お金の寺子屋

FP2級学科解説-2023年1月・問41~50

【問41】
土地の価格に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 地価公示法による公示価格は、毎年4月1日を標準地の価格判定の基準日としている。
2. 都道府県地価調査の標準価格は、毎年1月1日を基準地の価格判定の基準日としている。
3. 相続税路線価は、地価公示法による公示価格の80%を価格水準の目安としている。
4. 評価替えの基準年度における宅地の固定資産税評価額は、前年の地価公示法による公示価格等の60%を目途として評定されている。
正解:
1. 公示価格の価格判定の基準日は、1月1日です。
2. 都道府県地価調査の標準価格(基準地標準価格)の価格判定の基準日は、7月1日です。
3. 正しい記述です。
4. 宅地の固定資産税評価額は、公示価格の70%を目安に設定されます。
【問42】
不動産の登記や調査に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 抵当権の登記の登記事項は、権利部甲区に記録される。
2. 不動産の登記事項証明書の交付を請求することができるのは、当該不動産に利害関係を有する者に限られる。
3. 区分建物を除く建物に係る登記記録において、床面積は、壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積(内法面積)により記録される。
4. 同一の不動産について二重に売買契約が締結された場合、譲受人相互間においては、売買契約の締結の先後にかかわらず、原則として、所有権移転登記を先にした者が当該不動産の所有権の取得を対抗することができる。
正解:
1. 抵当権は所有権以外の権利であるため、権利部乙区に記録されます。
2. 不動産の登記事項証明書は、誰でも交付の請求をすることができます(登記は、広く自分の権利を主張するために行うものなので、交付の請求をすることができない人がいると困ります)。
3. 区分建物以外の建物の登記簿面積は壁芯面積で、区分建物の登記簿面積は内法面積です(区分建物以外の建物は、壁の中に当該建物の所有者の配管が通っているので、壁の中も床面積に含む一方、区分建物は、壁の中に色々な人が使う配管が通っているので、壁の中は専有部分に含まないという考え方です)。
4. 正しい記述です。不動産に係る権利の対抗要件は、登記です。
【問43】
不動産の売買契約に係る民法の規定に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、特約については考慮しないものとする。
1. 売買の目的物である建物が、その売買契約の締結から当該建物の引渡しまでの間に、地震によって全壊した場合、買主は売主に対して建物代金の支払いを拒むことができる。
2. 不動産が共有されている場合に、各共有者が、自己が有している持分を第三者に譲渡するときは、他の共有者の同意を得る必要はない。
3. 売買契約締結後、買主の責めに帰することができない事由により、当該契約の目的物の引渡債務の全部が履行不能となった場合、買主は履行の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。
4. 売主が種類または品質に関して契約の内容に適合しないことを知りながら、売買契約の目的物を買主に引き渡した場合、買主は、その不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しなければ、契約の解除をすることができない。
正解:
1. 正しい記述です。危険負担の問題は、原則として、売主負担とされています。
2. 正しい記述です。各共有者が共有物に変更を加えようとする場合は他の共有者の同意を得る必要がありますが、自己の持分を第三者に譲渡しようとする場合は、他の共有者の同意を得る必要はありません。
3. 正しい記述です。履行遅滞や追完が可能な不完全履行の場合、相当の期間を定めて履行の催告をする必要がありますが、債権者(売買契約の買主)の責に帰すことができない事由により、履行不能となった場合は、相当の期間を定める意味がないため、直ちに契約を解除することができます。
4. 買主が契約不適合責任に基づく権利を行使するためには、契約に適合しないことを知った日から1年以内に売主に通知する必要があります。但し、売主が契約に適合しないことを知りながら、買主に告げなかった場合はこの限りではありません(1年以内に通知しなくても、権利を行使することができます)。
【問44】
借地借家法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、本問においては、同法第22条の借地権を一般定期借地権、第23条の借地権を事業用定期借地権等といい、第22条から第24条の定期借地権等以外の借地権を普通借地権という。
1. 普通借地権の設定契約において、その存続期間は50年を超えることができない。
2. 借地権者の債務不履行により普通借地権の設定契約が解除された場合、借地権者は借地権設定者に対し、借地上の建物を時価で買い取るべきことを請求することができない。
3. 一般定期借地権の設定契約を公正証書等の書面で行う場合は、その存続期間を30年とすることができる。
4. 法人は従業員の社宅として利用する建物の所有を目的として、事業用定期借地権等の設定契約をすることができる。
正解:
1. 普通借地権の存続期間は、30年を超えて定めなくてはいけませんが、上限の定めはありません。
2. 正しい記述です。普通借地権においては、存続期間の満了後、借地権者は借地権設定者に対して建物買取請求権を行使することができますが、借地権者の債務不履行により借地権の設定契約が解除された場合は、この限りではありません。
3. 一般定期借地権の存続期間は、50年を超えて定めなくてはいけません。なお、存続期間にかかわらず、書面により設定する必要があります。
4. 事業用定期借地権は、社宅などの居住を目的とする建物の所有を目的として設定することはできません。
【問45】
借地借家法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、本問においては、同法第38条における定期建物賃貸借契約を定期借家契約といい、それ以外の建物賃貸借契約を普通借家契約という。
1. 普通借家契約において、存続期間を3ヵ月と定めた場合、期間の定めがない建物の賃貸借とみなされる。
2. 定期借家契約において、賃借人は、その建物の賃借権の登記がなくても、引渡しを受けていれば、その後その建物について物権を取得した者に建物の賃借権を対抗することができる。
3. 賃貸人は、定期借家契約締結後、速やかに、建物の賃借人に対して契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借が終了する旨を記載した書面を交付しなければならない。
4. 定期借家契約は、公正証書以外の書面でも締結することができる。
正解:
1. 正しい記述です。普通借家契約において、1年未満の存続期間を定めた場合は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなされます。
2. 正しい記述です。建物の賃借権の対抗要件は、建物の引き渡しです。
3. 定期借家契約を締結する際には、あらかじめ、建物の賃借人に対して、契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借が終了する旨を記載した書面を交付しなければなりません(事後交付は認められていません)。
4. 正しい記述です。 事業用定期借地権以外は、公正証書以外の書面で設定することができます。

【問46】
都市計画区域および準都市計画区域内における建築基準法の規定に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 敷地の前面道路の幅員が12m未満である建築物の容積率は、原則として、「都市計画で定められた容積率」と「前面道路の幅員に一定の数値を乗じて得たもの」とのいずれか低い方が上限となる。
2. 建築物の高さに係る隣地斜線制限は、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域および田園住居地域には適用されない。
3. 第一種住居地域内においては、建築物の高さは10mまたは12mのうち当該地域に関する都市計画において定められた建築物の高さの限度を超えてはならない。
4. 建築物の敷地は、原則として、建築基準法に規定する道路に2m以上接していなければならない。
正解:
1. 正しい記述です。
2. 正しい記述です。隣地斜線制限は、絶対高さ制限が適用されない用途地域に適用されます(隣地斜線制限は、20mまたは31mを超える建物に対する規制であるが、そもそも絶対高さ制限が適用される用途地域にはそのような建物がないため)。
「隣に配慮して(トナリニハイリョシテ)」という語呂合わせで覚えてください。
3. 第一種住居地域においては、このような制限(絶対高さ制限)はありません。絶対高さ制限が適用されるのは、第一種低層住居専用地域、第ニ種低層住居専用地域、および、田園住居地域だけです。
4. 正しい記述です。いわゆる接道義務の説明です。
【問47】
建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 区分所有者は、敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合、規約に別段の定めがない限り、敷地利用権を専有部分と分離して処分することができる。
2. 区分所有者は、規約に別段の定めがない限り、集会の議決によって管理者を選任し、または解任することができる。
3. 集会においては、区分所有者および議決権の各5分の4以上の多数により建替え決議をすることができる。
4. 共用部分に対する区分所有者の共有持分は、規約に別段の定めがない限り、各共有者が有する専有部分の床面積の割合による。
正解:
1. 区分所有者は、原則として、専有部分と敷地利用権を分離して処分することができません。
2. 正しい記述です。
3. 正しい記述です。建て替え決議をするためには、区分所有者及び議決権の各5分の4以上の賛成が必要です。
「四の五の言わずに建て替えて」という語呂合わせで覚えてください。
4. 正しい記述です。ちなみに、区分所有者の議決権についても同様です。
【問48】
不動産の取得に係る税金に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 不動産取得税は、相続により不動産を取得した場合は課されるが、贈与により不動産を取得した場合は課されない。
2. 一定の要件を満たす戸建て住宅(認定長期優良住宅を除く)を新築した場合、不動産取得税の課税標準の算定に当たっては、1戸につき最高1,200万円を価格から控除することができる。
3. 登録免許税は、贈与により不動産を取得した場合の所有権移転登記では課されない。
4. 登録免許税は、建物を新築した場合の建物表題登記であっても課される。
正解:
1. 不動産取得税は、相続により不動産を取得した場合は課されませんが、贈与により不動産を取得した場合は課されます。
2. 正しい記述です。
3. 所有権移転登記をする際にかかる登録免許税は、その原因にかかわらず課されます。ちなみに、税率は、相続を原因とする場合は0.4%、贈与を原因とする場合は2.0%です。
4. 表題部の登記は義務ですから、表題部の登記には登録免許税はかかりません(登録免許税は、権利を主張するための手数料のようなものだからです)。
【問49】
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除(以下「3,000万円特別控除」という)および居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例(以下「軽減税率の特例」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載されたもの以外の要件はすべて満たしているものとする。
1. 3,000万円特別控除は、居住用財産を配偶者に譲渡した場合には適用を受けることができない。
2. 3,000万円特別控除は、譲渡した居住用財産の所有期間が、譲渡した日の属する年の1月1日において10年を超えていなければ、適用を受けることができない。
3. 軽減税率の特例では、課税長期譲渡所得金額のうち6,000万円以下の部分の金額について、所得税(復興特別所得税を含む)10.21%、住民税4%の軽減税率が適用される。
4. 3,000万円特別控除と軽減税率の特例は、重複して適用を受けることができる。
正解:
1. 正しい記述です。
2. 3,000万円特別控除の適用を受けるための所有期間の要件はありません。
3. 正しい記述です。
4. 正しい記述です。
【問50】
不動産の有効活用の一般的な特徴に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 事業受託方式は、土地有効活用の企画、建設会社の選定および土地上に建設する建物の管理・運営をデベロッパーに任せることができるが、建設資金の調達は土地所有者が行う必要がある。
2. 建設協力金方式は、土地所有者が、建設する建物を貸し付ける予定のテナントから、建設資金の全部または一部を借り受けてビルや店舗等を建設する方式である。
3. 定期借地権方式では、土地所有者は土地を一定期間貸し付けることによって地代収入を得ることができ、当該土地上に建設される建物の建設資金を調達する必要はない。
4. 等価交換方式では、土地所有者は土地の出資割合に応じて、建設される建物の一部を取得することができるが、建設資金の調達は土地所有者が行う必要がある。
正解:
1. 正しい記述です。
2. 正しい記述です。
3. 正しい記述です。
4. 等価交換方式は、地主が土地を提供し、デベロッパーが建物の建築資金を負担することで共同事業を行うイメージの土地の有効活用手法ですから、土地所有者は建築資金の調達を行う必要はありません。

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