FP3級実技(個人)解説-2021年1月・前半
【問1】~【問3】は、以下の資料を元に解答してください。
《設例》
会社員のAさん(39歳)は、妻Bさん(38歳)および長女Cさん(7歳)との3人暮らしである。Aさんは、公的年金制度の遺族給付の額や公的介護保険の給付内容等を確認したいと思っている。そこで、Aさんは、懇意にしているファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。
会社員のAさん(39歳)は、妻Bさん(38歳)および長女Cさん(7歳)との3人暮らしである。Aさんは、公的年金制度の遺族給付の額や公的介護保険の給付内容等を確認したいと思っている。そこで、Aさんは、懇意にしているファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。
<Aさんの家族構成>
[Aさん]
1981年11月14日生まれ
会社員(厚生年金保険・全国健康保険協会管掌健康保険に加入)
[妻Bさん]
1982年6月24日生まれ
国民年金に第3号被保険者として加入している。
[長女Cさん]
2013年7月7日生まれ
<公的年金加入歴(2020年12月分まで)>
※ | 妻Bさんおよび長女Cさんは、現在および将来においても、Aさんと同居し、生計維持関係にあるものとする。 |
※ | 家族全員、現在および将来においても、公的年金制度における障害等級に該当する障害の状態にないものとする。 |
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
【問1】
現時点(2021年1月24日)においてAさんが死亡した場合、妻Bさんに支給される遺族基礎年金の年金額(2020年度価額)は、次のうちどれか。
1. | 781,700円 |
2. | 781,700円+224,900円=1,006,600円 |
3. | 781,700円+224,900円+75,000円=1,081,600円 |
正解:2(3点)
遺族基礎年金の額=781,700円+子の加算額です。
子の加算額は、子1人あたり224,900円(2人まで。3人目以降は75,000円/人)で、年金法上の子とは、基本的に、18歳到達年度の末日を経過していない子を言います。
子の加算額は、子1人あたり224,900円(2人まで。3人目以降は75,000円/人)で、年金法上の子とは、基本的に、18歳到達年度の末日を経過していない子を言います。
【問2】
Mさんは、現時点(2021年1月24日)においてAさんが死亡した場合に妻Bさんに支給される遺族厚生年金の金額等について説明した。Mさんが、Aさんに対して説明した以下の文章の空欄①~③に入る語句の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。
「遺族厚生年金の額は、原則として、Aさんの厚生年金保険の被保険者記録を基礎として計算した老齢厚生年金の報酬比例部分の額の( ① )に相当する額になります。ただし、その計算の基礎となる被保険者期間の月数が( ② )に満たないときは、( ② )とみなして年金額が計算されます。
また、長女Cさんの18歳到達年度の末日が終了すると、妻Bさんの有する遺族基礎年金の受給権は消滅します。その後、妻Bさんが65歳に達するまでの間、妻Bさんに支給される遺族厚生年金の額に( ③ )が加算されます」
また、長女Cさんの18歳到達年度の末日が終了すると、妻Bさんの有する遺族基礎年金の受給権は消滅します。その後、妻Bさんが65歳に達するまでの間、妻Bさんに支給される遺族厚生年金の額に( ③ )が加算されます」
1. | ①3分の2 ②300月 ③加給年金額 |
2. | ①4分の3 ②240月 ③加給年金額 |
3. | ①4分の3 ②300月 ③中高齢寡婦加算 |
正解:3(4点)
① | 遺族厚生年金の額は、原則として、亡くなった人がもらえるはずだった老齢厚生年金の3/4相当額です。 |
② | 厚生年金の被保険者であった人が死亡した場合などには、亡くなった人の厚生年金の被保険者期間が300ヵ月に満たない場合、300ヵ月被保険者期間があったものとして遺族厚生年金の額を計算します。 |
③ | 遺族厚生年金と遺族基礎年金を受け取っていた人は、子が18歳到達年度の末尾に到達したことによって遺族基礎年金が支給停止された場合、65歳になるまで、遺族厚生年金に中高齢寡婦加算が加算されます。 |
【問3】
Mさんは、公的介護保険(以下、「介護保険」という)の保険給付について説明した。MさんのAさんに対する説明として、次のうち最も適切なものはどれか。
1. | 「介護保険の被保険者は、65歳以上の第1号被保険者と40歳以上65歳未満の医療保険加入者である第2号被保険者に区分されます」 |
2. | 「第2号被保険者は、要介護状態となった原因が特定疾病であるか否かにかかわらず、介護給付を受けることができます」 |
3. | 「第2号被保険者が介護給付を受けた場合、実際にかかった費用(食費、居住費等を除く)の3割を自己負担する必要があります」 |
正解:1(3点)
1. | 正しい記述です。 |
2. | 介護保険の第2号被保険者は、16種類の特定疾病によって要介護者や要支援者になった場合にのみ、介護保険からの給付を受けることができます。 |
3. | 介護保険の第2号被保険者の利用者負担の割合は、1割です。 |
【問4】~【問6】は、以下の資料を元に解答してください。
《設例》
会社員のAさん(30歳)は、株式や投資信託による運用を考えている。Aさんは、先日、会社の上司から「私は配当金と株主優待を目的に上場企業の株式を10銘柄以上保有している。投資未経験のAさんの場合、最初はつみたてNISAがいいのではないか」と言われた。
そこで、Aさんは、金融機関に勤務するファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。Mさんは、Aさんに対して、X社株式(東京証券取引所市場第一部上場)およびY投資信託を例として、説明を行うことにした。
会社員のAさん(30歳)は、株式や投資信託による運用を考えている。Aさんは、先日、会社の上司から「私は配当金と株主優待を目的に上場企業の株式を10銘柄以上保有している。投資未経験のAさんの場合、最初はつみたてNISAがいいのではないか」と言われた。
そこで、Aさんは、金融機関に勤務するファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。Mさんは、Aさんに対して、X社株式(東京証券取引所市場第一部上場)およびY投資信託を例として、説明を行うことにした。
<X社に関する資料> | |
総資産 | 1兆6,000億円 |
自己資本(純資産) | 9,600億円 |
当期純利益 | 1,200億円 |
年間配当金総額 | 450億円 |
発行済株式数 | 3億株 |
株価 | 4,000円 |
決算期 | 3月31日 |
※ | 決算期:2021年3月31日(水)(配当の権利が確定する決算期末) |
<Y投資信託(公募株式投資信託)に関する資料>
銘柄名:日経225インデックスファンド(つみたてNISA対象商品)
投資対象地域/資産:国内/株式
信託期間:無期限
基準価額:13,000円(1万口当たり)
決算日:年1回(9月10日)
購入時手数料:なし
運用管理費用(信託報酬):0.187%(税込)
信託財産留保額:なし
銘柄名:日経225インデックスファンド(つみたてNISA対象商品)
投資対象地域/資産:国内/株式
信託期間:無期限
基準価額:13,000円(1万口当たり)
決算日:年1回(9月10日)
購入時手数料:なし
運用管理費用(信託報酬):0.187%(税込)
信託財産留保額:なし
※ | 《設例》および各問において、以下の名称を使用している。 |
・ | 非課税上場株式等管理契約に係る少額投資非課税制度を「一般NISA」という。 |
・ | 非課税累積投資契約に係る少額投資非課税制度を「つみたてNISA」という。 |
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
【問4】
はじめに、Mさんは、X社株式の投資指標および投資の際の留意点について説明した。MさんのAさんに対する説明として、次のうち最も適切なものはどれか。
1. | 「<X社に関する資料>から算出されるX社のROEは、12.50%です」 |
2. | 「<X社に関する資料>から算出されるX社株式の配当利回りは、37.50%です」 |
3. | 「Aさんは、権利付き最終日である2021年3月31日(水)までにX社株式を買付約定(購入)すれば、X社株式の次回の期末配当を受け取ることができます」 |
正解:1(4点)
1. | ROE=当期純利益÷自己資本=1,200億円÷9,600億円=0.125=12.5%です。 |
2. | 配当利回り=1株当たり年間配当金÷株価=(450億円÷3億)÷4,000円=0.0375=3.75%です。 |
3. | 株式の受渡日は約定日から起算して3営業日後ですから、3月31日(水曜日)までに株式を保有して期末配当を受け取るためには、3月29日(月曜日)までに株式を購入しなくてはいけません。 |
【問5】
次に、Mさんは、Y投資信託について説明した。MさんのAさんに対する説明として、次のうち最も適切なものはどれか。
1. | 「Y投資信託のベンチマークである日経平均株価は、東京証券取引所市場第一部に上場している内国普通株式の全銘柄を対象とする時価総額加重型の株価指標です」 |
2. | 「つみたてNISAの対象となる投資信託は、Y投資信託のような投資対象地域を日本国内とする投資信託に限定されており、海外を投資対象地域とする投資信託は対象となっていません」 |
3. | 「つみたてNISAの対象となる公募株式投資信託は、Y投資信託のように、購入時手数料がゼロであることが要件の1つとなっています」 |
正解:3(3点)
1. | 日経平均株価は東京証券取引所第一部に上場している内国普通株式の225銘柄を対象とする修正平均株価です。なお、問題文はTOPIXの説明文です。 |
2. | つみたてNISAの投資対象となる投資信託の中には、海外を投資対象地域とするものも存在します。 |
3. | 正しい記述です。 |
【問6】
最後に、Mさんは、「一般NISA」および「つみたてNISA」についてアドバイスした。MさんのAさんに対するアドバイスとして、次のうち最も適切なものはどれか。
1. | 「つみたてNISAでは、年間の非課税投資枠は120万円、非課税期間は最長5年となります」 |
2. | 「X社株式を購入する場合、一般NISAを利用することが考えられますが、一般NISAとつみたてNISAは、同一年中において、併用して新規投資等に利用することはできません」 |
3. | 「仮に、AさんがつみたてNISAで購入した公募株式投資信託を解約(売却)した場合、譲渡益に対して20.315%相当額が源泉徴収等されます」 |
正解:2(3点)
1. | つみたてNISAの年間の非課税投資枠は40万円、非課税期間は最長20年です。 |
2. | 正しい記述です。一般 NISA勘定とつみたて NISA勘定は、同一年中において併用して利用することはできません。 |
3. | つみたてNISAで購入した投資信託から得られる利益は全て非課税です。 |
【問7】~【問9】は、以下の資料を元に解答してください。
《設例》
X株式会社に勤務する会社員のAさんは、妻Bさん、長男Cさんおよび二男Dさんの4人家族である。Aさんは、2020年中に「ふるさと納税」の制度を初めて利用し、10の地方自治体に計10万円の寄附を行っている。
X株式会社に勤務する会社員のAさんは、妻Bさん、長男Cさんおよび二男Dさんの4人家族である。Aさんは、2020年中に「ふるさと納税」の制度を初めて利用し、10の地方自治体に計10万円の寄附を行っている。
<Aさんとその家族に関する資料>
[Aさん(54歳)]
会社員
[妻Bさん(51歳)]
専業主婦。2020年中に、パートタイマーとして給与収入80万円を受け取っている。
[長男Cさん(25歳)]
無職。2020年中の収入はない。
[二男Dさん(20歳)]
大学生。2020年中の収入はない。
<Aさんの2020年分の収入等に関する資料>
[給与収入の金額]
820万円
[不動産所得の金額]
100万円
※ | 妻Bさん、長男Cさんおよび二男Dさんは、Aさんと同居し、生計を一にしている。 |
※ | Aさんとその家族は、いずれも障害者および特別障害者には該当しない。 |
※ | Aさんとその家族の年齢は、いずれも2020年12月31日現在のものである。 |
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
【問7】
Aさんの2020年分の所得税における総所得金額は、次のうちどれか。
<資料>給与所得控除額 | |
給与収入金額 | 給与所得控除額 |
180万円以下 | 収入金額×40%-10万円 (最低55万円) |
180万円超 360万円以下 |
収入金額×30%+8万円 |
360万円超 660万円以下 |
収入金額×20%+44万円 |
660万円超 850万円以下 |
収入金額×10%+110万円 |
850万円超 | 195万円 |
1. | 628万円 |
2. | 728万円 |
3. | 920万円 |
正解:2(4点)
給与所得=820万円-(820万円×10%+110万円)=628万円で、この全額が総所得金額に算入されます。
また、不動産所得の100万円も、全額が総所得金額に算入されます。
よって、総所得金額=628万+100万円=728万円となります。
また、不動産所得の100万円も、全額が総所得金額に算入されます。
よって、総所得金額=628万+100万円=728万円となります。
【問8】
Aさんの2020年分の所得税における所得控除に関する以下の文章の空欄①~③に入る数値の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。
ⅰ) | 「妻Bさんの2020年分の合計所得金額は25万円です。妻Bさんの合計所得金額は( ① )万円以下となりますので、Aさんは配偶者控除の適用を受けることができます。Aさんが適用を受けることができる配偶者控除の額は、( ② )万円です」 |
ⅱ) | 「Aさんが適用を受けることができる扶養控除の額は、( ③ )万円です」 |
<資料>配偶者控除額の金額 | ||
控除を受ける納税者 本人の合計所得金額 |
控除額 | |
一般の控除対象配偶者 | 老人控除対象配偶者 | |
900万円以下 | 38万円 | 48万円 |
900万円超 950万円以下 |
26万円 | 32万円 |
950万円超 1,000万円以下 |
13万円 | 16万円 |
<資料>配偶者控除額の金額 | ||
控除を受ける納税者 本人の合計所得金額 |
控除額 | |
一般の控除 対象配偶者 |
老人控除 対象配偶者 |
|
900万円以下 | 38万円 | 48万円 |
900万円超 950万円以下 |
26万円 | 32万円 |
950万円超 1,000万円以下 |
13万円 | 16万円 |
1. | ①38 ②26 ③76 |
2. | ①48 ②38 ③101 |
3. | ①103 ②38 ③63 |
正解:2(3点)
① | 配偶者控除を受けるための配偶者の合計所得金額の要件は、48万円以下であることとされています。 |
② | 配偶者控除の額は38万円です。 |
③ | 長男Cさんは、23歳以上70歳未満の扶養親族ですから、一般の控除対象扶養親族として38万円の控除対象となります。 また、二男Dさんは、19歳以上23歳未満の扶養親族ですから、一般の控除対象扶養親族として63万円の控除対象となります。 よって、Aさんが適用を受けることができる扶養控除の額は、38万+63万円=101万円となります。 |
【問9】
Aさんの2020年分の所得税の確定申告に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 「不動産所得の金額が20万円を超えるため、Aさんは所得税の確定申告をしなければなりません」 |
2. | 「Aさんは、所得税の確定申告をすることで、ふるさと納税で寄附した10万円の全額について、2020年分の所得税額から控除されます」 |
3. | 「確定申告書は、原則として、2021年2月16日から3月15日までの間にAさんの住所地を所轄する税務署長に提出してください」 |
正解:2(3点)
1. | 正しい記述です。給与所得と退職所得以外の所得が20万円を超えると、確定申告をしなくてはいけません。 |
2. | ふるさと納税で寄付した金額は、所得控除である寄付金控除の対象ですから、税額控除のように、全額が所得税額から控除される訳ではありません。 |
3. | 正しい記述です。 |
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