FP3級実技(保険)解説-2020年1月・後半
Aさんは、飲食店を営む個人事業主である。Aさんは、開業後直ちに青色申告承認申請書と青色事業専従者給与に関する届出書を所轄税務署長に提出している。また、Aさんは、2019年中に一時払変額個人年金保険(10年確定年金)の解約返戻金を受け取っている。
<Aさんとその家族に関する資料>
[Aさん(49歳)]
個人事業主(青色申告者)
[妻Bさん(47歳)]
Aさんが営む飲食店の事業に専ら従事し、2019年中に、青色事業専従者として給与収入80万円を得ている。
[長女Cさん(20歳)]
大学生。2019年中に、塾講師のアルバイトとして給与収入90万円を得ている。
[二女Dさん(15歳)]
中学生。2019年中の収入はない。
<Aさんの2019年分の収入等に関する資料>
[事業所得の金額]
400万円(青色申告特別控除後)
[一時払変額個人年金保険(10年確定年金)の解約返戻金]
契約年月:2010年6月
契約者(=保険料負担者):Aさん
被保険者:Aさん
亡保険金受取人:妻Bさん
解約返戻金額:620万円
一時払保険料:500万円
※ | 妻Bさん、長女Cさんおよび二女Dさんは、Aさんと同居し、生計を一にしている。 |
※ | Aさんとその家族は、いずれも障害者および特別障害者には該当しない。 |
※ | Aさんとその家族の年齢は、いずれも2019年12月31日現在のものである。 |
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
・ | 「青色申告をすることができる者は、( ① )、事業所得または山林所得を生ずべき業務を行う者です」 |
・ | 「事業所得を生ずべき事業を営む青色申告者は、事業所得に係る取引を正規の簿記の原則により記帳し、その記帳に基づいて作成された貸借対照表、損益計算書その他の計算明細書を確定申告書に添付して、法定申告期限内に提出すれば事業所得の金額の計算上、青色申告特別控除として最高65万円を控除することができます。なお、確定申告書を法定申告期限後に提出した場合、青色申告特別控除額は最高( ② )万円となります」 |
・ | 「青色申告者が適用を受けられる税務上の特典として、青色申告特別控除の適用、青色事業専従者給与の必要経費算入、翌年以後( ③ )年間の純損失の繰越控除、純損失の繰戻還付などがあります」 |
1. | ①不動産所得 ②10 ③3 |
2. | ①譲渡所得 ②10 ③7 |
3. | ①不動産所得 ②55 ③7 |
① | 所得税の青色申告をすることができるのは、不動産所得、事業所得、山林所得のいずれかの所得がある人です。 |
② | 所得税の期限後申告をした場合、青色申告特別控除額は最高10万円となります。 |
③ | 青色申告者が適用を受けることができる純損失の繰越控除は、最高3年間です。 |
1. | 「妻Bさんは青色事業専従者として給与の支払を受けていますが、妻Bさんの合計所得金額は38万円以下であるため、Aさんは、配偶者控除の適用を受けることができます」 |
2. | 「長女Cさんの合計所得金額は38万円以下であるため、Aさんは長女Cさんに係る扶養控除の適用を受けることができます。長女Cさんに係る扶養控除の額は63万円となります」 |
3. | 「Aさんは二女Dさんに係る扶養控除の適用を受けることができます。二女Dさんに係る扶養控除の額は38万円となります」 |
1. | 青色事業専従者として給与の支払いを受けている人は、配偶者控除の対象となりません。 |
2. |
正しい記述です。19歳以上23歳未満の扶養親族は、特定扶養親族として63万円の控除対象となります。 <参考> |
3. | 15歳以下の親族は扶養控除の対象となりません。 |
1. | 435万円 |
2. | 470万円 |
3. | 520万円 |
一時所得=620万円-500万円-50万円=70万円は、2分の1の35万円が総所得金額に算入されます。
よって、総所得金額=400万円+35万円=435万円となります。
Aさんは、2020年1月5日に病気により死亡した。なお、二男Eさんは、Aさんの相続開始前に死亡している。
<Aさんの相続財産(みなし相続財産を含む)>
[現金および預貯金]
8,500万円
[自宅(敷地300㎡)]
6,000万円(「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」適用前の相続税評価額)
[自宅(建物)]
2,000万円(固定資産税評価額)
[死亡保険金]
4,000万円(契約者(=保険料負担者)・被保険者はAさん、死亡保険金受取人は長女Cさん)
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
・ | 「孫Fさんおよび孫Gさんの法定相続分はそれぞれ( ① )となります」 |
・ | 「Aさんの相続における遺産に係る基礎控除額は( ② )万円となり、課価格の合計額が遺産に係る基礎控除額を上回るため、相続税の申告が必要です」 |
・ | 「相続税の申告書は、原則として、その相続の開始があったことを知った日の翌日から( ③ )カ月以内にAさんの死亡の時における住所地の所轄税務署長に提出しなければなりません」 |
1. | ①8分の1 ②5,400 ③10 |
2. | ①12分の1 ②5,400 ③4 |
3. | ①12分の1 ②6,000 ③10 |
① | 相続人は、配偶者相続人と血族相続人の組み合わせですから、配偶者相続人の法定相続分は、1/2となり、血族相続人の法定相続分は残りの1/2を頭数では割りますから、二男Eさんの本来の法定相続分は、1/2×1/3=1/6です。 各代襲相続人の法定相続分は、被代襲者の法定相続分を頭数で割ったものですから、 孫Fさんと孫Gさんの法定相続分は、それぞれ、1/6×1/2=1/12となります。 |
② | 相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数より、3,000万円+600万円×5=6,000万円です。 |
③ | 相続税の申告期限は相続があったことを知った日の翌日から10ヵ月以内です。 |
1. | 「長女Cさんが受け取った死亡保険金は、みなし相続財産として相続税の課税対象となりますが、死亡保険金の非課税金額の規定の適用を受けることで、相続税の課税価格に算入される金額は1,500万円となります」 |
2. | 「妻Bさんが『配偶者に対する相続税額の軽減』の適用を受けた場合、原則として、妻Bさんの相続税の課税価格が、相続税の課税価格の合計額に対する配偶者の法定相続分相当額と1億6,000万円とのいずれか多い金額までであれば、納付すべき相続税額は算出されません」 |
3. | 「妻Bさんが自宅の敷地を相続により取得し、『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けた場合、自宅の敷地について課税価格に算入すべき価額は4,800万円となります」 |
1. | 正しい記述です。死亡保険金の相続税の非課税枠は、500万円×法定相続人の数より、4,000万円-(500万円×5)=1,500万円が相続税の課税価格に算入されます。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | 自宅の敷地について小規模宅地等の特例の適用を受けた場合、330㎡まで80%が減額されますから、課税価格に算入すべき金額は、6,000万円×(1-80%)=1,200万円になります。 |
<資料>相続税の速算表 | ||
法定相続分に 応ずる取得金額 |
税率 | 控除額 |
1,000万円以下 | 10% | - |
1,000万円超 3,000万円以下 |
15% | 50万円 |
3,000万円超 5,000万円以下 |
20% | 200万円 |
5,000万円超 10,000万円以下 |
30% | 700万円 |
1. | 900万円 |
2. | 910万円 |
3. | 1,460万円 |
7,200万円を法定相続分で按分すると、各人の法定相続分に応ずる取得金額は、
妻Bさん:3,600万円
長女Cさん:1,200万円
長男Dさん:1,200万円
孫Fさん:600万円
孫Gさん:600万円
です。
よって、各人の法定相続分に応ずる取得金額に対応する相続税額は、
妻Bさん:3,600万円×20%-200万円=520万円
長女Cさん:1,200万円×15%-50万円=130万円
長男Dさん:1,200万円×15%-50万円=130万円
孫Fさん:600万円×10%=60万円
孫Gさん:600万円×10%=60万円
ですから、相続税の総額=520万円+130万円+130万円+60万円+60万円=900万円となります。
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