、原則として類似業種比準方式により評価されます。類似業種比準価額は、類似業種の株価ならびに1株当たりの( ① )、1株当たりの利益金額、1株当たりの純資産価額の3つの比準要素を基に計算されます」 |
Ⅱ | 「 長男CさんにX社株式を移転する方法として、『非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例』の活用が考えられます。本特例の適用を受けた場合、贈与者の死亡時まで本特例の対象となる非上場株式等の贈与に係る贈与税額の全額の納税が猶予されます。なお、発行済議決権株式の( ② )が本特例の対象となります」 |
Ⅲ | 「長男CさんにX社株式を移転する方法として、相続時精算課税制度の活用が考えられます。本制度を選択した場合、累計で( ③ )万円までの贈与について贈与税は課されませんが、その額を超える部分については、一律20%の税率により贈与税が課されます」 |
イ.2,000 ロ.2,500 ハ.3,000
ニ.3分の2 ホ.4分の3
へ. すべて
ト.売上金額
チ.配当金額 リ. 資本金等の
① | 類似業種比準価額の比準要素は、配当金、利益、純資産価額の3つです。 |
② | 非上場株式等についての贈与税の 納税猶予及び免除の特例の適用対象となる株式は、全ての発行済議決権株式です。 |
③ | 相続時精算課税制度の特別控除額は、2,500万円です。 |
① | 「円滑な遺産分割のための手段として遺言の作成を検討してください。遺言の紛失や改ざんのおそれがない公正証書遺言の作成をお勧めします。公正証書遺言を作成する場合、後継者の長男Cさんが証人になることが望ましいでしょう」 |
② | 「自宅の敷地および建物を妻Bさんが相続により取得した場合、相続税の申告期限までに自宅の敷地を売却しても、自宅の敷地は特定居住用宅地等として『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けることができます」 |
③ | 「Aさんが加入している一時払終身保険の死亡保険金は、みなし相続財産として相続税の課税対象となります。Aさんの相続開始後、長男Cさんが受け取る死亡保険金4,000万円のうち、相続税の課税価格に算入される金額は1,500万円となります」 |
1. | 推定相続人等は、公正証書遺言の証人になる事はできません。 |
2. | 正しい記述です。被相続人の配偶者が自宅の敷地を相続または遺贈により取得した場合、無条件で、特定居住用宅地等として小規模宅地等の特例の適用を受ける事が出来ます。 |
3. | 相続税の課税対象となる生命保険の保険金は、500万円×法定相続人の数まで非課税になります。 法定相続人の数は3人ですから、相続税の課税価格に算入される金額は、4,000万円-500万円×3=2,500万円です。 |
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