お金の寺子屋

FP2級学科解説-2022年9月・問1~10

【問1】
ファイナンシャル・プランナー(以下「FP」という)の顧客に対する行為に関する次の記述のうち、関連法規に照らし、最も不適切なものはどれか。
1. 社会保険労務士の登録を受けていないFPのAさんは、ライフプランの相談に来た顧客に対して、老齢基礎年金や老齢厚生年金の受給要件や請求方法の概要を有償で説明した。
2. 弁護士の登録を受けていないFPのBさんは、資産管理の相談に来た顧客の求めに応じ、有償で、当該顧客を委任者とする任意後見契約の受任者となった。
3. 金融商品取引業の登録を受けていないFPのCさんは、金融資産運用に関心のある不特定多数の者に対して、有価証券の価値の分析に基づき、インターネットを利用して個別・相対性の高い投資情報を有償で提供した。
4. 生命保険募集人の登録を受けていないFPのDさんは、ライフプランの相談に来た顧客に対して、生命保険の一般的な商品性や活用方法を有償で説明した。
正解:
1. 老齢基礎年金は老齢厚生年金の受給要件や請求方法の概要は、一般的な説明に該当します。一般的な説明は、有償無償を問わず、誰でもすることができます。
2. 任意後見契約の受任者となる為に保有しておくべき資格はありません。
3. 個別・相対性の高い投資情報の提供を有償で行うためには、金融商品取引業の登録を受ける必要があります。
4. 生命保険の一般的な商品性や活用方法の説明は、一般的な説明に該当します。一般的な説明は、有償無償を問わず、誰でもすることができます。
【問2】
公的医療保険に関する次の記述の空欄(ア)~(エ)にあてはまる語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。

健康保険の被保険者資格を喪失した者で、喪失日の前日までに引き続き2ヵ月以上被保険者であった者は、所定の申出により、最長で( ア )年間、健康保険の任意継続被保険者となることができる。
全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)の場合、( イ )保険料率は、都道府県ごとに定められているのに対して、( ウ )保険料率は、全国一律に定められている。
国民健康保険の被保険者が( エ )に達すると、その被保険者資格を喪失し、後期高齢者医療制度の被保険者となる。
1. (ア)3 (イ)介護 (ウ)一般 (エ)75歳
2. (ア)2 (イ)一般 (ウ)介護 (エ)75歳
3. (ア)3 (イ)一般 (ウ)介護 (エ)70歳
4. (ア)2 (イ)介護 (ウ)一般 (エ)70歳
正解:
1. 健康保険の任意継続被保険者となることができるのは、最長2年間です。
2. 協会けんぽの一般保険料率は、都道府県ごとに異なります。
3. 協会けんぽの介護保険料率は、全国一律です。
4. 後期高齢者医療制度の被保険者は、75歳以上の人です。
【問3】
雇用保険法に基づく育児休業給付および介護休業給付に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 育児休業給付金は、一般被保険者の休業開始日前1年間に、みなし被保険者期間が通算して6ヵ月以上なければ支給されない。
2. 育児休業給付金の支給額は、1支給単位期間について、休業開始日から休業日数が通算して300日に達するまでの間は、原則として、休業開始時賃金日額に支給日数を乗じて得た額の67%相当額である。
3. 介護休業給付金は、同一の対象家族について介護休業を分割して取得する場合、休業開始日から休業日数が通算して93日に達するまでに5回を限度として支給される。
4. 一般被保険者の配偶者の父母は、介護休業給付金の支給対象となる家族に該当する。
正解:
1. 育児休業給付金は、一般被保険者の休業開始日前2年間に、みなし被保険者期間が通算して12ヵ月以上なければ支給されません。
2. 休業開始時賃金日額の67%相当額の育児休業給付金が支払われるのは、休業開始から180日までです(以降は、同50%相当額の支給になります。)。
3. 介護休業給付金は同一の対象家族について介護休業を分割して取得する場合、通算93日まで、3回を限度に支給されます。
4. 正しい記述です。
【問4】
国民年金の保険料に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 国民年金の付加保険料は、将来の一定期間の保険料を前納することができ、前納する期間に応じて所定の額が控除される。
2. 第1号被保険者で障害基礎年金または障害等級1級もしくは2級の障害厚生年金を受給している者は、原則として、所定の届出により、保険料の納付が免除される。
3. 第1号被保険者が出産する場合、所定の届出により、出産予定月の前月から4ヵ月間(多胎妊娠の場合は出産予定月の3ヵ月前から6ヵ月間)、保険料の納付が免除される。
4. 保険料免除期間に係る保険料を追納する場合、追納保険料は、追納する時期にかかわらず、免除された時点における保険料の額となる。
正解:
1. 正しい記述です。前納すると、保険料が安くなります。
2. 正しい記述です。法定免除の説明です。
3. 正しい記述です。国民年金の第1号被保険者に対する産前産後の保険料免除制度の説明です。
4. 免除や納付猶予を受けた期間の翌年度から起算して、3年度目以降に保険料を追納する場合、承認を受けた当時の保険料額に、経過期間に応じた加算額が上乗せされます。
【問5】
公的年金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、本問においては、厚生年金保険法の「被扶養配偶者である期間についての特例」による標準報酬の改定を「3号分割」という。
1. 遺族厚生年金の受給権者が、65歳到達日に老齢基礎年金の受給権を取得した場合、遺族厚生年金が支給される際には老齢基礎年金も併給される。
2. 同一の事由により、障害厚生年金と労働者災害補償保険法に基づく障害補償年金が支給される場合、障害補償年金は所定の調整率により減額され、障害厚生年金は全額支給される。
3. 離婚時における厚生年金保険の3号分割の対象となるのは、1986年4月以降の国民年金の第3号被保険者であった期間における、当該第3号被保険者の配偶者に係る厚生年金保険の保険料納付記録(標準報酬月額・標準賞与額)である。
4. 老齢厚生年金や遺族厚生年金等の年金給付を受ける権利(基本権)は、原則として、その支給すべき事由が生じた日から5年を経過したときに時効により消滅する。
正解:
1. 正しい記述です。老齢基礎年金と遺族厚生年金は併給されます。
2. 正しい記述です。
3. 3号分割の対象となるのは、2008年(平成20年)4月1日以後の婚姻期間中の厚生年金記録です。
4. 正しい記述です。公的年金の給付を受ける権利は、原則として、権利が発生してから5年を経過したときに、時効によって消滅します。

【問6】
国民年金基金、小規模企業共済および中小企業退職金共済に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 国民年金基金には、国民年金の第1号被保険者だけでなく第3号被保険者も加入することができる。
2. 国民年金基金には、国内に住所を有する60歳以上65歳未満の国民年金の任意加入被保険者も加入することができる。
3. 小規模企業共済に加入した場合、支払った掛金額に2分の1を乗じた額が小規模企業共済等掛金控除として所得税の所得控除の対象となる。
4. 中小企業退職金共済に新規で加入する事業主は、加入月から1年間、掛金月額の2分の1相当額(従業員ごとに5,000円が上限)について国の助成を受けることができる。
正解:
1. 国民年金基金に加入することができるのは、国民年金の第1号被保険者と、これに準じた扱いを受ける任意加入被保険者だけです。
2. 正しい記述です。
3. 小規模企業共済の掛金は、全額が小規模企業共済等掛金控除の対象となります。
4. 中退共の掛金の助成を受けることができるのは、加入後4ヵ月目から1年間です。助成額は、掛金月額の2分の1相当額(従業員ごとに5,000円が上限)です。
【問7】
個人年金保険の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 確定年金では、年金受取開始日前に被保険者(=年金受取人)が死亡した場合、死亡給付金受取人が契約時に定められた年金受取総額と同額の死亡給付金を受け取ることができる。
2. 変額個人年金保険は、特別勘定による運用実績によって、将来受け取る年金額や死亡給付金額は変動するが、解約返戻金額は変動しない。
3. 夫婦年金では、夫婦が共に生存している場合に年金を受け取ることができ、夫婦のいずれか一方が死亡した場合、その時点で契約が消滅して年金支払いは終了する。
4. 終身年金では、他の契約条件が同一の場合、保険料は被保険者が女性の方が男性よりも高くなる。
正解:
1. 個人年金保険では年金受け取り開始日前に被保険者が死亡した場合、既払込保険料相当額をベースに計算された死亡給付金が支払われます。支払われる予定であった年金額は関係ありません。
2. 変額個人年金保険では、解約返戻金に最低保証はありません(死亡給付金額には最低保証があります)。
3. 夫婦年金では、夫婦のいずれか一方が生存している場合に年金を受け取ることができます。
4. 正しい記述です。個人年金保険は、予定死亡率が低いほど保険料が高くなりますから、他の条件を同じとすると、平均寿命が長い女性の方が男性よりも保険料が高いです。
【問8】
公的年金等に係る税金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
1. 老齢基礎年金および老齢厚生年金は、その年中に受け取る当該年金の収入金額から公的年金等控除額を控除した金額が一時所得として所得税の課税対象となる。
2. 障害基礎年金および障害厚生年金は、所得税の非課税所得となる。
3. 老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給者が死亡した場合において、その者に支給されるべき年金給付のうち、まだ支給されていなかったもの(未支給年金)は、当該年金を受け取った遺族の一時所得として所得税の課税対象となる。
4. 国民年金の保険料および国民年金基金の掛金は、いずれも社会保険料控除として所得税の所得控除の対象となる。
正解:
1. 老齢基礎年金や老齢厚生年金は、雑所得として所得税の課税対象となります。
2. 正しい記述です。
3. 正しい記述です。未支給年金は相続財産ではなく、未支給年金の請求権は請求権者固有の権利ですから、受け取った未支給年金は、一時所得として所得税の課税対象になります。
4. 正しい記述です。
【問9】
住宅金融支援機構と金融機関が提携した住宅ローンであるフラット35(買取型)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. フラット35の融資額は、住宅の建設費または購入価額以内で、最高1億円である。
2. フラット35の返済方法は、元利均等返済に指定されている。
3. 店舗付き住宅などの併用住宅を建築する場合、住宅部分・非住宅部分の床面積の割合に関係なく、フラット35を利用することができる。
4. 住宅金融支援機構は、融資を実行する金融機関から住宅ローン債権を買い取り、対象となる住宅の第1順位の抵当権者となる。
正解:
1. フラット35の融資額は、最高8,000万円です。
2. フラット35の返済方法は、元利均等返済と元金均等返済の両方が認められています。
3. 店舗併用住宅の取得のためにフラット35を利用しようとする場合、床の2分の1以上が住宅部分でなくてはなりません。
4. 正しい記述です。
【問10】
中小企業の資金調達の各種方法と一般的な特徴に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 私募債は、少数の特定の投資家が直接引き受ける社債であり、企業が資本市場から直接資金を調達(直接金融)する手段の1つである。
2. 信用保証協会保証付融資(マル保融資)は、中小企業者が金融機関から融資を受ける際に信用保証協会が保証するものであり、利用するためには、業種に応じて定められた資本金の額(出資の総額)または常時使用する従業員数の要件を満たす必要がある。
3. ABL(動産・債権担保融資)は、企業が保有する売掛債権や在庫・機械設備等の動産あるいは知的財産等を担保に資金を調達する方法であり、不動産担保や個人保証に過度に依存することなく資金を調達できるというメリットがある。
4. インパクトローンは、米ドル等の外貨によって資金を調達する方法であり、その資金使途は、海外事業の展開・再編に係るものに限定されている。
正解:
1. 正しい記述です。
2. 正しい記述です。
3. 正しい記述です。ABLは、Asset Based Lendingの略で、資産ベースの(=資産に着目した)融資という意味です。
4. インパクトローンは、資金使途を限定しない、外貨による借入れです。

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