FP3級実技(FP協会)解説-2024年1月・後半
【問11】
伊丹さんは地震保険の加入を検討しており、FPの筒井さんに質問をした。地震保険に関する筒井さんの次の説明のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 「地震保険の保険料は、保険会社による違いはありません。」 |
2. | 「地震保険の損害認定の区分は、『全損』『半損』『一部損』の3区分に分けられています。」 |
3. | 「地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の30%~50%の範囲内で設定されますが、居住用建物については5,000万円が上限となります。」 |
正解:2
1. | 正しい記述です。 |
2. | 地震保険の損害認定の区分は、全損、大半損、小半損、一部損の4区分に分けられています。 |
3. | 正しい記述です。 |
【問12】
所得税の青色申告特別控除に関する次の記述の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。
・ | 不動産所得または事業所得を生ずべき事業を営んでいる青色申告者で、これらの所得に係る取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳し、その記帳に基づいて作成した貸借対照表および( ア )を確定申告書に添付して法定申告期限内に提出している場合には、原則として、これらの所得を通じて最高( イ )を控除することができる。 |
・ | この( イ )の青色申告特別控除を受けることができる人が、所定の帳簿の電子帳簿保存または国税電子申告・納税システム(e-Tax)により電子申告を行っている場合には、最高( ウ )の青色申告特別控除が受けられる。 |
1. | (ア)損益計算書 (イ)10万円 (ウ)55万円 |
2. | (ア)損益計算書 (イ)55万円 (ウ)65万円 |
3. | (ア)収支内訳書 (イ)55万円 (ウ)65万円 |
正解:2
(ア) | 青色申告をする為には、貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付して提出しなくてはなりません。 |
(イ) | 不動産所得または事業所得を生ずべき事業を営んでいる青色申告者は、原則として、55万円の青色申告特別控除を受けることができます。 |
(ウ) | 55万円の青色申告特別控除を受けることができる人が、一定の電子申告要件等を満たした場合、青色申告特別控除の額は65万円になります。 |
【問13】
給与所得者の横川忠さん(50歳)は、生計を一にしている妻の由紀さん(48歳)に係る配偶者控除または配偶者特別控除について、FPで税理士でもある小田さんに質問をした。忠さんと由紀さんの2023年分の所得等の状況が下記<資料>のとおりである場合、小田さんが行った次の説明の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については一切考慮しないものとする。
<資料> | |
横川 忠さん | 合計所得金額(給与所得のみ) 600万円 |
横川 由紀さん | 合計所得金額(給与所得のみ) 43万円 |
[小田さんの説明]
「納税者の配偶者の合計所得金額が( ア )以下の場合、配偶者控除が適用され、( ア )超133万円以下の場合は配偶者特別控除が適用されます。なお、納税者の合計所得金額が( イ )超の場合、配偶者の所得金額にかかわらず、配偶者控除および配偶者特別控除の適用を受けることができません。従って、忠さんの所得税の計算上、( ウ )の適用を受けることができます。」
「納税者の配偶者の合計所得金額が( ア )以下の場合、配偶者控除が適用され、( ア )超133万円以下の場合は配偶者特別控除が適用されます。なお、納税者の合計所得金額が( イ )超の場合、配偶者の所得金額にかかわらず、配偶者控除および配偶者特別控除の適用を受けることができません。従って、忠さんの所得税の計算上、( ウ )の適用を受けることができます。」
1. | (ア)38万円 (イ)1,000万円 (ウ)配偶者特別控除 |
2. | (ア)48万円 (イ) 900万円 (ウ)配偶者特別控除 |
3. | (ア)48万円 (イ)1,000万円 (ウ)配偶者控除 |
正解:3
(ア) | 配偶者控除の適用を受けるための、配偶者の合計所得金額の要件は、48万円以下であることとされています。 |
(イ) | 配偶者控除や配偶者特別控除の適用を受けるための、納税者の合計所得金額の要件は、1,000万円以下であることとされています。 |
(ウ) | 配偶者控除の額は、納税者の合計所得金額が900万円以下であり、配偶者が老人控除対象配偶者に該当しない場合、38万円です。 |
【問14】
野村さんは、15年前に購入し、現在居住している自宅の土地および建物を売却する予定である。売却に係る状況が下記<資料>のとおりである場合、所得税における課税長期譲渡所得の金額として、正しいものはどれか。なお、記載のない事項については一切考慮しないものとする。
<資料> | ||
譲渡価額(合計) | : | 6,000万円 |
取得費(合計) | : | 1,500万円 |
譲渡費用(合計) | : | 500万円 |
※ | 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除の特例の適用を受けるものとする。 |
※ | 所得控除は考慮しないものとする。 |
1. | 1,000万円 |
2. | 1,500万円 |
3. | 4,000万円 |
正解:1
6,000万円-1,500万円-500万円-3,000万円=1,000万円です。
【問15】
2024年1月5日に相続が開始された工藤達夫さん(被相続人)の<親族関係図>が下記のとおりである場合、民法上の相続人および法定相続分の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。なお、記載のない条件については一切考慮しないものとする。
<親族関係図>
1. | 恵子2/3 紀夫1/3 |
2. | 恵子3/4 紀夫1/4 |
3. | 恵子3/4 紀夫1/8 隆太1/8 |
正解:3
相続人の組み合わせが、配偶者相続人と第3順位の血族相続人である場合、配偶者の法定相続分は3/4、血族相続人全体の法定相続分は1/4となります。
隆太さんは久美さんの代襲相続人ですから、隆太さんの法定相続分は、久美さんの本来の法定相続分と等しいです。
同順位の血族相続人が複数居る場合、原則として、各人の法定相続分は頭数で按分したものとなりますから、隆太さんと紀夫さんの法定相続分は、1/4×1/2=1/8となります。
隆太さんは久美さんの代襲相続人ですから、隆太さんの法定相続分は、久美さんの本来の法定相続分と等しいです。
同順位の血族相続人が複数居る場合、原則として、各人の法定相続分は頭数で按分したものとなりますから、隆太さんと紀夫さんの法定相続分は、1/4×1/2=1/8となります。
【問16】
神田綾子さんは、夫から居住用不動産の贈与を受けた。綾子さんは、この居住用不動産の贈与について、贈与税の配偶者控除の適用を受けることを検討しており、FPで税理士でもある米田さんに相談をした。この相談に対する米田さんの回答の空欄(ア)、(イ)にあてはまる語句または数値の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。
[米田さんの回答]
「配偶者から居住用不動産の贈与を受けた場合、その( ア )において、配偶者との婚姻期間が20年以上あること等の所定の要件を満たせば、贈与税の配偶者控除の適用を受けることができます。なお、贈与税の配偶者控除の額は、最高( イ )万円です。」
「配偶者から居住用不動産の贈与を受けた場合、その( ア )において、配偶者との婚姻期間が20年以上あること等の所定の要件を満たせば、贈与税の配偶者控除の適用を受けることができます。なお、贈与税の配偶者控除の額は、最高( イ )万円です。」
1. | (ア)贈与があった年の1月1日 (イ)1,000 |
2. | (ア)贈与があった年の1月1日 (イ)2,000 |
3. | (ア)贈与があった日 (イ)2,000 |
正解:3
(ア) | 贈与税の配偶者控除を受けるための婚姻期間の要件は、贈与があった日において20年以上であることとされています。 |
(イ) | 贈与税の配偶者控除の額は、基礎控除とは別枠で、最高2,000万円です。 |
【問15】~【問20】は、以下の資料を元に解答してください。
<設例>
有馬智孝さんは株式会社TSに勤務する会社員である。智孝さんは今後の生活設計について、FPで税理士でもある最上さんに相談をした。なお、下記のデータはいずれも2024年1月1日現在のものである。
有馬智孝さんは株式会社TSに勤務する会社員である。智孝さんは今後の生活設計について、FPで税理士でもある最上さんに相談をした。なお、下記のデータはいずれも2024年1月1日現在のものである。
<家族構成(同居家族)>
[有馬 智孝(本人)]
1968年10月17日(55歳)
会社員
[有馬 弘子(妻)]
1973年 5月 4日(50歳)
会社員
[有馬 敬太(長男)]
2003年 9月10日(20歳)
大学生
<保有財産(時価)>
[金融資産]
普通預金 :370万円
定期預金 :800万円
財形年金貯蓄:280万円
投資信託 :450万円
[生命保険(解約返戻金相当額)]
125万円
[不動産(自宅マンション) ]
3,900万円
<負債残高>
住宅ローン(自宅マンション):240万円(債務者は智孝さん、団体信用生命保険付き)
住宅ローン(自宅マンション):240万円(債務者は智孝さん、団体信用生命保険付き)
<その他>
上記以外については、各設問において特に指定のない限り一切考慮しないものとする。
上記以外については、各設問において特に指定のない限り一切考慮しないものとする。
【問17】
FPの最上さんは、有馬家のバランスシートを作成した。下表の空欄(ア)にあてはまる金額として、正しいものはどれか。なお、<設例>に記載のあるデータに基づいて解答するものとする。
1. | 2,345(万円) |
2. | 6,005(万円) |
3. | 6,245(万円) |
正解:2
<資産>
普通預金370万円
定期預金800万円
財形年金貯蓄280万円
投資信託450万円
上場株式320万円
生命保険125万円
不動産3,900万円
の、計6,245万円
<負債>
住宅ローン240万円
よって、純資産=6,245万円-240万円=6,005万円となります。
【問18】
智孝さんは、60歳で定年を迎えた後、公的年金の支給が始まる65歳までの5年間の生活資金に退職一時金の一部を充てようと考えている。退職一時金のうち500万円を年利1.0%で複利運用しながら5年間で均等に取り崩すこととした場合、年間で取り崩すことができる最大金額として、正しいものはどれか。なお、下記<資料>の3つの係数の中から最も適切な係数を選択して計算し、円単位で解答すること。また、税金や記載のない事項については一切考慮しないものとする。
<資料:係数早見表(5年,年利1.0%)>
終価係数 :1.051
資本回収係数:0.20604
減債基金係数:0.19604
終価係数 :1.051
資本回収係数:0.20604
減債基金係数:0.19604
※ | 記載されている数値は正しいものとする。 |
1. | 980,200円 |
2. | 1,030,200円 |
3. | 1,051,000円 |
正解:2
取崩型運用の将来の金額を求めるために用いる係数は、6文字、「げん」の音が無い、「年金」が付かないという条件を満たす資本回収係数です。
よって、500万円×0.20604=1,030,200円となります。
よって、500万円×0.20604=1,030,200円となります。
【問19】
智孝さんは、定年退職後の公的医療保険について、健康保険の任意継続被保険者になることを検討している。全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)の任意継続被保険者に関する次の記述の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。
被保険者の資格喪失日から( ア )以内に申出をすることにより、最長で( イ )、任意継続被保険者となることができる。なお、任意継続被保険者となるためには、資格喪失日の前日まで継続して2ヵ月以上被保険者であったことが必要である。また、任意継続被保険者は、一定の親族を被扶養者とすること( ウ )。
1. | (ア)14日 (イ)2年間 (ウ)はできない |
2. | (ア)20日 (イ)2年間 (ウ)ができる |
3. | (ア)20日 (イ)4年間 (ウ)はできない |
正解:2
(ア) | 健康保険の任意継続被保険者になるためには、資格喪失日から20日以内に手続きをする必要があります。 |
(イ) | 健康保険の任意継続被保険者となることができるのは、最長で2年間です。 |
(ウ) | 健康保険の任意継続被保険者は、一定要件を満たす親族を被扶養者とすることができます。 |
【問20】
智孝さんは、通常65歳から支給される老齢基礎年金を繰り上げて受給できることを知り、FPの最上さんに質問をした。智孝さんの老齢基礎年金および老齢厚生年金の繰上げ受給に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給要件は満たしているものとする。
1. | 老齢基礎年金を繰上げ受給した場合の年金額は、繰上げ年数1年当たり4%の割合で減額される。 |
2. | 老齢基礎年金を繰上げ受給した場合の年金額の減額は、一生涯続く。 |
3. | 老齢基礎年金を繰上げ受給する場合は、老齢厚生年金も同時に繰上げ受給しなければならない。 |
正解:1
1. | 老齢基礎年金を繰上げ受給した場合の年金額は、1ヵ月あたり0.4%(1年あたり4.8%)減額されます。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | 正しい記述です。なお、繰下げの申出は別々にすることができます。 |
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