お金の寺子屋

FP3級実技(FP協会)解説-2022年1月・後半

【問11】
布施さん(68歳)の2021年分の収入等は下記<資料>のとおりである。布施さんの2021年分の所得税における総所得金額として、正しいものはどれか。なお、記載のない事項については一切考慮しないこととする。

<資料>
アルバイト収入:50万円
老齢厚生年金:320万円
アルバイト収入は給与所得控除額を控除する前の金額である。
老齢厚生年金は公的年金等控除額を控除する前の金額である。
<給与所得控除額の速算表>
給与収入金額 給与所得控除額
180万円以下 収入金額×40%-10万円 
(最低55万円)
180万円超
360万円以下
収入金額×30%+8万円
360万円超
660万円以下
収入金額×20%+44万円
660万円超
850万円以下
収入金額×10%+110万円
850万円超 195万円
<65歳以上の者の公的年金等控除額の速算表>
収入金額 公的年金等控除額
330万円未満 110万円
330万円以上
410万円未満
A×25%+27.5万円
410万円以上
770万円未満
A×15%+68.5万円
770万円以上
1,000万円未満
A×5%+145.5万円
1,000万円以上 A×5%+145.5万円
公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1,000万円以下の場合
1. 210万円
2. 250万円
3. 260万円
正解:
給与所得は、収入金額<給与所得控除額より、0円です。
公的年金等の雑所得=320万円-110万円=210万円です。
よって、総所得金額=210万円となります。
【問12】
会社員の大垣さんの2021年分の所得等が下記<資料>のとおりである場合、大垣さんが2021年分の所得税の確定申告をする際に、給与所得と損益通算できる損失の金額として、正しいものはどれか。なお、▲が付された所得の金額は、その所得に損失が発生していることを意味するものとする。

<資料>
1. ▲200万円
2. ▲160万円
3. ▲150万円
正解:
不動産所得の計算上生じた損失は、土地取得のための借入金に係る利子に相当する部分を除いて、損益通算の対象になりますから、200万円-50万円=150万円が損益通算の対象になります。
また、雑所得の計算上生じた損失は損益通算の対象にはなりません。
よって、給与所得と損益通算できる損失の金額は、150万円となります。
【問13】
会社員の細川博さんが2021年中に支払った医療費等が下記<資料>のとおりである場合、博さんの2021年分の所得税の確定申告における医療費控除の金額として、正しいものはどれか。なお、博さんの2021年中の所得は、給与所得600万円のみであり、支払った医療費等はすべて博さんおよび生計を一にする妻のために支払ったものである。また、保険金等により補てんされた金額はないものとし、医療費控除の金額が最も大きくなるよう計算することとする。

<資料>
1. 320,000円
2. 170,000円
3. 150,000円
正解:
総所得金額等が200万円以上である場合、医療費控除の金額は、医療費控除の対象額-10万円(最高200万円)です。
美容目的の施術代は医療費控除の対象になりません。
健康診断料は、基本的には医療費控除の対象にはなりませんが、診断の結果重大な疾病が発見され、引き続き治療を行った場合には、医療費控除の対象になります。
治療費は医療費控除の対象となります。
よって、医療費控除の額は、20,000円+250,000円-100,000円=170,000円となります。
【問14】
2022年1月5日に相続が開始された牧村誠一さん(被相続人)の<親族関係図>が下記のとおりである場合、民法上の相続人および法定相続分の組み合わせとして、正しいものはどれか。なお、記載のない条件については一切考慮しないこととする。

<親族関係図>
1. 智子 1/2 歩美 1/2
2. 智子 1/2 歩美 1/4 大雅 1/4
3. 智子 1/2 歩美 1/6 大雅 1/6 莉名 1/6
正解:
相続人は、智子、歩美、大雅の3人です。
相続人の組み合わせが配偶者相続人と第一順位の血族相続人の場合、配偶者相続人の法定相続分と血族相続人全体の法定相続分は、それぞれ2分の1ずつとなります。
また、同順位の血族相続人が複数いる場合には、各相続人の法定相続分は、血族相続人全体の法定相続分を頭数で按分したものになります。
そして、代襲相続人の法定相続分は、被代襲者の法定相続分と等しいです。
したがって、智子の法定相続分は1/2、歩美と大雅の法定相続分は1/4となります。
【問15】
FPで税理士でもある西山さんは、小山和夫さん(66歳)から相続時精算課税制度に関する相談を受けた。和夫さんからの相談内容に関する記録は、下記<資料>のとおりである。この相談に対する西山さんの回答の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる数値の組み合わせとして、正しいものはどれか。

<資料>
[相談記録]

相談日 2021年11月3日
相談者 小山和夫 様(66歳)
相談内容 相続時精算課税制度を活用して、長男の小山豊様(35歳)に事業用資金として現金3,000万円を贈与したい。この贈与について相続時精算課税制度を適用した場合の贈与税の計算における控除額や税率について知りたい。なお、豊様は、和夫様からの贈与について相続時精算課税制度の適用を受けたことはない。
[西山さんの回答]
「ご相談のあった贈与について相続時精算課税制度の適用を受ける場合、原則として、贈与をした年の1月1日において、贈与者である親や祖父母が( ア )歳以上、受贈者である子や孫が20歳以上(2022年4月1日以降は18歳以上)であることが必要とされます。和夫様と豊様はこれらの要件を満たしていますので、所定の手続きをし、特別控除として最大( イ )万円の控除を受けることができます。今回贈与を考えている現金の金額は3,000万円であり、( イ )万円を超えています。この超えた部分については、( ウ )%の税率を乗じて計算した贈与税が課されます。」
1. (ア)60 (イ)2,000 (ウ)10
2. (ア)65 (イ)2,500 (ウ)20
3. (ア)60 (イ)2,500 (ウ)20
正解:
(ア) 相続時精算課税制度の適用を受けるための贈与者の年齢要件は、原則として、60歳以上とされています。
(イ) 相続時精算課税制度の適用を受けた場合の特別控除額は、贈与者一人当たり2,500万円です。
(ウ) 相続時精算課税制度の適用を受けた場合の贈与税の税率は、20%です。

【問16】~【問20】は、以下の資料を元に解答してください。

<設例>
香川航平さんは株式会社WAに勤める会社員である。航平さんは、今後の生活設計について、FPで税理士でもある成田さんに相談をした。なお、下記のデータはいずれも2022年1月1日現在のものである。

<家族構成(同居家族)>
[香川 航平(本人)]
生年月日:1979年7月23日(42歳)
職業:会社員

[香川 優子(妻)]
生年月日:1981年5月30日(40歳)
職業:専業主婦

[香川 あかり(長女)]
生年月日:2004年10月10日(17歳)
職業:高校生

<保有財産(時価)>
[金融資産]
普通預金:200万円
定期預金:400万円
投資信託:100万円
上場株式:150万円

[生命保険(解約返戻金相当額)]
30万円

[不動産(自宅マンション) ]
3,500万円

<負債残高>
住宅ローン(自宅マンション):2,500万円(債務者は航平さん、団体信用生命保険付き)
<その他>
上記以外については、各設問において特に指定のない限り一切考慮しないものとする。
【問16】
FPの成田さんは、香川家のバランスシートを作成した。下表の空欄(ア)にあてはまる金額として、正しいものはどれか。なお、<設例>に記載のあるデータに基づいて解答することとする。

1.   880(万円)
2. 1,850(万円)
3. 1,880(万円)
正解:

<資産>
普通預金200万円
定期預金400万円
投資信託100万円
上場株式150万円
生命保険30万円
不動産3,500万円
の、計4,380万円

<負債>
住宅ローン2,500万円

よって、純資産=4,380万円-2,500万円=1,880万円となります。

【問17】
航平さんは、60歳で定年を迎えた後、公的年金の支給が始まる65歳までの5年間の生活資金に退職一時金の一部を充てようと考えている。仮に退職一時金のうち500万円を年利2.0%で複利運用しながら5年間で均等に取り崩すこととした場合、年間で取り崩すことができる最大金額として、正しいものはどれか。なお、下記<資料>の3つの係数の中から最も適切な係数を選択して計算し、円単位で解答すること。また、税金や記載のない事項については一切考慮しないこととする。

<係数早見表(5年:年利2.0%)>
終価係数:1.104
資本回収係数:0.21216
減債基金係数:0.19216

記載されている数値は正しいものとする。
1.   960,800円
2. 1,060,800円
3. 1,104,000円
正解:
取崩型運用の将来の金額を計算する際に使用する係数は、資本回収係数です。
よって、500万円×0.21216=1,060,800円となります。
【問18】
航平さんは、長女あかりさんの進路が決定したのちに、住宅ローンの繰上げ返済を検討しており、FPの成田さんに質問をした。住宅ローンの繰上げ返済に関する成田さんの次の説明のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 「繰上げ返済は、通常の返済とは別に、現在返済しているローンの利息部分を返済するものです。」
2. 「繰上げ返済は、教育費や老後資金の準備など、他の資金使途とのやりくりを十分考慮したうえで、早期に行うほど、利息軽減効果は高くなります。」
3. 「毎月の返済額を変えずに、返済期間を短縮する方法を『期間短縮型』といいます。」
正解:
1. 繰り上げ返済は通常の利息とは別に現在返済しているローンの元本部分を返済するものです。
2. 正しい記述です。
3. 正しい記述です。繰り上げ返済には、毎月の返済額を変えずに返済期間を短縮する期間短縮型と、返済期間を変えずに毎月の返済額を減らす返済額軽減型があります。
【問19】
航平さんは、病気やケガで働けなくなった場合、健康保険からどのような給付が受けられるのか、FPの成田さんに質問をした。成田さんが行った健康保険(全国健康保険協会管掌健康保険)の傷病手当金に関する次の回答の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる数値または語句の組み合わせとして、正しいものはどれか。

<成田さんの回答>
「傷病手当金は業務外の病気やケガの療養のため、勤務先を休んだ日が連続して( ア )日間続いた後( イ )日目以降の休業して賃金が受けられない日について、休業1日につき、支給開始日以前の継続した12ヵ月間の各月の標準報酬月額の平均額を30で除した額の( ウ )相当額が支給されます。」
1. (ア)2 (イ)3 (ウ)3分の2
2. (ア)3 (イ)4 (ウ)3分の2
3. (ア)3 (イ)4 (ウ)4分の3
正解:
(ア) 傷病手当金は、病気やケガにより連続して3日以上休んだ場合に、休業4日目から支払われます。
(イ) 同上
(ウ) 傷病手当金の日額は最高で標準報酬日額の3分の2相当額です。
【問20】
航平さんの年金加入歴は下記のとおりである。仮に、航平さんが現時点(42歳)で死亡した場合、航平さんの死亡時点において妻の優子さんに支給される公的年金の遺族給付に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、航平さんは、入社時(24歳)から死亡時まで厚生年金保険に加入しているものとし、遺族給付における生計維持要件は満たされているものとする。

1. 遺族基礎年金と遺族厚生年金が支給される。
2. 遺族厚生年金が支給され中高齢寡婦加算額が加算される。
3. 寡婦年金と遺族厚生年金が支給される。
正解:
1. 遺族基礎年金は、国民年金の被保険者に生計を維持されていた、子または子のある配偶者に支給されますから、支給されます。
また、遺族厚生年金は、厚生年金保険の被保険者に生計を維持されていた、配偶者などに支給されますから、支給されます。
2. 中高齢寡婦加算は、夫の死亡当時40歳以上65歳未満の子のない妻に支給されるものですから、支給されません。
3. 寡婦年金は、一定の要件を満たした場合、子のない妻に対して、基本的に、60歳から65歳まで支給されるものですから、支給されません。

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