お金の寺子屋

FP3級実技(FP協会)解説-2020年9月・後半

【問11】
給与所得者である浜松さんは、2020年中に住宅ローンを利用してマンションを購入し、直ちに居住を開始した。浜松さんは所得税で住宅借入金等特別控除(以下「住宅ローン控除」という)の適用を受けたいと考え、FPで税理士でもある工藤さんに相談をした。工藤さんが行った住宅ローン控除に関する次の説明のうち、最も適切なものはどれか。
1. 「住宅ローンの返済期間が10年以上でなければ適用を受けることができません。」
2. 「住宅ローン控除の適用対象となる住宅の床面積は40㎡以上とされています。」
3. 「住宅ローン控除は、その年分の合計所得金額が2,000万円以下でなければ適用を受けることができません。」
正解:
1. 正しい記述です。
2. 住宅ローン控除を受けるための床面積の要件は、50㎡以上で、その2分の1以上をもっぱら居住の用に供することです。
3. 住宅ローン控除を受けるための合計所得金額の要件は、3,000万円以下であることです。
【問12】
宮本さんは、20年前に購入し、現在居住している自宅の土地および建物を売却する予定である。売却に係る状況が下記<資料>のとおりである場合、所得税における課税長期譲渡所得の金額として、正しいものはどれか。

譲渡価額(合計):7,000万円
取得費(合計):2,800万円
譲渡費用(合計):200万円
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除の特例の適用を受けるものとする。
所得控除は考慮しないものとする。
1. 4,000万円
2. 1,200万円
3. 1,000万円
正解:
譲渡所得=収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額=7,000万円-(2,800万円+200万円)-3,000万円=1,000万円となります。
【問13】
2020年9月2日に相続が開始された関根直人さん(被相続人)の<親族関係図>が下記のとおりである場合、民法上の相続人および法定相続分の組み合わせとして、正しいものはどれか。なお、記載のない条件については一切考慮しないこととする。

<親族関係図>
昭子さんは期限内に家庭裁判所で手続きを行い、適法に相続を放棄した。
<親族関係図>
昭子さんは期限内に家庭裁判所で手続きを行い、適法に相続を放棄した。
1. 澄子1/2 悦子1/4 勇次1/4
2. 澄子2/3 悦子1/6 勇次1/6
3. 澄子3/4 悦子1/8 勇次1/8
正解:
第2順位の血族相続人が放棄していますから、相続人は配偶者相続人と第3順位の血族相続人の組み合わせになります。
この組み合わせの場合、配偶者相続人の法定相続分は4分の3で、血族相続人が複数いる場合には残りの、4分の1を均等に按分します。
【問14】
下記は、普通方式による遺言の特徴等についてまとめた表である。下表の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる数値または語句の組み合わせとして、正しいものはどれか。なお、問題作成の都合上、表の一部を空欄(***)としている。

1. (ア)15 (イ)2人以上 (ウ)不要
2. (ア)15 (イ)3人以上 (ウ)不要
3. (ア)20 (イ)2人以上 (ウ)必要
正解:
1. 遺言は、15歳以上からすることができます。
2. 公正証書遺言等を作るためには、2人以上の証人が必要です。
3. 公正証書遺言は改ざんの恐れがありませんから、検認は不要です。
【問15】
FPで税理士でもある長谷川さんは、山田周平さん(67歳)から相続時精算課税制度に関する相談を受けた。周平さんからの相談内容に関する記録は、下記<資料>のとおりである。この相談に対する長谷川さんの回答の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる数値の組み合わせとして、正しいものはどれか。

<資料>

[相談記録]
相談日:2020年9月2日
相談者:山田周平 様(67歳)
相談内容:相続時精算課税制度を活用して、周平様のご子息である雄太様(30歳)に事業用資金として現金3,000万円を贈与したいと考えている。この贈与について相続時精算課税制度を適用した場合の贈与税の計算における控除額や税率について知りたい。なお、雄太様は、周平様からの贈与について相続時精算課税制度の適用を受けたことはない。
[長谷川さんの回答]
「ご相談のあった贈与について相続時精算課税制度の適用を受ける場合、原則として、贈与をした年の1月1日において、贈与者である親や祖父母が( ア )歳以上、受贈者である子や孫が20歳以上であることが必要とされます。周平様と雄太様はこれらの要件を満たしていますので、所定の手続きをし、特別控除として最大( イ )万円の控除を受けることができます。今回贈与を考えている現金の金額は3,000万円であり、( イ )万円を超えています。この超えた部分については、( ウ )%の税率を乗じて計算した贈与税が課されます。」
1. (ア)65 (イ)2,000 (ウ)20
2. (ア)60 (イ)2,500 (ウ)20
3. (ア)65 (イ)2,500 (ウ)10
正解:
1. 相続時精算課税制度の適用を受けるための贈与者の年齢要件は、60歳以上であることす。
2. 相続時精算課税制度の適用を受けた場合の特別控除額は2,500万円です。
3. 相続時精算課税制度の適用を受けた場合に適用される税率は20%です。

【問16】~【問20】は、以下の資料を元に解答してください。

<設例>
布施秀則さんは株式会社RTに勤める会社員である。秀則さんは40歳代半ばを過ぎたこともあり、今後の生活設計について、FPで税理士でもある大垣さんに相談をした。なお、下記のデータはいずれも2020年9月1日現在のものである。

<家族構成(同居家族)>
[布施 秀則(本人)]
1972年9月20日(47歳)
会社員

[布施 美鈴(妻)]
1974年7月18日(46歳)
専業主婦

[布施 綾香(長女)]
2002年11月5日(17歳)
高校生

<保有財産(時価)>単位:万円
金融資産
 普通預金:480
 定期預金:600
 財形年金貯蓄:220
 個人向け国債: 50
 上場株式:200
生命保険(解約返戻金相当額):80
不動産(自宅マンション):2,300
<負債残高>
住宅ローン(自宅):1,700万円(債務者は秀則さん、団体信用生命保険付き)
<その他>
上記以外については、各設問において特に指定のない限り一切考慮しないこととする。
【問16】
FPの大垣さんは、布施家の2020年9月1日時点でのバランスシートを作成した。下表の空欄(ア)にあてはまる金額として、正しいものはどれか。なお、<設例>に基づいて解答することとする。また、問題作成の都合上、バランスシートの[資産]および[負債]の内訳の記載を省略している。

1. 2,030(万円)
2. 2,150(万円)
3. 2,230(万円)
正解:

<資産>
普通預金480万円
定期預金600万円
財形年金貯蓄220万円
個人向け国債50万円
上場株式200万円
生命保険80万円
不動産2,300万円
の、計3,930万円

<負債>
住宅ローン1,700万円

よって、純資産=3,930万円-1,700万円=2,230万円となります。

【問17】
秀則さんは、今後15年間で毎年36万円ずつ積立貯蓄をして、老後の資金準備をしたいと考えている。積立期間中に年利2.0%で複利運用できるものとした場合、15年後の積立金額として、正しいものはどれか。なお、下記<資料>の3つの係数の中から最も適切な係数を選択して計算し、解答に当たっては、千円未満を四捨五入すること。また、税金や記載のない事項については一切考慮しないこととする。

<資料:係数早見表(年利2.0%)>
終価係数 年金終価係数 年金現価係数
15年 1.346 17.293 12.849
記載されている数値は正しいものとする。
<資料:係数早見表(年利2.0%)>
15年
終価係数 1.346
年金終価係数 17.293
年金現価係数 12.849
記載されている数値は正しいものとする。
1. 7,268,000円
2. 6,225,000円
3. 4,626,000円
正解:
年金終価係数を使います。
36万円×17.293=6,225,480円より、千円未満を四捨五入すると、6,225,000円となります。
【問18】
秀則さん、美鈴さんが加入している生命保険は下表のとおりである。下表の契約A~Cについて、保険金・給付金が支払われた場合の課税関係に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1. 契約A:秀則さんが死亡し、美鈴さんが死亡保険金を受け取った場合は、所得税・住民税の課税対象となる。
2. 契約B:美鈴さんが受け取った入院給付金は、所得税・住民税の課税対象となる。
3. 契約C:秀則さんが受け取る満期保険金は、所得税・住民税の課税対象となる。
正解:
1. 契約者と被保険者が同一人物である生命保険の死亡保険金は相続税の課税対象となります。
2. 被保険者が受け取る入院給付金は非課税です。
3. 正しい記述です。年払いの養老保険の満期保険金は所得税・住民税の課税対象となります。
【問19】
秀則さんは、通常65歳から支給される老齢基礎年金を繰り下げて受給できることを知り、FPの大垣さんに質問をした。老齢基礎年金の繰下げ受給に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、老齢基礎年金の受給要件は満たしているものとする。
1. 老齢基礎年金を繰下げ受給した場合の年金額の増額は一生涯続く。
2. 老齢基礎年金を繰下げ受給した場合の年金額は、繰下げ月数1月当たり0.5%の割合で増額された額となる。
3. 老齢基礎年金を繰下げ受給した場合、老齢厚生年金も同時に繰下げ受給しなければならない。
正解:
1. 正しい記述です。年金を繰り上げたり繰り下げたりした場合、取り消すことはできず、その効果は一生涯続きます。
2. 公的年金を繰り下げ受給した場合の年金額は、繰り下げた月数ひと月あたり0.7%増額されます。
3. 公的年金は、老齢基礎年金と老齢厚生年金を別々に繰り下げる事ができます。
ちなみに繰り上げる場合には同時に繰り上げなくてはいけません。
【問20】
秀則さんの年金加入歴は下記のとおりである。仮に、秀則さんが現時点(47歳)で死亡した場合、秀則さんの死亡時点において妻の美鈴さんに支給される公的年金の遺族給付に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、秀則さんは、入社時(22歳)から死亡時まで厚生年金保険に加入しているものとし、遺族給付における生計維持要件は満たされているものとする。

1. 死亡一時金と遺族厚生年金が支給される。
2. 遺族厚生年金のみが支給される。
3. 遺族基礎年金と遺族厚生年金が支給される。
正解:
美鈴さんは、遺族基礎年金の受給要件である、亡くなった人に生計を維持されていた子のある配偶者に該当します。
なお、死亡一時金は、国民年金の第1号被保険者に扶養されていた人に対する給付です。

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