FP2級実技(生保)解説-2018年9月・問10~15
Aさんとその家族に関する資料および平成30年分の収入等に関する資料は、以下のとおりである。
<Aさんとその家族に関する資料>
[Aさん(50歳)]
会社員
[妻Bさん(50歳)]
専業主婦。平成30年中の収入はない。
[長男Cさん(歳)]
大学生。平成30年中に、アルバイトとして給与収入100万円を得ている。
<Aさんの平成30年分の収入等に関する資料>
[給与収入の金額]
900万円
[不動産所得(白色申告、貸家を1戸保有)]
総収入金額:200万円
必要経費:320万円(土地等の取得に係る負債の利子40万円を含む)
[一時払変額個人年金保険(10年確定年金)の解約返戻金]
契約年月:平成22年8月
契約者(=保険料負担者):Aさん
被保険者:Aさん
死亡保険金受取人:妻Bさん
解約返戻金額:1,400万円
一時払保険料:1,000万円
[一時払終身保険の解約返戻金]
契約年月:平成28年5月
契約者(=保険料負担者):Aさん
被保険者:Aさん
死亡保険金受取人:妻Bさん
解約返戻金額:980万円
一時払保険料:1,000万円
※ | 妻Bさんおよび長男Cさんは、Aさんと同居し、生計を一にしている。 |
※ | Aさんとその家族は、いずれも障害者および特別障害者には該当しない。 |
※ | Aさんとその家族の年齢は、いずれも平成30年12月31日現在のものである。 |
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
・ | 「平成30年分の所得税から配偶者控除の見直しがありますが、Aさんの合計所得金額は900万円以下であるため、Aさんは38万円の配偶者控除の適用を受けることができます。仮に、Aさんの合計所得金額が900万円を超えると、配偶者控除の額は段階的に縮小し、合計所得金額が( ① )万円を超えると、適用を受けることができません」 |
・ | 「長男Cさんの合計所得金額は38万円以下となりますので、Aさんは、長男Cさんについて( ② )万円の扶養控除の適用を受けることができます」 |
・ | 「Aさんの場合、給与所得以外の所得の金額の合計額が( ③ )万円を超えるため、所得税の確定申告をしなければなりません。所得税の確定申告書は、原則として平成31年2月16日から3月15日までの間に納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません」 |
イ.10 ロ.20 ハ.25
ニ.38 ホ.58 へ.63
ト.1,000 チ.1,200 リ.2,000
① | 合計所得金額が1,000万円を超えると、配偶者控除や配偶者特別控除を受けることができません。 |
② |
他の要件を満たした控除対象扶養親族が19歳以上23歳未満である場合、特定扶養親族として63万円の控除対象になります。 <参考> |
③ | 給与所得と退職所得以外の所得が20万円を超える給与所得者は、確定申告をしなくてはいけません。 |
① | 「不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額のうち、土地等の取得に係る負債の利子40万円に相当する部分の金額は、Aさんの給与所得や一時所得の金額と損益通算することはできません」 |
② | 「一時払終身保険の解約返戻金は契約から5年以内の解約のため、源泉分離課税の対象となります。したがって、一時払変額個人年金保険の解約返戻金に係る一時所得の金額と内部通算することはできません」 |
③ | 「Aさんが所得税の確定申告をするときに、納税地の所轄税務署長に青色申告承認申請書を提出すれば、最高65万円を青色申告特別控除として、総所得金額から控除することができます」 |
① | 正しい記述です。 |
② | 一時払終身保険の解約返戻金は、解約から契約までの期間に関わらず一時所得となります。 |
③ | 不動産所得で55万円(電子申告要件等を満たした場合は65万円)の青色申告特別控除を受けるためには、不動産の貸し付けが事業的規模(5棟10室基準を満たす)である必要があります。Aさんの貸し付けは事業的規模には満たないため、青色申告特別控除は10万円となります。 |
②総所得金額
<資料>給与所得控除額 | |
給与収入金額 | 給与所得控除額 |
180万円以下 | 収入金額×40% (最低65万円) |
180万円超 360万円以下 |
収入金額×30%+18万円 |
360万円超 660万円以下 |
収入金額×20%+54万円 |
660万円超 1,000万円以下 |
収入金額×10%+120万円 |
1,000万円超 | 220万円 |
① | 一時所得の金額=(1,400万円+980万円)-(1,000万円+1,000万円)-50万円=330万円です。 一時所得の金額は、その2分の1が総所得金額に算入されますから、総所得金額に算入される金額は、330万円×1/2=165万円です。 |
② |
給与所得=900万円-(900万円×10%+120万円)=690万円です。 <改正後> |
Aさんは、父親から相続した青空駐車場を保有しているが、知人である不動産会社のY社長から、相続対策を兼ねて、賃貸マンションを建築して、土地を有効活用しないかと提案を受けている。青空駐車場の収入は低く、固定資産税等の税金を控除すると、利益がほとんどないため、Aさんは賃貸マンションを建築することにした。
Aさんは、将来的には自宅および青空駐車場(賃貸マンション)等の財産を長男Cさんに承継してもらいたいと考えている。長男Cさんと二男Dさんの関係は悪くないものの、自身の相続が起こった際に遺産分割で争いが生じるのではないかと心配している。
Aさんの家族構成等は、以下のとおりである。
<Aさんの家族構成(推定相続人)>
[妻Bさん(歳)]
専業主婦。Aさんと自宅で同居している。
[長男Cさん(歳)]
会社員。妻と子2人がおり、Aさん夫妻と同居している。
[二男Dさん(歳)]
会社員。妻と子2人で持家に住んでいる。
<Aさんの所有財産(相続税評価額)>
[現預金]
4,000万円
[青空駐車場 (300㎡)]
8,000万円(年間収入200万円)
[自宅]
①敷地(270㎡):2,500万円(注)
②建物 :1,500万円
※ | 「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」適用後の金額 |
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
(a)相続税の課税価格の合計額 | 1億6,000万円 |
(b)遺産に係る基礎控除額 | ( ① )万円 |
課税遺産総額(a-b) | □□□万円 |
相続税の総額の基となる税額 | |
妻Bさん | □□□万円 |
長男Cさん | ( ② )万円 |
二男Dさん | □□□万円 |
(c)相続税の総額 | ( ③ )万円 |
<資料>相続税の速算表 | ||
法定相続分に 応ずる取得金額 |
税率 | 控除額 |
1,000万円以下 | 10% | - |
1,000万円超 3,000万円以下 |
15% | 50万円 |
3,000万円超 5,000万円以下 |
20% | 200万円 |
5,000万円超 10,000万円以下 |
30% | 700万円 |
10,000万円超 20,000万円以下 |
40% | 1,700万円 |
20,000万円超 30,000万円以下 |
45% | 2,700万円 |
20,000万円超 30,000万円以下 |
45% | 2,700万円 |
30,000万円超 60,000万円以下 |
50% | 4,200万円 |
60,000万円以上 | 55% | 7,200万円 |
① | 遺産に係る基礎控除額は、3,000万円+600万円×法定相続人の数ですから、遺産に係る基礎控除額=3,000万円+600万円×3=4,800万円です。 |
② | 課税遺産総額は1億6,000万円-4,800万円=1億1,200万円です。 相続税の総額の基となる税額を計算する際には、課税遺産総額を法定相続分に応じて按分したと仮定して計算しますから、長男Cさんの法定相続分に応ずる取得金額は、1億1,200万円×1/4=2,800万円です。 よって、長男Cさんの相続税の総額の基となる税額は、2,800万円×15%-50万円=370万円となります。 |
③ | 妻Bさんの法定相続分に応ずる取得金額は、1億1,200万円×1/2=5,600万円ですから、妻Bさんの相続税の総額の基となる税額は、5,600万円×30%-700万円=980万円です。 ②より、長男Cさんの相続税の総額の基となる税額は370万円であり、二男Dさんの相続税の総額の基となる税額は、長男Cさんと同じ(370万円)ですから、相続税の総額=980万円+370万円+370万円=1,720万円になります。 |
① | 「青空駐車場として利用している宅地上に、賃貸マンションを建築した場合、その敷地は貸家建付地として評価されます。貸家建付地の相続税評価額は、『自用地評価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合』の算式により評価されます」 |
② | 「ローンを活用して賃貸マンションを建築した場合、相続税額の計算上、当該借入金は債務控除の対象となります。しかし、空室が多くなれば、ローン返済が滞る可能性もありますので、有効活用には慎重な対応が求められます」 |
③ | 「平成30年度税制改正により、相続開始前5年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地は、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の対象から除外されていることに留意してください」 |
① | 青空駐車場は自用地として評価されます。 |
② | 正しい記述です。 |
③ | 相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等は、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の対象外とされました(平成30年度税制改正点です。平成30年4月1日以後に相続等が開始する案件から適用されます)。 |
・ | 「Aさんが生命保険に加入していないのであれば、契約者(=保険料負担者)および被保険者をAさん、死亡保険金受取人を相続人とする一時払終身保険への加入を検討してください。終身保険に加入後、Aさんの相続が開始した場合、相続人が受け取る死亡保険金は( ① )万円を限度として、死亡保険金の非課税金額の規定の適用を受けることができます」 |
・ | 「相続財産の大半を妻Bさんおよび長男Cさんが相続した場合、二男Dさんの遺留分を侵害するおそれがあります。仮に、遺留分算定の基礎となる財産が2億円の場合、二男Dさんの遺留分の金額は( ② )万円となります。相続財産を多く取得した相続人に十分な資力がなければ、生命保険の活用、生前贈与等により、手元の代償交付金を確保しておく必要があります」 |
・ | 「配偶者に対する相続税額の軽減の適用を受けた場合、妻Bさんが相続により取得した財産の金額が、配偶者の法定相続分相当額と1億6,000万円とのいずれか( ③ )金額までであれば、納付すべき相続税額は算出されません。妻Bさんの固有の財産を含め、二次相続の段階で二男Dさんへの配分を考慮することも検討できます」 |
・ | 「妻Bさんが自宅の敷地を相続により取得した場合、その( ④ )について、通常の価額から80%相当額を減額した金額を、相続税の課税価格に算入すべき価額とすることができます」 |
イ.500 ロ.1,000 ハ.1,500
ニ.2,500 ホ.3,000 ヘ.5,000
ト.少ない チ.多い リ.敷地の全部
ヌ.敷地のうち240㎡までの部分
① | 契約者(=保険料負担者)と被保険者が同一である生命保険の死亡保険金は、相続税の課税対象となり、500万円×法定相続人の数だけ非課税となります。 よって、非課税枠=500万円×3=1,500万円となります。 |
② | 相続人が直系尊属のみである場合を除いて、抽象的遺留分の金額は、遺留分算定の基礎となる財産の2分の1であり、具体的遺留分は、抽象的遺留分にその人の法定相続分をかけた金額です。 したがって、二男Dさんの遺留分の金額=2億円×1/2×1/4=2,500万円となります。 |
③ | 配偶者の相続税額の軽減は、配偶者が相続した財産のうち、1億6,000万円もしくは法定相続分相当額の、どちらか多い金額までに係る相続税額を非課税にする制度です。 |
④ | 妻Bさんが自宅の敷地を相続により取得した場合、当該土地は、特定居住用宅地等として小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。 特定居住用宅地等は330㎡まで、80%の評価減を受ける事が出来る制度ですから、 270㎡の敷地全部について、評価減されます。 |
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