FP2級学科解説-2024年1月・問1~10
【問1】
ファイナンシャル・プランナー(以下「FP」という)の顧客に対する行為に関する次の記述のうち、関連法規に照らし、最も不適切なものはどれか。
1. | 社会保険労務士の登録を受けていないFPのAさんは、顧客の求めに応じ、老齢基礎年金や老齢厚生年金の受給要件や請求方法を無償で説明した。 |
2. | 税理士の登録を受けていないFPのBさんは、個人事業主である顧客からの依頼に基づき、当該顧客が提出すべき確定申告書を有償で代理作成した。 |
3. | 金融商品取引業の登録を受けていないFPのCさんは、顧客からiDeCo(確定拠出年金の個人型年金)について相談を受け、iDeCoの運用商品の一般的な特徴について無償で説明した。 |
4. | 司法書士の登録を受けていないFPのDさんは、顧客から将来判断能力が不十分になった場合の財産の管理を依頼され、有償で当該顧客の任意後見受任者となった。 |
正解:2 | |
1. | 公的年金制度の説明(受給要件や請求方法など)は、誰でもすることができます。 |
2. | 税理士資格を持たない人の税務書類の作成は、有償無償を問わず禁止されています。 |
3. | iDeCoの運用商品の一般的な特徴についての説明は、誰でもすることができます。 |
4. | 任意後見受任者となるために有しておかなくてはならない資格はありません。 |
【問2】
ライフプランニングにおける各種係数を用いた必要額の算出に関する次の記述の空欄(ア)、(イ)にあてはまる語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。なお、算出に当たっては下記<資料>の係数を乗算で使用し、手数料や税金等については考慮しないものとする。
・ | Aさんが60歳から65歳になるまでの5年間、年率2%で複利運用しながら、毎年200万円を受け取る場合、60歳時点の元金として( ア )が必要となる。 |
・ | Bさんが45歳から毎年一定額を積み立てながら年率2%で複利運用し、15年後の60歳時に1,000万円を準備する場合、毎年の積立金額は( イ )となる。 |
<資料>年率2%の各種係数 | ||
5年 | 15年 | |
終価係数 | 1.1041 | 1.3459 |
現価係数 | 0.9057 | 0.7430 |
減債基金係数 | 0.1922 | 0.0578 |
資本回収係数 | 0.2122 | 0.0778 |
年金終価係数 | 5.2040 | 17.2934 |
年金現価係数 | 4.7135 | 12.8493 |
1. | (ア)9,057,000円 (イ)578,000円 |
2. | (ア)9,057,000円 (イ)778,000円 |
3. | (ア)9,427,000円 (イ)578,000円 |
4. | (ア)9,427,000円 (イ)778,000円 |
正解:3 | |
(ア) | 取崩型運用の現在の金額を求めるために用いる係数は、年金現価係数です。 6文字、「げん」の音がある、「年金」がつく、という要件を満たす係数を資料から選んでください。 |
(イ) | 積立型運用の現在の金額を求めるために用いる係数は、減債基金係数です。 6文字、「げん」の音がある、「年金」がつかない、という要件を満たす係数を資料から選んでください。 |
【問3】
全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. | 一般保険料率は全国一律であるのに対し、介護保険料率は都道府県によって異なる。 |
2. | 被保険者の配偶者の父母が被扶養者と認定されるためには、主としてその被保険者により生計を維持され、かつ、その被保険者と同一の世帯に属していなければならない。 |
3. | 退職により被保険者資格を喪失した者は、所定の要件を満たせば、最長で3年間、任意継続被保険者となることができる。 |
4. | 退職により被保険者資格を喪失した者が任意継続被保険者となるためには、資格喪失日の前日まで継続して1年以上の被保険者期間がなければならない。 |
正解:2 | |
1. | 一般保険料率は都道府県によって異なるのに対し、介護保険料率は全国一律です。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | 任意継続被保険者となることができるのは、最長で2年間です。 |
4. | 任意継続被保険者となるためには、資格喪失日の前日まで継続して2ヵ月以上の被保険者期間がなければなりません。 |
【問4】
在職老齢年金に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. | 在職老齢年金の仕組みにおいて、支給停止調整額は、受給権者が65歳未満の場合と65歳以上の場合とでは異なっている。 |
2. | 在職老齢年金の仕組みにより老齢厚生年金の全部が支給停止される場合、老齢基礎年金の支給も停止される。 |
3. | 65歳以上70歳未満の厚生年金保険の被保険者が受給している老齢厚生年金の年金額は、毎年9月1日を基準日として再計算され、その翌月から改定される。 |
4. | 厚生年金保険の被保険者が、70歳で被保険者資格を喪失した後も引き続き厚生年金保険の適用事業所に在職する場合、総報酬月額相当額および基本月額の合計額にかかわらず、在職老齢年金の仕組みにより老齢厚生年金が支給停止となることはない。 |
正解:3 | |
1. | 在職老齢年金の仕組みにおいて、支給停止調整額は、受給権者の年齢に関わらず一定です。 |
2. | 在職老齢年金は、老齢厚生年金の額を減額する仕組みですから、老齢基礎年には影響しません。 |
3. | 正しい記述です。 |
4. | 70歳以上の人にも在職老齢年金の仕組みが適用されます。但し、70歳以上の人は、厚生年金保険の被保険者ではありませんから、厚生年金保険料を払う必要はありません。 |
【問5】
公的年金制度の障害給付および遺族給付に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 障害等級1級または2級に該当する程度の障害の状態にある障害厚生年金の受給権者が、所定の要件を満たす配偶者を有する場合、その受給権者に支給される障害厚生年金には加給年金額が加算される。 |
2. | 障害厚生年金の額を計算する際に、その計算の基礎となる被保険者期間の月数が300月に満たない場合、300月として計算する。 |
3. | 遺族基礎年金を受給することができる遺族は、国民年金の被保険者等の死亡の当時、その者によって生計を維持され、かつ、所定の要件を満たす「子のある配偶者」または「子」である。 |
4. | 遺族厚生年金の受給権者が、65歳到達日に老齢厚生年金の受給権を取得した場合、65歳以降、その者の選択によりいずれか一方の年金が支給され、他方の年金は支給停止となる。 |
正解:4 | |
1. | 正しい記述です。障害厚生年金の加給年金は、障害等級1級または2級に該当する人が所定の要件を満たした場合に支給されます(2級に満たない人には加算がありません)。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | 正しい記述です。 |
4. | 遺族厚生年金の受給権者が、65歳到達日に老齢厚生年金の受給権を取得した場合、老齢厚生年金が優先して支給されます。但し、遺族厚生年金の方が多い場合、差額が遺族厚生年金として支給されます。 |
【問6】
確定拠出年金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 企業型年金において、加入者が掛金を拠出することができることを規約で定める場合、加入者掛金の額は、その加入者に係る事業主掛金の額を超える額とすることができない。 |
2. | 企業型年金や確定給付企業年金等を実施していない一定規模以下の中小企業の事業主は、労使の合意かつ従業員の同意を基に、従業員が加入している個人型年金の加入者掛金に事業主掛金を上乗せして納付することができる。 |
3. | 個人型年金に加入できるのは、国内に居住する国民年金の被保険者に限られる。 |
4. | 個人型年金の加入者が60歳から老齢給付金を受給するためには、通算加入者等期間が10年以上なければならない。 |
正解:3 | |
1. | 正しい記述です。マッチング拠出をする際の加入者掛金の額は、事業主掛金と併せて限度額まで、かつ、その加入者に係る事業主掛金の額以下とされています。 |
2. | 正しい記述です。iDeCo+(中小事業主掛金納付制度)の説明です。 これは、企業年金(企業型確定拠出年金、確定給付企業年金、厚生年金基金)を実施していない一定の中小企業の事業主が、従業員の老後の所得確保に向けた支援を行うことができるよう、iDeCo(個人型確定拠出年金)に加入している従業員が拠出する加入者掛金に追加して、掛金を拠出できる制度です。 |
3. | 確定拠出年金は、海外に居住している国民年金の任意加入被保険者や、海外赴任している厚生年金保険の被保険者も加入できます。 |
4. | 正しい記述です。通算加入者等期間が10年に満たない場合、受給可能年齢が引き上げられます。 |
【問7】
公的年金等に係る税金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 遺族基礎年金および遺族厚生年金は、所得税の課税対象とならない。 |
2. | 確定拠出年金の老齢給付金は、年金として受給する場合、雑所得として所得税の課税対象となる。 |
3. | 老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給者が死亡した場合、その者に支給されるべき年金給付のうち、まだ支給されていなかったもの(未支給年金)は、当該年金を受け取った遺族の一時所得として所得税の課税対象となる。 |
4. | 老齢基礎年金を受給権発生日から数年後に請求し、遡及してまとめて年金が支払われた場合、所得税額の計算上、その全額が、支払われた年分において収入すべき金額となる。 |
正解:4 | |
1. | 公的年金の遺族給付や障害給付は非課税です。 |
2. | 所得税において、確定拠出年金の老齢給付金は、年金として受給する場合は雑所得となり、一時金として受給する場合は退職所得となります。 |
3. | 正しい記述です。未支給年金は、相続財産ではなく、受給権者固有の権利として受け取るものですから、受給した人の一時所得として所得税の課税対象となります。 |
4. | 老齢基礎年金を受給権発生日から数年後に請求し、遡及してまとめて年金が支払われた場合、所得税額の計算上、本来の支給期日の属する年分の収入となります。 |
【問8】
A銀行の住宅ローン(変動金利型)を返済中であるBさんの、別の金融機関の住宅ローンへの借換えに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 「フラット35」や「フラット50」などの住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する住宅ローンは、すべての商品が住宅取得時における利用に限定されているため、住宅ローンの借換先として選択することができない。 |
2. | 全期間固定金利型の住宅ローンに借り換えた場合、借換後の返済期間における市中金利の上昇によって返済負担が増加することはない。 |
3. | 住宅ローンの借換えに際して、A銀行の抵当権を抹消し、借換先の金融機関の抵当権を新たに設定する場合、登録免許税等の諸費用が必要となる。 |
4. | A銀行の住宅ローンの借入時と比較してBさんの収入が減少し、年収に占める住宅ローンの返済額の割合が上昇している場合、住宅ローンの借換えができない場合がある。 |
正解:1 | |
1. | 「フラット35」や「フラット50」は、借り換え利用が可能です。 |
2. | 全期間固定金利型の住宅ローンに借り換えた場合、借換後の返済期間における返済利率は返済完了まで一定となりますから、市中金利の上昇によって返済負担が増加することはありません。 |
3. | 正しい記述です。 |
4. | 正しい記述です。 |
【問9】
下記<A社の貸借対照表>に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、A社の売上高は年間7.5億円であるものとする。
1. | A社の自己資本比率は、30%である。 |
2. | A社の流動比率は、120%である。 |
3. | A社の総資本回転率は、0.8回である。 |
4. | A社の固定比率は、200%である。 |
正解:3 | |
1. | 自己資本比率=自己資本÷総資産=180百万円÷600百万円=0.3=30%です。 |
2. | 流動比率=流動資産÷流動負債=240百万円÷200百万円=1.2=120%です。 |
3. | 総資本回転率=売上高÷総資本=7.5億円÷600百万円(6億円)=1.25回転です。 |
4. | 固定比率=固定資産÷自己資本=360百万円÷180百万円=2.0=200%です。 |
【問10】
クレジットカード会社(貸金業者)が発行するクレジットカードの一般的な利用に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | クレジットカードで商品を購入(ショッピング)した場合の返済方法の一つである定額リボルビング払い方式は、カード利用時に代金の支払回数を決め、利用代金をその回数で分割して支払う方法である。 |
2. | クレジットカードで無担保借入(キャッシング)をする行為は、貸金業法上、総量規制の対象となる。 |
3. | クレジットカード会員規約では、クレジットカードは他人へ貸与することが禁止されており、クレジットカード会員が生計を維持している親族に対しても貸与することはできない。 |
4. | クレジットカード会員の信用情報は、クレジットカード会社が加盟する指定信用情報機関により管理されており、会員は自己の信用情報について所定の手続きにより開示請求をすることができる。 |
正解:1 | |
1. | リボ払いは、他の買い物と合算して毎月の支払額を一定にする支払方法ですから、カード利用時に代金の支払回数は決まりません。問題文は、分割払いの説明です。 |
2. | 貸金業法上、ショッピングは総量規制の対象外ですが、キャッシングは総量規制の対象です。 |
3. | 正しい記述です。 |
4. | 正しい記述です。 |
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