お金の寺子屋

FP2級学科解説-2023年5月・問21~30

【問21】
為替相場や金利の変動要因等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 日本の物価が米国と比較して相対的に上昇することは、一般に円高米ドル安の要因となる。
2. 米国が政策金利を引き上げ、日本と米国との金利差が拡大することは、一般に円安米ドル高の要因となる。
3. 日本の対米貿易赤字が拡大することは、一般に円安米ドル高の要因となる。
4. 日本銀行が、国債買入オペによって長期国債(利付国債)を買い入れ、金融市場に資金を供給することは、一般に市中金利の低下要因となる。
正解:
1. 物価が上昇すると、通貨の価値は下がるので、日本の物価の上昇は円安要因です。
2. 正しい記述です。外国の政策金利の引き上げは、その国の通貨の需要を高めますから、その国の通貨に対して、相対的に円安になる要因です。
3. 正しい記述です。対米貿易赤字の拡大は、米ドル建ての収入よりも支出が多くなり、米ドル建ての収入を円貨に換える需要より、支払代金を用意するために円貨を米ドルに換える需要が高まりますから、円安米ドル高の要因となります。
4. 正しい記述です。買いオペにより市場に流通する資金量が増えると、貸し出し余力が高まり、金利を引き下げる要因となります。
【問22】
株式投資信託の一般的な運用手法等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 株価が現在の資産価値や利益水準などから割安と評価される銘柄に投資する手法は、バリュー投資と呼ばれる。
2. 個別企業の業績の調査や財務分析によって投資対象となる銘柄を選定し、その積上げによってポートフォリオを構築する手法は、ボトムアップ・アプローチと呼ばれる。
3. 割安な銘柄の売建てと割高な銘柄の買建てをそれぞれ同程度の金額で行い、市場の価格変動に左右されない絶対的な収益の確保を目指す手法は、マーケット・ニュートラル運用と呼ばれる。
4. ベンチマークの動きに連動して同等の運用収益率を得ることを目指すパッシブ運用は、アクティブ運用に比べて運用コストが低い傾向がある。
正解:
1. 正しい記述です。
2. 正しい記述です。
3. マーケットニュートラル運用は、買い建てする金額と同額の売り建てを行う手法で、割安な銘柄を買い建て、割高な銘柄を売り建てます。
4. 正しい記述です。特別なノウハウを要しないパッシブ運用よりも、ノウハウを要するアクティブ運用の方が運用コストが高くなる傾向があります。
【問23】
債券のデュレーションに関する次の記述の空欄(ア)、(イ)にあてはまる語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。

デュレーションは、債券への投資資金の平均回収期間を表すとともに、債券投資における金利変動リスクの度合い(金利変動に対する債券価格の感応度)を表す指標としても用いられる。他の条件が同一であれば、債券の表面利率が( ア )ほど、また残存期間が長いほど、デュレーションは長くなる。なお、割引債券のデュレーションは、残存期間( イ )。
1. (ア)高い (イ)と等しくなる
2. (ア)低い (イ)よりも短くなる
3. (ア)高い (イ)よりも短くなる
4. (ア)低い (イ)と等しくなる
正解:
(ア) 問題文にある通り、デュレーションには、金利変動リスクの度合いという意味があります。債券の表面利率が低いほど、また、残存期間が長いほど、金利変動リスクは大きい、つまり、デュレーションが長いと言えます。
(イ) 問題文にある通り、デュレーションは、債券への投資資金の平均回収期間を表すものです。
割引債から支払われるお金は、満期時に支払われる償還金だけですから、割引債の元本の平均回収期間は、残存期間と等しくなります。
【問24】
東京証券取引所の市場区分等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 東京証券取引所は、プライム市場、スタンダード市場、グロース市場およびTOKYO PRO Marketの4つの株式市場を開設している。
2. 日経平均株価は、プライム市場に上場している銘柄のうち、時価総額上位225銘柄を対象として算出される株価指標である。
3. プライム市場における上場維持基準は、株主数や流通株式数等において、スタンダード市場およびグロース市場よりも高い数値が設定されている。
4. グロース市場に上場している銘柄であっても、プライム市場における新規上場基準等の要件を満たせば、所定の手続きにより、プライム市場に市場区分の変更をすることができる。
正解:
1. 正しい記述です。
2. 日経平均株価は、プライム市場に上場している225銘柄を元に算出されますが、時価総額でスクリーニングして採用銘柄を選んでいる訳ではありません。
3. 正しい記述です。上場維持基準は、プライム市場が最も厳しく、スタンダード市場、グロース市場の順となっています。
4. 正しい記述です。
【問25】
下記<X社のデータ>に基づき算出される投資指標に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

<X社のデータ>
株価 2,700円
発行済株式数 0.5億株
売上高 2,000億円
経常利益 120億円
当期純利益 75億円
自己資本(=純資産) 2,500億円
配当金総額 30億円
1. ROEは、3.75%である。
2. PERは、18倍である。
3. PBRは、0.54倍である。
4. 配当性向は、40%である。
正解:
1. ROE=当期純利益÷自己資本=75億円÷2,500億円=0.03=3%
2. PER=株価÷1株当たり当期純利益=2,700円÷(75億円÷0.5億株)=18倍です。
3. PBR=株価÷1株当たり純資産=2,700円÷(2,500億円÷0.5億株)=0.54倍です。
4. 配当性向(%)=年間配当金総額÷当期純利益×100=30円÷75円×100=40%です。

【問26】
外国株式の取引の一般的な仕組みや特徴に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 国外の証券取引所に上場している外国株式を国内店頭取引により売買する場合、外国証券取引口座を開設する必要がある。
2. 一般顧客が国内の証券会社を通じて購入した外国株式は、日本投資者保護基金による補償の対象とならない。
3. 国内の証券取引所に上場している外国株式を国内委託取引(普通取引)により売買した場合の受渡日は、国内株式と同様に、売買の約定日から起算して3営業日目である。
4. 外国株式については、一部銘柄を除き、金融商品取引法に基づくディスクロージャー制度の適用を受けず、同法に基づく企業内容等の開示は行われない。
正解:
1. 正しい記述です。
2. 一般顧客が国内の証券会社を通じて購入した外国株式は、日本投資者保護基金による補償の対象となります。
3. 正しい記述です。
4. 正しい記述です。
【問27】
ポートフォリオ理論の一般的な考え方等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. ポートフォリオ理論は、期待リターンが同じであれば、投資家はリスクのより低い投資を選好する「リスク回避者」であることを前提としている。
2. アセットアロケーションとは、投資資金を株式、債券、不動産等の複数の資産クラスに配分することをいう。
3. 運用期間中、各資産クラスへの資産の配分比率を維持する方法として、値下がりした資産クラスの資産を売却し、値上がりした資産クラスの資産を購入するリバランスという方法がある。
4. 各資産クラスのリスク量が同等になるように資産配分を行うリスクパリティ運用(戦略)では、特定の資産クラスのボラティリティが上昇した場合、当該資産クラスの資産の一部売却を行う。
正解:
1. 正しい記述です。ポートフォリオ理論は、市場参加者は全員効率的な行動をとることを前提としていますから、期待リターンが同じであれば、投資家はリスクのより低い投資を選好するという前提があります。
2. 正しい記述です。
3. リバランスは、値下がりした資産クラスの資産を購入し、値上がりした資産クラスの資産を売却する手法です。
4. 正しい記述です。リスクパリティ運用(戦略)では、各資産クラスのリスク量が同等になるように資産配分を行うため、特定の資産クラスのボラティリティ(≒リスクの大きさ)が上昇した場合、当該資産クラスの資産の一部売却を行います。
【問28】
Aさんは、預金、債券、株式でポートフォリオを組んだが、その後各資産の構成比の見直しを行った。Aさんのポートフォリオが下表のとおりであった場合、Aさんの見直し前のポートフォリオの期待収益率と見直し後のポートフォリオの期待収益率の差(見直し後の期待収益率-見直し前の期待収益率)として、最も適切なものはどれか。

1. 0.486%
2. 2.060%
3. 2.560%
4. 4.620%
正解:
ポートフォリオの期待収益率は、組入資産の期待収益率を組入比率で加重平均して求めます。
見直し前の期待収益率=0.1%×60%+2.0%×20%+8.0%×20%=2.06%
見直し後の期待収益率=0.1%×20%+2.0%×30%+8.0%×50%=4.62%
より、4.62%-2.06%=2.56%です。
【問29】
NISA(少額投資非課税制度)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、本問においては、NISAにより投資収益が非課税となる口座をNISA口座という。
1. NISA口座で保有する上場株式の配当金を非課税扱いにするためには、配当金の受取方法として登録配当金受領口座方式を選択しなければならない。
2. NISA口座で保有する金融商品を売却することで生じた譲渡損失の金額は、確定申告を行うことにより、同一年中に特定口座や一般口座で保有する金融商品を売却することで生じた譲渡益の金額と通算することができる。
3. 2023年にNISA口座を開設できるのは、国内に住所を有する者のうち、2023年1月1日現在で20歳以上の者に限られる。
4. NISA口座の開設先を現在開設している金融機関から別の金融機関に変更する場合、変更したい年分の前年の10月1日から変更したい年分の属する年の9月30日までに変更手続きを行う必要がある。
正解:
1. NISA口座で保有する上場株式の配当金を非課税扱いにするためには、配当金の受取方法として、(NISA口座で買い付けた銘柄に係る配当金がいくらなのかを知ることができる)株式数比例配分方式を選択しなければなりません。
2. NISA口座で保有する金融商品を売却することで生じた譲渡損失の金額は、損益通算することができません。
3. 2023年1月1日から、NISA口座を開設できるのは、国内に住所を有する18歳以上の人となりました。
4. 正しい記述です。
【問30】
金融商品の取引等に係る各種法令に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、本問においては、「金融サービスの提供に関する法律」を金融サービス提供法という。
1. 金融サービス提供法において、金融サービス仲介業の登録を受けた事業者は、銀行業・金融商品取引業・保険業・貸金業に係る金融サービスのうち、顧客に対し高度に専門的な説明を必要とする金融サービスを仲介することが認められている。
2. 金融商品取引法において、金融商品取引業者等が顧客と金融商品取引契約を締結しようとするときは、原則として、あらかじめ、重要事項を記載した契約締結前交付書面を交付することが義務付けられている。
3. 大阪取引所における金、白金などのコモディティを対象とした市場デリバティブ取引は、金融商品取引法の適用対象となる。
4. 消費者契約法において、消費者が事業者の一定の行為により誤認または困惑し、それによって消費者契約の申込みまたは承諾の意思表示をしたときは、消費者はこれを取り消すことができるとされている。
正解:
1. 金融サービス提供法でいう「金融サービス仲介業」とは、預金等媒介業務、保険媒介業務、有価証券等仲介業務又は貸金業貸付媒介業務のいずれかを業として行うことをいいますが、高度に専門的な説明を必要とするものとして政令で定めるものは除きます。
2. 正しい記述です。
3. 正しい記述です。
4. 正しい記述です。

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