お金の寺子屋

FP3級実技(FP協会)解説-2023年1月・後半

【問11】
佐野さんの2022年分の収入は、下記<資料>のとおりである。<資料>の空欄(ア)と(イ)にあてはまる所得の種類の組み合わせとして最も適切なものはどれか。

<資料>
所得区分 収入等の内容 備考
( ア ) 剰余金の分配
20万円
上場株式等の利益剰余金に係る分配である。
( イ ) 受取保険金
100万円
保険期間20年の一時払養老保険の満期保険金(契約者・保険料負担者は佐野さん)。一時金で受け取っている。
1. (ア)利子所得 (イ)一時所得
2. (ア)配当所得 (イ)雑所得
3. (ア)配当所得 (イ)一時所得
正解:
(ア) 上場株式の利益剰余金に係る分配(株式の配当は、利益の分配だけでなく、利益が出ていない場合に剰余金を原資に支払われることもあります)は、配当所得です。
(イ) 一時払養老保険の満期保険金は、契約から5年を超えて受け取った場合は、一時所得として所得税の課税対象となります。
【問12】
落合さんは、個人でアパートの賃貸をしている青色申告者である。落合さんの2022年分の所得および所得控除が下記<資料>のとおりである場合、落合さんの2022年分の所得税額として、正しいものはどれか。なお、落合さんに<資料>以外の所得はなく、復興特別所得税や税額控除、源泉徴収税額、予定納税等については一切考慮しないこととする。

<資料>
[2022年分の所得]
不動産所得の金額 580万円
※必要経費や青色申告特別控除額を控除した後の金額である。

[2022年分の所得控除]
所得控除の合計額 130万円

<資料>所得税の速算表
課税される
所得金額
税率 控除額
195万円未満 5%
195万円以上
330万円未満
10% 97,500円
330万円以上
695万円未満
20% 427,500円
695万円以上
900万円未満
23% 636,000円
900万円以上
1,800万円未満
33% 1,536,000円
1,800万円以上
4,000万円未満
40% 2,796,000円
4,000万円以上 45% 4,796,000円
課税される所得金額の1,000円未満の端数は切捨て
1. 900,000円
2. 732,500円
3. 472,500円
正解:
課税所得金額=580万円-130万円=450万円です。
よって、450万円×20%-427,500円=472,500円となります。
【問13】
2023年1月5日に相続が開始された皆川健太郎さん(被相続人)の<親族関係図>が下記のとおりである場合、民法上の相続人および法定相続分の組み合わせとして、正しいものはどれか。なお、記載のない条件については一切考慮しないこととする。

<親族関係図>
<親族関係図>
夏希さんと智彦さんは適法に相続を放棄している。
1. 美千子 2/3 喜美子 1/3
2. 美千子 1/2 喜美子 1/2
3. 美千子 1/2 莉緒 1/2
正解:
第一順位の血族相続人は全員死亡又は放棄をしているため存在しません(放棄をしている人の子は代襲相続人にはなりません)。
よって、相続人の組み合わせは配偶者相続人と第2順位の血族相続人となり、配偶者相続人の法定相続分が2/3、血族相続人の法定相続分が1/3となります。
【問14】
相続開始後の各種手続きにおける下記<資料>の空欄(ア)、(イ)にあてはまる語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については一切考慮しないこととする。

<資料>
手続きの種類 行うべき手続きの内容
相続の放棄
または限定承認
原則として、相続の開始を知った時から3ヵ月以内に( ア )に申述書を提出
相続税の
申告と納付
相続の開始を知った日の翌日から( イ )以内に被相続人の死亡時の住所地の所轄税務署長に申告書を提出
1. (ア)地方裁判所 (イ) 6ヵ月
2. (ア)地方裁判所 (イ)10ヵ月
3. (ア)家庭裁判所 (イ)10ヵ月
正解:
(ア) 放棄や限定承認の手続きは、家庭裁判所で行います。
(イ) 相続税の申告と納付の期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヵ月以内です。

【問15】~【問20】は、以下の資料を元に解答してください。

<設例>
木内智洋さんは株式会社QAに勤める会社員である。智洋さんは、今後の生活設計についてFPで税理士でもある近藤さんに相談をした。なお、下記のデータはいずれも2023年1月1日現在のものである。

<家族構成(同居家族)>
[木内 智洋(本人)]
1968年12月24日(54歳)
会社員

[木内 美奈子(妻)]
1972年3月3日(45歳)
専業主婦

[木内 昇太(長男)]
2003年8月10日(19歳)
大学生

<保有財産(時価)>
[金融資産]
普通預金:240万円
定期預金:400万円
投資信託:350万円
上場株式:210万円

[生命保険(解約返戻金相当額)]
50万円

[不動産(自宅マンション) ]
3,700万円

<負債残高>
住宅ローン(自宅マンション):800万円(債務者は智洋さん、団体信用生命保険付き)
<その他>
上記以外については、各設問において特に指定のない限り一切考慮しないものとする。
【問15】
FPの近藤さんは、木内家のバランスシートを作成した。下表の空欄(ア)にあてはまる金額として、正しいものはどれか。なお、<設例>に記載のあるデータに基づいて解答することとする。

1. 1,250(万円)
2. 4,100(万円)
3. 4,150(万円)
正解:

<資産>
普通預金240万円
定期預金400万円
投資信託350万円
上場株式210万円
生命保険50万円
不動産3,700万円
の、計4,950万円

<負債>
住宅ローン800万円

よって、純資産=4,950万円-800万円=4,150万円となります。

【問16】
智洋さんは、60歳で定年を迎えた後、公的年金の支給が始まる65歳までの5年間の生活資金に退職一時金の一部を充てようと考えている。仮に、退職一時金のうち500万円を年利2.0%で複利運用しながら5年間で均等に取り崩すこととした場合、年間で取り崩すことができる最大金額として、正しいものはどれか。なお、下記<資料>の3つの係数の中から最も適切な係数を選択して計算し、円単位で解答すること。また、税金や記載のない事項については一切考慮しないこととする。

<資料:係数早見表(年利2.0%、5年)>
減債基金係数:0.19216
現価係数  :0.9057
資本回収係数:0.21216

記載されている数値は正しいものとする。
1. 1,060,800円
2.   960,800円
3.   905,700円
正解:
取崩型運用の将来の金額を求めるために用いる係数は、資本回収係数です(単純な運用でないので6文字、現在の金額でないので「げん」の音はない、まとまった金額でないので「年金」の文字はない)。
よって、500万円×0.21216=1,060,800円となります。
【問17】
智洋さんの年金加入歴は下記のとおりである。仮に、智洋さんが現時点(54歳)で死亡した場合、智洋さんの死亡時点において妻の美奈子さんに支給される公的年金の遺族給付に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、智洋さんは、入社時(22歳)から死亡時まで厚生年金保険に加入しているものとし、遺族給付における生計維持要件は満たされているものとする。また、昇太さんに障害はないものとする。

1. 中高齢寡婦加算額が加算された遺族厚生年金と死亡一時金が支給される。
2. 中高齢寡婦加算額が加算された遺族厚生年金が支給される。
3. 中高齢寡婦加算額が加算された遺族厚生年金と寡婦年金が支給される。
正解:
美奈子さんは、夫の死亡当時子のない40歳以上65歳未満の配偶者に該当しますから、受給する遺族厚生年金に中高齢寡婦加算が加算されます(昇太さんは18歳到達年度の末日を経過しているため、年金法上の子には該当しません)。
また、死亡一時金や寡婦年金は、死亡日の前日において国民年金の第1号被保険者として一定期間以上国民年金の保険料を納めているなどの要件を満たす必要があり、智洋さんはこれを満たさないため支給されません。
【問18】
智洋さんは、将来親の介護が必要になり仕事を休んだ場合、雇用保険からどのような給付が受けられるのか、FPの近藤さんに質問をした。近藤さんが行った雇用保険の介護休業給付金に関する次の説明の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる数値の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。

「介護休業給付金は、雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者が対象家族の介護をするために休業をした場合に支給されます。支給日数1日当たりの支給額は、休業中に賃金が支払われない場合、休業開始時賃金日額の( ア )%相当額で、同一の対象家族について通算( イ )日(( ウ )回まで分割可能)を限度に支給されます。」
1. (ア)67 (イ)90 (ウ)2
2. (ア)68 (イ)93 (ウ)3
3. (ア)67 (イ)93 (ウ)3
正解:
介護休業給付金は、休業開始時賃金日額の67%相当額が、支給対象となる同じ家族について通算93日を限度に支給されるもので、3回まで分割することが可能です。
「介護は大変なので無理するな(6りする7)という救済(93い)」という語呂合わせで覚えてください。
【問19】
智洋さんは、今後高齢の親の介護が必要になった場合を考え、公的介護保険制度について、FPの近藤さんに質問をした。近藤さんが行った介護保険に関する次の説明の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる数値または語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。

「介護保険では、( ア )歳以上の者が加入者となり、保険料は( イ )負担します。介護保険の給付を受けるためには、( ウ )の認定を受ける必要があり、認定審査の判定結果は、『要介護1~5』『要支援1・2』『非該当』と区分されます。要介護と認定されると居宅サービス、施設サービスのどちらも利用できます。」
1. (ア)40 (イ)生涯    
(ウ)市町村または特別区
2. (ア)65 (イ)80歳まで 
(ウ)都道府県
3. (ア)40 (イ)80歳まで 
(ウ)市町村または特別区
正解:
(ア) 介護保険は、40歳以上の人が加入対象者となり、40歳以上65歳未満の第2号被保険者と、65歳以上の第1号被保険者に分かれています。
(イ) 介護保険の被保険者は介護保険料を支払う必要があり、40歳以上の人は死ぬまで介護保険の被保険者になりますから、介護保険の保険料は一生涯支払います。
(ウ) 介護保険の給付を受けるためには、市町村又は特別区の介護認定を受ける必要があります。
【問20】
智洋さんは、下記<資料>の外貨定期預金キャンペーンに関心を持っている。預入条件が<資料>のとおりであるとき、FPの近藤さんの次の説明のうち、最も不適切なものはどれか。

<資料>
米ドル定期預金8%(年利・税引前・1ヵ月もの)
円貨から預け入れた場合のみ適用
原則、中途解約不可 中途解約利率適用
1. 「外貨預金は預金保険制度の対象外となっています。」
2. 「元金1万ドルを預けた場合、満期時には税引前・米ドルベースで800ドルの利息を受け取ることができます。」
3. 「円貨から外貨定期預金を始める際は、TTSレート(対顧客電信売相場)が適用されます。」
正解:
1. 正しい記述です。
2. <資料>の外貨預金は1ヵ月ものですから、満期時の税引前の米ドルベースの利息は、1万ドル×0.08×1/12≒66.67米ドルです。
3. 正しい記述です。

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