FP3級実技(保険)解説-2024年1月・後半
【問10】~【問12】は、以下の資料を元に解答してください。
《設例》
会社員のAさんは、妻Bさんおよび長男Cさんとの3人家族である。Aさんは、2023年中に一時払変額個人年金保険(10年確定年金)の解約返戻金を受け取っている。
会社員のAさんは、妻Bさんおよび長男Cさんとの3人家族である。Aさんは、2023年中に一時払変額個人年金保険(10年確定年金)の解約返戻金を受け取っている。
<Aさんとその家族に関する資料>
[Aさん(52歳)]
会社員
[妻Bさん(49歳)]
パートタイマー。2023年中に給与収入90万円を得ている。
[長男Cさん(20歳)]
大学生。2023年中の収入はない。長男Cさんが負担すべき国民年金の保険料はAさんが支払っている。
<Aさんの2023年分の収入等に関する資料>
[給与所得の金額]
520万円
[一時払変額個人年金保険(10年確定年金)の解約返戻金]
契約年月:2014年7月
契約者(=保険料負担者):Aさん
被保険者:Aさん
死亡保険金受取人:妻Bさん
解約返戻金額:600万円
正味払込保険料:500万円
※ | 妻Bさんおよび長男Cさんは、Aさんと同居し、生計を一にしている。 |
※ | Aさんとその家族は、いずれも障害者および特別障害者には該当しない。 |
※ | Aさんとその家族の年齢は、いずれも2023年12月31日現在のものである。 |
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
【問10】
Aさんの2023年分の所得税における総所得金額は、次のうちどれか。
1. | 545万円 |
2. | 570万円 |
3. | 620万円 |
正解:1(4点)
給与所得の額520万円は、全額総所得金額に算入します。
また、一時払変額個人年金保険の解約返戻金は契約から5年を超えて解約した場合、一時所得となります。
よって、一時所得の額=総収入金額-収入を得るために直接支出した金額-特別控除額(最高50万円)=600万円-500万円-50万円=50万円万円となり、一時所得の額は、その2分の1相当額が総所得金額に算入されますから、総所得金額に算入される金額は、50万円×1/2=25万円となります。
したがって、総所得金額=520万円+25万円=545万円となります。
また、一時払変額個人年金保険の解約返戻金は契約から5年を超えて解約した場合、一時所得となります。
よって、一時所得の額=総収入金額-収入を得るために直接支出した金額-特別控除額(最高50万円)=600万円-500万円-50万円=50万円万円となり、一時所得の額は、その2分の1相当額が総所得金額に算入されますから、総所得金額に算入される金額は、50万円×1/2=25万円となります。
したがって、総所得金額=520万円+25万円=545万円となります。
【問11】
Aさんの2023年分の所得税における所得控除に関する以下の文章の空欄①~③に入る数値の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。
ⅰ) | 「妻Bさんの合計所得金額は( ① )万円以下となりますので、Aさんは配偶者控除の適用を受けることができます。Aさんが適用を受けることができる配偶者控除の額は、( ② )万円です」 |
ⅱ) | 「Aさんが適用を受けることができる扶養控除の額は、( ③ )万円です」 |
1. | ①38 ②26 ③63 |
2. | ①48 ②38 ③63 |
3. | ①103 ②38 ③48 |
正解:2(3点)
① | 配偶者控除の適用を受けるための配偶者の合計所得金額の要件は、48万円以下であることです。 |
② | 合計所得金額が900万円以下の納税者が、一般の控除対象配偶者(12月31日時点で70歳未満の配偶者)について適用を受けることができる配偶者控除の額は、38万円です。 |
③ | 長男Cさんは、19歳以上23歳未満であり、特定扶養親族に該当しますから、63万円の控除を受けることができます。 |
【問12】
Aさんの2023年分の所得税の課税に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 「Aさんが2023年中に支払った長男Cさんの国民年金の保険料は、その全額を社会保険料控除として総所得金額から控除することができます」 |
2. | 「Aさんは、総所得金額に算入される一時所得の金額が20万円を超えるため、所得税の確定申告をしなければなりません」 |
3. | 「所得税の確定申告書は、原則として、2024年2月16日から3月31日までの間にAさんの住所地を所轄する税務署長に提出してください」 |
正解:3(3点)
1) | 正しい記述です。社会保険料控除の計算においては、生計を一にする親族のために支払った金額も対象になります。 |
2) | 正しい記述です。 |
3) | 所得税の確定申告の期限は、原則として、翌年の2月16日から3月15日までです。 |
【問13】~【問15】は、以下の資料を元に解答してください。
《設例》
個人で不動産賃貸業を営んでいるAさん(67歳)の推定相続人は、妻Bさん、長男Cさんおよび二男Dさんの3人である。
Aさんは、妻Bさんには相応の現預金を、長男Cさんには自宅および自宅に隣接する賃貸アパートを相続させたいと考えており、遺言書の作成を検討している。
個人で不動産賃貸業を営んでいるAさん(67歳)の推定相続人は、妻Bさん、長男Cさんおよび二男Dさんの3人である。
Aさんは、妻Bさんには相応の現預金を、長男Cさんには自宅および自宅に隣接する賃貸アパートを相続させたいと考えており、遺言書の作成を検討している。
<Aさんの推定相続人>
[妻Bさん(66歳)]
Aさんと自宅で同居している。
[長男Cさん(42歳)]
会社員。妻と子がおり、Aさん夫妻と同居している。
[二男Dさん(39歳)]
会社員。妻と子の3人で戸建て住宅(持家)に住んでいる。
<Aさんの主な所有財産(相続税評価額)> | ||
現預金 | : | 4,000万円 |
自宅(敷地330㎡) | : | 7,000万円(注) |
自宅(建物) | : | 1,000万円 |
賃貸アパート(敷地300㎡) | : | 5,000万円(注) |
賃貸アパート(建物) | : | 3,000万円 |
(注) | 「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」適用前の金額 |
〈Aさんが現在加入している生命保険に関する資料〉
保険の種類:一時払終身保険
契約者(=保険料負担者):Aさん
被保険者:Aさん
死亡保険金受取人:妻Bさん
死亡保険金額:1,500万円
保険の種類:一時払終身保険
契約者(=保険料負担者):Aさん
被保険者:Aさん
死亡保険金受取人:妻Bさん
死亡保険金額:1,500万円
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
【問13】
Aさんの相続が現時点(2024年1月28日)で開始し、Aさんの相続に係る課税遺産総額(課税価格の合計額-遺産に係る基礎控除額)が9,600万円であった場合の相続税の総額は、次のうちどれか。
<資料>相続税の速算表(一部抜粋) | ||
法定相続分に 応ずる取得金額 |
税率 | 控除額 |
1,000万円以下 | 10% | - |
1,000万円超 3,000万円以下 |
15% | 50万円 |
3,000万円超 5,000万円以下 |
20% | 200万円 |
5,000万円超 10,000万円以下 |
30% | 700万円 |
1. | 1,320万円 |
2. | 1,380万円 |
3. | 2,180万円 |
正解:2(4点)
妻Bさんの法定相続分に対応する取得金額は、9,600万円×1/2=4,800万円となります。
これに対応する相続税額は、4,800万円×20%-200万円=760万円です。
長男Cさんと二男Dさんの法定相続分に対応する取得金額は、それぞれ、9,600万円×1/4=2,400万円となります。
これに対応する相続税額は、2,400万円×15%-50万円=310万円です。
よって、相続税の総額は、760万円+310万円+310万円=1,380万円となります。
これに対応する相続税額は、4,800万円×20%-200万円=760万円です。
長男Cさんと二男Dさんの法定相続分に対応する取得金額は、それぞれ、9,600万円×1/4=2,400万円となります。
これに対応する相続税額は、2,400万円×15%-50万円=310万円です。
よって、相続税の総額は、760万円+310万円+310万円=1,380万円となります。
【問14】
遺言等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. | 「自筆証書遺言は、所定の手続により、法務局(遺言書保管所)に保管することができます。法務局(遺言書保管所)に保管された自筆証書遺言は、相続開始後、相続人が遅滞なく、家庭裁判所に提出して、その検認の請求をしなければなりません」 |
2. | 「公正証書遺言は、証人2人以上の立会いのもと、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し、公証人がこれを筆記して作成するものです」 |
3. | 「遺言により、相続財産の大半を妻Bさんおよび長男Cさんが相続した場合、二男Dさんの遺留分を侵害するおそれがあります。仮に、遺留分を算定するための財産の価額が2億円である場合、二男Dさんの遺留分の金額は5,000万円となります」 |
正解:2(3点)
1) | 自筆証書遺言保管制度を利用した自筆証書遺言は、法務局に原本があり改ざんの恐れが無いため、検認は不要です。 |
2) | 正しい記述です。 |
3) | 具体的遺留分の額は、相続人が直系尊属のみである場合を除いて、遺留分算定の基礎となる財産の価額の1/2相当額を各遺留分権利者の法定相続分で按分した額です。 よって、二男Dさんの遺留分の金額=2億円×1/2×1/4=2,500万円となります。 |
【問15】
Aさんの相続に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 「妻Bさんが受け取る一時払終身保険の死亡保険金(1,500万円)は、みなし相続財産として相続税の課税対象となりますが、死亡保険金の非課税金額の規定の適用を受けることで、相続税の課税価格には算入されません」 |
2. | 「長男Cさんが、二男Dさんに対する代償交付金を準備する方法として、契約者(=保険料負担者)および死亡保険金受取人を長男Cさん、被保険者をAさんとする終身保険に加入し、長男Cさんが負担する保険料相当額の現金をAさんが贈与することも検討事項の1つです」 |
3. | 「特定居住用宅地等(自宅の敷地)と貸付事業用宅地等(賃貸アパートの敷地)について、『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けようとする場合、適用対象面積の調整はせず、それぞれの宅地等の適用対象の限度面積まで適用を受けることができます」 |
正解:3(3点)
1) | 正しい記述です。法定相続人が受け取る相続税の課税対象となる死亡保険金は、500万円×法定相続人の数まで非課税となりますから、500万円×3=1,500万円まで非課税となり、妻Bさんが受け取る一時払終身保険の死亡保険金(1,500万円)は、相続税の課税価格には算入されません。 |
2) | 正しい記述です。契約者である相続人が被相続人を被保険者として受け取る死亡保険金は、相続財産には該当しません(=遺留分の計算に含まれません)から、生命保険で代償交付金を準備することは選択肢の一つとなります。 |
3) | 特定居住用宅地等と貸付事業用宅地等の両方について、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受ける場合、適用対象面積の調整計算を行います。 なお、複数の区分の宅地について適用を受ける場合、特定居住用宅地等と特定事業用宅地等・特定同族会社事業用宅地等は調整計算を行いませんが、貸付事業用宅地等が含まれる場合には調整計算を行います。 |
スポンサーリンク
スポンサーリンク
<戻る | ホーム | 進む> |