FP2級実技(FP協会)解説-2021年1月・問11~22
【問11】
妹尾ゆかりさん(55歳)が保険契約者(保険料負担者)および被保険者として加入している生命保険(下記<資料>参照)の保障内容等に関する次の記述の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる数値を解答欄に記入しなさい。なお、保険契約は有効に継続しているものとし、ゆかりさんはこれまでに<資料>の保険から、保険金・給付金を一度も受け取っていないものとする。また、各々の記述はそれぞれ独立した問題であり、相互に影響を与えないものとする。
<資料/保険証券1>
<資料/保険証券2>
・ | ゆかりさんが現時点で、交通事故で死亡(入院・手術なし)した場合、保険会社から支払われる保険金・給付金の合計は( ア )万円である。 |
・ | ゆかりさんが現時点で、糖尿病で12日間入院し(手術は受けていない)、退院日の翌日から約款所定の期間内に10日間通院した場合、保険会社から支払われる保険金・給付金の合計は( イ )万円である。 |
・ | ゆかりさんが現時点で、初めてがん(乳がん・悪性新生物)と診断されて16日間入院し、その間に約款所定の手術(給付倍率40倍)を1回受けた場合、保険会社から支払われる保険金・給付金の合計は( ウ )万円である。 |
正解:110、9、172
(ア) | 死亡保険金100万円+死亡給付金10万円=110万円です。 |
(イ) | 疾病入院給付金5,000円×12+通院給付金3,000円×10=9万円です。 |
(ウ) | 疾病入院給付金5,000円×16+女性疾病入院給付金5,000円×16+手術給付金5,000円×40+がん診断給付金100万円+がん入院給付金1万円×16+がん手術給付金20万円=172万円です。 |
【問12】
FPの安西さんは相談者の井上さんが契約している生命保険の保険料支払いができなかった場合の流れについて説明を求められた。FPの安西さんが説明した下記の記述の空欄(ア)~(エ)にあてはまる語句の組み合わせとして、適切なものはどれか。なお、記載のない事項については一切考慮しないこととする。
<井上さんが契約している保険契約> | |
保険種類 | 解約返戻金の有無 |
個人年金保険A | あり |
定期保険B | なし |
<FPの安西さんの説明> | |
・ | 「個人年金保険A、定期保険Bともに払込期日までに保険料の払込みができなかった場合でも( ア )期間内に保険料を支払えば、保険契約を継続させることができます。」 |
・ | 「個人年金保険Aは( ア )期間内に保険料が払えなかった場合でも、( イ )によって解約返戻金の範囲内で保険会社が保険料を立て替えることにより契約は継続します。」 |
・ | 「定期保険Bは( ア )期間内に保険料の払込みがない場合、保険契約は( ウ )します。ただし( ウ )した場合でも保険会社が定める期間内に( エ )の手続きを取り、保険会社の承諾を得て未払いの保険料と利息を払い込めば、契約を有効に戻すことができます。」 |
1. | (ア)払込猶予 (イ)自動振替貸付 (ウ)失効 (エ)復活 |
2. | (ア)払込待機 (イ)契約者貸付 (ウ)消滅 (エ)復活 |
3. | (ア)払込猶予 (イ)契約者貸付 (ウ)消滅 (エ)更新 |
4. | (ア)払込待機 (イ)自動振替貸付 (ウ)失効 (エ)更新 |
正解:1
(ア) | 払込期日までに保険料の払い込みができなかった場合に保険契約を継続させる制度は、払込猶予制度です。 |
(イ) | 払込猶予期間内に保険料が払えなかった場合に、解約返戻金の範囲内で保険会社が保険料を立て替えて契約を継続させる制度は、自動振替貸付です。 |
(ウ) | 払込猶予期間内に保険料を払いこまず自動振替貸付が利用できない場合、保険契約は失効します。 |
(エ) | 失効した保険契約を一定の手続きによって有効な契約に戻す制度は、復活です。 |
【問13】
平尾良治さんが契約している生命保険(下記<資料>参照)に関する次の(ア)~(エ)の記述について、適切なものには〇を、不適切なものには×を解答欄に記入しなさい。
※ | 平尾咲子さんは平尾良治さんの妻であり、平尾太一さんは平尾良治さんと平尾咲子さんの子である。 |
※ | 養老保険Dの保険期間は20年である。 |
(ア) | 終身保険Aから平尾咲子さんが受け取る死亡保険金は、相続税の課税対象となる。 |
(イ) | 特定疾病保障保険Bから平尾良治さんが受け取る死亡保険金は、相続税の課税対象となる。 |
(ウ) | 定期保険Cから平尾太一さんが受け取る死亡保険金は、相続税の課税対象となる。 |
(エ) | 養老保険Dから平尾良治さんが一時金として受け取る満期保険金は、一時所得として所得税の課税対象となる。 |
正解:○、×、×、○
(ア) | 正しい記述です保険契約者(=保険料負担者)と被保険者が同一人物である契約に係る死亡保険金は、相続税の課税対象となります。 |
(イ) | 保険契約者(=保険料負担者)と保険金受取人が同一人物である契約に係る死亡保険金は、所得税の課税対象となります。 |
(ウ) | 保険契約者(=保険料負担者)と保険金受取人と被保険者が全て異なる契約に係る死亡保険金は、贈与税の課税対象となります。 |
(エ) | 正しい記述です。満期保険金は一時所得として所得税の課税対象となります。 |
【問14】
加瀬卓也さんが契約している火災保険(下記<資料>参照)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、超過保険や一部保険には該当しないものとし、<資料>に記載のない特約については付帯がないものとする。また、保険契約は有効に継続しているものとする。
<資料>
1. | 火災による損害の補償に関する建物の保険金額は、1,400万円で契約している。 |
2. | 竜巻が原因で建物と家財が全損となった場合、合計で2,100万円の損害保険金が支払われる。 |
3. | 洪水が原因で建物と家財が全損となった場合、補償の対象にならない。 |
4. | 休日に卓也さんが自転車で走行中、誤って他人にケガを負わせた場合の法律上の損害賠償責任についても、補償の対象となる。 |
正解:3
1. | 正しい記述です。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | 洪水は水災です。資料より、水災による家具と家財の損害を補償する契約であることが読み取れます。 |
4. | 正しい記述です。自転車で走行中に誤って他人にケガを負わせた場合の法律上の損害賠償責任は、個人賠償責任特約によって補償されます。 |
【問15】
杉山英雄さんが2020年中に支払った生命保険の保険料は下記<資料>のとおりである。この場合における英雄さんの2020年分の所得税における生命保険料控除の金額として、正しいものはどれか。なお、下記<資料>の保険について、これまでに契約内容の変更は行われていないものとする。また、2020年分の生命保険料控除額が最も多くなるように計算すること。
1. | 28,700円 |
2. | 50,000円 |
3. | 68,700円 |
4. | 74,900円 |
正解:4
94,800円×1/4+25,000円+32,400円×1/2+10,000円=74,900円です。
【問16】
会社員の安藤さんの2020年分の所得等が下記<資料>のとおりである場合、安藤さんが2020年分の所得税の確定申告をする際に、給与所得と損益通算できる損失に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、▲が付された所得の金額は、その所得に損失が発生していることを意味するものとする。
<資料>
1. | 不動産所得▲100万円と損益通算できる。 |
2. | 不動産所得▲150万円と損益通算できる。 |
3. | 不動産所得▲100万円および雑所得▲15万円と損益通算できる。 |
4. | 不動産所得▲150万円および譲渡所得▲90万円と損益通算できる。 |
正解:1
不動産所得のマイナスは損益通算の対象となりますが、その中に含まれる土地取得に要した借入金の利子は損益通算の対象とはなりません。
よって、不動産所得▲100万円が損益通算の対象となります。
また、上場株式の売却に係る損失は損益通算の対象外で、雑所得に係る損失の損益通算の対象外です。
よって、不動産所得▲100万円が損益通算の対象となります。
また、上場株式の売却に係る損失は損益通算の対象外で、雑所得に係る損失の損益通算の対象外です。
【問17】
池谷さんは個人で飲食店を営む自営業者(青色申告者)である。2020年分の池谷さんの飲食店の財務データが下記<資料>のとおりである場合、池谷さんの2020年分の所得税における事業所得の金額を計算しなさい。なお、解答に当たっては、解答用紙に記載されている単位に従うこと。
<資料> | |
(1)売上(収入)金額 | 1,380万円 |
(2)売上原価 | 420万円 |
(3)必要経費 | 650万円 |
(4)青色事業専従者給与 | 180万円 |
※ | 青色事業専従者給与は池谷さんの妻に対して支払われたものであり、この金額は、(3)の必要経費には含まれていない。 |
※ | 池谷さんは、青色申告特別控除10万円の控除要件を満たしている。 |
<計算式>
事業所得の金額=売上(収入)金額-売上原価-必要経費-青色事業専従者給与-青色申告特別控除
事業所得の金額=売上(収入)金額-売上原価-必要経費-青色事業専従者給与-青色申告特別控除
正解:120
事業所得の金額=1,380万円-420万円-650万円-180万円-10万円=120万円です。
【問18】
佐野さん(67歳)の2020年分の収入等は下記のとおりである。佐野さんの2020年分の所得税における総所得金額を計算しなさい。なお、記載のない条件については一切考慮しないこと。また、解答に当たっては、解答用紙に記載されている単位に従うこと。
<収入> | |
内容 | 金額 |
アルバイト収入 | 50万円 |
老齢厚生年金および企業年金 | 300万円 |
生命保険の満期保険金(一時金) | 50万円 |
※ | アルバイト収入は給与所得控除を控除する前の金額である。 |
※ | 老齢厚生年金および企業年金は公的年金等控除額を控除する前の金額である。 |
※ | 生命保険は養老保険(保険期間20年、保険契約者および満期保険金受取人は佐野さん)の満期保険金であり、既払込保険料(佐野さんが全額負担している)を控除した後の金額である。なお、契約者配当については考慮しないものとする。 |
<65歳未満の者の公的年金等控除額の速算表> | |
収入金額(A) | 公的年金等控除額 |
130万円未満 | 60万円 |
130万円以上 410万円未満 |
A×25%+27.5万円 |
410万円以上 770万円未満 |
A×15%+68.5万円 |
770万円以上 1,000万円未満 |
A×5%+145.5万円 |
1,000万円以上 | A×5%+145.5万円 |
※ | 公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1,000万円以下の場合 |
<65歳以上の者の公的年金等控除額の速算表> | |
収入金額 | 公的年金等控除額 |
330万円未満 | 110万円 |
330万円以上 410万円未満 |
A×25%+27.5万円 |
410万円以上 770万円未満 |
A×15%+68.5万円 |
770万円以上 1,000万円未満 |
A×5%+145.5万円 |
1,000万円以上 | A×5%+145.5万円 |
※ | 公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1,000万円以下の場合 |
正解:190
アルバイト収入に係る給与所得は、給与所得控除額(最低55万円)以下ですから、0円となります。
老齢厚生年金及び企業年金に係る雑所得=300万円-110万円=190万円で、これは全額が総所得金額に算入されます。
生命保険の満期保険金(満期保険金から既払込保険料を控除したもの)に係る一時所得は、特別控除額(50万円)以下ですから、0円となります。
よって、総所得金額は、190万円になります。
老齢厚生年金及び企業年金に係る雑所得=300万円-110万円=190万円で、これは全額が総所得金額に算入されます。
生命保険の満期保険金(満期保険金から既払込保険料を控除したもの)に係る一時所得は、特別控除額(50万円)以下ですから、0円となります。
よって、総所得金額は、190万円になります。
【問19】
下記の<親族関係図>の場合において、民法の規定に基づく法定相続分に関する次の記述の空欄(ア)~(ウ)に入る適切な語句または数値を語群の中から選び、解答欄に記入しなさい。なお、同じ語句または数値を何度選んでもよいこととする。
<親族関係図>
[相続人の法定相続分] | |
・ | 被相続人の配偶者の法定相続分は( ア )。 |
・ | 被相続人の長男の法定相続分は( イ )。 |
・ | 被相続人の孫Aおよび孫Bの各法定相続分は( ウ )。 |
<語群>
なし 1/2 1/3 1/4 1/6
1/8 2/3 3/4 1/12
なし 1/2 1/3 1/4 1/6
1/8 2/3 3/4 1/12
正解:1/2、1/6、1/12
(ア) | 相続人の組み合わせが配偶者相続人と第一順位の血族相続人ですから、配偶者相続人の法定相続分は、1/2となります。 |
(イ) | 長男の法定相続分は、1/2(血族相続人全体の法定相続分)÷3=1/6です。 |
(ウ) | 代襲相続人の法定相続分は、被代襲者の本来の法定相続分を代襲相続人の頭数で按分したものですから、1/6÷2=1/12です。 |
【問20】
五十嵐智子さん(50歳)は、2020年11月に夫から居住用不動産(財産評価額3,500万円)の贈与を受けた。智子さんが贈与税の配偶者控除の適用を受けた場合の2020年分の贈与税額として、正しいものはどれか。なお、2020年においては、このほかに智子さんが受けた贈与はないものとする。また、納付すべき贈与税額が最も少なくなるように計算すること。
<贈与税の速算表> | ||
[20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた財産の場合] | ||
基礎控除後の 課税価格 |
税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | - |
200万円超 400万円以下 |
15% | 10万円 |
400万円超 600万円以下 |
20% | 30万円 |
600万円超 1,000万円以下 |
30% | 90万円 |
1,000万円超 1,500万円以下 |
40% | 190万円 |
1,500万円超 3,000万円以下 |
45% | 265万円 |
3,000万円超 4,500万円以下 |
50% | 415万円 |
4,500万円超 | 55% | 640万円 |
[上記以外の場合] | ||
基礎控除後の 課税価格 |
税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | - |
200万円超 300万円以下 |
15% | 10万円 |
300万円超 400万円以下 |
20% | 25万円 |
400万円超 600万円以下 |
30% | 65万円 |
600万円超 1,000万円以下 |
40% | 125万円 |
1,000万円超 1,500万円以下 |
45% | 175万円 |
1,500万円超 3,000万円以下 |
50% | 250万円 |
3,000万円超 | 55% | 400万円 |
1. | 3,660,000円 |
2. | 4,100,000円 |
3. | 4,505,000円 |
4. | 5,000,000円 |
正解:3
贈与税の配偶者控除の適用を受けた場合、課税価格から最高で2,000万円を控除することができます。また、贈与税の配偶者控除は、基礎控除と合わせて適用を受けることができますから、贈与税の課税価格は、3,500万円-2,000万円-110万円=1,390万円となります。
よって、贈与税額は、1,390万円×45%-175万円=4,505,000円となります。
よって、贈与税額は、1,390万円×45%-175万円=4,505,000円となります。
【問21】
相続税における「小規模宅地等の評価減の特例」に関する下表の空欄(ア)~(ウ)に入る正しい数値を語群の中から選び、その数値を解答欄に記入しなさい。なお、同じ数値を何度選んでもよいこととする。
宅地等の区分 | 適用限度面積 | 減額割合 |
特定事業用宅地等 | ( ア )㎡ | 80% |
特定居住用宅地等 | ( イ )㎡ | 80% |
特定同族会社 事業用宅地等 |
400㎡ | 80% |
貸付事業用宅地等 | 200㎡ | ( ウ )% |
<語群>
50 80 100 200 240
300 330 400
50 80 100 200 240
300 330 400
正解:400、330、50
(ア) | 特定事業用宅地等は、400㎡までの相続税評価額が80%減額されます。 |
(イ) | 特定居住用宅地等は、330㎡までの相続税評価額が80%減額されます。 |
(ウ) | 貸付事業用宅地等は、200㎡までの相続税評価額が50%減額されます。 |
【問22】
下記<資料>の自宅の敷地(自用地)について、路線価方式による相続税評価額を計算しなさい。なお、解答に当たっては、解答用紙に記載されている単位に従うこと。
<資料>
正解:4,500
自用地評価額=路線価×地積×奥行価格補正率=250千円/㎡×180㎡×1.00=4,500万円です。
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