FP2級学科解説-2024年9月・問41~50
【問41】
不動産の登記や調査に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 不動産の登記記録において、土地の所有者とその土地上の建物の所有者が異なる場合は、その土地の登記記録に借地権の登記がなくても、借地権が設定されていることがある。 |
2. | 不動産登記には公信力がないため、登記記録を確認し、その登記記録の内容が真実であると信じて取引しても、その登記記録の内容が真実と異なっていた場合、法的に保護されないことがある。 |
3. | 不動産の抵当権設定登記をした場合、当該不動産の登記記録の権利部甲区に、債権額や抵当権者の氏名または名称などが記載される。 |
4. | 公図は地図に準ずる図面として登記所に備え付けられており、対象とする土地の位置関係や形状等を確認する資料として有用である。 |
正解:3 | |
1. | 正しい記述です。借地権の対抗要件は、借地上の建物についての登記ですから、土地の所有者とその土地上の建物の所有者が異なる場合は、その土地の登記記録に借地権の登記がなくても、借地権が設定されていると推定されます。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | 抵当権のような、所有権以外の権利に関する事項は、権利部の乙区に記載されます。 |
4. | 正しい記述です。 |
【問42】
宅地建物取引業法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、買主は宅地建物取引業者ではないものとする。
1. | 宅地建物取引業者が、自ら売主となる宅地の売買契約の締結に際して手付を受領したときは、その手付がいかなる性質のものであっても、買主が契約の履行に着手する前であれば、当該宅地建物取引業者はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。 |
2. | 宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地の売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う違約金を定めてはならない。 |
3. | 宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地の売買契約の締結に際して、代金の額の5%を超える額の手付を受領することができない。 |
4. | 専任媒介契約の有効期間は、3ヵ月を超えることができず、これより長い期間を定めたときは、当該媒介契約は無効となる。 |
正解:1 | |
1. | 宅地建物取引業者が、自ら売主となる宅地の売買契約の締結に際して手付を受領したときは、その手付がいかなる性質のものであっても、解約手付としての性質を有することとなります。 解約手付の授受があった場合、買主が契約の履行に着手する前であれば、売主はその手付の倍額に相当する金額を返還することで、契約の解除をすることができます。 |
2. | 宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地の売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う違約金を定めることができます。 |
3. | 宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地の売買契約の締結に際して、買主は宅地建物取引業者でない場合、代金の額の20%を超える額の手付を受領することができません。 |
4. | 専任媒介契約や専属専任媒介契約の有効期間は、3ヵ月を超えることができず、これより長い期間を定めたときは、3ヵ月となります。 |
【問43】
借地借家法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、本問においては、同法第22条の借地権を一般定期借地権といい、第22条から第24条の定期借地権等以外の借地権を普通借地権という。
1. | 普通借地権の設定契約において、期間の定めがないときは、存続期間は30年とされる。 |
2. | 普通借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約の更新を請求し、借地権設定者に更新を拒絶する正当の事由がないときは、借地上に建物があるかどうかにかかわらず、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされる。 |
3. | もっぱら居住の用に供する建物の所有を目的として一般定期借地権を設定する場合、存続期間を30年とすることができる。 |
4. | もっぱら事業の用に供する建物の所有を目的として一般定期借地権を設定する場合、その契約は公正証書によってしなければならない。 |
正解:1 | |
1. | 正しい記述です。 |
2. | 普通借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約の更新を請求し、借地権設定者が遅滞なく異議を述べなかったときに、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされるのは、借地上に建物がある場合に限ります。 |
3. | 一般定期借地権の存続期間は、建物の用途に関わらず、50年以上でなければなりません。 |
4. | 一般定期借地権の設定方法は、建物の用途に関わらず、書面または電磁的記録(必ずしも公正証書である必要は無い)によることとされています。 |
【問44】
都市計画法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. | すべての都市計画区域において、都市計画に市街化区域と市街化調整区域の区域区分を定めなければならない。 |
2. | 市街化調整区域は、おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域とされている。 |
3. | 市街化区域については用途地域を定め、市街化調整区域については原則として用途地域を定めないものとされている。 |
4. | 市街化区域内で行う開発行為は、その規模にかかわらず、都道府県知事等の許可を受ける必要がある。 |
正解:3 | |
1. | 都市計画区域内には、非線引き区域(市街化区域と市街化調整区域のいずれにも区分されていない区域)もあります。 |
2. | 市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域です。なお、問題文は、市街化区域の説明です。 |
3. | 正しい記述です。 |
4. | 市街化区域では、一定の規模以上の開発行為を行う場合に開発許可が必要とされています。なお、問題文は、市街化調整区域の説明です。 |
【問45】
都市計画区域および準都市計画区域内における建築基準法の規定に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. | 建築基準法第42条第2項により道路境界線とみなされる線と道路との間の敷地の部分(セットバック部分)は、建築物を建築することができないが、建蔽率および容積率を算定する際の敷地面積に算入することができる。 |
2. | 準防火地域内に準耐火建築物を建築する場合、建蔽率の制限について緩和措置の適用を受けることができる。 |
3. | 建築物の敷地が2つの異なる用途地域にわたる場合、その建築物の全部について、敷地の過半の属する用途地域の建蔽率の制限が適用される。 |
4. | 敷地の前面道路の幅員が12m未満である建築物の建蔽率は、原則として、「都市計画で定められた建蔽率」と「前面道路の幅員に一定の数値を乗じて得たもの」とのいずれか低い方が上限となる。 |
正解:2 | |
1. | セットバック部分は、法律上、道路として扱われるため、建蔽率や容積率の計算上、敷地面積に算入されません。 |
2. | 正しい記述です。準防火地域内に準耐火建築物や耐火建築物を建てる場合や、防火地域内に耐火建築物を建てる場合には、建蔽率の制限について緩和措置の適用を受けることができます。 |
3. | 建築物の敷地が2つの異なる用途地域にわたる場合、その敷地の建蔽率の上限は、各用途地域の建蔽率をそれぞれの敷地に占める面積の割合で加重平均した値となります。 |
4. | 建蔽率の制限は、前面道路の幅員によって変わるものではありません。なお、問題文は、容積率の制限の説明です。 |
【問46】
建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 集会は、区分所有者全員の同意があるときは、招集の手続きを経ないで開くことができる。 |
2. | 専有部分が数人の共有に属するときは、共有者は、議決権を行使すべき者1人を定めなければならない。 |
3. | 区分所有建物のうち、構造上の独立性と利用上の独立性を備えた建物の部分は、区分所有権の目的となる専有部分であり、規約によって共用部分とすることはできない。 |
4. | 共用部分に対する区分所有者の共有持分は、規約に別段の定めがない限り、各共有者が有する専有部分の床面積の割合による。 |
正解:3 | |
1. | 正しい記述です。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | 本来専有部分となるべき部分は、規約によって共用部分とすることができます。 |
4. | 正しい記述です。 |
【問47】
不動産の取得に係る税金に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. | 不動産取得税の課税標準は、不動産を取得した時における不動産の価格とされており、売買によって不動産を取得した場合は、原則として、その取引価格とされる。 |
2. | 贈与により取得した不動産について相続時精算課税制度の適用を受けた場合、相続により取得したものとみなし、不動産取得税は課されない。 |
3. | 個人が相続により取得した土地について所有権移転登記をする場合、その土地の固定資産税評価額が500万円以下であれば、登録免許税は課されない。 |
4. | 所有権移転登記に係る登録免許税の税率は、登記原因が贈与による場合と相続による場合とでは異なる。 |
正解:4 | |
1. | 不動産取得税の課税標準は、固定資産税評価額です。 |
2. | 不動産取得税は、贈与により不動産を取得した場合には課税されます。 なお、これは、相続時精算課税制度の適用の有無は問いません。 |
3. | 個人が、令和7年3月31日までに、土地について所有権の保存登記(不動産登記法第2条第10号に規定する表題部所有者の相続人が受けるものに限ります。)または相続による所有権の移転登記を受ける場合において、これらの登記に係る登録免許税の課税標準となる不動産の価額が100万円以下であるときは、その土地の所有権の保存登記またはその土地の相続による所有権の移転登記については、登録免許税は課されません。 |
4. | 正しい記述です。所有権移転登記に係る登録免許税の税率は、登記原因が贈与による場合は2.0%、相続による場合は0.4%です。 |
【問48】
個人が土地を譲渡した場合の譲渡所得に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 相続により取得した土地を譲渡した場合、その土地の所有期間を判定する際の取得の日は、相続人が当該相続を登記原因として所有権移転登記をした日である。 |
2. | 譲渡所得の金額の計算上、譲渡した土地の取得費が不明な場合には、譲渡収入金額の5%相当額を取得費とすることができる。 |
3. | 土地の譲渡に係る所得が短期譲渡所得に区分される場合、課税短期譲渡所得金額に対して、所得税(復興特別所得税を含む)30.63%、住民税9%の税率により課税される。 |
4. | 土地を譲渡する際に支出した仲介手数料は、譲渡所得の金額の計算上、譲渡費用に含まれる。 |
正解:1 | |
1. | 相続により取得した土地を譲渡した場合における譲渡所得の計算において、その土地の所有期間を判定する際の取得日は、被相続人の取得日を引き継ぎます。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | 正しい記述です。 |
4. | 正しい記述です。 |
【問49】
「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」(以下「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 相続により取得した家屋に、当該相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた者がいる場合、本特例の適用を受けることはできない。 |
2. | 相続により取得した家屋が、区分所有建物登記がされている建物である場合、本特例の適用を受けることはできない。 |
3. | 本特例の適用を受けるためには、相続により取得した家屋が1981年5月31日以前に建築されたものでなければならない。 |
4. | 本特例の適用を受けるためには、相続により取得した家屋もしくはその土地またはその両方を当該相続の開始があった日の属する年の翌年の12月31日までに譲渡しなければならない。 |
正解:4 | |
1. | 正しい記述です。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | 正しい記述です。旧耐震基準で建てられた建物の取り壊しやリフォームを促す制度ですから、対象となる家屋は、1981年(昭和56年)5月31日以前に建築されたものに限られます。 |
4. | 相続空き家の特例の適用を受けるためには、相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに対象資産売るなどの要件を満たす必要があります。 |
【問50】
不動産の投資判断の手法等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | ⅠRR(内部収益率)とは、投資によって得られる将来のキャッシュフローの現在価値と投資額が等しくなる割引率をいう。 |
2. | DCF法は、連続する複数の期間に発生する純収益および復帰価格を、その発生時期に応じて現在価値に割り引き、それぞれを合計して対象不動産の収益価格を求める手法である。 |
3. | NOI利回り(純利回り)は、対象不動産から得られる年間の総収入を総投資額で除して算出される利回りであり、不動産の収益性を測る指標である。 |
4. | レバレッジ効果とは、投資の収益率が借入金の金利を上回っている場合に、借入金を利用することにより自己資金に対する利回りが上昇する効果をいう。 |
正解:3 | |
1. | 正しい記述です。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | NOI利回りは、純収益(収入総額-支出総額)を投資総額で除して計算します。 |
4. | 正しい記述です。 |
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