お金の寺子屋

FP2級実技(FP協会)解説-2021年5月・問1~10

【問1】
「個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)」および「著作権法」に関する次の(ア)~(エ)の記述について、適切なものには○、不適切なものには×を解答欄に記入しなさい。

(ア) 個人情報取扱事業者が、本人との契約書を通じて、契約者本人の個人情報を取得する場合、原則として、契約締結前に本人に対し、個人情報の利用目的を明示しなければならない。
(イ) 個人情報は、生存する個人が特定できる情報であり、死者の情報は原則として対象外である。
(ウ) 著作権の保護に関し、公表された他人の著作物を自分の著作物に引用する場合、内容的に自ら作成する部分が「主」で引用部分が「従」でなければならない。
(エ) 著作権の保護に関し、生活者向け講演会において、他人の著作物をコピーして教材として使用する場合、参加費が無料であれば著作権者の許諾は必要ない。
正解:○、○、○、×
(ア) 正しい記述です。
(イ) 正しい記述です。個人情報保護法において、「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるものや、個人識別符号が含まれるものと定義されています。
(ウ) 正しい記述です。
(エ) 講演会において、他人の著作物をコピーして教材として使用する場合、著作権者の許諾が必要です。
【問2】
ファイナンシャル・プランニングのプロセスに従い、次の(ア)~(カ)を6つのステップの順番に並べ替えたものとして、最も適切なものはどれか。

(ア) 顧客のキャッシュフロー表などを作成し、将来の財政状況の予測・分析等を行う。
(イ) 顧客の家族構成などの環境の変化や制度改正に応じ、定期的にプランの見直しを行う。
(ウ) 作成したプランに従い、顧客が行う金融商品購入等の実行を支援する。
(エ) 顧客にファイナンシャル・プランニングで提供するサービス内容や報酬体系などを説明し、了解を得る。
(オ) ヒアリング調査等により顧客および家族の情報、財政的な情報等を収集し、顧客の財政的な目標を明確化する。
(カ) 顧客の目標を達成するために必要なプランを作成し、顧客に提案書を提示して説明を行う。
1. (エ)→(ア)→(オ)→(カ)→(ウ)→(イ)
2. (エ)→(オ)→(ア)→(カ)→(ウ)→(イ)
3. (オ)→(ア)→(カ)→(エ)→(ウ)→(イ)
4. (オ)→(カ)→(ア)→(エ)→(ウ)→(イ)
正解:
FPの6ステップは、「顧客との関係確立とその明確化→顧客データの収集と目標の明確化→顧客のファイナンス状態の分析と評価→プランの検討・作成と提示→プランの実行援助→プランの定期的見直し」という順序です。
【問3】
下記<資料>は、妹尾さんが同一の特定口座内で2020年中に行った東京証券取引所市場第一部上場会社であるGA株式会社の株式(以下「GA株式」という)の株式取引に係る明細である。妹尾さんのGA株式の取引に関する次の記述の空欄(ア)、(イ)にあてはまる語句の組み合わせとして、正しいものはどれか。

<資料>
11月11日のGA株式の売却取引に関する受渡日は( ア )である。
11月24日の買付後におけるGA株式の譲渡所得の取得費の計算の基礎となる1株当たりの取得価額は( イ )である。
1. (ア)11月13日 (イ)1,200円
2. (ア)11月13日 (イ)1,250円
3. (ア)11月16日 (イ)1,200円
4. (ア)11月16日 (イ)1,250円
正解:
(ア) 上場株式の受渡日は、約定日から起算して3営業日後です。
(イ)

1株当たりの取得価額=購入金額の総額÷保有株数です。

10月20日の取引を終えた時点の1株当たりの取得価額は、(900円×100+1,200円×200)÷(100+200)=1,100円で、300株(購入金額33万円分)を保有しています。

11月11日には、株式を100株売却しており、取引を終えた時点では、1株当たりの取得価額が1,100円の株式を200株(購入金額22万円分)保有しています。

11月24日は、26万円で200株取得していますから、取引を終えた時点の1株当たりの取得価額は、(1,100円×200+1,300円×200)÷(200+200)=1,200円となります。

【問4】
下記<資料>の債券を取得日から4年後に売却した場合における所有期間利回り(単利・年率)を計算しなさい。なお、手数料や税金等については考慮しないものとする。また、解答に当たっては、解答用紙に記載されている単位に従うこと(解答用紙に記載されているマス目に数値を記入すること)。

<資料>
表面利率:年1.25%
額面:100万円
購入価格:額面100円につき100.00円
売却価格:額面100円につき102.00円
所有期間:4年
正解:1.75
所有期間利回り(%)={表面利率+(売却価格-購入価格)÷保有期間}÷購入価格×100 より、{1.25+(102-100)÷4}÷100×100 =1.75%となります。
【問5】
下記<資料>の外貨定期預金について、満期時の外貨ベースの元利合計額を円転した金額を計算しなさい。なお、計算結果(円転した金額)について円未満の端数が生じる場合は切り捨てること。また、解答に当たっては、解答用紙に記載されている単位に従うこと。

預入額:10,000豪ドル
預入期間:12ヵ月
預金金利:0.4%(年率)
為替レート(1豪ドル)
TTS TTM TTB
満期時 75.60円 75.10円 74.60円
注1 利息の計算に際しては、預入期間は日割りではなく月割りで計算すること。
注2 為替差益・為替差損に対する税金については考慮しないこと。
注3 利息に対しては、豪ドル建ての利息額の20%(復興特別所得税は考慮しない)相当額が所得税・住民税として源泉徴収されるものとすること。
正解:748,387
満期時の豪ドルベースの資産額は、10,000豪ドル×{1+0.004×(1-0.2)}=10,032豪ドルです。
円転する際には、TTBを使いますから、円転額は、10,032豪ドル×74.6円/豪ドル=748,387.2円≒748,387円となります。

【問6】
財形貯蓄制度に関する下表の空欄(ア)~(エ)にあてはまる語句に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、復興特別所得税および非課税財形貯蓄の災害等の事由による非課税払出特例については考慮しないこととする。

<資料>
1. (ア)にあてはまる語句は「年齢要件なし」である。
2. (イ)にあてはまる語句は「3年」である。
3. (ウ)にあてはまる語句は「385万円」である。
4. (エ)にあてはまる語句は「積立開始時からの利息相当分(差益部分)すべてが一時所得として総合課税となる」である。
正解:
1. 財形年金貯蓄を利用するためには、契約締結時の年齢が55歳未満でなくてはいけません。
2. 財形年金貯蓄や財形住宅貯蓄は、原則として、5年以上の期間にわたり積み立てる必要があります。
3. 財形年金貯蓄の保険型商品は、財形住宅貯蓄と合算して550万円までの範囲で、最高385万円まで保険料を払い込むことができます。
4. 財形住宅貯蓄の保険型商品を目的外で払い出した場合、全期間の利息が利子所得となり、20.315%が課税されます。
【問7】
佐野さんは、7年前に相続により取得し、その後継続して居住している自宅の土地および建物の売却を検討している。売却に係る状況が下記<資料>のとおりである場合、所得税における課税長期譲渡所得の金額を計算しなさい。なお、<資料>に記載のない条件については一切考慮しないこととする。また、解答に当たっては、解答用紙に記載されている単位に従うこと。

<資料>
取得費:土地および建物とも不明であるため概算取得費とする。
譲渡価額(合計):4,500万円
譲渡費用(合計):160万円
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除の特例の適用を受けるものとする。
所得控除は考慮しないものとする。
正解:1,115
概算取得費は譲渡価額の5%ですから、 4,500万円×5%=225万円となります。
よって、課税長期譲渡所得の金額=4,500万円-225万円-160万円-3,000万円=1,115万円となります。
【問8】
室井さんは、転勤のため家を貸すに当たり、FPの宮野さんに借家契約の説明を受けた。借地借家法に基づく借家契約に関する下表の空欄(ア)~(ウ)に入る最も適切な語句を語群の中から選び、その番号のみを解答欄に記入しなさい。なお、同じ語句を何度選んでもよいこととする。

<語群>
1.制限はない 2.公正証書等の書面による 
3.賃借人に正当事由がない限り更新される 
4.期間満了により終了し、更新されない 
5. 1年 6. 2年
正解:1、4、5
(ア) 普通借家契約の契約方法に特別な制限はありません。
(イ) 定期借家契約は、契約期間の満了時に再契約することは可能ですが、契約を更新することはできません。
(ウ) 普通借家契約の契約期間を1年未満とした場合、期間の定めのない契約とみなされます。
【問9】
個人事業を営む倉田さんは、自宅を購入するに当たり、FPで税理士でもある落合さんに、消費税について質問をした。下記の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる語句を語群の中から選び、その番号のみを解答欄に記入しなさい。なお、同じ語句を何度選んでもよいこととする。

倉田さん マンションを購入する予定ですが、土地部分の代金に消費税はかかりますか。
落合さん 土地部分の代金には、消費税が( ア )。
倉田さん 転居に当たって、事務所を借りる予定です。借主は私です。事務所の賃料に消費税はかかりますか。
落合さん 事務所の賃料には、消費税が( イ )。
倉田さん 住宅ローンの諸費用についてはどうですか。
落合さん 消費税の対象になるものとして、例えば( ウ )があります。
<語群>
1.かかります 2.かかりません 
3.融資事務手数料 4.保証料 5.火災保険料
正解:2、1、3
(ア) 土地の売買代金には所得税はかかりません。
(イ) 事業用の建物の賃料には所得税がかかります。
(ウ) 消費税はサービスの対価にかかりますから、融資事務手数料は消費税の課税対象です。
ちなみに、なお、信用保証料や保険料など、保険料を対価とする役務の提供等は消費税の非課税取引です。
【問10】
下記<資料>は、北村さんが購入を検討している投資用マンションの概要である。この物件の実質利回り(年利)を計算しなさい。なお、<資料>に記載のない事項については一切考慮しないこととする。また、計算結果については小数点以下第3位を四捨五入することとし、解答に当たっては、解答用紙に記載されている単位に従うこと(解答用紙に記載されているマス目に数値を記入すること)。

<資料>
購入費用の総額:2,500万円(消費税と仲介手数料等取得費用を含めた金額)
想定される賃料(月額):105,000円
運営コスト(月額)
管理費・修繕積立金等:12,000円
管理業務委託費:月額賃料の5%
想定される固定資産税・都市計画税(年額):65,000円
正解:3.95
実質利回り(年利)=1年間の純利益÷投資総額です。
1年間の純利益=(105,000円-12,000円-105,000円×5%)×12-65,000円=988,000円です。
よって、この物件の実質利回り(年利)=988,000円÷2,500万円=0.03952…≒3.95%となります。

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