FP2級実技(FP協会)解説-2019年9月・問35~40
【問35】~【問40】は、以下の資料を元に解答してください。
<設例>
国内の上場企業に勤務する関根紀行さんは、今後の生活のことなどに関して、FPで税理士でもある山田さんに相談をした。なお、下記のデータは2019年9月1日現在のものである。
国内の上場企業に勤務する関根紀行さんは、今後の生活のことなどに関して、FPで税理士でもある山田さんに相談をした。なお、下記のデータは2019年9月1日現在のものである。
【問35】
FPの山田さんは、まず現時点(2019年9月1日)における関根家(紀行さんと素子さん)のバランスシート分析を行うこととした。下表の空欄(ア)に入る数値を計算しなさい。
正解:4,720
<資産>
預貯金等:1,710万円
債券・株式等:320万円
生命保険:700万円
自宅敷地:2,400万円
自宅建物:700万円
その他:170万円
より、計6,000万円です。
預貯金等:1,710万円
債券・株式等:320万円
生命保険:700万円
自宅敷地:2,400万円
自宅建物:700万円
その他:170万円
より、計6,000万円です。
<負債>
住宅ローン:1,220万円
自動車ローン:60万円
より、計1,280万円です。
したがって、純資産=6,000万円-1,280万円=4,720万円となります。
【問36】
紀行さんの父の太一さんは、借地権を設定した土地の上に家屋を建築して居住している(下記<路線価図>参照)。仮に2019年9月1日に太一さんが死亡した場合のこの借地権の路線価方式による相続税の課税価格に算入すべき価額として、正しいものはどれか。なお、この借地権および自宅の家屋は太一さんの妻である久子さんが相続するものとし、「小規模宅地等に係る相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けるものとして、同特例適用後の金額を解答すること。
<路線価図>
1. | 3,840,000円 |
2. | 5,760,000円 |
3. | 7,872,000円 |
4. | 28,800,000円 |
正解:2
自用地評価額は、200千円/㎡×240㎡=4,800万円です。
よって、借地権の評価額は、4,800万円×60%=2,880万円です。
したがって、当該借地権について、小規模宅地等の特例の適用を受けると、特定居住用宅地等として330㎡まで80%の評価減を受ける事が出来ますから、借地権の相続税評価額は2,880万円×(1-80%)=576万円となります。
よって、借地権の評価額は、4,800万円×60%=2,880万円です。
したがって、当該借地権について、小規模宅地等の特例の適用を受けると、特定居住用宅地等として330㎡まで80%の評価減を受ける事が出来ますから、借地権の相続税評価額は2,880万円×(1-80%)=576万円となります。
【問37】
紀行さんが2019年中に行った国内公募株式投資信託であるRファンドの取引は、下記<資料>のとおりである。紀行さんの2019年分のRファンドに係る譲渡所得の金額として、正しいものはどれか。なお、紀行さんは、2018年以前にRファンドを保有したことはない。また、いずれの取引も基準価額での購入または売却である。
<資料:Rファンドの取引状況>
1. | 165,440円 |
2. | 178,400円 |
3. | 200,000円 |
4. | 239,696円 |
正解:2
投資信託の取得費は、9,400円/1万口×100万口+20,304円+11,000円/1万口×60万口+14,256円=1,634,560円/160万口です。
つまり、1万口あたり10,216円です。
よって、1万口あたり12,000円で100万口売却した際の譲渡所得の金額は、(12,000円-10,216円)/1万口×100万口=178,400円です。
つまり、1万口あたり10,216円です。
よって、1万口あたり12,000円で100万口売却した際の譲渡所得の金額は、(12,000円-10,216円)/1万口×100万口=178,400円です。
【問38】
下記<資料>は、紀行さんの父である太一さんの財産等の明細である。仮に2019年9月1日に太一さんが死亡した場合の相続税の課税遺産総額(課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いた金額)として、正しいものはどれか。なお、太一さんの相続に際しては、法定相続人が法定相続分どおりに財産を取得し、相続の放棄はないものとする。
<資料:太一さんの財産等の明細(相続税評価額)> | |
金融資産・不動産 ・動産等 |
22,000万円 |
生命保険X | 2,500万円 ※保険契約者(保険料負担者)および被保険者は太一さん、保険金受取人は久子さんである。 |
生命保険Y | 300万円 ※保険契約者(保険料負担者)および被保険者は太一さん、保険金受取人は由里さんである。 |
生前贈与 | 400万円 ※事業用資金として健史さんに贈与したものである。 |
葬式費用等 | 400万円 ※全額債務控除の対象となるものである。 |
1. | 16,700万円 |
2. | 17,000万円 |
3. | 17,400万円 |
4. | 18,100万円 |
正解:2
法定相続人の数は4人ですから、基礎控除額=3,000万円+600万円×4=5,400万円です。
金融資産・不動産・動産等は、22,000万円が全額、相続税の課税価格に算入されます。
生命保険Xは、相続人が受け取る、相続税の課税対象となる死亡保険金ですから500万円×法定相続人の数まで非課税となり、2,500万円-500万円×4=500万円が相続税の課税価格に算入されます。
生命保険金Yは、相続人以外の人が受け取る死亡保険金ですから、死亡保険金の非課税枠は適用されませんが、相続税の課税価格に算入されます。
相続や遺贈により財産を受け取っていない人が被相続人の生前に贈与を受けた財産は生前贈与加算の対象ではありませんから相続税の課税価格には算入されません。
葬式費用等は全額債務控除されます。
よって、課税価格の合計額は、22,000万円+500万円+300万円+0円-400万円=22,400万円となります。
したがって、相続税の課税遺産総額=22,400万円-5,400万円=17,000万円となります。
金融資産・不動産・動産等は、22,000万円が全額、相続税の課税価格に算入されます。
生命保険Xは、相続人が受け取る、相続税の課税対象となる死亡保険金ですから500万円×法定相続人の数まで非課税となり、2,500万円-500万円×4=500万円が相続税の課税価格に算入されます。
生命保険金Yは、相続人以外の人が受け取る死亡保険金ですから、死亡保険金の非課税枠は適用されませんが、相続税の課税価格に算入されます。
相続や遺贈により財産を受け取っていない人が被相続人の生前に贈与を受けた財産は生前贈与加算の対象ではありませんから相続税の課税価格には算入されません。
葬式費用等は全額債務控除されます。
よって、課税価格の合計額は、22,000万円+500万円+300万円+0円-400万円=22,400万円となります。
したがって、相続税の課税遺産総額=22,400万円-5,400万円=17,000万円となります。
【問39】
素子さんの母の美由紀さんは、2019年10月に70歳になる。美由紀さんは65歳から老齢基礎年金を受給することができたが、繰下げ受給することを考えまだ請求をしていない。美由紀さんが70歳到達月に老齢基礎年金の支給繰下げの申出をした場合、70歳時に受け取る繰下げ支給の老齢基礎年金(付加年金を含む)の額として、正しいものはどれか。なお、計算に当たっては、下記<資料>に基づくこととする。
<資料>
[美由紀さんの国民年金保険料納付済期間]
1973年10月~2009年9月(432月)
※ | これ以外に保険料納付済期間はなく、保険料免除期間もないものとする。 |
[美由紀さんが付加保険料を納めた期間]
1973年10月~1986年3月(150月)
[その他]
・ | 老齢基礎年金の額(満額) 780,100円 |
・ | 美由紀さんの加入可能年数 40年 |
・ | 繰下げ支給の増額率 65歳到達月から繰下げの申出を行った月の前月までの月数×0.7% |
・ | 振替加算は考慮しないものとする。 |
・ | 年金額の端数処理 年金額の計算過程および繰下げ支給の老齢基礎年金の年金額については、円未満を四捨五入するものとする。 |
正解:2
老齢基礎年金の額は、780,100円×432/480=702,090円です。
付加年金の額は、200円×150=30,000円です。
よって、繰り下げを行わない場合の年金額は、702,090円+30,000円=732,090円です。
70歳到達月に5年間繰下げると、42%増額されますから、付加年金を含む老齢基礎年金の額は、732,090円×1.42=1,036,568万円となります。
付加年金の額は、200円×150=30,000円です。
よって、繰り下げを行わない場合の年金額は、702,090円+30,000円=732,090円です。
70歳到達月に5年間繰下げると、42%増額されますから、付加年金を含む老齢基礎年金の額は、732,090円×1.42=1,036,568万円となります。
【問40】
紀行さんは、今後自分に介護が必要になった場合を考え、公的介護保険制度の介護サービスについて、FPの山田さんに質問をした。介護保険の給付に関する山田さんの次の説明の空欄(ア)~(ウ)に入る適切な語句を語群の中から選び、その番号のみを解答欄に記入しなさい。
「介護保険の給付を受けるためには、( ア )から要介護・要支援認定を受ける必要があります。本人や家族などが( ア )の窓口で認定申請すると、後日認定調査が実施され、主治医の意見書等も踏まえ、( ア )に設置されている介護認定審査会により、自立(非該当)、要支援、要介護のいずれかに認定されます。自立以外に認定された場合は、要支援、要介護を合わせ全( イ )のランク付けがなされ、このランクが高いほど介護給付の支給限度額は高くなります。なお、在宅サービスなど実際に介護保険の給付を受ける際の利用者負担の割合は、一定以上の所得がある者を除き、原則として( ウ )となっており、認定された要介護度のランクに応じた支給限度額を上回るサービス費用については、全額自己負担となります。」
<語群>
1.地域包括支援センター 2.都道府県
3.市町村(特別区を含む)
4.7段階
5.9段階 6.12段階
7.1割 8.2割 9.3割
1.地域包括支援センター 2.都道府県
3.市町村(特別区を含む)
4.7段階
5.9段階 6.12段階
7.1割 8.2割 9.3割
正解:3、4、7
(ア) | 介護保険の給付を受けるためには、市町村(特別区を含む)から要介護・要支援の認定を 受ける必要があります。 |
(イ) | 要介護・要支援の認定は、要介護が5段階、要支援が2段階の、全7段階です。 |
(ウ) | 介護保険の給付を受ける際の利用者負担の割合は原則として1割です。 |
スポンサーリンク
スポンサーリンク
<戻る | ホーム |