FP2級学科解説-2024年9月・問21~30
【問21】
貴金属関連商品の一般的な特徴等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 純金積立では、一般に、ドルコスト平均法に基づき、毎月1回純金の買付けが行われる。 |
2. | 大阪取引所では、金や銀、白金などの貴金属の先物取引が行われている。 |
3. | 東京証券取引所には、金の現物を対象とした上場投資信託(ETF)が上場している。 |
4. | 個人が金地金を売却したことによる所得は、原則として、譲渡所得として総合課税の対象となる。 |
正解:1 | |
1. | 純金積立では、一般に、ドルコスト平均法に基づき、毎営業日純金の買付けが行われます。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | 正しい記述です。 |
4. | 個人が、株式または不動産以外の資産を売却したことによる所得は、原則として、譲渡所得として総合課税の対象となります。 |
【問22】
上場投資信託(ETF)の一般的な特徴に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | ETFを市場で売却する際には、信託財産留保額はかからない。 |
2. | ETFを証券取引所の立会時間中に売買する場合、成行注文や指値注文が可能である。 |
3. | インバース型ETFは、日経平均株価などの指標の日々の変動率に一定の正の倍数を乗じて算出される指数に連動した運用成果を目指して運用されるETFである。 |
4. | 東京証券取引所には、指標連動型ETFの銘柄だけでなく、アクティブ運用型ETFの銘柄も上場されている。 |
正解:3 | |
1. | 正しい記述です。ETFを市場で売却した場合、ETFの所有権が移転するだけで、原資産を解約する訳ではありませんから、信託財産留保額が徴収されることはありません。 |
2. | ETFは、上場株式と同様に取引をすることができます(成行注文や指値注文が可能で、信用取引をすることもできます)。 |
3. | インバース型ETFは、基準となる指標の日々の変動率に一定の負の倍数を乗じて算出される指数に連動した運用成果を目指して運用されるETFです。 ちなみに、問題文の説明は、レバレッジ型ETFの説明です。 |
4. | 正しい記述です。 |
【問23】
固定利付債券の利回り(単利・年率)に関する次の記述の空欄(ア)、(イ)にあてはまる語句の組み 合わせとして、最も適切なものはどれか。なお、手数料、経過利子、税金等については考慮しないもの とし、計算結果は表示単位の数点以下第3位を四捨五入するものとする。
表面利率が0.50%、償還までの残存期間が5年の固定利付債券を、額面100円当たり98円で購入した投資家が、購入から2年後に額面100円当たり98.6円で売却した場合の所有期間利回りは( ア )であり、償還期限まで5年保有した場合の最終利回りよりも( イ )。
1. | (ア)0.82% (イ)高い |
2. | (ア)0.82% (イ)低い |
3. | (ア)0.92% (イ)高い |
4. | (ア)0.92% (イ)低い |
正解:2 | |
(ア) | 所有期間利回り(%)={0.5+(98.6-98)÷2}÷98×100=0.8÷98×100=0.8163…≒0.82%です。 |
(イ) | 最終利回り(%)={0.5+(100-98)÷5}÷98×100=0.9÷98×100=0.9183…≒0.92%です。 |
【問24】
東京証券取引所の市場区分等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. | 高い成長可能性を有する企業向けの市場であるグロース市場の新規上場基準では、プライム市場やスタンダード市場と異なり、株主数および流通株式に係る要件は定められていない。 |
2. | グロース市場に上場している銘柄であっても、プライム市場における新規上場基準と同様の基準を満たせば、所定の手続きにより、プライム市場に市場区分を変更することができる。 |
3. | 東証株価指数(TOPIX)は、プライム市場、スタンダード市場およびグロース市場に上場している全銘柄を対象として算出されている。 |
4. | 日経平均株価は、プライム市場に上場している銘柄のうち、時価総額上位225銘柄を対象として算出されている。 |
正解:2 | |
1. | グロース市場の新規上場基準にも、株主数や流通株式等に係る要件が定められています。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | 東証株価指数(TOPIX)は、主にプライム市場に上場している一定の時価総額基準を満たした銘柄を対象として算出されています。 |
4. | 日経平均株価は、プライム市場に上場している225銘柄を対象として算出されていますが、採用される銘柄は時価総額上位の銘柄に限られません。 |
【問25】
下記<X社のデータ>に基づき算出される投資指標に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
<X社のデータ> | |
株価 | 2,500円 |
発行済株式数 | 1.2億株 |
売上高 | 3,600億円 |
営業利益 | 150億円 |
当期純利益 | 120億円 |
自己資本(=純資産) | 3,000億円 |
配当金総額 | 60億円 |
1. | PERは、25倍である。 |
2. | PBRは、1倍である。 |
3. | ROEは、5%である。 |
4. | 配当利回りは、2%である。 |
正解:3 | |
1. | PER=株価÷1株当たり当期純利益=2,500円÷(120億円÷1.2億)=25倍です。 |
2. | PBR=株価÷1株当たり純資産=2,500円÷(3,000億円÷1.2億)=1倍です。 |
3. | ROE=当期純利益÷自己資本=120億円÷3,000億円=0.04=4%です。 |
4. | 配当利回り(%)=1株当たり年間配当金÷株価×100=(60億円÷1.2億)÷2,500円×100=0.02=2%です。 |
【問26】
金融派生商品に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. | コール・オプション、プット・オプションのいずれも、他の条件が同一であれば、満期までの期間が長いほど、プレミアム(オプション料)は高くなる。 |
2. | 先物取引における買い手は、最終決済価格が約定価格よりも低い場合、その差額分の利益を得ることができる。 |
3. | 先物取引によりスペキュレーション取引を行う場合、先物価格が今後上昇すると予測すれば売り建てして、実際に相場が上昇した後に買い戻すことで利益を得ることができる。 |
4. | 先物取引に係る雑所得の金額の計算上生じた損失の金額は、上場株式等に係る譲渡所得の金額と損益通算することができる。 |
正解:1 | |
1. | 正しい記述です。プレミアム(オプション料)は、そのオプションの権利行使がしやすいほど高くなるため、コール・オプションとプット・オプション共通で、満期までの期間が長いほど高くなります。 |
2. | 先物取引における買い手は、先物の価格が高くなると利益が出るため、最終決済価格が約定価格よりも高い場合、その差額分の利益を得ることができます。 |
3. | 先物取引によりスペキュレーション取引を行う場合、先物価格が今後上昇すると予測すれば買い建てて、実際に相場が上昇した後に売ることで利益を得ることができます。 |
4. | 先物取引に係る雑所得等の金額の計算上生じた損失の金額は、他の先物取引に係る雑所得等の金額と損益通算することは可能ですが、先物取引に係る雑所得等以外の所得の金額と損益通算することはできません。 |
【問27】
Aさんの各資産のポートフォリオの構成比および期待収益率が下表のとおりであった場合、Aさんの資産のポートフォリオの期待収益率として、最も適切なものはどれか。
資産 | ポートフォリオの 構成比 |
期待収益率 |
預金 | 60% | 0.1% |
債券 | 20% | 1.0% |
株式 | 20% | 8.0% |
1. | 0.62% |
2. | 1.64% |
3. | 1.86% |
4. | 3.03% |
正解:3 |
ポートフォリオの期待収益率は、各組入資産の期待収益率をその組入比率で加重平均した値と等しくなります。 よって、0.1%×0.6+1.0%×0.2+8.0%×0.2=1.86%となります。 |
【問28】
上場株式等の譲渡および配当等(一定の大口株主等が受けるものを除く)に係る税金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、本問においては、NISA(少額投資非課税制度)により投資収益が非課税となる口座をNISA口座という。
1. | 2024年中に受け取った上場株式の配当について、所得税で総合課税を選択した場合、住民税で申告不要制度を選択することはできない。 |
2. | NISA口座で保有する上場株式の配当を非課税扱いにするためには、配当金の受取方法として株式数比例配分方式を選択しなければならない。 |
3. | 特定口座で保有する上場株式を売却したことで生じた譲渡益の金額は、確定申告をすることにより、NISA口座で保有する上場株式の譲渡損失の金額と損益を通算することができる。 |
4. | 上場株式等に係る配当所得等の金額と損益通算してもなお控除しきれない上場株式の譲渡損失の金額は、確定申告をすることにより、翌年以後3年間にわたって繰り越すことができる。 |
正解:3 | |
1. | 正しい記述です。所得税と住民税とで、配当所得について異なる課税方法を選択することはできません。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | NISA口座で保有する上場株式の譲渡損失と、NISA口座以外の口座で保有する上場株式の譲渡を損益通算することはできません。 |
4. | 正しい記述です。 |
【問29】
わが国における個人による金融商品取引に係るセーフティネットに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 預金保険制度による保護の対象となる預金等のうち、「無利息、要求払い、決済サービスを提供できること」の3つの条件を満たす預金(決済用預金)については、1金融機関ごとに預金者1人当たり元本1,000万円を限度として、預金保険制度により保護される。 |
2. | 日本国内に本店のある金融機関が取り扱う預金等であっても、外貨預金や譲渡性預金は預金保険制度による保護の対象とならない。 |
3. | 日本国内に本店のある金融機関が経営破綻した際、預金保険機構は保護される預金額を確定するため、「名寄せ」を行うが、家族の名義を借りたにすぎない預金等は、他人名義の預金とみなされ、預金保険制度による保護の対象とならない。 |
4. | 証券会社が取り扱っている外国為替証拠金(FX)取引は、日本投資者保護基金の補償の対象とならない。 |
正解:1 | |
1. | 決済用預金は全額保護されます。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | 正しい記述です。 |
4. | 正しい記述です。 |
【問30】
金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律(以下「金融サービス提供法」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | ゴルフ会員権やレジャー会員権は、金融サービス提供法上の金融商品から除外されている。 |
2. | 金融サービス提供法では、金融商品販売業者等は、業として行う金融商品の販売等に係る勧誘をしようとするときは、原則として、あらかじめ勧誘方針を策定して公表することが義務付けられている。 |
3. | 金融サービス提供法では、金融サービス仲介業者は、顧客等に対する損害賠償資力を確保するため、原則として、保証金の供託が義務付けられている。 |
4. | 金融サービス提供法では、顧客が金融商品販売業者等の説明義務違反に基づき損害賠償を請求する場合、顧客が払い込んだ元本の総額が損害額と推定される。 |
正解:4 | |
1. | 正しい記述です。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | 正しい記述です。 |
4. | 金融サービス提供法では、顧客が金融商品販売業者等の説明義務違反に基づき損害賠償を請求する場合、元本欠損額をその損害額と推定します。 |
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