FP2級実技(FP協会)解説-2019年5月・問1~10
【問1】
ファイナンシャル・プランナー(以下「FP」という)が、ファイナンシャル・プランニング業務を行ううえでは関連業法等を順守することが重要である。FPの行為に関する次の(ア)~(エ)の記述について、適切なものには○、不適切なものには×を解答欄に記入しなさい。
(ア) | 司法書士資格を有していないFPが、顧客から依頼され、顧客の任意後見人となる契約を締結した。 |
(イ) | 税理士資格を有していないFPが、相続対策を検討している顧客に対し、有料の相談業務において、仮定の相続事例に基づく一般的な解説を行った。 |
(ウ) | 生命保険募集人または保険仲立人の登録をしていないFPが、生命保険契約を検討している顧客のライフプランに基づき、必要保障額を具体的に試算した。 |
(エ) | 投資助言・代理業の登録をしていないFPが、特定の顧客に対し、特定企業の公表されている決算報告書を用いて、具体的な株式の投資時期等の判断や助言を行った。 |
正解:○、○、○、×
(ア) | 任意後見人となるための、特別な資格要件はありません。 |
(イ) | 仮定の事例に基づく一般的な解説であれば、特定の資格を持たずに行う事ができます。 |
(ウ) | 必要保障額の計算は誰でもすることができます。 |
(エ) | 投資助言・代理業の登録をしていない人が、具体的な株式の投資時期などの判断や助言を行う事はできません。 |
【問2】
ファイナンシャル・プランニングのプロセスに従い、次の(ア)~(カ)を6つのステップの順番に並べ替えたとき、その中で4番目(ステップ4)となるものはどれか。その記号を解答欄に記入しなさい。
(ア) | 顧客の目標達成のために必要なプランを作成し、提案書を提示する。 |
(イ) | 面談等の実施により、顧客に関する資産等の情報のほか、顧客の考える目標や希望等の情報を収集する。 |
(ウ) | 作成したプランに従い、提案した金融商品の購入等の実行を支援する。 |
(エ) | 顧客の環境の変化や制度改正の際には、必要に応じてプランの見直しを行う。 |
(オ) | 顧客に対し、提供するサービスの内容や報酬体系等を説明し、了解を得る。 |
(カ) | 顧客から収集した情報を基に、キャッシュフロー表などを作成し、将来の財政状況の予測等を行う。 |
正解:ア
並び替えると、(オ)→(イ)→(カ)→(ア)→(ウ)→(エ)となります。
【問3】
経済指標に関する下表の空欄(ア)~(エ)に入る語句を語群の中から選び、その番号のみを解答欄に記入しなさい。
<語群>
1.内閣府 2.総務省 3.経済産業省
4.国際収支統計 5.マネーストック統計
6.家計消費支出 7.消費者物価指数
8.2回 9.4回 10.6回
1.内閣府 2.総務省 3.経済産業省
4.国際収支統計 5.マネーストック統計
6.家計消費支出 7.消費者物価指数
8.2回 9.4回 10.6回
正解:1、4、9、7
(ア) | GDPは内閣府が公表します。 |
(イ) | 外国との間で行った、物やサービス、有価証券などの取引や、決済資金の流れなどを記録・集計した統計は、国際収支統計です。 |
(ウ) | 日銀短観は、四半期ごとに公表されます。 |
(エ) | 全国の世帯が購入する家計に係る財およびサービスの価格等を総合した物価の変化を時系列的に測定する指標は、消費者物価指数です。 |
【問4】
下記<資料>の外貨定期預金を満期まで保有した場合における、外貨ベースの元利合計額を円転した金額を計算しなさい。なお、計算結果(円転した金額)について円未満の端数が生じる場合は切り捨てること。また、解答に当たっては、解答用紙に記載されている単位に従うこと。
<資料>
預入額:10,000米ドル
預入期間:12ヵ月
預金金利:1.24%(年率)
預入額:10,000米ドル
預入期間:12ヵ月
預金金利:1.24%(年率)
満期時の為替レート(1米ドル)
TTS:113.50円
TTM:112.50円
TTB:111.50円
※ | 利息の計算に際しては、預入期間は日割りではなく月割りで計算すること。 |
※ | 為替差益・為替差損に関する税金については考慮しないこと。 |
※ | 利息に対しては、米ドル建ての利息額の20%(復興特別所得税は考慮しない)相当額が所得税・住民税として源泉徴収されるものとすること。 |
正解:1,126,060円
10,000米ドル×{1+0.0124×(1-0.2)}×111.5円/米ドル=1,126,060.8円です。
円未満を切り捨てると、1,126,060円です。
円未満を切り捨てると、1,126,060円です。
【問5】
西山さんはHE投資信託を新規募集時に500万口購入し、特定口座(源泉徴収口座)で保有して収益分配金を受け取っている。下記<資料>に基づき、西山さんが保有するHE投資信託に関する次の記述の空欄(ア)、(イ)にあてはまる数値の組み合わせとして、正しいものはどれか。
<資料>
[HE投資信託の商品概要(新規募集時)]
投資信託の分類:追加型国内公募株式投資信託
決算および収益分配:年1回
申込価格:1口当たり1円
申込単位:1万口以上1口単位
[HE投資信託の商品概要(新規募集時)]
投資信託の分類:追加型国内公募株式投資信託
決算および収益分配:年1回
申込価格:1口当たり1円
申込単位:1万口以上1口単位
購入時手数料(税込み)
購入金額1,000万円未満:2.70%
購入金額1,000万円以上:2.16%
運用管理費用(信託報酬)(税込み):
純資産総額に対し年1.620%
信託財産留保額:
1口につき解約請求日の翌営業日の基準価額に0.3%を乗じた額
[西山さんが保有するHE投資信託の収益分配金受取時の運用状況(1万口当たり)]
収益分配前の個別元本:10,000円
収益分配前の基準価額:13,000円
収益分配金:2,000円
収益分配後の基準価額:11,000円
・ | 西山さんが、HE投資信託を新規募集時に500万口購入した際に、支払った購入時手数料(税込み)は( ア )円である。 |
・ | 西山さんが保有するHE投資信託の収益分配金受領後の個別元本(1万口当たり)は( イ )円である。 |
1. | (ア)108,000 (イ) 8,000 |
2. | (ア)108,000 (イ)10,000 |
3. | (ア)135,000 (イ) 8,000 |
4. | (ア)135,000 (イ)10,000 |
正解:4
(ア) | 500万円×2.7%=135,000円です。 |
(イ) | 分配落ち後の基準価額が分配落ち前の個別元本を上回っていますので、収益分配金は全て普通分配金であり、個別元本は収益分配前と変わらない事が分かります。 よって、収益分配金受取後の個別元本は10,000円です。 |
【問6】
下記<資料>の債券を満期(償還)時まで保有した場合の最終利回り(単利・年率)を計算しなさい。なお、手数料や税金等については考慮しないものとし、計算結果については小数点以下第4位を切り捨てること。また、解答に当たっては、解答用紙に記載されている単位に従うこと(解答用紙に記載されているマス目に数値を記入すること)。
<資料>
表面利率:年1.30%
買付価格:額面100円につき98.00円
発行価格:額面100円につき100.00円
償還までの残存年数:5年
表面利率:年1.30%
買付価格:額面100円につき98.00円
発行価格:額面100円につき100.00円
償還までの残存年数:5年
正解:1.734
{1.3+(100-98)÷5}÷98×100=1.7346…(%)です。
小数点以下第4位切り捨てより、1.734%
小数点以下第4位切り捨てより、1.734%
【問7】
公的な土地評価に関する下表の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。
※ | 問題作成の都合上、一部を「**」としている。 |
1. | (ア)内閣府 (イ)1月1日 (ウ)80% |
2. | (ア)国土交通省 (イ)1月1日 (ウ)70% |
3. | (ア)国土交通省 (イ)7月1日 (ウ)80% |
4. | (ア)内閣府 (イ)7月1日 (ウ)70% |
正解:3
(ア) | 公示価格は国土交通省が公表します。 |
(イ) | 基準値標準価格は公示価格を保管するものですから、評価時点は、公示価格の評価時点の半年後に当たる7月1日です。 |
(ウ) | 相続税路線価は、公示価格の80%を目安に公表されます。 |
【問8】
大津さんは、6年前に相続により取得し、その後継続して居住している自宅の土地および建物の売却を検討している。売却に係る状況が下記<資料>のとおりである場合、所得税における課税長期譲渡所得の金額として、正しいものはどれか。
<資料>
取得費:土地および建物とも不明であるため概算取得費とする。
譲渡価格(合計):7,000万円
譲渡費用(合計):300万円
取得費:土地および建物とも不明であるため概算取得費とする。
譲渡価格(合計):7,000万円
譲渡費用(合計):300万円
※ | 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除の特例の適用を受けるものとする。 |
※ | 所得控除は考慮しないものとする。 |
1. | 3,000万円 |
2. | 3,270万円 |
3. | 3,350万円 |
4. | 3,635万円 |
正解:3
概算取得費は譲渡価格の5%ですから、7,000万円×5%=350万円です。
よって、譲渡所得=7,000万円-(350万円+300万円)-3,000万円=3,350万円となります。
よって、譲渡所得=7,000万円-(350万円+300万円)-3,000万円=3,350万円となります。
【問9】
柴田さんは、保有しているマンションを賃貸している。下記<資料>に基づいて計算した2018年分の所得税に係る不動産所得の金額として、正しいものはどれか。なお、<資料>以外の収入および支出等はないものとし、青色申告特別控除は考慮しないこととする。
<資料:2018年分の賃貸マンションに係る収入および支出等>
[賃料収入(総収入金額)]
144万円
[支出]
銀行へのローン返済金額:60万円(元金40万円、利息20万円)
管理費等:12万円
管理業務委託費:72,000円
火災保険料:1万円
固定資産税:12万円
修繕費:8万円
[減価償却費]
33万円
※ | 支出等のうち必要経費となるものは、すべて2018年分の所得に係る必要経費に該当するものとする。 |
正解:3
支出のうち、借入金の元金返済額以外は、全て必要経費になります。
よって、不動産所得=144万円-(20万円+12万円+72,000円+1万円+12万円+8万円+33万円)=508,000円となります。
よって、不動産所得=144万円-(20万円+12万円+72,000円+1万円+12万円+8万円+33万円)=508,000円となります。
【問10】
下記<資料>は、井上さんが購入を検討している物件の登記事項証明書の一部である。この登記事項証明書に関する次の(ア)~(エ)の記述について、正しいものには○、誤っているものには×を解答欄に記入しなさい。
<資料>
(ア) | KY株式会社の抵当権の設定に関する事項が記載されている欄(A)は、 「権利部(乙区)」である。 |
(イ) | 登記事項証明書は、法務局などにおいて手数料を納付すれば、誰でも交付の請求をすることができる。 |
(ウ) | 上記<資料>から、抵当権の設定当時、細井孝さんがこの土地の所有者であったことが確認できる。 |
(エ) | 細井孝さんがKY株式会社への債務を完済すると、当該抵当権の登記は自動的に抹消される。 |
正解:○、○、×、×
(ア) | 正しい記述です。抵当権は所有権以外の権利ですから権利部の乙区に記載されます。 |
(イ) | 正しい記述です。 |
(ウ) | 債務者と土地の所有者が異なる場合がありますから、抵当権設定当時の所有者は、権利部の甲区を見なければ分かりません。 |
(エ) | 債務を完済した場合、抵当権は自動的に抹消されず、抹消登記を行う必要があります。 |
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