お金の寺子屋

FP2級学科解説-2024年5月・問51~60

【問51】
親族等に係る民法の規定に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 親族の範囲は、3親等内の血族、配偶者、6親等内の姻族である。
2. 兄弟姉妹の子(甥や姪)は、3親等の血族である。
3. 配偶者の父母は、2親等の姻族である。
4. 子の配偶者は、2親等の姻族である。
正解:
1. 民法上、親族とは、6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族とされます。
2. 正しい記述です。
3. 配偶者の父母は、1親等の姻族です。
4. 子の配偶者は、1親等の姻族です。
【問52】
相続時精算課税制度(以下「本制度」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 本制度の適用を受けた贈与財産に係る贈与税額の計算上、適用される税率は、一律25%である。
2. 本制度において、贈与者および受贈者の年齢が適用要件を満たすかどうかは、贈与があった年の1月1日現在の年齢で判定する。
3. 本制度の適用を受けることを選択した場合、その選択をした年分以後、その選択に係る贈与者から贈与により取得した財産については、暦年課税に変更することができない。
4. 本制度の選択に係る贈与者が死亡した場合における相続税額の計算上、相続税額からすでに納めた本制度に係る贈与税相当額を控除してもなお控除しきれない金額は、相続税の申告により還付を受けることができる。
正解:
1. 相続時精算課税制度の適用を受けた贈与財産に係る贈与税額の計算上、適用される税率は、一律20%です。
2. 正しい記述です。なお、年齢要件は、贈与者は原則として60歳以上、受贈者は18歳以上です。
3. 正しい記述です。
4. 正しい記述です。相続時精算課税制度によって納付した贈与税は、相続税の仮払いですから、贈与者の相続時に清算します。
【問53】
下記<親族関係図>において、Aさんの相続が開始した場合の法定相続人として、最も適切なものはどれか。なお、子Dさんは、Aさんの相続開始前に死亡しており、相続の放棄をした者はいないものとする。

<親族関係図>
1. 妻Cさん、子Fさん、子Gさんの計3名
2. 妻Cさん、子Eさん、子Fさん、子Gさんの計4名
3. 妻Cさん、子Eさん、子Fさん、子Gさん、孫Iさんの計5名
4. 妻Cさん、子Eさん、子Fさん、子Gさん、子Dさんの夫Hさん、孫Iさんの計6名
正解:
配偶者相続人は、被相続人の死亡時に被相続人と正式な婚姻関係にあった配偶者ですから、妻Cさんが該当します。
血族相続人は、第一順位の子が該当しますが、前妻との間の子も含みます()から、本来の血族相続人は、子Dさん、子Eさん、子Fさん、子Gさんの4人です。
被相続人の死亡時に既に死亡している本来の相続人の子は、代襲相続人として相続人となりますから、孫Iさんは子Dさんの代襲相続人として相続人となります。
【問54】
代償分割に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 代償分割は、現物分割を困難とする事由がある場合に、共同相続人の全員が家庭裁判所に申し立て、その審判を受けることにより認められる遺産分割の方法である。
2. 代償分割により遺産分割を行う場合、代償財産の支払期日や支払方法などを記載した遺産分割協議書を公正証書によって作成しなければならない。
3. 相続人が代償分割により他の相続人に交付する代償財産は、金銭に限られる。
4. 相続人が代償分割により他の相続人から交付を受けた代償財産は、相続税の課税対象となる。
正解:
1. 代償分割をするにあたり、家庭裁判所の審判は不要です。
2. 遺産分割協議書には決まった書式は無く、公正証書以外で作成することができます。
3. 代償財産は、金銭以外も認められます。
4. 正しい記述です。 
【問55】
民法に規定する相続の承認および放棄に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 契約者(=保険料負担者)および被保険者を被相続人とする生命保険契約の死亡保険金受取人に指定されていた相続人が、被相続人の死亡により死亡保険金を受け取った場合、その相続について単純承認をしたものとみなされる。
2. 相続人が相続の単純承認をした場合、原則として、被相続人のすべての権利義務を承継する。
3. 相続の放棄をしようとする者は、原則として、相続の開始があったことを知った時から3ヵ月以内に、家庭裁判所に相続の放棄をする旨を申述しなければならない。
4. 被相続人の子が相続の放棄をした場合、その相続の放棄をした者の子(被相続人の孫)は、代襲相続人とならない。
正解:
1. みなし相続財産を受け取っても、単純承認したとはみなされません。相続をする(被相続人の財産・権利・義務を承継する)話と、生命保険契約に基づき受取人固有の権利として生命保険会社から保険金を受け取る話は別だからです。
なお、単純承認をしたものとみなされるのは、期限内に放棄や限定承認をしなかった場合、一定の行為を除いて相続財産の全部又は一部を処分したときなどです。
2. 正しい記述です。
3. 正しい記述です。
4. 正しい記述です。死亡・欠格・廃除は代襲原因ですが、放棄は代襲原因ではありません。

【問56】
民法上の遺言に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
1. 公正証書遺言の作成において、遺言者の配偶者は証人として立ち会うことができない。
2. 自筆証書遺言の作成に当たって、自筆証書にこれと一体のものとして添付する財産目録をパソコンで作成する場合、その財産目録への署名および押印は不要である。
3. 同一の遺言者による公正証書遺言と自筆証書遺言について、それぞれの内容が異なっている場合、その異なっている部分については、作成日付の新しい遺言の内容が効力を有する。
4. 自筆証書遺言書保管制度により法務局(遺言書保管所)に保管されている自筆証書遺言は、遺言者の相続開始後、家庭裁判所の検認が不要である。
正解:
1. 正しい記述です。配偶者は遺産分割の当事者になるので、公平性を担保する観点から、公正証書遺言の証人になることはできません。
なお、公正証書遺言の証人になることができない人は、未成年者、推定相続人、受遺者、推定相続人や受遺者の配偶者や直系血族、公証人の配偶者、四親等内の親族、書記、使用人とされています。
2. 財産目録をパソコンで作成する場合、全ページに署名・押印が必要です。
3. 正しい記述です。複数の遺言の内容が抵触する場合、遺言の種類にかかわらず、日付が新しい遺言の内容が有効とされます。
4. 正しい記述です。自筆証書遺言書保管制度により法務局(遺言書保管所)に保管されている自筆証書遺言は、改ざんなどの恐れがないため、検認が不要です。
【問57】
相続税の申告と納付に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 相続税の申告書の提出は、原則として、相続の開始があったことを知った日の翌日から6ヵ月以内にしなければならない。
2. 相続人が被相続人の配偶者のみである場合において、「配偶者に対する相続税額の軽減」の適用を受けることにより納付すべき相続税額が0(ゼロ)となるときは、当該配偶者は相続税の申告書を提出する必要はない。
3. 相続により土地を取得した相続人が、その相続に係る相続税について延納を申請する場合、所定の要件を満たせば、相続人が相続開始前から所有していた土地を延納の担保として提供することができる。
4. 相続税を延納するためには、納付すべき相続税額が100万円を超えていなければならない。
正解:
1. 相続税の申告期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヵ月以内です。
2. 配偶者に対する相続税額の軽減の適用を受けようとする場合、その結果相続税の納付税額が0円になる場合であっても、申告書を提出しなくてはなりません。
3. 正しい記述です。相続税を延納する場合、担保として不適格なものでなければ、自身の固有の財産の他、相続によって取得した財産や、共同相続人が所有している財産、第三者が所有している財産も担保として提供する事ができます。
4. 相続税を延納は、納付すべき相続税額が10万円を超えるなどの要件を満たす場合に認められます。
なお、延納税額が100万円を超える場合、または、延納期間が3年を超える場合には、延納税額および利子税の額に相当する担保を提供する必要があります。
【問58】
相続税における宅地および宅地の上に存する権利の評価に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、評価の対象となる宅地は、借地権の設定に際し、その設定の対価として通常権利金その他の一時金を支払う「借地権の取引慣行のある地域」にあるものとする。また、宅地の上に存する権利は、定期借地権および一時使用目的の借地権等を除くものとする。
1. Aさんが、借地権の設定に際して通常の権利金を支払って賃借した宅地の上にAさん名義の自宅を建築して居住の用に供している場合において、Aさんの相続が開始したときは、相続税額の計算上、その宅地の上に存するAさんの権利の価額は借地権として評価する。
2. Bさんが、借地権の設定に際して通常の権利金を支払って賃借した宅地の上にBさん名義のアパートを建築して賃貸の用に供している場合において、Bさんの相続が開始したときは、相続税額の計算上、その宅地の上に存するBさんの権利の価額は貸家建付借地権として評価する。
3. Cさんが、従前宅地であった土地を車庫などの施設がない青空駐車場(月極駐車場)の用に供している場合において、Cさんの相続が開始したときは、相続税額の計算上、その土地の価額は自用地として評価する。
4. Dさんが、所有する宅地の上にアパートを建築して賃貸の用に供している場合において、Dさんの相続が開始したときは、相続税額の計算上、その宅地の価額は貸宅地として評価する。
正解:
1. 正しい記述です。相続税額の計算上、被相続人が通常の権利金を支払って借地権を設定した土地に、被相続人名義の自宅を建てていた場合、当該土地の借地権は、借地権として評価されます。
2. 正しい記述です。相続税額の計算上、被相続人が通常の権利金を支払って借地権を設定した土地に、被相続人名義の貸家を建てていた場合、当該土地の借地権は、貸家建付借地権として評価されます。
3. 正しい記述です。相続税額の計算上、被相続人が有していた青空駐車場は、自用地として評価されます。
4. 相続税額の計算上、被相続人の土地に、被相続人名義の貸家を建てていた場合、当該土地の借地権は、貸家建付地として評価されます。
【問59】
小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例(以下「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、相続人が相続により取得した宅地は、相続開始直前において被相続人等の事業の用に供されていなかったものとし、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
1. 相続開始直前において被相続人の居住の用に供されていた宅地を相続により取得した被相続人の配偶者は、相続税の申告期限までに当該宅地を売却した場合であっても、本特例の適用を受けることができる。
2. 相続開始直前において被相続人の居住の用に供されていた宅地を相続により取得した被相続人の子が、当該宅地上の被相続人の居住の用に供されていた一棟の建物に相続開始前から相続税の申告期限まで引き続き居住し、かつ、当該宅地を相続開始時から相続税の申告期限まで所有していた場合、本特例の適用を受けることができる。
3. 相続開始直前において被相続人および被相続人の配偶者の居住の用に供されていた宅地を相続により取得した被相続人の子が、当該宅地を相続開始後に初めて自己の居住の用に供し、相続税の申告期限まで所有していた場合、本特例の適用を受けることができる。
4. 相続開始直前において被相続人と生計を一にする被相続人の母の居住の用に供されていた宅地を相続により取得した被相続人の配偶者は、本特例の適用を受けることができる。
正解:
1. 正しい記述です。被相続人の配偶者は無条件で小規模宅地の特例の適用を受けることができます。
2. 正しい記述です。被相続人の居住の用に供されていた宅地等を、被相続人の居住の用に供されていた一棟の建物に居住していた親族が取得した場合、相続開始の直前から相続税の申告期限まで引き続きその建物に居住し、かつ、その宅地等を相続開始時から相続税の申告期限まで有していることが要件とされます。
3. 被相続人の居住の用に供されていた宅地等を、被相続人の配偶者および被相続人の居住の用に供されていた一棟の建物に居住していた親族以外の親族が取得した場合、被相続人に配偶者がいない等の要件を満たす必要があります。
ちなみに、このケースにおける他の要件として、相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた被相続人の相続人がいないこと、取得者が居住している家屋を相続開始前のいずれの時においても所有していたことがないこと、相続開始前3年以内に取得者や取得者の配偶者などが所有する一定の家屋に居住したことがないこと、その宅地等を相続開始時から相続税の申告期限まで有していること、などの要件があります。
4. 正しい記述です。被相続人の配偶者は無条件で小規模宅地の特例の適用を受けることができます。
【問60】
中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律による「遺留分に関する民法の特例」(以下「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 会社事業後継者が本特例の適用を受けるためには、遺留分を有する旧代表者の推定相続人および会社事業後継者全員の書面による合意が必要である。
2. 本特例の適用を受けることにより、会社事業後継者が旧代表者から贈与により取得した自社株式について、その価額を、遺留分を算定するための財産の価額に算入しないことができる。
3. 本特例の適用を受けることにより、会社事業後継者が旧代表者から贈与により取得した自社株式について、遺留分を算定するための財産の価額に算入すべき価額を、本特例の適用に係る合意をした時点の価額とすることができる。
4. 本特例の対象となる会社事業後継者は、旧代表者の親族に限られる。
正解: 
1. 正しい記述です。
2. 正しい記述です。除外合意の説明です。
3. 正しい記述です。固定合意の説明です。
4. 本特例の対象となる会社事業後継者は、推定相続人や旧代表者の親族に限られません。

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