FP3級実技(FP協会)解説-2022年9月・前半
【問1】
ファイナンシャル・プランニング業務を行うに当たっては、関連業法を順守することが重要である。ファイナンシャル・プランナー(以下「FP」という)の行為に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 生命保険募集人、保険仲立人の登録を受けていないFPが、生命保険契約を検討している顧客のライフプランに基づき、必要保障額を具体的に試算し、相談料金を受け取った。 |
2. | 投資助言・代理業の登録を受けていないFPが、顧客と投資顧問契約を締結し、当該契約に基づいて具体的な投資銘柄と投資タイミングについて有償で助言をした。 |
3. | 税理士資格を有していないFPが、相続対策を検討している顧客に対し、一般的な相続税制度の仕組みと手順を解説し、相談料金を受け取った。 |
正解:2
1. | 必要保障額の計算は、誰でもすることができます。 |
2. | 顧客と投資顧問契約を締結して、当該契約に基づいて、有償で具体的な銘柄やタイミングについて助言を行うためには、投資助言・代理業の登録を受ける必要があります。 |
3. | 税制の一般的な説明は、誰でもすることができます。 |
【問2】
下記は、神田家のキャッシュフロー表(一部抜粋)である。このキャッシュフロー表の空欄(ア)、(イ)にあてはまる数値の組み合わせとして、正しいものはどれか。なお、計算過程においては端数処理をせず計算し、計算結果については万円未満を四捨五入すること。
※ | 年齢および金融資産残高は各年12月31日現在のものとし、2022年を基準年とする。 |
※ | 給与収入は可処分所得で記載している。 |
※ | 記載されている数値は正しいものとする。 |
※ | 問題作成の都合上、一部空欄にしてある。 |
1. | (ア)410 (イ) 874 |
2. | (ア)411 (イ)1,051 |
3. | (ア)420 (イ)1,052 |
正解:2
(ア) | 380×(1.02)^4=411.32…≒411です。 |
(イ) | 865×1.01+177=1,050.65≒1,051です。 |
【問3】
下記<証券口座の概要>に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、一般口座とは、課税口座のうち特定口座以外の口座をいうものとする。
<証券口座の概要>
1. | (a)は、口座開設年の1月1日において成人でなければ開設できない。 |
2. | (b)で売却した上場株式の所得は、いかなる場合でも確定申告はできない。 |
3. | (c)で売却した上場株式の損失は、同年に(a)で売却した上場株式の所得と損益通算ができない。 |
正解:3
1. | 未成年者も一般口座や特定口座を開設することができます(未成年口座)。 |
2. | 源泉徴収ありの特定口座で保有する有価証券に係る所得は、納税者の意思により確定申告をすることができます(他の証券会社の口座で生じた損益と通算する場合や、配当所得を総合課税する場合など)。 |
3. | 正しい記述です。NISA口座を通して買い付けた有価証券に係る損失については、損益通算や繰越控除をすることはできません。 |
【問4】
広尾さんは、預金保険制度の対象となるHA銀行の国内支店に下記<資料>の金融資産を預け入れている。仮に、HA銀行が破綻した場合、預金保険制度によって保護される金額として、正しいものはどれか。
<資料> | |
普通預金 | 360万円 |
定期預金 | 220万円 |
外貨預金 | 120万円 |
株式投資信託 | 280万円 |
注1 | : | 広尾さんは、HA銀行から借入れをしていない。 |
注2 | : | 普通預金は決済用預金ではない。 |
注3 | : | 預金の利息については考慮しないこととする。 |
注4 | : | HA銀行は過去1年以内に他行との合併等を行っていないこととする。 |
1. | 580万円 |
2. | 700万円 |
3. | 860万円 |
正解:1
普通預金と定期預金は、預金保険制度による保護の対象になり、元本1,000万円とその利息までは保護されますが、外貨預金や投資信託は、預金保険機構による保護の対象とはなりません。
よって、保護される金額は、360万円+220万円=580万円となります。
よって、保護される金額は、360万円+220万円=580万円となります。
【問5】
下記は、投資信託の費用についてまとめた表である。下表の空欄(ア)~(ウ)に入る語句として、最も適切なものはどれか。
投資信託の費用 | 主な内容 |
購入時手数料 (販売手数料) |
購入時に支払う費用。投資信託の種類などにより費用は異なるが、同一の投資信託であれば購入時手数料は( ア )。 |
運用管理費用 (信託報酬) |
運用のための費用や情報開示のための費用として徴収される。信託財産の残高から、( イ )、差し引かれる。 |
信託財産留保額 | 投資家間の公平性を保つために、一般的に、換金の際に徴収される。差し引かれた金額は、( ウ )。投資信託によっては差し引かれないものもある。 |
1. | 空欄(ア):「同額である」 |
2. | 空欄(イ):「毎日」 |
3. | 空欄(ウ):「委託会社(運用会社)が受け取る |
正解:2
1. | 投資信託の購入時手数料は、販売会社ごとに異なります。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | 信託財産留保額は、信託財産の中に留保されるものであり、販売会社や委託者や受託者などが受け取るものではありません。 |
【問6】
建築基準法に従い、下記<資料>の土地に建築物を建築する場合の延べ面積(床面積の合計)の最高限度として、正しいものはどれか。なお、記載のない条件については一切考慮しないこととする。
<資料>
1. | 180㎡ |
2. | 1,200㎡ |
3. | 1,260㎡ |
正解:2
前面道路の幅員が12m未満ですから、容積率の上限は、指定容積率(400%)と、前面道路の幅員×法定乗数により求められた値のどちらか小さい方です。
前面道路の幅員×法定乗数=6×7/10=4.2=480%より、容積率の上限は400%となります。
したがって、延べ床面積の最高限度は、300㎡×400%=1,200㎡となります。
前面道路の幅員×法定乗数=6×7/10=4.2=480%より、容積率の上限は400%となります。
したがって、延べ床面積の最高限度は、300㎡×400%=1,200㎡となります。
【問7】
不動産の取得・保有に係る税金について、下表の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。
<資料>
※ | 問題作成の都合上、一部を「***」としている。 |
1. | (ア)国 (イ)4月1日 (ウ)固定資産税評価額 |
2. | (ア)国 (イ)1月1日 (ウ)固定資産税評価額 |
3. | (ア)都道府県 (イ)1月1日 (ウ)相続税評価額 |
正解:2
1. | 登録免許税の課税主体は国です。 |
2. | 固定資産税の納税義務者は、1月1日現在において、課税対象となる固定資産を所有している人です。 |
3. | 不動産取得税の課税標準は、固定資産税評価額です。 |
【問8】
横川浩さんが加入しているがん保険(下記<資料>参照)の保障内容に関する次の記述の空欄(ア)にあてはまる金額として、正しいものはどれか。なお、保険契約は有効に継続しているものとし、浩さんはこれまでに<資料>の保険から保険金および給付金を一度も受け取っていないものとする。
<資料>
横川浩さんは、2022年4月に初めてがん(大腸がん、悪性新生物)と診断され、がんの治療のために21日間入院し、その間に手術(給付倍率40倍)を1回受け、退院4ヵ月後に肺炎で11日間入院(手術なし)した。2022年中に支払われる保険金および給付金は、合計( ア )である。
1. | 610,000円 |
2. | 1,610,000円 |
3. | 1,720,000円 |
正解:2
がん入院給付金10,000円×21+がん診断給付金100万円+手術給付金10,000円×40=1,610,000円となります。
【問9】
牧村健太さんが2021年中に支払った生命保険の保険料は下記<資料>のとおりである。この場合の健太さんの2021年分の所得税の計算における生命保険料控除の金額として、正しいものはどれか。なお、<資料>の保険について、これまでに契約内容の変更はないものとする。また、2021年分の生命保険料控除額が最も多くなるように計算すること。
<資料>
[定期保険(無配当、新生命保険料)]
契約日:2018年5月1日
保険契約者:牧村 健太
被保険者:牧村 健太
死亡保険金受取人:牧村 洋子(妻)
2021年の年間支払保険料:78,240円
[医療保険(無配当、介護医療保険料)]
契約日:2016年8月10日
保険契約者:牧村 健太
被保険者:牧村 健太
死亡保険金受取人:牧村 洋子(妻)
2021年の年間支払保険料:46,200円
<所得税の一般の生命保険料控除、介護医療保険料控除および個人年金保険料控除の控除額の速算表>
(注) | 支払保険料とは、その年に支払った金額から、その年に受けた剰余金や割戻金を差し引いた残りの金額をいう。 |
1. | 39,560円 |
2. | 40,000円 |
3. | 71,110円 |
正解:3
78,240円×1/4+20,000円=39,560円、46,200円×1/4+20,000円=31,550円より、39,560円+31,550円=71,110円
【問10】
浅田道弘さんが契約している任意加入の自動車保険の主な内容は、下記<資料>のとおりである。<資料>に基づく次の記述のうち、この契約で補償の対象とならないものはどれか。なお、いずれも保険期間中に発生したものであり、被保険自動車の運転者は道弘さんである。また、記載のない事項については一切考慮しないものとする。
<資料>
1. | 被保険自動車を運転中に、誤ってブロック塀に接触し、被保険自動車が破損した場合の修理費用 |
2. | 被保険自動車に追突した相手車が逃走し、相手から補償が受けられない場合の道弘さんの治療費用 |
3. | 被保険自動車を駐車場に駐車する際に、誘導中の妻に誤って車が接触しケガをさせた場合の治療費用 |
正解:3
1. | 被保険自動車が破損した場合の修理費用は、車両保険によって補償されます。 |
2. | 被保険自動車の搭乗者の治療費用は、人身傷害補償保険によって補償されます。 |
3. | 対人賠償保険では、被保険者の父母、配偶者、子などに対する損害は補償の対象外とされています。 |
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