FP2級学科解説-2022年1月・問41~50
【問41】
不動産の登記や調査に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 抵当権の設定を目的とする登記では、債権額や抵当権者の氏名または名称は、不動産の登記記録の権利部乙区に記載される。 |
2. | 不動産の登記記録は、当該不動産の所在地である市区町村の役所や役場に備えられている。 |
3. | 区分建物を除く建物に係る登記記録において、床面積は、壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積(壁芯面積)により記録される。 |
4. | 同一の不動産について二重に売買契約が締結された場合、譲受人相互間においては、売買契約の締結の先後にかかわらず、原則として、所有権移転登記を先にした者が、他方に対して当該不動産の所有権の取得を対抗することができる。 |
正解:2 | |
1. | 正しい記述です。所有権以外の権利に関する事項は、権利部乙区に記載されます。 |
2. | 不動産の登記記録は、法務局に備えられています。 |
3. | 正しい記述です。建物の登記簿面積は、一戸建ての場合は壁芯面積、マンションなどの区分所有建物の場合は内法面積です。 |
4. | 正しい記述です。不動産の所有権の対抗要件は登記です。 |
【問42】
不動産鑑定評価基準における不動産の価格を求める鑑定評価の手法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 収益還元法のうちDCF法は、連続する複数の期間に発生する純収益および復帰価格を、その発生時期に応じて現在価値に割り引き、それぞれを合計して対象不動産の価格を求める手法である。 |
2. | 収益還元法のうち直接還元法は、対象不動産の一期間の総収入を還元利回りで還元して対象不動産の価格を求める手法である。 |
3. | 取引事例比較法では、取引事例の取引時点が価格時点と異なり、その間に価格水準の変動があると認められる場合、当該取引事例の価格を価格時点の価格に修正しなければならない。 |
4. | 原価法は、価格時点における対象不動産の再調達原価を求め、この再調達原価について減価修正を行って対象不動産の価格を求める手法である。 |
正解:2 | |
1. | 正しい記述です。 |
2. | 直接還元法は、対象不動産の一期間の純収益を還元利回りで還元して不動産の価格を求める手法です。 |
3. | 正しい記述です。 |
4. | 正しい記述です。 |
【問43】
不動産の売買契約に係る民法の規定に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、特約については考慮しないものとする。
1. | 買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が契約の履行に着手するまでは、売主は受領した解約手付を返還して当該契約の解除をすることができる。 |
2. | 売主が種類または品質に関して契約の内容に適合しないことを知りながら、売買契約の目的物を買主に引き渡した場合、買主は、その不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しなければ、その不適合を理由として契約の解除をすることができない。 |
3. | 売買の目的物である建物が、売買契約締結後から引渡しまでの間に台風等の天災によって滅失した場合、買主は売買代金の支払いを拒むことができない。 |
4. | 売買契約締結後、買主の責めに帰さない事由により、当該契約の目的物の引渡債務の全部が履行不能となった場合、買主は履行の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。 |
正解:4 | |
1. | 売主が手付解除を行う場合には、買主に対して手付金の倍額相当額を償還しなくてはいけません。 |
2. | 売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、契約不適合責任に基づく請求をすることができなくなります。但し、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りではありません。 |
3. | 不動産の危険負担は、原則として、売主負担とされています。 |
4. | 正しい記述です。履行不能の場合、相当の期間を定めて履行の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができます。 |
【問44】
民法および借地借家法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、本問においては 借地借家法第38条による定期建物賃貸借契約を定期借家契約といい、それ以外の建物賃貸借契約を普通借家契約という。また、記載された特約以外のものについては考慮しないものとする。
1. | 期間の定めがある普通借家契約において、賃借人は、正当の事由がなければ、賃貸人に対し、更新しない旨の通知をすることができない。 |
2. | 賃借人は、建物の引渡しを受けた後にこれに生じた損傷であっても、通常の使用および収益によって生じた建物の損耗ならびに経年変化によるものである場合、賃貸借が終了したときに、その損傷を原状に復する義務を負わない。 |
3. | 定期借家契約を締結するときは、賃貸人は、あらかじめ、賃借人に対し、契約の更新がなく期間満了により賃貸借が終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。 |
4. | 定期借家契約において、経済事情の変動があっても賃貸借期間中は賃料を増減額しないこととする特約をした場合、その特約は有効である。 |
正解:1 | |
1. | 普通借家契約においては、賃借人が契約の更新を拒むために、正当事由は要求されません。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | 正しい記述です。 |
4. | 正しい記述です。普通借家契約においては、賃料を増額しない旨の特約は有効で、減額しない旨の特約は無効ですが、定期借家契約においては、賃料を増額しない旨の特約と減額しない旨の特約はどちらも有効です。 |
【問45】
都市計画法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 市街化区域は、すでに市街地を形成している区域およびおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域とされている。 |
2. | 市街化区域内で行う開発行為は、その規模が一定面積未満であれば、都道府県知事等の許可を必要としない。 |
3. | 用途地域は、土地の計画的な利用を図るために定められるもので、住居の環境を保護するための8地域と工業の利便を増進するための3地域の合計11地域とされている。 |
4. | 市街化調整区域内において、農業を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為は、開発許可を受ける必要はない。 |
正解:3 | |
1. | 正しい記述です。 |
2. | 正しい記述です。ちなみに、市街化調整区域では、面積に関わらず許可が必要です。 |
3. | 用途地域は、住居型8種類、商業系2種類、工業系3種類の全13種類です。 |
4. | 正しい記述です。 |
【問46】
都市計画区域および準都市計画区域内における建築基準法の規定に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 敷地の前面道路の幅員が12m未満である建築物の容積率は、原則として、「都市計画で定められた容積率」と「前面道路の幅員に一定の数値を乗じて得たもの」とのいずれか低い方が上限となる。 |
2. | 防火地域内に耐火建築物を建築することにより、建蔽率の制限については緩和措置の適用を受けることができるが、容積率の制限については緩和措置の適用を受けることができない。 |
3. | 建築物の高さに係る隣地斜線制限は、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域および田園住居地域には適用されない。 |
4. | 日影規制(日影による中高層の建築物の高さの制限)は、原則として、工業地域および工業専用地域を除く用途地域における建築物に適用される。 |
正解:4 | |
1. | 正しい記述です。 |
2. | 正しい記述です。建ぺい率の緩和要件と容積率の緩和要件は異なります。 |
3. | 正しい記述です。 |
4. | 日影規制は、原則として、商業地域、工業地域工、業専用地域以外の用途地域における建築物に適用されます。 |
【問47】
不動産に係る固定資産税および都市計画税に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 土地および家屋に係る固定資産税の標準税率は1.4%と定められているが、各市町村は条例によってこれと異なる税率を定めることができる。 |
2. | 家屋に係る固定資産税は、毎年1月1日における家屋の所有者に対して課される。 |
3. | 住宅用地に係る固定資産税の課税標準については、住宅1戸当たり330m2以下の部分について課税標準となるべき価格の6分の1相当額とする特例がある。 |
4. | 都市計画税は、都市計画区域のうち、原則として市街化区域内に所在する土地または家屋の所有者に対して課される。 |
正解:3 | |
1. | 正しい記述です。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | 固定資産税の計算において、住宅用地に係る課税標準を、住宅一戸あたり200㎡以下の部分について、課税標準となるべき価格の6分の1相当額とする特例があります。 |
4. | 正しい記述です。 |
【問48】
個人が土地を譲渡した場合の譲渡所得に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 相続人が相続により取得した土地を譲渡した場合、その土地の所有期間を判定する際の取得の日は、相続人が当該相続を登記原因として所有権移転登記をした日である。 |
2. | 土地の譲渡が長期譲渡所得に区分される場合、課税長期譲渡所得に対して、原則として、所得税(復興特別所得税を含む)15.315%、住民税5%の税率により課税される。 |
3. | 土地を譲渡する際に支出した仲介手数料は、譲渡所得の金額の計算上、譲渡費用に含まれる。 |
4. | 譲渡所得の金額の計算上、譲渡した土地の取得費が不明な場合には、譲渡収入金額の5%相当額を取得費とすることができる。 |
正解:1 | |
1. | 相続によって取得した資産を譲渡した場合、譲渡所得の計算において、その資産の取得日は被相続人の取得日を引き継ぎます。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | 正しい記述です。 |
4. | 正しい記述です。 |
【問49】
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除(以下「3,000万円特別控除」という)および居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例(以下「軽減税率の特例」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. | 3,000万円特別控除は、居住用財産を配偶者に譲渡した場合には適用を受けることができない。 |
2. | 3,000万円特別控除は、居住用財産を居住の用に供さなくなった日から6ヵ月を経過する日までに譲渡しなければ、適用を受けることはできない。 |
3. | 軽減税率の特例は、譲渡した居住用財産の所有期間が、譲渡した日の属する年の1月1日において5年を超えていれば、適用を受けることができる。 |
4. | 軽減税率の特例では、課税長期譲渡所得金額のうち1億円以下の部分の金額について、所得税(復興特別所得税を含む)10.21%、住民税4%の軽減税率が適用される。 |
正解:1 | |
1. | 正しい記述です。3,000万円特別控除の特例は、親子や夫婦など特別な関係にある人に対して譲渡した場合には、適用を受けることができません。 |
2. | 3,000万円特別控除の特例の適用を受けるためには、以前に居住の用に居していた資産を、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡する必要があります。 |
3. | 軽減税率の特例は、譲渡した居住用財産の所有期間が、譲渡した日の属する年の1月1日において10年を超えていなければ、適用を受けることができません。 |
4. | 軽減税率の特例を受けると、課税長期譲渡所得金額のうち、6,000万円以下の部分の金額について、所得税(復興特別所得税を含む)10.21%、住民税4%が適用されます。 |
【問50】
不動産の有効活用の手法等の一般的な特徴に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 等価交換方式では、土地所有者は、土地の所有権の一部(持分)を譲渡することにより、その共有地上に建設された建物を全部取得することとなる。 |
2. | 事業受託方式では、土地の有効活用の企画、建設会社の選定や当該土地上に建設された建物の管理・運営等をデベロッパーに任せ、建設資金の調達や返済は土地所有者が行うこととなる。 |
3. | 建設協力金方式では、土地所有者が土地上に建設するビルや店舗等を借り受ける予定のテナント等から、建設資金の全部または一部を借り受け、当該建物を建設することとなる。 |
4. | 定期借地権方式では、土地所有者は、土地を一定期間貸し付けることによる地代収入を得ることができ、借地期間中の当該土地上の建物の所有名義は借地権者となる。 |
正解:1 | |
1. | 等価交換方式では、有効活用後の土地と建物の名義は、どちらも地主とデベロッパーの共有となります。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | 正しい記述です。 |
4. | 正しい記述です。 |
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