お金の寺子屋

FP2級学科解説-2023年1月・問31~40

【問31】
所得税の基本的な仕組みに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 非永住者以外の居住者は、国内源泉所得に加え、国外源泉所得のうち国内において支払われたものおよび国外から送金されたものに限り、所得税の納税義務がある。
2. 所得税における青色申告制度では、納税者に記帳義務および帳簿書類保存義務が課されている。
3. 各種所得の金額の計算上、収入金額には、原則として、その年において収入すべきことが確定した金額のうち、未収入の金額を控除した額を計上する。
4. 所得税は、納税者が申告をした後に、税務署長が所得や納付すべき税額を決定する賦課課税方式を採用している。
正解:
1. 所得税法上、非永住者以外の居住者は、所得が生じた場所が日本国の内外を問わず、その全ての所得に対して課税されます。
2. 正しい記述です。青色申告制度は、納税者に正確な記帳と帳簿保存することを求めるためのルールで、これらを行う事業者に税制上のメリットを用意するものです。
3. 各種所得の金額の計算は、原則として、未収入の金額も収入金額に含めます(各種所得の金額は、原則として、発生主義により計算します)。
4. 所得税は、納税者が所得税納付すべき税額を計算する申告納税方式の税金です。
【問32】
所得税における各種所得に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 事業所得の金額は、原則として、その年中の「事業所得に係る総収入金額-必要経費」の算式により計算される。
2. 給与所得の金額は、原則として、その年中の「給与等の収入金額-給与所得控除額」の算式により計算される。
3. 不動産所得の金額は、原則として、その年中の「不動産所得に係る総収入金額-必要経費」の算式により計算される。
4. 一時所得の金額は、原則として、その年中の「一時所得に係る総収入金額-その収入を得るために支出した金額の合計額」の算式により計算される。
正解:
1. 正しい記述です。
2. 正しい記述です。
3. 正しい記述です。
4. 一時所得=総収入金額-その収入を得るために支出した金額-特別控除額(最高50万円)です。
【問33】
所得税の各種所得の金額の計算上生じた次の損失の金額のうち、他の所得の金額と損益通算できないものはどれか。
1. 不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額のうち、不動産所得を生ずべき建物の取得に要した負債の利子に相当する部分の金額
2. 生活の用に供していた自家用車を売却したことによる譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額
3. コンサルティング事業を行ったことによる事業所得の金額の計算上生じた損失の金額
4. 取得してから5年が経過した山林を伐採して譲渡したことによる山林所得の金額の計算上生じた損失の金額
正解:
1. 不動産所得の金額の計算上生じた金額のうち、建物の取得に要した負債の利子は損益通算することができます。なお、土地取得のために要した負債の利子は損益通算することはできません。
2. 生活用動産の譲渡に係る所得は非課税ですから、所得の計算上損失が生じたとしても、他の所得と損益通算することはできません。
3. 事業所得の計算上生じた損失は、他の所得と損益通算することができます。
4. 山林所得の金額の計算上生じた損失は、他の所得と損益通算することができます。
ちなみに、山林所得とは、山林を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡することによって生ずる所得をいいますが、山林を取得してから5年以内に伐採または譲渡した場合は、事業所得または雑所得となります(よって、雑所得となった場合には損益通算することができません)。また、山林を山ごと譲渡する場合の土地の部分は、分離譲渡所得となります。
【問34】
所得税における医療費控除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 医療費はその年中に実際に支払った金額が医療費控除の対象となり、未払いとなっている医療費は実際に支払われるまで医療費控除の対象とならない。
2. 入院に際し必要となる寝巻きや洗面具などの身の回り品の購入費用は、医療費控除の対象となる。
3. 自家用車で通院した際に支払ったガソリン代や駐車場代は、医療費控除の対象となる。
4. 給与所得者は、年末調整により医療費控除の適用を受けることができる。
正解:
1. 正しい記述です。医療費控除の計算は、支払日基準です。
2. 入院に際して必要となる身の回り品の購入費用は、治療のために直接必要なお金ではありませんから、医療費控除の対象とはなりません。
3. 自家用車のガソリン代や駐車場代は、療費控除の対象ではありません。
4. 医療費控除は年末調整により適用を受けることができません。
年末調整により適用を受けることができない所得控除(寄付金控除・医療費控除・雑損控除)は、「寄付をしたら、いざ(医雑)確定申告会場へ」という語呂合わせで覚えてください。
【問35】
所得税における住宅借入金等特別控除(以下「住宅ローン控除」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載されたもの以外の要件はすべて満たしているものとする。
1. 住宅ローンの一部繰上げ返済を行い、借入金の償還期間が当初の借入れの日から10年未満となった場合であっても、残りの控除期間について住宅ローン控除の適用を受けることができる。
2. 中古住宅を取得した場合であっても、当該住宅が一定の耐震基準に適合するときは、住宅ローン控除の適用を受けることができる。
3. 転勤に伴う転居等のやむを得ない事由により、住宅ローン控除の適用を受けていた者がその住宅を居住の用に供しなくなった場合に、翌年以降に再び当該住宅を居住の用に供すれば、原則として、再入居した年以後の控除期間内について住宅ローン控除の適用を受けることができる。
4. 住宅ローン控除の適用を受ける最初の年分は、必要事項を記載した確定申告書に一定の書類を添付し、納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
正解:
1. 繰上返済により、総返済期間が10年未満となった場合、その年以降住宅ローン控除を受けることはできなくなります。
2. 正しい記述です。
3. 正しい記述です。
4. 正しい記述です。なお、2年目以降は、年末調整により適用を受けることができます。

【問36】
所得税の申告に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. その年中の公的年金等の収入金額の合計が450万円であり、それ以外の所得が原稿料に係る雑所得の金額20万円のみである者は、確定申告を行う必要はない。
2. 年の中途で死亡した者のその年分の所得税について確定申告を要する場合、原則として、その相続人は、相続の開始があったことを知った日の翌日から2ヵ月以内に、死亡した者に代わって確定申告をしなければならない。
3. その年の1月16日以後新たに業務を開始した者が、その年分から青色申告の適用を受けようとする場合、その業務を開始した日の属する月の翌月までに、「所得税の青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
4. 前年からすでに業務を行っている者が、本年分から新たに青色申告の適用を受けるために、提出期限までに「所得税の青色申告承認申請書」を提出した場合、その年の12月31日までに、その申請につき承認または却下の処分がなかったときは、青色申告の承認があったものとみなされる。
正解:
1. その年中の公的年金等の収入金額の合計が400万円以下であり、かつ、これ以外の所得が20万円以下であれば、確定申告を行う必要がありませんが、この要件から外れる場合には確定申告をする必要があります。
2. 準確定申告(亡くなった人が申告するべきであった所得税を代わりに申告する手続き)の申告期限は相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヵ月以内です。
「死(4)人の確定申告」という語呂合わせで覚えてください。
3. その年の1月16日以後新たに業務を開始した人が、その年分から所得税の青色申告の適用を受けようとする場合、業務を開始した日から2ヵ月以内に青色申告承認申請書を提出しなければなりません。
4. 正しい記述です。
【問37】
法人税の損金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 法人が国または地方公共団体に対して支払った寄附金は、確定申告書に当該寄附金の明細を記載した書類を添付することで、その全額を損金の額に算入することができる。
2. 得意先への接待のために支出した飲食費で、参加者1人当たりの支出額が5,000円以下であるものについては、一定の書類を保存している場合、その全額を損金の額に算入することができる。
3. 法人が役員に支給した定期同額給与を損金の額に算入するためには、所定の時期に確定額を支給する旨の定めの内容をあらかじめ税務署長に届け出なければならない。
4. 損金の額に算入される租税公課のうち、事業税については、原則として、その事業税に係る納税申告書を提出した日の属する事業年度の損金の額に算入することができる。
正解:
1. 正しい記述です。
2. 正しい記述です。
3. 定期同額給与は、事前に届出を行わなくても損金に算入することができます。なお、問題文は事前確定届出給与(賞与等)の説明です。
4. 正しい記述です。
【問38】
消費税に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 基準期間における課税売上高が1,000万円を超える法人は、消費税の免税事業者となることができない。
2. 特定期間における給与等支払額の合計額および課税売上高がいずれも1,000万円を超える法人は、消費税の免税事業者となることができない。
3. 基準期間における課税売上高が5,000万円を超える課税事業者は、簡易課税制度の適用を受けることができない。
4. 消費税の免税事業者が「消費税課税事業者選択届出書」を提出して消費税の課税事業者となったときは、事業を廃止した場合を除き、原則として3年間は消費税の免税事業者に戻ることができない。
正解:
1. 正しい記述です。
2. 正しい記述です。
3. 正しい記述です。
4. 消費税の免税事業者が、課税事業者選択届出書を提出して消費税の課税事業者となった場合は、原則として、2年間は消費税の免税事業者に戻ることができません。
【問39】
会社と役員間の取引に係る所得税・法人税に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 会社が役員からの借入金について債務免除を受けた場合、会社はその債務免除を受けた金額を益金の額に算入する。
2. 会社が役員に対して無利息で金銭の貸付けを行った場合、原則として、通常収受すべき利息に相当する金額が、会社の益金の額に算入される。
3. 役員が所有する建物を適正な時価の2分の1以上かつ時価未満の価額で会社に譲渡した場合、役員は、時価相当額を譲渡価額として譲渡所得の計算を行う。
4. 会社が役員に対して支給した退職金は、不相当に高額な部分の金額など一定のものを除き、損金の額に算入することができる。
正解:
1. 正しい記述です。法人が儲けた場合は、その額を益金に算入します。
2. 正しい記述です。法人が無償で役務の提供をした場合は、益金を計上する必要があります。
3. 個人が時価の2分の1未満の価格で資産を譲渡した場合、譲渡所得の計算上、時価相当額で譲渡したものとみなされますが、時価未満かつ時価の2分の1以上の価格で譲渡した場合は、実際に譲渡した金額を元に譲渡所得を計算します。
4. 正しい記述です。
【問40】
決算書の分析に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 流動比率(%)は、「流動資産÷総資産×100」の算式で計算される。
2. 当座比率(%)は、「当座資産÷流動負債×100」の算式で計算される。
3. 固定比率(%)は、「固定資産÷自己資本×100」の算式で計算される。
4. 自己資本比率(%)は、「自己資本÷総資産×100」の算式で計算される。
正解:
1. 流動比率=流動資産÷流動負債です。
2. 正しい記述です。
3. 正しい記述です。
4. 正しい記述です。

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