お金の寺子屋

FP2級学科解説-2019年5月・問31~40

【問31】
所得税の原則的な仕組みに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 所得税では、納税者本人が自主的に所得の金額とこれに対応する税額を計算し、申告・納付する申告納税方式を採用している。
2. 所得税は、個人が1月1日から12月31日までの暦年単位で得た所得に対して課される。
3. 所得税では、課税対象となる所得を10種類に区分し、それぞれの所得の種類ごとに定められた計算方法により所得の金額を計算する。
4. 課税総所得金額に対する所得税額は、課税総所得金額の多寡にかかわらず、一律の税率により計算する。
正解:
1. 正しい記述です。
2. 正しい記述です。
3. 正しい記述です。
4. 課税総所得金額に対しては、超過累進税率を適用して所得税額を計算します。
【問32】
所得税における各種所得に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 賃貸していた土地および建物を売却したことによる所得は、不動産所得に該当する。
2. 貸付けが事業的規模で行われているアパート経営の賃貸収入に係る所得は、事業所得に該当する。
3. 会社員が勤務先から無利息で金銭を借り入れたことによる経済的利益は、雑所得に該当する。
4. 専業主婦が金地金を売却したことによる所得は、譲渡所得に該当する。
正解:
1. 譲渡所得になります。
2. 不動産の貸し付けに係る所得は、その規模を問わず、不動産所得になります。
3. 給与所得になります。
4. 正しい記述です。
【問33】
Aさんの2018年分の所得の金額が下記のとおりであった場合の所得税における総所得金額として、最も適切なものはどれか。なお、▲が付された所得の金額は、その所得に損失が発生していることを意味するものとする。

給与所得の金額 600万円
不動産所得の金額 ▲40万円(不動産所得を生ずべき土地の取得に要した負債の利子 10万円を含む金額)
譲渡所得の金額 ▲50万円(ゴルフ会員権を譲渡したことによるもの)
1. 570万円
2. 560万円
3. 520万円
4. 510万円
正解:
不動産所得のマイナスは土地取得のための借入金の利子を除いて、損益通算をすることができます。
また、生活に通常必要でない資産に係る譲渡所得のマイナスは、損益通算することができません。
よって、総所得金額=600万円-(40万円-10万円)=570万円となります。
【問34】
所得税における医療費控除に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、「特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例」は考慮しないものとする。
1. 医療費控除の控除額は、その年中に支払った医療費の合計額(保険金等により補てんされる部分の金額を除く)から、その年分の総所得金額等の5%相当額または10万円のいずれか低い方の金額を控除して算出され、最高200万円である。
2. 医師等による診療等を受けるために自家用車を利用した場合、その際に支払った駐車場代は、医療費控除の対象となる。
3. 風邪の治療のための医薬品の購入費は、医師の処方がない場合においても、医療費控除の対象となる。
4. 健康診断により重大な疾病が発見され、かつ、当該診断に引き続きその疾病の治療をした場合の健康診断の費用は、医療費控除の対象となる。
正解:
1. 正しい記述です。
2. 治療を受けるために支払った自家用車の駐車場代は、医療費控除の対象とはなりません。
3. 正しい記述です。
4. 正しい記述です。医療費控除額の計算上、健康診断により重大な疾病が発見された場合、当該健康診断も治療の一部と考えます。
【問35】
所得税における住宅借入金等特別控除(以下「住宅ローン控除」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 住宅ローン控除の適用を受けるためには、納税者のその年分の合計所得金額が3,000万円以下でなければならない。
2. 住宅ローン控除の対象となる家屋については、床面積が50㎡以上であり、その3分の1以上に相当する部分が専ら自己の居住の用に供されるものでなければならない。
3. 住宅ローン控除の対象となる居住用の家屋は、建築後使用されたことのない新築の家屋のみであり、中古の家屋は対象とならない。
4. 住宅ローン控除は、納税者が給与所得者である場合、所定の書類を勤務先に提出することにより、住宅を取得し、居住の用に供した年分から年末調整により適用を受けることができる。
正解:
1. 正しい記述です。
2. 住宅ローン控除の対象となる家屋については、床面積が50㎡以上で、その2分の1以上を専ら自己の居住の用に供している必要があります。
3. 中古の家屋も、一定要件を満たせば住宅ローン控除の対象になります。
4. 給与所得者が住宅ローン控除を受けようとする場合、1年目のみ確定申告が必要で、2年目以降は年末調整を受けることができます。

【問36】
次のうち、所得税の確定申告を要する者はどれか。なお、いずれも適切に源泉徴収等がされ、年末調整すべきものは年末調整が済んでいるものとする。
1. 給与として1ヵ所から年額1,500万円の支払いを受けた給与所得者
2. 退職一時金として2,500万円の支払いを受け、その支払いを受ける時までに「退職所得の受給に関する申告書」を提出している者
3. 同族会社である法人1ヵ所から給与として年額1,200万円の支払いを受け、かつ、その法人から不動産賃貸料として年額12万円の支払いを受けたその法人の役員
4. 老齢基礎年金および老齢厚生年金を合計で年額300万円受給し、かつ、原稿料に係る雑所得が年額12万円ある者
正解:
1. 給与収入が2,000万円以下である場合、確定申告は不要です。
2. 退職所得の受給に関する申告書を提出している場合、当該退職所得について確定申告をする必要はありません。
3. 同族会社の役員やその親族などで、その同族会社からの給与のほかに、貸付金の利子、店舗・工場などの賃貸料、機械・器具の使用料などの支払を受けた場合、確定申告をする必要があります。
4. 公的年金等の収入金額が400万円以下であり、かつ、その公的年金等の全部が源泉徴収の対象となる場合において、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下であるときは、所得税等の確定申告は必要ありません。
<参考>
国税庁ホームページ「確定申告が必要な方
【問37】
法人税の仕組みに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 法人税額は、各事業年度の確定した決算に基づく当期純利益の額に税率を乗じて算出される。
2. 期末資本金の額が1億円以下の一定の中小法人に対する法人税は、事業年度の所得の金額が年1,000万円以下の部分と年1,000万円超の部分で乗じる税率が異なる。
3. 法人税の確定申告による納付は、原則として、各事業年度終了の日の翌日から2ヵ月以内にしなければならない。
4. 法人は、その本店もしくは主たる事務所の所在地または当該代表者の住所地のいずれかから法人税の納税地を任意に選択することができる。
正解:
1. 法人税額は、法人税法上の所得(各事業年度の確定した決算に、損金と益金の算入額・不算入額を加減算したもの)に、税率を乗じます。
2. 期末資本金の額が1億円以下の一定の中小法人に対する法人税は事業年度の所得の金額が、年800万円以下の部分(15%)と800万円超の部分(23.2%)で乗じる税率が異なります。
3. 正しい記述です。
4. 法人税は、法人の代表者の住所地を所轄する地に納めるものではありません。
【問38】
次に掲げる費用等のうち、法人税の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入されないものはどれか。
1. 法人が納付した固定資産税および都市計画税
2. 法人が納付した法人住民税の本税
3. 法人が減価償却費として損金経理した金額のうち、償却限度額に達するまでの金額
4. 法人が国または地方公共団体に対して支払った寄附金(確定申告書に明細を記載した書類の添付あり)
正解:
1. 固定資産税と都市計画税は損金の額に算入されます。
2. 法人住民税は益金を得るための支出ではありませんので、損金には算入されません。
3. 償却限度額に達するまでの減価償却費は、損金の額に算入されます。
4. 国又は地方公共団体に対して支払った寄付金は、一定要件を満たせば、損金の額に算入されます。
【問39】
消費税に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 特定期間(原則として前事業年度の前半6ヵ月間)の給与等支払額の合計額および課税売上高がいずれも800万円を超える法人は、消費税の免税事業者となることができない。
2. 簡易課税制度の適用を受けた事業者は、課税売上高に従業員数に応じて定められたみなし仕入率を乗じて仕入に係る消費税額を計算する。
3. その課税期間に係る課税売上高が年5億円以下の事業者で、課税売上割合が95%以上の場合の消費税の納付税額は、原則として、課税売上に係る消費税額から課税仕入に係る消費税額を控除して計算する。
4. 個人の課税事業者は、原則として、消費税の確定申告書をその年の翌年3月15日までに納税地の所轄税務署長へ提出しなければならない。
正解:
1. 特定期間の給与等支払額の合計額及び課税売上高がいずれも1,000万円を超える法人は、消費税の免税事業者となることはできません。
2. みなし仕入れ率は業種によって異なります。
3. 正しい記述です。
4. 個人の課税事業者は、原則として、翌年の3月31日までに消費税の確定申告をする必要があります。
【問40】
会社と役員間の取引に係る所得税・法人税に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 役員が所有する土地を会社に無償で譲渡した場合、会社は、適正な時価を受贈益として益金の額に算入する。
2. 会社が所有する資産を役員に譲渡した場合、その譲渡対価が適正な時価の2分の1未満であったときは、適正な時価相当額が役員給与とされる。
3. 会社が所有する社宅に役員が無償で居住している場合には、原則として、通常の賃貸料相当額が、その役員の給与所得の収入金額に算入される。
4. 役員が会社に対して無利息で金銭の貸付けを行った場合には、通常収受すべき利息に相当する金額について、役員には原則として課税されない。
正解:
1. 正しい記述です。
2. 法人が所有する資産を役員に時価よりも低い価格で譲渡した場合、その対価と時価との差額が役員賞与となります。
3. 正しい記述です。
4. 正しい記述です。

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