FP3級実技(FP協会)解説-2019年5月・後半
【問11】
個人事業主として物品販売業を営む天野さんの2018年分の各種所得の金額が下記<資料>のとおりである場合、天野さんの総合課税の対象とされる2018年分の総所得金額として、正しいものはどれか。なお、<資料>に記載のない条件については一切考慮しないこととする。
<資料>
[天野さんの2018年分の所得の金額]
事業所得の金額:350万円
給与所得の金額:60万円(退職した勤務先から受給したもので、給与所得控除後の金額である)
譲渡所得の金額:100万円(上場株式の譲渡によるもの)
[天野さんの2018年分の所得の金額]
事業所得の金額:350万円
給与所得の金額:60万円(退職した勤務先から受給したもので、給与所得控除後の金額である)
譲渡所得の金額:100万円(上場株式の譲渡によるもの)
1. | 160万円 |
2. | 410万円 |
3. | 510万円 |
正解:2
事業所得と給与所得は総合課税ですから、総所得金額に算入されますが、上場株式等の譲渡による譲渡所得は申告分離課税ですから、総所得金額には含まれません。
よって、総所得金額=350万円+60万円=410万円となります。
よって、総所得金額=350万円+60万円=410万円となります。
【問12】
飯田さんは2011年に取得した土地(居住用ではない)を譲渡した。譲渡に係る状況が下記<資料>のとおりである場合、譲渡所得に係る所得税額として、正しいものはどれか。なお、<資料>に記載のない条件については一切考慮しないこととする。
<資料> | |
・ | 取得日:2011年1月16日 |
・ | 譲渡日:2018年12月16日 |
・ | 譲渡価額:5,000万円 |
・ | 取得費:2,000万円 |
・ | 譲渡費用:700万円 |
※ | 所得控除は考慮しないものとする。 |
[土地建物等の譲渡所得に係る税率] | |
所得の区分 | 所得税 |
課税長期譲渡所得 | 15% |
課税短期譲渡所得 | 30% |
※復興特別所得税は考慮しないものとする。 |
1. | 345万円 |
2. | 450万円 |
3. | 690万円 |
正解:1
譲渡所得=5,000万円-(2,000万円+700万円)=2,300万円です。
取得日から、譲渡日が属する年の1月1日までの期間が5年を超えますから、分離長期譲渡所得に区分されます。
したがって、譲渡所得に係る所得税額=2,300万円×15%=345万円となります。
取得日から、譲渡日が属する年の1月1日までの期間が5年を超えますから、分離長期譲渡所得に区分されます。
したがって、譲渡所得に係る所得税額=2,300万円×15%=345万円となります。
【問13】
2019年5月2日に相続が開始された五十嵐和人さん(被相続人)の<親族関係図>が下記のとおりである場合、民法上の相続人および法定相続分の組み合わせとして、正しいものはどれか。なお、記載のない条件については一切考慮しないこととする。
<資料>
1. | 優子1/2 奈津子1/4 圭吾1/4 |
2. | 優子3/4 奈津子1/8 圭吾1/8 |
3. | 優子3/4 奈津子1/12 圭吾1/12 明夫1/12 |
正解:2
相続人が、配偶者相続人と第3順位の血族相続人の組み合わせですから、配偶者相続人の法定相続分は3/4になり、2の血族相続人の法定相続分はそれぞれ、1/4×1/2=1/8となります。
【問14】
FPで税理士でもある桑原さんは、羽田健一さんと妻の恭子さんから贈与税の配偶者控除に関する相談を受けた。羽田さん夫婦からの相談内容に関する記録は下記<資料>のとおりである。この相談に対する桑原さんの回答の空欄(ア)、(イ)にあてはまる数値の組み合わせとして、正しいものはどれか。
<資料>
[相談記録]
相談日:2019年5月3日
相談者:羽田健一 様(55歳)
羽田恭子 様(50歳)
相談内容:贈与税の配偶者控除を活用して、健一様所有の居住用不動産を恭子様に贈与したいと考えている。贈与税の配偶者控除の適用要件や控除額について知りたい。
[桑原さんの回答]
「贈与税の配偶者控除の適用を受けるためには、贈与があった日において、配偶者との婚姻期間が( ア )年以上であること等の所定の要件を満たす必要があります。また、贈与税の配偶者控除の額は、最高( イ )万円です。」
1. | (ア)10 (イ)2,000 |
2. | (ア)20 (イ)2,000 |
3. | (ア)20 (イ)2,500 |
正解:2
贈与税の配偶者控除の、婚姻期間の要件は20年以上で、控除額は2,000万円です。
おしどり夫婦(2・2)の贈与の特例と覚えてください。
おしどり夫婦(2・2)の贈与の特例と覚えてください。
【問15】~【問20】は、以下の資料を元に解答してください。
<設例>
山岸康太さんは株式会社KNに勤務する会社員である。康太さんは定年を2年後に控え、今後の生活設計について考えようと思い、FPで税理士でもある露木さんに相談をした。なお、下記のデータはいずれも2019年4月1日現在のものである。
山岸康太さんは株式会社KNに勤務する会社員である。康太さんは定年を2年後に控え、今後の生活設計について考えようと思い、FPで税理士でもある露木さんに相談をした。なお、下記のデータはいずれも2019年4月1日現在のものである。
<家族構成(同居家族)>
[山岸 康太(本人)]
1960年9月10日(58歳)
職業:会社員
[山岸 由香里(妻)]
1961年2月 7日(58歳)
職業:専業主婦
[山岸 静子(長女)]
1992年3月25日(27歳)
職業:会社員
<保有資産(時価)>単位:万円
[金融資産]
普通預金:500
定期預金:1,700
財形年金貯蓄:350
外貨預金:150
上場株式:340
[生命保険(解約返戻金相当額)]
370
[不動産(自宅マンション)]
2,800
[負債残高]
住宅ローン(自宅マンション):280万円(債務者は康太さん、団体信用生命保険付き)
住宅ローン(自宅マンション):280万円(債務者は康太さん、団体信用生命保険付き)
[その他]
上記以外については、各設問において特に指定のない限り一切考慮しないこととする。
上記以外については、各設問において特に指定のない限り一切考慮しないこととする。
【問15】
FPの露木さんは、山岸家の2019年4月1日現在のバランスシートを作成した。下表の空欄(ア)にあてはまる金額として、正しいものはどれか。なお、<設例>に記載のあるデータに基づいて
解答することとする。
解答することとする。
1. | 5,440(万円) |
2. | 5,560(万円) |
3. | 5,930(万円) |
正解:3
<資産合計>
普通預金:500万円
定期預金:1,700万円
財形年金貯蓄:350万円
外貨預金:150万円
上場株式:340万円
生命保険:370万円
不動産:2,800万円
の、計6,210万円です。
普通預金:500万円
定期預金:1,700万円
財形年金貯蓄:350万円
外貨預金:150万円
上場株式:340万円
生命保険:370万円
不動産:2,800万円
の、計6,210万円です。
よって、純資産=資産合計-負債合計より、6,210万円-280万円=5,930万円となります。
【問16】
康太さんには、定年退職時に勤務先から退職一時金2,400万円が支給される見込みである。この場合における所得税に係る退職所得の金額として、正しいものはどれか。なお、康太さんの勤続年数は38年とし、退職は障害者になったことに基因するものではない。また、康太さんは役員であったことはなく、前年以前に受け取った退職金はないものとする。
<参考:退職所得控除額の求め方> | |
勤続年数 | 退職所得控除額 |
20年以下 | 40万円×勤続年数(80万円に満たない場合には、80万円) |
20年超 | 800万円+70万円×(勤続年数-20年) |
1. | (2,400万円-2,060万円)×1/2=170万円 |
2. | 2,400万円-2,060万円-50万円=290万円 |
3. | 2,400万円-2,060万円=340万円 |
正解:1
勤続年数が38年である場合、退職所得控除額=800万円+70万円×(38-20)=2,060万円です。
なお、退職所得=(収入金額-退職所得控除)×1/2です。
なお、退職所得=(収入金額-退職所得控除)×1/2です。
【問17】
康太さんは、60歳で定年を迎えた後、退職一時金の一部を老後の生活資金に充てることを考えている。仮に退職一時金のうち1,900万円を年利2.0%で複利運用しながら20年間で均等に取り崩すこととした場合、年間で取り崩すことができる最大金額として、正しいものはどれか。なお、下記<資料>の3つの係数の中から最も適切な係数を選択して計算し、円単位で解答すること。また、税金や記載のない事項については一切考慮しないこととする。
<資料:係数早見表(年利2.0%)>
[20年]
現価係数:0.6730
資本回収係数:0.0612
減債基金係数:0.0412
※記載されている数値は正しいものとする。
[20年]
現価係数:0.6730
資本回収係数:0.0612
減債基金係数:0.0412
※記載されている数値は正しいものとする。
1. | 639,350円 |
2. | 782,800円 |
3. | 1,162,800円 |
正解:3
使用する係数は、資本回収係数です。
よって、1,900万円×0.0612=1,162,800円となります。
よって、1,900万円×0.0612=1,162,800円となります。
【問18】
康太さんは、通常65歳から支給される老齢基礎年金を繰り上げて受給できることを知り、FPの露木さんに質問をした。老齢基礎年金の繰上げ受給に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、老齢基礎年金の受給要件は満たしているものとする。
1. | 老齢基礎年金を繰上げ受給した場合、65歳になるまでであれば、繰上げ受給を取りやめて通常受給に切り替えることができる。 |
2. | 老齢基礎年金を繰上げ受給した場合の年金額は、65歳になるまでは減額されるが、65歳以降は減額されない通常額が一生涯支給される。 |
3. | 老齢基礎年金を繰上げ受給した場合の年金額は、繰上げ月数1月当たり0.5%の割合で減額される。 |
正解:3
1. | 一旦繰上げ請求をすると、取りやめることはできません。 |
2. | 繰り上げ受給は、一生涯続きます。 |
3. | 正しい記述です。 |
【問19】
康太さんの公的年金加入歴は下記のとおりである。仮に康太さんが現時点(58歳)で死亡した場合、康太さんの死亡時点において妻の由香里さんに支給される公的年金の遺族給付に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、康太さんは、入社時(22歳)から死亡時まで厚生年金保険に加入しているものとし、遺族給付における生計維持要件は満たされているものとする。
1. | 遺族基礎年金と遺族厚生年金が支給される。 |
2. | 遺族厚生年金と寡婦年金が支給される。 |
3. | 遺族厚生年金が支給され、中高齢寡婦加算額が加算される。 |
正解:3
(ア) | 厚生年金の被保険者に生計を維持されていた妻は、遺族厚生年金を受け取ることができます。 なお、遺族基礎年金は、原則として18歳到達年度末日の子がいる場合に支給されるものですから、支給されません。 |
(イ) | 寡婦年金や死亡一時金は、遺族基礎年金と遺族厚生年金を、両方受給することができない人のための制度です。 |
(ウ) | 中高齢寡婦加算は、遺族基礎年金を受給することができない、40歳以上65歳未満の寡婦に対する、遺族厚生年金の上乗せ給付です。 |
【問20】
康太さんと由香里さんが加入している生命保険は下表のとおりである。下表の契約A~Cについて、保険金・給付金等が支払われた場合の課税関係に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1. | 契約Aについて、康太さんが受け取った解約返戻金は、所得税の課税対象となる。 |
2. | 契約Bについて、由香里さんが受け取った入院給付金は、所得税の課税対象となる。 |
3. | 契約Cについて、康太さんが受け取った満期保険金は、所得税の課税対象となる。 |
正解:2
1. | 正しい記述です。 |
2. | 個人が受け取る入院給付金は、非課税です。 |
3. | 正しい記述です。 |
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