お金の寺子屋

【体験談】差額ベッド代と医療費控除

いつも当サイトをご利用頂きましてありがとうございます。

運営チーム代表の東条です。

今回のコラムは、数年前のお話です。

事務所を開いて2年目の夏、初めて体調を崩して事務所をお休みしました。

医者には風邪と言われたので、処方された薬を飲んで、ベッドにGO!
「遂に過労がピークに来たか…」という感じでした。

しかし、丸1日経っても熱は引かず、容体は悪くなる一方。
頭がクラクラして、お腹が凄く痛くなってきました。

この感覚、3年前にも…。

もしかして、腸炎?

そう感じたので、迷わず夜間外来へ。

不安は的中。即入院orz

で、ここからが問題ですよ!

「すぐに入院してください」と言われたので、従うしかありません。

でも、どうせベッドで寝込んでいるだけだし、
「大部屋でお願いします」と頼んだら、

「今大部屋は空いて無いんですよ。明日以降大部屋が空いたとしても、大部屋に移る事はできなくて、差額ベッド代がかかってしまいます。」
と言われて、同意書を渡されました。

さて、ここで、FPのコラムらしく、差額ベッド代について説明しておきましょう。

差額ベッド代とは、個室や少人数の病室(大部屋に比べて快適な病室)で療養する時に、追加で必要となるお金です。
社会保険の適用外で全額自己負担となる、というのは、FP試験の重要論点です。

そして、厚生労働省の通達では、
同意書による同意の確認を行っていない場合
患者本人の「治療上の必要」により特別療養環境室へ入院させる場合
病棟管理の必要性等から特別療養環境室に入院させた場合であって、実質的に患者の選択によらない場合
というような場合には、病院は差額ベッド代を徴収してはいけないという事になっています。
(保医発第0328001号 平成20年3月28日 5ページ)

また、国税庁のホームページを見ると、
「本人や家族の都合だけで個室に入院したときなどの差額ベッドの料金は、医療費控除の対象になりません。」
とあります。
(タックスアンサーNo.1126)

つまり、厚生労働省の通達によると、患者が大部屋を希望した場合に差額ベッド代がかかる病室で療養すると、それは「治療上の必要性がある」or「病棟管理の必要性がある」という事になりますから、本来差額ベッド代はかからないはずです。

なので、国税庁のホームページから読み取れる「本人や家族の意向に反して差額ベッド代を払う」というのは、どういうケースなのかと不思議に思いますが、受験生時代、産婦人科のような個室しかない病院の事だと言われて、納得した覚えがあります。

さて、ここで話は戻りますが、渡された同意書にサインすると、差額ベッド代を払わなくてはいけなくなります。
(「治療上の必要性がある」or「病棟管理の必要性がある」という場合であっても、同意書が優先)

ですから、サインはしたくないので、
「大部屋に入りたいんですが、これ書かなきゃダメなんですか?」と聞くと、

「はい、書いてもらわないと困ります」との事。

引き下がっても良かったんですが、じゃぁ入院させてあげないって言われると困るし、安く入院できたとしても3~4日お世話になるので扱いが悪くなったら嫌だし…

そんな無言のプレッシャーに負けて、やむなくサインしました(泣)

フラフラしていて、値切る元気もなかったですし、まぁ5,000円×4日で2万くらいなら払うか、という諦念もありました。

そしたらまさかの・・・

個室っ!

3泊4日で、46,000円(号泣)

痛いですけど、同意書書いたし、数万円でゴタゴタ揉めて時間と労力を浪費するのは、明らかに悪手。

悔しいですけど、諦めました。

さて、長々と愚痴を言ってしまいましたが、本題は翌年の確定申告です。

医療費の額が10万円を超えたので、医療費控除の申請をしようと思ったのですが、ここで問題になるのが国税庁のタックスアンサー。
「本人や家族の都合だけで個室に入院したときなどの差額ベッドの料金は、医療費控除の対象になりません」というやつです。

自分の場合はどっちだろうか…と迷いましたが、ちゃんと大部屋に入りたい旨は伝えているし、あの状況は病院都合でしょう!と判断して、医療費控除を申請しました。

そしたら、あっさりOKとの回答。良かった…(^_^;)

ただ、税務署の人は、OKするだけで、詳しく事情を聴かれる事はありませんでした。

一体、何故なんでしょうか?

ここからは、勝手な推測です。

現実問題として、本来差額ベッド代がかからない場合でも、同意書を求められる場合は結構あると思います(本当はダメなんですが、そうしないと経営が成り立たない病院もあるはず)。

そのような時、差額ベッド代を払わなくても良いという事を知らずにサインする人も多いでしょうし、僕のように、知っていても断りづらくてサインせざるを得ないという事態も起こり得ます。

なので、差額ベッド代の控除申請をしても、純粋に患者の意向なのか、それとも事情があるのかを、税務署が判断しにくい(できない)という理由が考えられます。
(本当はもっと別の理由も考えられますが、これには触れません)

なので、病院と交渉して、払わなくてよいものは払わないようにするのが最善ですが、それが悪手となるなら、最低限、医療費控除はできる、と言うのが経験則です。

<お断り>
こんなコラムを書いたら、「自己都合で差額ベッド代を払った場合でも、医療費控除を申請したら通るんじゃない?」と思われるかもしれません。

でも、恣意的にそんな事をするのは脱税です。

このコラムは、そのような脱税行為を助長するものではありません。
あくまでも、意向に沿わない(払う必要がないと考えられる)差額ベッド代を払った時に、医療費控除を受ける事ができましたよ、と言う体験談ですから、申告は正しく行ってくださいね。

…と言う前に、税務署を舐めたらダメ、絶対。

申告する前に、税務署の人に相談するのが確実です。

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