お金の寺子屋

FP2級学科解説-2022年1月・問31~40

【問31】
わが国の税制に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 所得税では、課税対象となる所得を10種類に区分し、それぞれの所得の種類ごとに定められた計算方法により所得の金額を計算する。
2. 贈与税では、納税者が贈与を受けた財産を申告した後に、税務署長が納付すべき税額を決定する賦課課税方式を採用している。
3. 税金を負担する者と税金を納める者が異なる税金を間接税といい、相続税は間接税に該当する。
4. 税金には国税と地方税があるが、不動産取得税は国税に該当し、固定資産税は地方税に該当する。
正解:
1. 正しい記述です。
2. 贈与税は、納税者が税額を計算する申告納税方式の税金です。
3. 相続税は、税金を負担する人と税金を納める人が同じ、直接税に該当します。
4. 不動産取得税の課税主体は都道府県ですから、不動産取得税は地方税に該当します。ちなみに、固定資産税の課税主体は市町村ですから、固定資産税の地方税に該当します
【問32】
所得税における各種所得に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。所得税における各種所得に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 退職一時金を受け取った退職者が、「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合、所得税および復興特別所得税として、退職一時金の支給額の20.42%が源泉徴収される。
2. 個人事業主が事業資金で購入した株式について、配当金を受け取ったことによる所得は、配当所得となる。
3. 不動産の貸付けを事業的規模で行ったことにより生じた賃貸収入による所得は、事業所得となる。
4. 会社員が勤務先から無利息で金銭を借りたことにより生じた経済的利益は、雑所得となる。
正解:
1. 退職一時金を受け取った退職者が「退職所得の受給に関する申告書」を提出した場合、退職所得に係る適正な所得税額が計算されて、源泉徴収が行われます。なお、問題文は、同申告書を提出しなかった場合の記述です。
2. 正しい記述です。所得の種類は、資金の出所によって変わることはありません。
3. 不動産の貸付を行ったことにより生じた賃貸収入による所得は、その貸付の規模を問わず、不動産所得になります。
4. 会社員が勤務先から無利息で金銭を借りたことにより生じた経済的利益は、給与所得となります。
【問33】
所得税の損益通算に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 全額自己資金により購入したアパートの貸付けによる不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額は、給与所得の金額と損益通算することができる。
2. コンサルティング事業を行ったことによる事業所得の金額の計算上生じた損失の金額は、不動産所得の金額と損益通算することができる。
3. 生命保険を解約して解約返戻金を受け取ったことによる一時所得の金額の計算上生じた損失の金額は、公的年金に係る雑所得の金額と損益通算することができる。
4. 一般口座で保有している上場株式を譲渡したことによる譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額は、申告分離課税を選択した上場株式に係る配当所得の金額と損益通算することができる。
正解:
1. 正しい記述です。
2. 正しい記述です。
3. 一時所得の計算上生じた損失は、他の所得と損益通算することができません。
4. 正しい記述です。
【問34】
所得税における所得控除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 納税者が医療費を支払った場合には、支払った医療費の金額の多寡にかかわらず、その年中に支払った金額の全額を、医療費控除として控除することができる。
2. 納税者が自己の負担すべき社会保険料を支払った場合には、支払った社会保険料の金額の多寡にかかわらず、その年中に支払った金額の全額を、社会保険料控除として控除することができる。
3. 納税者が生命保険の保険料を支払った場合には、支払った保険料の金額の多寡にかかわらず、その年中に支払った金額の全額を、生命保険料控除として控除することができる。
4. 納税者が国に対して特定寄附金を支払った場合には、支払った特定寄附金の金額の多寡にかかわらず、その年中に支払った金額の全額を、寄附金控除として控除することができる。
正解:
1. 医療費控除の額は、医療費控除の対象になる金額から所定の金額を控除した残りの金額です。
2. 正しい記述です。
3. 生命保険料控除の額は、所得税の計算においては、各区分最高4万円までしか控除することができません。
4. 寄付金控除の額は、寄付金控除の対象になる金額(総所得金額等の40%を上限とする)から2,000円を控除した残りの金額です。
【問35】
所得税における住宅借入金等特別控除(以下「住宅ローン控除」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 住宅ローン控除の対象となる家屋は、床面積が30m2以上330m2以下でなければならない。
2. 住宅ローン控除の対象となる家屋は、床面積の3分の1以上に相当する部分がもっぱら自己の居住の用に供されるものでなければならない。
3. 住宅ローン控除の適用を受けようとする場合、納税者のその年分の合計所得金額が2,500万円以下でなければならない。
4. 住宅ローン控除の適用を受ける最初の年分は、必要事項を記載した確定申告書に一定の書類を添付し、納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
正解:
1. 住宅ローン控除を受けるための床面積の要件は、50㎡以上(一定の要件を満たした場合には40㎡以上)です。
2. 住宅ローン控除を受けるためには、床面積の2分の1以上を専ら居住の用に供していなくてはいけません。
3. 住宅ローン控除の適用を受けるための合計所得金額の要件は、3,000
万円以下である事です。
4. 正しい記述です。

【問36】
所得税の申告に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 老齢基礎年金および老齢厚生年金を合計で年額350万円受給し、それ以外の所得が原稿料に係る雑所得の金額20万円のみである者は、確定申告を行う必要はない。
2. 年の中途で死亡した者が、その年分の所得税について確定申告を要する場合、その相続人は、相続の開始があったことを知った日の翌日から3ヵ月以内に、死亡した者に代わって確定申告をしなければならない。
3. 1月16日以後新たに業務を開始した者が、その年分から青色申告の適用を受けようとする場合、その業務を開始した日から3ヵ月以内に、「所得税の青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出し、その承認を受けなければならない。
4. 青色申告を取りやめようとする者は、その年の翌年3月31日までに、「所得税の青色申告の取りやめ届出書」を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
正解:
1. 正しい記述です。公的年金等の収入金額が400万円以下であり、かつ、その公的年金等の全部が源泉徴収の対象となる場合において、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下であるときは、所得税等の確定申告は必要ありません。
2. 準確定申告の期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヵ月以内です。
3. 1月16日以後、新たに事業を開始したり不動産の貸付けをした場合に、その年から青色申告の適用を受けようとする場合には、その事業開始等の日から2ヵ月以内に「所得税の青色申告承認申請書」を提出期限しなくてはなりません。
4. 「所得税の青色申告の取りやめ届出書」の提出期限は、青色申告を取りやめようとする年の翌年の3月15日までです。
【問37】
法人税の損金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 役員退職給与を損金の額に算入するためには、所定の時期に確定額を支給する旨の定めの内容に関する届出書をあらかじめ税務署長に提出しなければならない。
2. 2016年4月1日以後に取得した建物附属設備の減価償却方法は、定額法である。
3. 参加者1人当たり5,000円以下の得意先との接待飲食費は、必要とされる書類を保存していれば、税法上の交際費等に該当せず、その全額を損金の額に算入することができる。
4. 損金の額に算入される租税公課のうち、事業税については、原則として、その事業税に係る納税申告書を提出した日の属する事業年度の損金の額に算入することができる。
正解:
1. 役員退職給与は、役員賞与と異なり、不相当に高額でなければ、特に届出をすることなく損金の額に算入することができます。
2. 正しい記述です。
3. 正しい記述です。
4. 正しい記述です。
【問38】
消費税の原則的な取扱いに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 消費税の課税期間に係る基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は免税事業者に該当し、「消費税課税事業者選択届出書」を提出する場合を除き、その課税期間において消費税の課税事業者となることはない。
2. 消費税の課税事業者が行う土地の譲渡は、非課税取引に該当する。
3. 消費税の免税事業者が「消費税課税事業者選択届出書」を提出して消費税の課税事業者となったときは、事業を廃止した場合を除き、原則として3年間は消費税の免税事業者に戻ることができない。
4. 消費税の課税事業者である個人は、原則として、その年の翌年3月15日までに、消費税の確定申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
正解:
1. 消費税の課税期間に係る基準期間における課税売上高が1,000万円以下であったとしても、特定期間における給与等支払額の合計額および課税売上高がいずれも1,000万円を超える場合など、一定の要件に該当した場合には、課税事業者となります。
2. 正しい記述です。
3. 消費税課税事業者選択届出書を提出すると、原則として、2年間は消費税の免税事業者に戻ることができなくなります。
4. 消費税の確定申告期限は、個人の課税事業者の場合、原則として、翌年の3月31日です。
【問39】
会社と役員間の取引に係る所得税・法人税に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 会社が所有する建物を適正な時価よりも高い価額で役員に譲渡した場合、譲渡価額と時価の差額が会社の受贈益となる。
2. 会社が役員に無利息で金銭の貸付けを行った場合、原則として、通常収受すべき利息に相当する金額が、会社の益金の額に算入される。
3. 役員が会社の所有する社宅に無償で居住している場合、原則として、通常の賃貸料相当額が、役員の給与所得の収入金額に算入される。
4. 役員が所有する土地を時価の2分の1未満の価額で会社に譲渡した場合、時価の2分の1に相当する金額が役員の譲渡所得の収入金額に算入される。
正解:
1. 正しい記述です。
2. 正しい記述です。会社が役員に対して無利息で金銭の貸し付けを行った場合、給与課税されるとともに、通常収受するべき利息に相当する額が益金に算入されます。
つまり、給与を払ったのと同時に、無償による資産の譲渡又は役務の提供があったと考えられます。法人税法上、法人が無償による資産の譲渡又は役務の提供を行った場合、(お金を受け取っていなくても、正当な対価を得たと考えて)益金を認識しなくてはいけません。
3. 正しい記述です。
4. 役員が所有する資産を時価の2分の1未満の価額で会社に譲渡した場合、時価で譲渡したものとみなされます(役員の譲渡所得の計算上、収入金額は時価となります)。
【問40】
決算書に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 貸借対照表において、純資産の部の合計額がマイナスになることがある。
2. 貸借対照表における資産の部の合計額は、負債の部および純資産の部の合計額と一致する。
3. 損益計算書における売上総利益の額は、売上高の額から売上原価の額を差し引いた額である。
4. 損益計算書における経常利益の額は、売上総利益の額から販売費及び一般管理費の額を差し引いた額である。
正解:
1. 正しい記述です。資産の額よりも負債の額の方が多い場合には、純資産の額がマイナスになります。
2. 正しい記述です。
3. 正しい記述です。
4. 経常利益=営業利益+営業外収益-営業外費用です。なお、問題文は営業利益の説明です。

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