FP2級学科解説-2024年1月・問11~20
【問11】
保険法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 保険金受取人の変更は、遺言によってもすることができる。 |
2. | 死亡保険契約の保険契約者または保険金受取人が、死亡保険金を受け取ることを目的として被保険者を故意に死亡させ、または死亡させようとした場合、保険会社は当該保険契約を解除することができる。 |
3. | 死亡保険契約において、保険契約者と被保険者が離婚し、被保険者が当該保険契約に係る同意をするに当たって基礎とした事情が著しく変更した場合、被保険者は保険契約者に対して当該保険契約を解除することを請求することができる。 |
4. | 生命保険契約の締結に際し、保険契約者または被保険者になる者は、保険会社から告知を求められた事項以外の保険事故の発生の可能性に関する重要な事項について、自発的に判断して事実の告知をしなければならない。 |
正解:4 | |
1. | 正しい記述です。 |
2. | 正しい記述です。保険金殺人は未遂でも許されません。 |
3. | 正しい記述です。保険契約者と被保険者との間の親族関係の終了等その他の事情により、被保険者が保険契約の締結時に同意をするに当たって基礎とした事情が著しく変更した場合などには、被保険者は保険契約者に対し保険契約を解除するよう請求することができます。離婚した配偶者が自分を被保険者とする死亡保険契約を継続していたら嫌ですよね。 |
4. | 告知は質問応答義務とされているため、告知を求められた事項以外の事柄について自発的な告知をする必要はありません(自発的な告知をしなくても、告知義務違反にはなりません)。 |
【問12】
生命保険の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、特約については考慮しないものとする。
1. | 外貨建て終身保険では、死亡保険金を円貨で受け取る場合、受け取る金額は為替相場によって変動する。 |
2. | 変額保険(終身型)では、資産の運用実績に応じて死亡保険金額が変動するが、契約時に定めた保険金額(基本保険金額)は保証される。 |
3. | こども保険(学資保険)では、契約者(=保険料負担者)が死亡した場合であっても、保険契約は継続し、被保険者である子の成長に合わせて祝金(学資金)等を受け取ることができる。 |
4. | 低解約返戻金型終身保険では、他の契約条件が同一であれば、低解約返戻金型ではない終身保険と比較して、保険料払込期間満了後も解約返戻金額が低く設定されている。 |
正解:4 | |
1. | 正しい記述です。外貨建て保険には為替変動リスクがあります。 |
2. | 正しい記述です。変額保険の死亡保険金額には、最低保証があります。 |
3. | 正しい記述です。こども保険(学資保険)では、契約者(=保険料負担者)が死亡した場合、以後の保険料の払込みが免除され、満期まで契約が有効に継続します。 |
4. | 低解約返戻金型終身保険の解約返戻金の額は、保険料払込期間終了後は、低解約返戻金型ではない終身保険と同水準になります。 |
【問13】
総合福祉団体定期保険および団体定期保険(Bグループ保険)の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 総合福祉団体定期保険は、企業(団体)が保険料を負担し、従業員等を被保険者とする1年更新の定期保険である。 |
2. | 総合福祉団体定期保険のヒューマン・ヴァリュー特約では、被保険者である従業員等が不慮の事故によって身体に障害を受けた場合や傷害の治療を目的として入院した場合に、所定の保険金が従業員等に支払われる。 |
3. | 団体定期保険(Bグループ保険)は、従業員等が任意に加入する1年更新の定期保険であり、毎年、保険金額を所定の範囲内で見直すことができる。 |
4. | 団体定期保険(Bグループ保険)の加入に際して、医師の診査は不要である。 |
正解:2 | |
1. | 正しい記述です。 |
2. | ヒューマンバリュー特約は、被保険者の死亡等による企業の経済的損失に備える特約で、契約者(団体)が保険金を受け取ります。従業員等が保険金を受け取ることはありません。 |
3. | 正しい記述です。 |
4. | 正しい記述です。総合福祉団体定期保険や団体定期保険(Bグループ保険)の加入は、告知だけで足り、医師の診査は不要です。 |
【問14】
個人年金保険の税金に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、いずれも契約者(=保険料負担者)および年金受取人は同一人であり、個人であるものとする。
1. | 個人年金保険の年金に係る雑所得の金額は、その年金額から、その年金額に対応する払込保険料および公的年金等控除額を差し引いて算出する。 |
2. | 個人年金保険の年金に係る雑所得の金額が25万円以上である場合、その年金の支払時に当該金額の20.315%相当額が源泉徴収等される。 |
3. | 個人年金保険(10年確定年金)において、年金受取人が年金受取開始日後に将来の年金給付の総額に代えて受け取った一時金は、一時所得として所得税の課税対象となる。 |
4. | 個人年金保険(保証期間付終身年金)において、保証期間中に年金受取人が死亡して遺族が取得した残りの保証期間の年金受給権は、雑所得として所得税の課税対象となる。 |
正解:3 | |
1. | 個人年金保険の年金に係る雑所得は、その他の雑所得ですから、所得の金額の計算上、公的年金等控除額は引きません(その他の雑所得の金額=総収入金額-必要経費)。 |
2. | 契約者と年金受取人が同一である個人年金保険において、年金に係る雑所得の金額が25万円以上である場合、その年金の支払時に当該金額の10.315%相当額が源泉徴収等されます。 |
3. | 正しい記述です。確定年金の将来の年金給付の総額に代えて受け取った一時金は、一時所得として所得税の課税対象となります。 なお、保証期間付きの年金の保証期間分を一時金として受け取った場合は、雑所得となります。 |
4. | 契約者(=保険料負担者)および年金受取人が同一である個人年金保険において、年金受取人が死亡したことに伴い、遺族が取得した残りの保証期間の年金受給権は、相続税の課税対象となります。 |
【問15】
契約者(=保険料負担者)を法人とする生命保険に係る保険料等の経理処理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、いずれの保険契約も保険料は年払いかつ全期払いで、2023年10月に締結したものとする。
1. | 被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険の支払保険料は、その全額を資産に計上する。 |
2. | 被保険者が役員・従業員全員、死亡保険金受取人が被保険者の遺族、満期保険金受取人が法人である養老保険の支払保険料は、その全額を損金の額に算入することができる。 |
3. | 被保険者が役員・従業員全員、給付金受取人が法人である医療保険について、法人が受け取った入院給付金および手術給付金は、その全額を益金の額に算入する。 |
4. | 被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人で、最高解約返戻率が80%である定期保険(保険期間30年)の支払保険料は、保険期間の前半4割相当期間においては、その60%相当額を資産に計上し、残額を損金の額に算入することができる。 |
正解:2 | |
1. | 正しい記述です。終身保険のような貯蓄性の高い保険契約に係る保険料は、その全額を資産に計上します。 |
2. | ハーフタックスプランの要件を満たした養老保険の保険料は、その2分の1相当額を損金の額に算入することができます。 |
3. | 正しい記述です。法人が入院給付金や手術給付金を受け取った場合、その全額を益金の額に算入します。 |
4. | 正しい記述です。2019年7月8日以降に契約した長期平準定期保険の最高解約返戻率が70%超85%以下である場合、保険期間の前半4割相当期間における資産計上割合は60%です。 |
【問16】
任意加入の自動車保険の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
1. | 自動車保険のノンフリート等級別料率制度では、人身傷害保険の保険金が支払われる場合、3等級ダウン事故となる。 |
2. | 記名被保険者が被保険自動車を運転中に、ハンドル操作を誤って散歩をしていた同居の父に接触してケガをさせた場合、対人賠償保険の補償の対象とならない。 |
3. | 台風による高潮で被保険自動車に損害が生じた場合、一般条件の車両保険の補償の対象となる。 |
4. | 記名被保険者が被保険自動車を運転中に対人事故を起こし、法律上の損害賠償責任を負担する場合、自動車損害賠償責任保険等により補償される部分を除いた額が、対人賠償保険の補償の対象となる。 |
正解:1 | |
1. | 対人賠償責任保険、対物賠償保険、車両保険以外の保険を使っても、ノンフリート等級は下がりません。 |
2. | 正しい記述です。対人賠償責任保険は、記名被保険者の父母、配偶者、子などを被害者とする事故は補償しません。 |
3. | 正しい記述です。一般条件の車両保険では、火災や爆発のほか、台風による高潮や洪水などの風災や水災も補償します。 |
4. | 正しい記述です。対人賠償保険の補償の対象となるのは、対人事故を起こしたことにより負った損害賠償額のうち、自賠責保険でカバーできない部分です。 |
【問17】
傷害保険の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、特約については考慮しないものとする。
1. | 普通傷害保険では、海外旅行中に転倒したことによるケガは補償の対象とならない。 |
2. | 家族傷害保険では、保険期間中に誕生した契約者(=被保険者本人)の子は被保険者となる。 |
3. | 海外旅行傷害保険では、海外旅行中に罹患したウイルス性食中毒は補償の対象となる。 |
4. | 国内旅行傷害保険では、国内旅行中に発生した地震および地震を原因とする津波によるケガは補償の対象とならない。 |
正解:1 | |
1. | 普通傷害保険では、国内外を問わず、日常生活でのケガを補償します。 |
2. | 正しい記述です。家族傷害保険において補償の対象となる被保険者の範囲は、(契約時点ではなく)事故が発生した時点における関係で判定されます。そのため、保険期間中に誕生した契約者(=被保険者本人)の子も、被保険者となります。 |
3. | 正しい記述です。国内旅行傷害保険や海外旅行傷害保険では、ウイルス性食中毒を補償の対象とします。 |
4. | 正しい記述です。旅行中に発生した地震および地震を原因とする津波によるケガは、海外旅行傷害保険では補償されますが、国内旅行傷害保険補償されません。 |
【問18】
契約者(=保険料負担者)を法人、被保険者を従業員とする損害保険に係る保険金の経理処理に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. | 業務中の事故によるケガが原因で入院をした従業員が、普通傷害保険の入院保険金を保険会社から直接受け取った場合、法人は当該保険金相当額を益金の額に算入する。 |
2. | 業務中の事故で従業員が死亡したことにより、法人が普通傷害保険の死亡保険金を受け取った場合、法人は当該保険金相当額を益金の額に算入する。 |
3. | 従業員が法人の所有する自動車で対人事故を起こし、その相手方に保険会社から自動車保険の対人賠償保険の保険金が直接支払われた場合、法人は当該保険金相当額を益金の額に算入する。 |
4. | 従業員が法人の所有する自動車で交通事故を起こし、法人が、当該車両が全損したことにより受け取った自動車保険の車両保険の保険金で業務用機械設備を取得した場合、圧縮記帳が認められる。 |
正解:2 | |
1. | 普通傷害保険の入院保険金を、従業員が保険会社から直接受け取った場合、法人の貸借対照表や損益計算書に影響が無い(資産・負債・純資産・収益・費用のいずれも増減しない)ため、記帳の必要はありません。 |
2. | 正しい記述です。法人が解約返戻金のない保険契約の死亡保険金を受け取った場合、その全額を益金の額に算入します。 |
3. | 事故を起こした相手方に保険会社から自動車保険の対人賠償保険の保険金が直接支払われた場合、法人の貸借対照表や損益計算書に影響が無い(資産・負債・純資産・収益・費用のいずれも増減しない)ため、記帳の必要はありません。 |
4. | 圧縮記帳は、同種の資産を購入するなど、一定の要件を満たした場合でなければ認められません。車両と業務用機械設備は異なる種類の資産ですから、圧縮記帳は認められません。 |
【問19】
第三分野の保険の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、記載のない特約については考慮しないものとする。
1. | 所得補償保険では、勤務先企業の倒産によって失業した場合、保険金は支払われない。 |
2. | 更新型の医療保険では、保険期間中に入院給付金を受け取った場合、保険契約を更新することができない。 |
3. | 先進医療特約では、契約時点において先進医療に該当していた治療であれば、療養を受けた時点において先進医療に該当しない場合であっても、保険金の支払対象となる。 |
4. | がん保険では、通常、180日間または6ヵ月間の免責期間が設けられている。 |
正解:1 | |
1. | 正しい記述です。所得補償保険は、病気やケガにより働くことができなくなった場合に備える保険ですから、倒産・定年・妊娠などにより働くことができなくなった場合には補償されません。 |
2. | 保険契約の更新は、契約者の権利ですから、保険金や給付金の支払い履歴や更新時点の健康状態に関係なくすることができます。 |
3. | 先進医療特約では、療養を受けた時点において先進医療に該当する治療を受けた場合に、保険金が支払われます。 |
4. | がん保険の免責期間は、一般的に、90日や3ヵ月とされています。 |
【問20】
損害保険を活用した事業活動のリスク管理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 生活用品を製造する事業者が、製造した製品の欠陥が原因で顧客がケガをして、法律上の損害賠償責任を負担する場合に備えて、生産物賠償責任保険(PL保険)を契約した。 |
2. | 建設業を営む事業者が、建設中の建物が火災により損害を被る場合に備えて、建設工事保険を契約した。 |
3. | 清掃業務を請け負っている事業者が、清掃業務中の事故により従業員がケガをして、法律上の損害賠償責任を負担する場合に備えて、請負業者賠償責任保険を契約した。 |
4. | ボウリング場を運営する事業者が、設備の管理不備に起因する事故により顧客がケガをして、法律上の損害賠償責任を負担する場合に備えて、施設所有(管理)者賠償責任保険を契約した。 |
正解:3 | |
1. | 正しい記述です。生産物賠償責任保険(PL保険)は、第三者に引き渡した物や製品や業務の結果に起因して賠償責任を負担した場合に備える保険です。 |
2. | 正しい記述です。建設工事保険は、建設工事の期間中に発生した火災、自然災害、盗難、作業ミス等の事故によって、工事の目的物等に損害を受けた場合に備える保険です。 |
3. | 業務中の従業員のケガ(労災事故)に備える保険は、労働災害総合保険です。 |
4. | 正しい記述です。施設所有(管理)者賠償責任保険は、施設の構造上の欠陥や管理の不備による事故、或いは、業務の遂行に起因して発生する賠償事故に備える保険です。 |
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