FP3級実技(個人)解説-2018年5月・問10~15
【問10】~【問12】は、以下の資料を元に解答してください。
<設例>
資産家のAさん(58歳)は、個人で賃貸アパートの経営を検討しており、宅地建物取引業者から紹介を受けた甲土地を取得し、その上に賃貸アパートを建築することを考えている。
Aさんが購入を検討している甲土地の概要は、以下のとおりである。
資産家のAさん(58歳)は、個人で賃貸アパートの経営を検討しており、宅地建物取引業者から紹介を受けた甲土地を取得し、その上に賃貸アパートを建築することを考えている。
Aさんが購入を検討している甲土地の概要は、以下のとおりである。
<甲土地の概要>
※ | 指定建蔽率および指定容積率は、それぞれ都市計画において定められた数値である。 |
※ | 当該区域は、特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域には該当しない。 |
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
【問10】
甲土地を取得する際の権利関係の調査に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. | 法務局で甲土地の登記事項証明書の交付申請を行う場合、甲土地の所有者から当該交付についての承諾を得た旨の書面をもらい、申請時に提出する必要がある。 |
2. | 甲土地の抵当権に関する登記の登記事項は、登記記録の権利部乙区で確認することができる。 |
3. | 仮に、Aさんが登記の記載事項を信頼して甲土地を購入し、記載されていた登記名義人が真実の権利者ではなかった場合であっても、原則として、Aさんは、甲土地に対する所有権を取得することができる。 |
正解:2 (3点)
1. | 登記事項証明書は、所定の手数料を納付すれば、誰でも自由に交付を受ける事ができます。 |
2. | 正しい記述です。抵当権は、所有権以外の権利であり、所有権以外の権利は、権利部乙区に記録されます。 |
3. | 登記には公信力がありませんから、登記事項を信頼して取引を行った人は、登記記録が実態関係と一致していなかった場合でも、原則として保護されません。 |
【問11】
仮に、甲土地上に賃貸アパートを新築する場合の建築基準法による最大延べ面積は、次のうちどれか。
1. | 20m×18m×60%=216㎡ |
2. | 20m×18m×160%=576㎡ |
3. | 20m×18m×200%=720㎡ |
正解:2 (3点)
前面道路の幅員が12m未満ですから、容積率の上限は、指定容積率と、前面道路の幅員×法定乗数のどちらか小さい方になります。
前面道路の幅員×法定乗数=4×4/10=160%<指定容積率200%より、容積率の上限は、160%となります。
前面道路の幅員×法定乗数=4×4/10=160%<指定容積率200%より、容積率の上限は、160%となります。
【問12】
Aさんが賃貸アパートを経営するうえでの留意点に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. | Aさんは、賃貸の開始にあたって、宅地建物取引業者として、都道府県知事の免許を受ける必要がある。 |
2. | 賃借人から賃料を受け取る際、消費税も併せて受領し、年度末に消費税の確定申告書を提出して納付しなければならない。 |
3. | 賃貸アパートの敷地は、Aさんの相続税の課税価格の計算において貸家建付地として評価され、その相続税評価額は「自用地としての評価額-自用地としての評価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合」の算式により算出される。 |
正解:3 (4点)
1. | 自己の建物を自分で賃貸する場合、宅地建物取引業者の免許は不要です。 |
2. | 居住用の建物の家賃には、消費税はかかりません。 |
3. | 正しい記述です。 |
【問13】~【問15】は、以下の資料を元に解答してください。
<設例>
Aさん(76歳)は、最近、自身の相続について考えるようになった。Aさんには妻Bさん(73歳)との間に長女Cさん(43歳)、二女Dさんおよび長男Eさん(38歳)の3人の子がいるが、二女Dさんは平成28年に病気により死亡している。
Aさんは、自身の相続が開始した際には家族に財産を円満に承継してもらいたいと考えており、遺言書の作成を検討している。
Aさんの親族関係図および主な財産の状況等は、以下のとおりである。
Aさん(76歳)は、最近、自身の相続について考えるようになった。Aさんには妻Bさん(73歳)との間に長女Cさん(43歳)、二女Dさんおよび長男Eさん(38歳)の3人の子がいるが、二女Dさんは平成28年に病気により死亡している。
Aさんは、自身の相続が開始した際には家族に財産を円満に承継してもらいたいと考えており、遺言書の作成を検討している。
Aさんの親族関係図および主な財産の状況等は、以下のとおりである。
<Aさんの親族関係図>
<Aさんの主な財産の状況(相続税評価額)>
預貯金:7,000万円
有価証券:3,000万円
自宅の敷地(400㎡):6,000万円
(「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」適用前)
自宅の建物:800万円
賃貸アパートの敷地:3,000万円
賃貸アパートの建物:1,500万円
<Aさんが加入している生命保険契約に関する資料>
保険の種類:終身保険
契約者(=保険料負担者):Aさん
被保険者:Aさん
死亡保険金受取人:妻Bさん
死亡保険金額 :3,000万円
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
【問13】
遺言に関する以下の文章の空欄①~③に入る語句の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。
・ | 遺言者が、遺言の内容をパソコンで入力し、それを出力した用紙に日付および氏名を自書し、これに押印して遺言書を作成した場合、その遺言書は、自筆証書遺言として( ① )である。(注)制度改正あり |
・ | 公正証書遺言は、遺言者が、公証役場において遺言の趣旨を公証人に口授し、公証人がそれを筆記して作成する遺言であり、作成にあたっては証人の立会いは( ② )である。 |
・ | 公正証書遺言は、相続開始後に家庭裁判所における検認の手続が( ③ )である。 |
1. | ①有効 ②必要 ③必要 |
2. | ①無効 ②必要 ③不要 |
3. | ①無効 ②不要 ③必要 |
正解:2 (3点)
① |
自筆証書遺言は、全て手書きで作成しないと無効になります。 【改正後】但し、財産目録は、自筆以外の方法で作成することが出来ます。 |
② | 公正証書遺言の作成にあたっては、2人以上の証人の立会いが必要です。 |
③ | 公正証書遺言は、検認が不要です。 |
【問14】
Aさんの相続が現時点(平成30年5月27日)で開始した場合の相続税に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | Aさんの相続における遺産に係る基礎控除額は、5,400万円である。 |
2. | Aさんの相続が開始した場合、妻Bさんが受け取る死亡保険金は、「500万円×法定相続人の数」で算出した金額を限度として、死亡保険金の非課税金額の規定の適用を受けることができる。 |
3. | Aさんの相続が開始し、妻Bさんが「特定居住用宅地等」に該当する自宅の敷地を相続等により取得し、「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けた場合、相続税の課税価格の計算上、当該敷地は400㎡を限度面積として80%の減額が受けられる。 |
正解:3 (3点)
1. | 正しい記述です。相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数であり、法定相続人の数は4人ですから、基礎控除額は5,400万円になります。 |
2. | 正しい記述です。相続税の課税対象となる生命保険の死亡保険金は、500万円×法定相続人の数まで非課税となります。 |
3. | 特定居住用宅地等に該当する自宅の敷地について、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けた場合、相続税の課税価格の計算上、当該敷地は330㎡まで80%評価減されます。 |
【問15】
Aさんの相続が現時点(平成30年5月27日)で開始し、Aさんの相続における課税遺産総額(課税価格の合計額-遺産に係る基礎控除額)が1億5,000万円であった場合の相続税の総額は、次のうちどれか。
<資料>相続税の速算表(一部抜粋) | ||
法定相続分に 応ずる取得金額 |
税率 | 控除額 |
1,000万円以下 | 10% | - |
1,000万円超 3,000万円以下 |
15% | 50万円 |
3,000万円超 5,000万円以下 |
20% | 200万円 |
5,000万円超 10,000万円以下 |
30% | 700万円 |
10,000万円超 20,000万円以下 |
40% | 1,700万円 |
1. | 2,200万円 |
2. | 2,525万円 |
3. | 2,650万円 |
正解:2 (4点)
相続税の総額の計算をする際には、課税遺産総額を法定相続分で按分したと仮定して計算しますから、妻Bさんが、1億5,000万円の1/2の7,500万円を、残りの3人が同1/6の2,500万円を取得したと考えます。
そうすると、妻Bさんに係る相続税額は、7,500万円×30%-700万円=1,550万円となります。
残りの3人に係る相続税額は、1人当たり、2,500万円×15%-50万円=325万円となります。
したがって、相続税の総額は、1,550万円+325万円×3=2,525万円となります。
そうすると、妻Bさんに係る相続税額は、7,500万円×30%-700万円=1,550万円となります。
残りの3人に係る相続税額は、1人当たり、2,500万円×15%-50万円=325万円となります。
したがって、相続税の総額は、1,550万円+325万円×3=2,525万円となります。
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