FP2級実技(個人)解説-2024年5月・問10~15
【問10】~【問12】は、以下の資料を元に解答してください。
《設例》
上場企業に勤務する会社員のAさん(50歳)は、X市内の実家で1人暮らしをしていた父親が2023年10月に死亡したことに伴い、実家の建物とその敷地である甲土地を相続により取得した。Aさんの父親が45年前に建築してから死亡するまで自宅として使用してきた実家の建物は、老朽化が進んでいる。なお、Aさんの父親の相続において、法定相続人はAさんのみであり、相続に係る申告・納税等の手続は完了している。
Aさんは、Y市内の自宅で妻Bさん(50歳)および長女Cさん(18歳)と暮らしており、相続後に空き家となっている実家の売却を検討していたが、先日、知り合いの不動産会社の社長から「甲土地は最寄駅から徒歩3分の好立地にあり、相応の需要が見込めるため、賃貸マンション経営を検討してみてはどうか」との提案があったことから、甲土地の有効活用に興味を持ち始めている。
上場企業に勤務する会社員のAさん(50歳)は、X市内の実家で1人暮らしをしていた父親が2023年10月に死亡したことに伴い、実家の建物とその敷地である甲土地を相続により取得した。Aさんの父親が45年前に建築してから死亡するまで自宅として使用してきた実家の建物は、老朽化が進んでいる。なお、Aさんの父親の相続において、法定相続人はAさんのみであり、相続に係る申告・納税等の手続は完了している。
Aさんは、Y市内の自宅で妻Bさん(50歳)および長女Cさん(18歳)と暮らしており、相続後に空き家となっている実家の売却を検討していたが、先日、知り合いの不動産会社の社長から「甲土地は最寄駅から徒歩3分の好立地にあり、相応の需要が見込めるため、賃貸マンション経営を検討してみてはどうか」との提案があったことから、甲土地の有効活用に興味を持ち始めている。
<甲土地の概要>



・ | 甲土地は、建蔽率の緩和について特定行政庁が指定する角地である。 |
・ | 指定建蔽率および指定容積率とは、それぞれ都市計画において定められた数値である。 |
・ | 特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域ではない。 |
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
【問10】
「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」(以下、「本特例」という)に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。
① | 「本特例は、相続した家屋について、相続開始直前において被相続人以外に居住をしていた人がいる場合、適用を受けることができません」 |
② | 「本特例の適用を受けるためには、相続の開始があった日から1年を経過する日の属する年の12月31日までに、相続した家屋またはその敷地もしくはその両方を売却する必要があります」 |
③ | 「Aさんの実家の売却にあたって、本特例と『相続財産に係る譲渡所得の課税の特例』(相続税の取得費加算の特例)は、重複して適用を受けることができません。それぞれの特例の適用要件等を確認したうえで、いずれか有利なほうを選択して適用を受けることをお勧めします」 |
正解:○、×、○
① | 正しい記述です。 |
② | 相続空き家の特例の適用を受けるためには、相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、譲渡する等の要件を満たす必要があります。 |
③ | 正しい記述です。相続空き家の特例と、相続税の取得費加算の特例は、重複して適用を受けることができません。 |
【問11】
Aさんが、甲土地上に賃貸マンションを建築する場合の課税等に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。
① | 「Aさんが甲土地上に賃貸マンションを建築して経営するために実家の建物を取り壊した場合、その取壊しに係る費用は、不動産所得の金額の計算上、必要経費に算入することができません」 |
② | 「Aさんが甲土地上に賃貸マンションを建築した場合、Aさんの相続に係る相続税額の計算上、甲土地は貸家建付地として評価されます。仮に、甲土地の自用地価額を8,000万円、借地権割合を70%、借家権割合を30%、賃貸割合を100%とした場合の相続税評価額は、6,320万円となります」 |
③ | 「NPV法による投資判断では、将来発生するキャッシュフローの現在価値の合計額と投資額を比較し、投資額のほうが大きい場合に、その投資は有利であると判断することができます。不動産投資においては、将来発生する収入や費用等について十分に検討したうえで投資判断をする必要があります」 |
正解:○、○、×
① | 正しい記述です。賃貸マンションを建築して経営するために建物を取り壊す場合において、不動産所得の金額の計算上、賃貸用の建物を取り壊した場合は必要経費となりますが、自宅をを取り壊した場合は必要経費とはなりません。 |
② | 正しい記述です。貸家建付地の相続税評価額=自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)ですから、8,000万円×(1-70%×30%×100%)=6,320万円となります。 |
③ | NPV法による投資判断では、将来発生するキャッシュフローの現在価値の合計額(不動産の理論価値)と投資額を比較し、将来発生するキャッシュフローの現在価値の合計額のほうが大きい場合に、その投資は有利であると判断することができます。 |
【問12】
甲土地上に耐火建築物を建築する場合における次の①、②を求めなさい(計算過程の記載は不要)。
① | 建蔽率の上限となる建築面積 |
② | 容積率の上限となる延べ面積 |
正解:400、1,400
① | 準防火地域に耐火建築物を建てる場合には、建蔽率の上限が10%緩和されます。 また、特定行政庁が指定する角地に建物を建てる場合には、建蔽率の上限が10%緩和されます。 よって、建蔽率の上限は、60%+10%+10%=80%となります。 したがって、建ぺい率の上限となる建築面積は、500㎡×0.8%=400㎡です。 |
② | 前面道路の幅員が12m未満である場合、容積率の上限は、指定容積率と前面道路(複数の道路に面している場合、幅員が広い方の道路)の幅員によって定まる容積率のうち、いずれか小さい方となります。 前面道路の幅員によって定まる容積率=7×4/10=2.8=280%ですから、容積率の上限は、280%となります。 よって、容積率の上限となる延床面積は、500㎡×280%=1,400㎡です。 |
【問13】~【問15】は、以下の資料を元に解答してください。
《設例》
X株式会社(非上場会社・製造業、以下、「X社」という)の代表取締役社長であるAさん(68歳)は、自宅で妻Bさん(66歳)および長男Cさん(43歳)夫妻と同居している。Aさんは、2年後をめどに、X社の専務取締役である長男Cさんに事業を承継する予定であり、将来、長男CさんにはX社に有償で貸し付けているX社本社建物とその敷地を相続させ、妻Bさんには自宅および相応の現預金等を相続させるつもりでいる。
なお、長女Dさんは、半年前に病気で死亡しており、Aさんは、大学への進学を希望している孫Eさん(17歳)のために教育資金等の援助をしたいと思っている。
X株式会社(非上場会社・製造業、以下、「X社」という)の代表取締役社長であるAさん(68歳)は、自宅で妻Bさん(66歳)および長男Cさん(43歳)夫妻と同居している。Aさんは、2年後をめどに、X社の専務取締役である長男Cさんに事業を承継する予定であり、将来、長男CさんにはX社に有償で貸し付けているX社本社建物とその敷地を相続させ、妻Bさんには自宅および相応の現預金等を相続させるつもりでいる。
なお、長女Dさんは、半年前に病気で死亡しており、Aさんは、大学への進学を希望している孫Eさん(17歳)のために教育資金等の援助をしたいと思っている。
<Aさんの親族関係図>



<Aさんの主な所有財産(相続税評価額)> | ||
現預金等 | : | 7,500万円 |
X社株式 | : | 1億2,000万円 |
自宅敷地(300㎡) | : | 4,800万円(注) |
自宅建物 | : | 1,200万円 |
X社本社敷地(500㎡) | : | 8,000万円(注) |
X社本社建物 | : | 2,500万円 |
合計 | : | 3億6,000万円 |
(注) | 「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」適用前の金額 |
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
【問13】
Aさんの相続・事業承継等に関する以下の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を、下記の〈語句群〉のなかから選び、その記号を解答用紙に記入しなさい。
Ⅰ | 「円滑な遺産分割を行うため、遺言書の作成をお勧めします。Aさんが自筆証書遺言を作成する場合、( ① )における保管制度を活用することで、遺言書の紛失等を防ぐことができます」 |
Ⅱ | 「長男CさんがX社本社建物とその敷地を相続により取得し、当該敷地(相続税評価額8,000万円)について、特定同族会社事業用宅地等として限度面積まで『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けた場合、相続税の課税価格に算入すべき当該敷地の価額は( ② )万円となります。なお、自宅敷地とX社本社敷地について、『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けようとする場合、( ③ )」 |
Ⅲ | 「長女DさんはAさんの相続開始前に死亡しているため、孫EさんはAさんの相続において代襲相続人となります。孫Eさんが相続によりAさんの財産を取得した場合、相続税額の2割加算の対象と( ④ )」 |
<語句群>
イ.1,600 ロ.2,880 ハ.4,000
ニ.家庭裁判所 ホ.法務局 ヘ.公証役場
ト.なります チ.なりません
リ.それぞれの宅地の適用対象の限度面積まで適用を受けることができます
ヌ.適用対象面積は所定の算式により調整され、完全併用はできません
イ.1,600 ロ.2,880 ハ.4,000
ニ.家庭裁判所 ホ.法務局 ヘ.公証役場
ト.なります チ.なりません
リ.それぞれの宅地の適用対象の限度面積まで適用を受けることができます
ヌ.適用対象面積は所定の算式により調整され、完全併用はできません
正解:ホ、ロ、リ、チ
① | 遺言保管制度を利用した場合、遺言の原本は法務局に保管されます。 |
② |
○○の敷地は特定同族会社事業用宅地等として400㎡まで80%評価減されますから、相続税の課税価格に算入すべき金額は、8,000万円×400㎡/500㎡×(1-80%)+8,000万円×100㎡/500㎡=2,880万円となります。 <別解> |
③ | 特定居住用宅地等と、特定事業用宅地等/特定同族会社事業用宅地等(「特定」がつくもの同士の組み合わせ)は、それぞれの宅地の適用対象の限度面積まで適用を受けることができます。 |
④ | 代襲相続人である孫は、被代襲者の立場(本来代襲相続人ではない)を引き継ぐため、2割加算の対象外です。 |
【問14】
孫EさんがAさんから「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」(以下、「本制度」という)の適用を受けて教育資金の贈与を受けた場合に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。「長女DさんはAさんの相続開始前に死亡しているため、孫EさんはAさんの相続において代襲相続人となります。孫Eさんが相続によりAさんの財産を取得した場合、相続税額の2割加算の対象と( ④ )」
① | 「孫Eさんが本制度の適用を受けて取得した教育資金は、1,500万円を限度に贈与税が非課税となります。ただし、学習塾などの学校等以外の者に対して直接支払われる金銭については500万円が限度となります」 |
② | 「Aさんが教育資金管理契約の終了の日までに死亡した場合において、Aさんの相続に係る相続税の課税価格の合計額が1億円を超えるときは、孫Eさんは、その年齢にかかわらず、非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額を相続により取得したものとみなされます」 |
③ | 「受贈者である孫Eさんが23歳に達すると、教育資金管理契約は終了します。その場合、非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額は、孫Eさんが23歳に達した日の属する年の贈与税の課税価格に算入されます」 |
正解:○、×、×
① | 正しい記述です。 |
② | 贈与者が教育資金管理契約の終了の日までに死亡した場合において、贈与者の相続に係る相続税の課税価格の合計額が5億円を超えるときは、受贈者は、その年齢にかかわらず、非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額を相続により取得したものとみなされます。 |
③ | 教育資金管理契約は、原則として、受贈者が30歳に達した日に終了します。 |
【問15】
現時点(2024年5月26日)において、Aさんの相続が開始した場合における相続税の総額を試算した下記の表の空欄①~③に入る最も適切な数値を求めなさい。なお、課税遺産総額(相続税の課税価格の合計額-遺産に係る基礎控除額)は2億3,000万円とし、問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」で示してある。
(a)相続税の課税価格の合計額 | □□□万円 |
(b)遺産に係る基礎控除額 | ( ① )万円 |
課税遺産総額(a-b) | 2億3,000万円 |
相続税の総額の基となる税額 | |
妻Bさん | □□□万円 |
長男Cさん | □□□万円 |
孫Eさん | ( ② )万円 |
(c)相続税の総額 | ( ③ )万円 |
<資料>相続税の速算表(一部抜粋) | ||
法定相続分に 応ずる取得金額 |
税率 | 控除額 |
1,000万円以下 | 10% | - |
1,000万円超 3,000万円以下 |
15% | 50万円 |
3,000万円超 5,000万円以下 |
20% | 200万円 |
5,000万円超 10,000万円以下 |
30% | 700万円 |
10,000万円超 20,000万円以下 |
40% | 1,700万円 |
20,000万円超 30,000万円以下 |
45% | 2,700万円 |
正解:4,800、1,025、4,950
① | 相続税の基礎控額除は、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の式で計算されます。 よって、3,000万円+600万円×3=4,800万円となります。 |
② | 孫Eさんの法定相続分(1/2×1/2=1/4)に対応する取得金額は、2億3,000万円×1/4=5,750万円となります。 これに対応する相続税額は、5,750万円×30%-700万円=1,025万円です。 |
③ | 妻Bさんの法定相続分(1/2)に対応する取得金額は、2億3,000万円×1/2=1億1,500万円となります。 これに対応する相続税額は、1億1,500万円×40%-1,700万円=2,900万円です。 また、長男Cさんの法定相続分に対応する相続税額は、孫Eさんと等しく、1,025万円です。 よって、相続税の総額は、2,900万円+1,025万円+1,025万円=4,950万円となります。 |
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