FP3級実技(FP協会)解説-2023年1月・前半
【問1】
ファイナンシャル・プランニング業務を行うに当たっては、関連業法を順守することが重要である。ファイナンシャル・プランナー(以下「FP」という)の行為に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 弁護士資格を有していないFPが、離婚後の生活設計について相談された顧客の依頼により、その顧客の代理人として相手方との離婚時の財産分与について話し合いを行い、報酬を得た。 |
2. | 社会保険労務士資格を有していないFPが、顧客の「ねんきん定期便」等の資料を参考に、公的年金を繰下げ受給した場合の見込み額を試算した。 |
3. | 税理士資格を有していないFPが、参加費有料のセミナーにおいて、仮定の事例に基づき、一般的な税額計算の手順を解説した。 |
正解:1
1. | 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で、法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱ってはいけません。 |
2. | 公的年金の受給見込み額の計算は誰でもすることができます。 |
3. | 仮定の事例に基づいた一般的な税額計算は誰でもすることができます。 |
【問2】
下記は、平尾家のキャッシュフロー表(一部抜粋)である。このキャッシュフロー表の空欄(ア)、(イ)にあてはまる数値の組み合わせとして、正しいものはどれか。なお、計算過程においては端数処理をせず計算し、計算結果については万円未満を四捨五入すること。
※ | 年齢および金融資産残高は各年12月31日現在のものとし、2022年を基準年とする。 |
※ | 給与収入は可処分所得で記載している。 |
※ | 記載されている数値は正しいものとする。 |
※ | 問題作成の都合上、一部空欄にしてある。 |
1. | (ア)531 (イ)788 |
2. | (ア)532 (イ)796 |
3. | (ア)532 (イ)795 |
正解:3
1. | 511万円×(1.01)^4=531.74…万円≒532万円です。 |
2. | 702万円×1.01+86万円=795.02万円です。 |
【問3】
下記<資料>の投資信託を50万口購入する場合の購入金額として、正しいものはどれか。なお、解答に当たっては、円未満を切り捨てること。
<資料>
約定日の基準価額(1万口当たり) 19,855円
購入時手数料(税込み) 2.20%
運用管理費用(信託報酬・税込み) 年0.66%
約定日の基準価額(1万口当たり) 19,855円
購入時手数料(税込み) 2.20%
運用管理費用(信託報酬・税込み) 年0.66%
1. | 999,302円 |
2. | 1,014,590円 |
3. | 1,021,142円 |
正解:2
手数料を除いた購入金額=19,855/1万口×50万口=992,750円です。
よって、手数料を含んだ購入金額は、992,750円×1.022=1,014,590.5円1,014,590≒円(円未満切り捨て)となります。
なお、信託報酬は、投資信託を保有している間に徴収されるコストであり、購入金額の計算には影響を与えません。
よって、手数料を含んだ購入金額は、992,750円×1.022=1,014,590.5円1,014,590≒円(円未満切り捨て)となります。
なお、信託報酬は、投資信託を保有している間に徴収されるコストであり、購入金額の計算には影響を与えません。
【問4】
FPの井上さんが行った単利と複利に関する次の説明の空欄(ア)、(イ)にあてはまる語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。なお、問題作成の都合上、一部を空欄(***)としている。
単利とは、当初の元金に対してのみ利息を計算する方式のことで、算出式は「***」です。一方、複利とは一定期間ごとに支払われる利息を元本に含めて、これを新しい元金として利息を計算する方式のことをいいます。再投資される期間によって、1ヵ月複利、半年複利、1年複利という種類があり、利率や期間など他の条件が同じであれば、利息の再投資期間が( ア )方が満期時の元利合計は多くなります。1年複利の元利合計額(税引前)の算出式は「( イ )」です。
1. | (ア)長い (イ)元利合計額(税引前)=元本×(1+利率)×預入年数 |
2. | (ア)短い (イ)元利合計額(税引前)=元本×(1+利率)^預入年数 |
3. | (ア)短い (イ)元利合計額(税引前)=元本×(1+利率×預入年数) |
正解:2
(ア) | 複利計算においては利息の再投資期間が短いほど、満期時の元利合計は多くなります (例) 100万円を1年複利3%で2年間運用すると、100万円×(1.03)^2=1,060,900円 100万円を半年複利3%で2年間運用すると、100万円×(1.015)^4≒1,061,364円 100万円を3ヵ月複利3%で2年間運用すると、100万円×(1.0075)^8≒1,061,599円 100万円を1ヵ月複利3%で2年間運用すると、100万円×(1.0025)^24≒1,061,757円 |
(イ) | 1年複利の元利合計額(税引前)=元本×(1+利率)^預入年数です。 |
【問5】
下記<資料>に基づくTX株式会社の投資指標に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、購入時の手数料および税金は考慮しないこととする。
<資料>
<資料>
1. | 株価収益率(PER)で比較した場合、TX株式会社の株価は日経平均採用銘柄の平均(予想ベース)より割安である。 |
2. | 株価純資産倍率(PBR)で比較した場合、TX株式会社の株価は東証プライム全銘柄の平均より割安である。 |
3. | 配当利回り(単純平均)で比較した場合、TX株式会社の配当利回りは東証グロース全銘柄の平均(予想ベース)より高い。 |
正解:3
1. | PER=株価÷1株当たり当期純利益=1,900円÷137円≒13.87倍です。 PERは低いと割安と言えますから、日経平均採用銘柄の平均(12.85倍)と比較して割高だと言えます。 |
2. | PBR=株価÷1株当たり当期純資産=1,900円÷1,070円≒1.78倍です。 PBRは低いと割安と言えますから、東証プライム全銘柄の平均(1.16倍)と比較して割高だと言えます。 |
3. | 配当利回り(%)=1株当たり年間配当金÷株価×100=65円÷1,900円×100≒3.42%です。 これは、東証グロース全銘柄の平均(0.33%)よりも高いです。 |
【問6】
借地借家法に基づく普通借家権に関する以下の記述の空欄(ア)~(ウ)に入る語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。
存続期間 | |||||||
期間の定めが ある場合 |
契約で期間を定める場合、( ア )以上とする。( ア )未満の期間を定めた場合、期間の定めがないものとみなされる。 | ||||||
期間の定めが ない場合 |
|
1. | (ア)1年 (イ)3ヵ月 (ウ)1ヵ月 |
2. | (ア)1年 (イ)6ヵ月 (ウ)3ヵ月 |
3. | (ア)2年 (イ)6ヵ月 (ウ)3ヵ月 |
正解:2
(ア) | 普通借家契約は、1年未満の期間を定めて契約した場合、期間の定めがないものとみなされます。 |
(イ) | 期間の定めのない普通借家契約において、賃貸人から解約を申し出た場合は、申入れの日から6ヵ月経過後に契約は終了します。 |
(ウ) | 期間の定めのない普通借家契約において、賃借人から解約を申し出た場合は、申入れの日から3ヵ月経過後に契約は終了します。 |
【問7】
建築基準法の用途制限に従い、下表の空欄(ア)、(イ)にあてはまる建築可能な建築物の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。なお、記載のない条件については一切考慮しないこととする。
用途地域 | 建築物の種類 |
第一種低層住居専用地域 | ( ア )、神社 |
工業地域 | ( イ )、自動車整備工場 |
1. | (ア)大学 (イ)病院 |
2. | (ア)中学校 (イ)診療所 |
3. | (ア)中学校 (イ)病院 |
正解:2
(ア) | 第一種低層住居専用地域は閑静な住宅街ですから、大学を建てることはできませんが、中学校を建てることはできます。 |
(イ) | 工業地域は主に工業の業務の利便の増進を図る地域であり、病院を建てることはできませんが診療所は建てることができます(診療所は全ての用途地域に建てることができます)。 |
【問8】
建築基準法に従い、下記<資料>の土地に建築物を建築する場合、その土地に対する建築物の建築面積の最高限度として、正しいものはどれか。なお、記載のない条件については一切考慮しないこととする。
<資料>
1. | 240㎡ |
2. | 1,080㎡ |
3. | 1,200㎡ |
正解:1
建築面積の最高限度=敷地面積×建蔽率の上限です。
よって、300㎡×80%=240㎡となります。
よって、300㎡×80%=240㎡となります。
【問9】
馬場栄治さんが加入している終身医療保険(下記<資料>参照)の保障内容に関する次の記述の空欄(ア)にあてはまる金額として、正しいものはどれか。なお、保険契約は有効に継続しているものとする。また、栄治さんはこれまでに<資料>の保険から保険金および給付金を一度も受け取っていないものとする。
<資料>
栄治さんは、2022年1月にくも膜下出血で救急搬送され、緊急手術(給付倍率40倍)を受け、継続して73日間入院した。さらに、2022年7月に肺炎で10日間入院した。支払われる保険金および給付金は、合計( ア )である。
1. | 1,000,000円 |
2. | 1,100,000円 |
3. | 1,230,000円 |
正解:2
入院給付金10,000円/日×60日(支払日数の上限)+手術給付金10,000円×40+入院給付金10,000円/日×10日=1,100,000円です。
【問10】
損害保険の保険種類と事故の内容について記述した下表1~3のうち、対応する保険で補償の対象とならないものはどれか。なお、記載のない事項については一切考慮しないこととする。
正解:1
1. | 個人賠償責任保険は、業務中の事故は補償しません。 |
2. | 住宅火災保険は隣家からの延焼による損害を補償します。 |
3. | 普通傷害保険は、偶然かつ急激な外来のケガを補償します。 |
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