FP2級実技(保険)解説-2018年5月・問1~9
【問1】~【問3】は、以下の資料を元に解答してください。
<設例>
X株式会社(以下、「X社」という)に勤務するAさん(59歳)は、平成30年8月に満60歳となり定年を迎える。Aさんは、大学卒業後、X社に入社し、以後、現在に至るまで同社に勤務している。X社には、本人が希望すれば下記の雇用条件で65歳になるまで勤務することができる継続雇用制度がある。
Aさんは、60歳以後、X社の継続雇用で働くか、定年で退職して趣味を楽しみながら暮らすか迷っており、継続雇用制度を利用した場合と利用しなかった場合で、公的年金等の社会保険制度にどのような違いがあるか、理解しておきたいと思っている。
そこで、Aさんは、懇意にしているファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。Aさん夫婦に関する資料は、以下のとおりである。
X株式会社(以下、「X社」という)に勤務するAさん(59歳)は、平成30年8月に満60歳となり定年を迎える。Aさんは、大学卒業後、X社に入社し、以後、現在に至るまで同社に勤務している。X社には、本人が希望すれば下記の雇用条件で65歳になるまで勤務することができる継続雇用制度がある。
Aさんは、60歳以後、X社の継続雇用で働くか、定年で退職して趣味を楽しみながら暮らすか迷っており、継続雇用制度を利用した場合と利用しなかった場合で、公的年金等の社会保険制度にどのような違いがあるか、理解しておきたいと思っている。
そこで、Aさんは、懇意にしているファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。Aさん夫婦に関する資料は、以下のとおりである。
<雇用条件> | |
・ | 1年契約の嘱託雇用で1日7時間(週35時間)勤務 |
・ | 賃金月額は60歳到達時の60%(月額27万円)で賞与はなし |
<Aさん夫婦に関する資料>
[Aさん] | |
・ | 昭和33年8月22日生まれ |
・ | 会社員 |
・ | 公的年金加入歴:下図のとおり(60歳定年時までの見込みを含む) |
・ | 全国健康保険協会管掌健康保険、雇用保険に加入中 |
[妻Bさん] | |
・ | 昭和38年6月17日生まれ |
・ | 週25時間のパート勤務、年収100万円 |
・ | 公的年金加入歴: 18歳からAさんと結婚するまでの10年間(120月)は、 厚生年金保険に加入。結婚後は、国民年金に第3号被保 険者として加入している。 |
・ | 全国健康保険協会管掌健康保険の被扶養者である。 |
・ | 妻Bさんの勤務先は、特定適用事業所、任意特定適用事業所に該当しない。 |
※ | 妻Bさんは、現在および将来においても、Aさんと同居し、生計維持関係にあるものとする。 |
※ | Aさんおよび妻Bさんは、現在および将来においても、公的年金制度における障害等級に該当する障害の状態にないものとする。 |
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
【問1】
はじめに、Mさんは、Aさんに対して、Aさんが65歳になるまでに受給することができる公的年金制度からの老齢給付やX社に継続雇用された場合の雇用保険の給付について説明した。Mさんが説明した以下の文章の空欄①~④に入る最も適切な数値を、下記の〈数値群〉のイ~ルのなかから選び、その記号を解答用紙に記入しなさい。
・ | 「昭和33年8月生まれのAさんは、原則として、( ① )歳から報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金を受給することができます。Aさんが60歳以後も厚生年金保険の被保険者としてX社に勤務した場合は、( ① )歳到達時における厚生年金保険の被保険者記録を基に年金額が計算されます。 なお、( ① )歳以後も引き続き厚生年金保険の被保険者としてX社に勤務し、総報酬月額相当額と基本月額との合計額が( ② )万円(平成29年度の支給停止調整開始額)を超える場合は、特別支給の老齢厚生年金の一部または全部が支給停止となります」 |
・ | 「60歳以後の各月(支給対象月)に支払われる賃金額が、60歳到達時の賃金月額の( ③ )%相当額を下回る場合、雇用保険の高年齢雇用継続基本給付金が支給されます。高年齢雇用継続基本給付金の額は、支給対象月ごとに、賃金額の低下率に応じて一定の方法により算定されますが、賃金額が60歳到達時の賃金月額の61%相当額を下回る場合、当該金額は賃金額の( ④ )%に相当する額になります。なお、厚生年金保険の被保険者が特別支給の老齢厚生年金と高年齢雇用継続基本給付金を同時に受給する場合、特別支給の老齢厚生年金は、在職老齢年金の仕組みによる支給調整に加えて、毎月、標準報酬月額の6%を上限に支給停止されます」 |
<語句群>
イ.10 ロ.15 ハ.25 ニ.28
ホ.46 ヘ.62 ト.63
チ.64
リ.70 ヌ.75 ル.80
イ.10 ロ.15 ハ.25 ニ.28
ホ.46 ヘ.62 ト.63
チ.64
リ.70 ヌ.75 ル.80
正解:ト、ニ、ヌ、ロ
① | 特別支給の老齢厚生年金は、男性なら昭和36年4月1日以前生まれの人に支給されます。 この事から、昭和34年4月2日~昭和36年4月1日生まれの人は64歳から報酬比例部分の年金が支給されると考える事が出来れば、昭和32年4月2日~昭和34年4月1日生まれの人は63歳から報酬比例部分の年金が支給されると考える事ができます。 |
② | 在職老齢年金の論点です。65歳未満の人は、総報酬月額相当額と基本月額との合計額が28万円を超える場合、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止されます。 |
③ | 雇用保険の高年齢雇用継続基本給付金の支給要件は、60歳以後の各月(支給対象月)に支払われる賃金額が、60歳到達時の賃金月額の75%相当額を下回る事です。 |
④ | 高年齢雇用継続基本給付金の額は、最高で賃金額の15%です。 |
【問2】
次に、Mさんは、Aさんに対して、X社の継続雇用制度を利用しなかった場合の社会保険の取扱い等について説明した。Mさんが説明した次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。
1. | 「Aさんが定年退職によって、厚生年金保険の被保険者でなくなった場合、妻Bさんは、60歳になるまでの間、国民年金の第1号被保険者として国民年金の保険料を納付しなければなりません」 |
2. | 「Aさんは、一定の期間内に所定の手続を行うことにより、退職日の翌日から最長で2年間、全国健康保険協会管掌健康保険に任意継続被保険者として加入することができ、妻Bさんを健康保険の被扶養者とすることができます。その場合、任意継続被保険者の保険料は、事業主と被保険者の折半となります」 |
3. | 「仮に、妻Bさんが週の勤務時間を増やすなどして、厚生年金保険の被保険者となった場合は、厚生年金保険の保険料の負担が生じますが、妻Bさん自身の将来の年金額を増やすことができます」 |
正解:○、×、○
1. | 正しい記述です。国民年金の第2号被保険者が退職して第2号被保険者でなくなった場合、その人に扶養されていた第3号被保険者は、第1号被保険者になります。 |
2. | 任意継続被保険者の保険料は、全額自己負担となります。 |
3. | 正しい記述です。 |
【問3】
最後に、Mさんは、Aさんに対して、65歳以後に受給することができる公的年金制度からの給付額について説明した。<設例>の<Aさん夫婦に関する資料>および下記の<資料>に基づき、次の①、②を求め、解答用紙に記入しなさい(計算過程の記載は不要)。なお、年金額は平成29年度価額に基づいて計算し、年金額の端数処理は円未満を四捨五入すること。
① | 原則として、Aさんが65歳から受給することができる老齢基礎年金の年金額 |
② | 原則として、Aさんが65歳から受給することができる老齢厚生年金の年金額 |
<資料>
正解:727,347円、1,459,005円
① | 国民年金の未加入期間が32ヵ月、厚生年金保険の被保険者期が448ヵ月ある事から、保険料納付済月数が448ヵ月ある事になります。 したがって、老齢基礎年金の年金額=779,300円×448/480=727,346.6…円となります。 |
② | a=300,000円×7.125÷1,000×264=564,300円 a=500,000円×5.481÷1,000×184=504,252円 経過的加算=1,625×448-779,300円×448/480=653.3…円です。 妻Bさんは、年下で、厚生年金保険の被保険者期間が20年未満など加給年金を受給する要件を満たしますから、 老齢基礎年金の年金額=564,300円+564,252円+653円+389,800円=1,459,005円です。 |
【問4】~【問6】は、以下の資料を元に解答してください。
<設例>
会社員のAさん(51歳)は、専業主婦の妻Bさん(50歳)および長女Cさん(17歳)との3人暮らしである。Aさんは、年齢が50代になり、生命保険の見直しをしたいと思っていたところ、X生命保険の営業担当者から下記の生命保険を提案された。Aさんは、提案された生命保険が医療保障(がん保障)および介護保障の充実しているものであれば、現在加入しているY生命保険の生命保険を解約したうえで、見直してもよいと思っている。そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした
会社員のAさん(51歳)は、専業主婦の妻Bさん(50歳)および長女Cさん(17歳)との3人暮らしである。Aさんは、年齢が50代になり、生命保険の見直しをしたいと思っていたところ、X生命保険の営業担当者から下記の生命保険を提案された。Aさんは、提案された生命保険が医療保障(がん保障)および介護保障の充実しているものであれば、現在加入しているY生命保険の生命保険を解約したうえで、見直してもよいと思っている。そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした
<Aさんが提案を受けたX生命保険の商品内容>
保険の種類:5年ごと配当付終身保険(70歳払込満了)
契約者(=保険料負担者):Aさん
被保険者:Aさん
死亡保険金受取人:妻Bさん
月払保険料(集団扱い):26,571円
注1 | 最低支払保証期間は5年(最低5回保証) |
注2 | 身体障害者福祉法の身体障害者障害程度等級1級または2級の「身体障害者手帳」を交付された場合に身体障害保険金が支払われる(死亡保険金の支払はない)。 |
注3 | 公的介護保険の要介護3以上に認定された場合、または所定の要介護状態になった場合に介護保険金が支払われる(死亡保険金の支払はない)。 |
注4 | 所定のがん、急性心筋梗塞、脳卒中、重度の糖尿病、重度の高血圧性疾患、肝硬変、慢性腎不全、重度の慢性すい炎のいずれかを保障する(死亡保険金の支払はない) |
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
【問4】
はじめに、Mさんは、Aさんに対して、<設例>の<Aさんが提案を受けたX生命保険の商品内容>と下記の<Aさんが現在加入しているY生命保険の生命保険>の相違点について説明した。Mさんが説明した次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。
<Aさんが現在加入しているY生命保険の生命保険>
保険の種類:定期保険特約付終身保険(70歳払込満了)
契約年月日:平成14年12月1日
契約者(=保険料負担者):Aさん
被保険者:Aさん
死亡保険金受取人:妻Bさん
月払保険料(集団扱い):24,437円
※ | 更新型の特約は、平成24年12月1日に記載の金額で更新している。 |
1. | 「Aさんが提案を受けた生命保険は医療保障・介護保障が充実していると思いますので、X生命保険の保険に加入することは検討に値すると思います。しかし、保障の見直しは、既契約を転換して新しい保障内容に変更する方法もありますので、Y生命保険の保障見直しの提案を受けたうえで、判断したほうがよいと思います」 |
2. | 「収入保障特約の初年度の年金受取総額と定期保険特約の一時金の額が同額の場合、収入保障特約の保険料は定期保険特約の保険料に比べて割安となりますが、収入保障特約は受取時に年金に代えて一時金で受け取ることができませんので、年金受取人である妻Bさんの意向を聞いて見直しを検討するほうがよいと思います」 |
3. | 「Aさんが加入している生命保険と同様、Aさんが提案を受けた生命保険にもリビング・ニーズ特約が付加されており、いずれの契約も余命6カ月以内と判断された場合に最大で3,000万円を請求することができます」 |
正解:○、×、×
1. | 正しい記述です。 |
2. | 収入保障特約は受取時に年金に代えて一時金で受け取る事が出来ます。 |
3. | リビングニーズ特約により受け取る事が出来る金額は、最高で、3,000万円ですから、死亡保障の保険金額が3,500万円である現在加入している保険契約からは、3,000万円を受け取ることができます。 但し、提案を受けた生命保険は、死亡保障の金額が100万円+500万円+48万円×15=1,320万円ですから、リビングニーズ特約により受け取る事が出来る金額は、最高で1,320万円です。 |
【問5】
次に、Mさんは、Aさんに対して、医療保障・介護保障の見直しについて説明した。Mさんが説明した次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。
1. | 「Aさんが病気やケガ等で重度の障害状態となって働けなくなった場合の保障を検討する際には、保険金額に加え、保険金等の支払事由が保険会社独自のものか、公的介護保険等の社会保障制度と連動しているものか等、どのような場合に保険金・給付金が支払われるか、加入前に確認しておきましょう」 |
2. | 「最近では、がんの治療(抗がん剤治療等)は、入院を必要とする治療に加え、退院後の通院による治療で行われる場合が多くなっています。そのため、がん保障を検討する場合は、入院日額やがん診断給付金の内容に加え、退院後の通院保障の有無や内容を確認することが大切です」 |
3. | 「がん等の重度疾病については、再発のリスクも高く、治療期間も長期にわたるケースがあります。そのため、重度疾病の保障を準備する際には、再発時の保障の有無や保険金等が支払われる疾病の種類を確認する必要があります」 |
正解:○、○、○
1. | 適切な記述です。 |
2. | 適切な記述です。 |
3. | 適切な記述です。 |
【問6】
最後に、Mさんは、Aさんに対して、Aさんが提案を受けた生命保険の課税関係について説明した。Mさんが説明した以下の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を、下記の〈語句群〉のイ~リのなかから選び、その記号を解答用紙に記入しなさい。
・ | 「支払保険料のうち、終身保険、定期保険特約および収入保障特約に係る保険料は一般の生命保険料控除の対象となります。他方、身体障害保障特約、介護保障特約および重度疾病保障特約等に係る保険料は介護医療保険料控除の対象となります。それぞれの適用限度額は、所得税で( ① )円、住民税で( ② )円です」 |
・ | 「Aさんが死亡した場合、収入保障特約から受け取る年金額について、当該年金受給権が『定期金に関する権利の評価』に基づき評価されて相続税の課税対象となります。なお、当該年金受給権は、死亡保険金の非課税金額の規定の適用を受けることが( ③ )。その後、妻Bさんが受け取る年金は、課税部分と非課税部分に振り分けられ、課税部分は( ④ )として総合課税の対象となります」 |
<語句群>
イ.28,000 ロ.35,000 ハ.40,000
ニ.50,000
ホ.できます へ.できません
ト.雑所得 チ.一時所得 リ.配当所得
イ.28,000 ロ.35,000 ハ.40,000
ニ.50,000
ホ.できます へ.できません
ト.雑所得 チ.一時所得 リ.配当所得
正解:ハ、イ、ホ、ト
① | 平成24年4月1日以降に契約した生命保険契約における、生命保険料控除の各区分の控除額の上限は、所得税で4万円です。 |
② | 平成24年4月1日以降に契約した生命保険契約における、生命保険料控除の各区分の控除額の上限は、住民税で28,000円です。 |
③ | 相続税の課税対象となる年金受給権は、死亡保険金の非課税金額の規定の適用を受ける事ができます。 |
④ | 基本的に、年金形式で受け取るお金は、非課税となるものを除き、雑所得となります。 |
【問7】~【問9】は、以下の資料を元に解答してください。
<設例>
Aさん(55歳)は、X株式会社(以下、「X社」という)の創業社長である。X社では、Aさんを被保険者とする生命保険に複数加入しており、過去において、当時の営業担当者から勧められるがままに加入した契約もある。Aさんは、生命保険の加入目的を明確にしたうえで、生命保険の見直しをしたいと思っており、現時点において下記<資料>の生命保険契約を解約しようと考えている。
そこで、Aさんは、生命保険会社の営業担当者であるファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。
Aさん(55歳)は、X株式会社(以下、「X社」という)の創業社長である。X社では、Aさんを被保険者とする生命保険に複数加入しており、過去において、当時の営業担当者から勧められるがままに加入した契約もある。Aさんは、生命保険の加入目的を明確にしたうえで、生命保険の見直しをしたいと思っており、現時点において下記<資料>の生命保険契約を解約しようと考えている。
そこで、Aさんは、生命保険会社の営業担当者であるファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。
<資料>解約を検討中の生命保険の契約内容
保険の種類:5年ごと利差配当付定期保険(特約付加なし)
契約年月日:平成15年7月1日
契約者(=保険料負担者):X社
被保険者:Aさん
死亡保険金受取人:X社
保険期間・保険料払込期間:95歳満了
死亡保険金額:1億円
年払保険料:210万円
現時点の解約返戻金額:2,700万円(単純返戻率85.7%)
65歳時の解約返戻金額:4,800万円(単純返戻率91.4%)
※ | 保険料の払込みを中止し、払済終身保険に変更することができる。 |
※ | 単純返戻率=解約返戻金額÷払込保険料累計額×100 |
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
【問7】
仮に、Aさんが役員在任期間(勤続年数)30年3カ月でX社を退任し、X社が役員退職金として8,000万円を支給した場合、Aさんが受け取る役員退職金に係る退職所得の金額を計算した下記の計算式の空欄①~③に入る最も適切な数値を解答用紙に記入しなさい。なお、Aさんは、これ以外に退職手当等の収入はなく、障害者になったことが退職の直接の原因ではないものとする。また、問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」「△△△」で示してある。
<退職所得控除額>
800万円+( ① )万円×(□□□年-20年)=( ② )万円
<退職所得の金額>
(8,000万円-( ② )万円)×△△△=( ③ )万円
正解:70、1,570、3,215
① | 勤続年数が20年を超える場合、退職所得控除額は、800万円+70万円×(勤続年数-20年)です。 |
② | 退職所得控除額の計算上、勤続年数の端数は切り上げますから、退職所得控除額=800万円+70万円×(31-20)=1,570万円です。 |
③ | 退職所得=(収入金額-退職所得控除額)×1/2より、退職所得=(8,000万円-1,570万円)×1/2=3,215万円です。 |
【問8】
<設例>の生命保険を現時点で解約した場合のX社の経理処理(仕訳)について、下記の<条件>を基に、空欄①~③に入る最も適切な数値を、解答用紙に記入しなさい。
<条件> | |
・ | X社が解約時までに支払った保険料の総額は3,150万円である。 |
・ | 上記以外の条件は考慮しないものとする。 |
<解約返戻金受取時のX社の経理処理(仕訳)>
正解:2,700、1,575、1,125
① | 現時点で生命保険を解約した場合、2,700万円の解約返戻金を受け取ることができますので、現金(資産)が2,700万円増加します。資産の増加は、仕訳の借方に記入します。 |
② | 生命保険契約を解約した場合、当該契約に係る資産計上額があればこれを取り崩します。つまり、前払保険料(資産)が減少しますから、仕訳の貸方に記帳します。 前払保険料の金額は、長期平準定期保険の保険料は前半6割の期間は支払った金額の半額を前払保険料として資産計上する事から、3,150万円の半額に当たる1,575万円と推定する事ができます。 |
③ | 保険契約を解約した場合、解約返戻金と資産計上額の差額を、雑収収入(収益)または雑損失(費用)として処理します。 本問の場合、解約返戻金の額が前払保険料よりも多いですから、収益が増加していますので、これを貸方に記入します。金額は、2,700万円-1,575万円=1,125万円です。 |
【問9】
MさんのAさんに対するアドバイスに関する次の記述①~④について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。
1. | 「解約を検討中の生命保険について、解約をせず、払済終身保険に変更することも検討事項の1つとなります。現時点で払済終身保険に変更した場合であっても、65歳時の解約返戻金額は契約時に確定している4,800万円が確保されます」 |
2. | 「解約を検討中の生命保険について、払済終身保険に変更した場合、払済終身保険に変更した時点における解約返戻金相当額とその保険契約の加入時からの払込保険料累計額との差額をその変更した日の属する事業年度の益金の額または損金の額に算入します」 |
3. | 「経営者が要介護状態あるいは重度の疾患等で長期間不在となった場合、X社の業況が悪化する可能性が想定されます。既契約の加入状況を点検・整理したうえで、Aさんが重い病気等になった場合にX社が一時金(現金)を受け取ることができる生前給付タイプの生命保険に新規加入することも検討事項の1つとなります」 |
4. | 「Aさんが死亡した場合の事業保障資金の確保のみを目的とするのであれば、保険期間が短い定期保険に見直す方法があります。保険期間が短い定期保険は割安な保険料で高額保障を準備できることが特徴ですが、長期平準定期保険のようなキャッシュバリューは期待できません」 |
正解:×、×、○、○
1. | 払済終身保険とした場合、解約返戻金は減少します。 |
2. | 長期平準定期保険を払済終身保険に変更した場合、払済終身保険に変更した時点における解約返戻金相当額と、その保険契約の資産計上額(変更時の前払保険料の金額)との差額をその変更した日の属する事業年度の益金の額または損金の額に算入します。 長期平準定期保険の保険料は前半6割の期間は支払った金額の半額を前払保険料として資産計上しますから、払済終身保険に変更した時点における解約返戻金相当額と、その保険契約の加入時からの「払込保険料累計額の2分の1」との差額を、その変更した日の属する事業年度の益金の額または損金の額に算入します。 |
3. | 適切な記述です。 |
4. | 適切な記述です。なお、キャッシュバリューとは、解約返戻金(の現在価値)の事です。 |
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