FP3級実技(個人)解説-2022年1月・前半
【問1】~【問3】は、以下の資料を元に解答してください。
《設例》
Aさん(49歳)は、X株式会社を2018年10月末日に退職し、個人事業主として独立した。独立から2年以上が経過した現在、事業は軌道に乗り、収入は安定している。
Aさんは、まもなく50歳を迎えるにあたって、将来受給することができる公的年金の年金額や老後の年金収入を増やす各種制度について知りたいと思うようになった。
そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。
Aさん(49歳)は、X株式会社を2018年10月末日に退職し、個人事業主として独立した。独立から2年以上が経過した現在、事業は軌道に乗り、収入は安定している。
Aさんは、まもなく50歳を迎えるにあたって、将来受給することができる公的年金の年金額や老後の年金収入を増やす各種制度について知りたいと思うようになった。
そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。
<Aさんに関する資料>
(1)生年月日:1972年6月21日
(2)公的年金の加入歴:下図のとおり(60歳までの見込みを含む)。
(1)生年月日:1972年6月21日
(2)公的年金の加入歴:下図のとおり(60歳までの見込みを含む)。
※ | Aさんは、現在および将来においても、公的年金制度における障害等級に該当する障害の状態にないものとする。 |
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
【問1】
はじめに、Mさんは、Aさんが老齢基礎年金の受給を65歳から開始した場合の年金額を試算した。Mさんが試算した老齢基礎年金の年金額の計算式として、次のうち最も適切なものはどれか。なお、老齢基礎年金の年金額は、2021年度価額に基づいて計算するものとする。
1. | 780,900円×163月/480月 |
2. | 780,900円×446月/480月 |
3. | 780,900円×(446月+34月×1/2)/480月 |
正解:2(3点)
老齢基礎年金の計算上、厚生年金保険の被保険者期間と国民年金保険料納付済期間は年金額に反映されますが、国民年金保険料未納期間は年金額に反映されません。
よって、老齢基礎年金の額=老齢基礎年金の満額×(283+163)/480となります。
よって、老齢基礎年金の額=老齢基礎年金の満額×(283+163)/480となります。
【問2】
次に、Mさんは、小規模企業共済制度について説明した。Mさんが、Aさんに対して説明した以下の文章の空欄①~③に入る語句の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。
「小規模企業共済制度は、個人事業主が廃業等した場合に必要となる資金を準備しておくための制度です。毎月の掛金は、1,000円から( ① )の範囲内(500円単位)で選択でき、支払った掛金の( ② )を所得税の小規模企業共済等掛金控除として、総所得金額等から控除することができます。共済金(死亡事由以外)の受取方法には『一括受取り』『分割受取り』『一括受取りと分割受取りの併用』がありますが、このうち、『一括受取り』の共済金(死亡事由以外)は、( ③ )として所得税の課税対象となります」
1. | ①70,000円 ②2分の1相当額 ③一時所得 |
2. | ①68,000円 ②2分の1相当額 ③退職所得 |
3. | ①70,000円 ②全額 ③退職所得 |
正解:3(3点)
① | 小規模企業共済の掛金月額は、最高7万円です。 |
② | 小規模企業共済の掛金は、全額所得控除されます。 |
③ | 小規模企業共済の共済金(死亡事由以外)を一時金で受け取った場合には、退職所得として所得税の課税対象となります。 |
【問3】
最後に、Mさんは、老後の年金収入を増やすことができる各種制度について説明した。MさんのAさんに対する説明として、次のうち最も適切なものはどれか。
1. | 「国民年金の付加保険料を納付することで、将来の年金収入を増やすことができます。仮に、Aさんが付加保険料を120月納付し、65歳から老齢基礎年金を受給する場合は、年額48,000円の付加年金を受給することができます」 |
2. | 「国民年金基金は、国民年金の第1号被保険者の老齢基礎年金に上乗せする年金を支給する任意加入の年金制度です。加入は口数制となっており、1口目は2種類の終身年金(A型・B型)のいずれかを選択します」 |
3. | 「Aさんが確定拠出年金の個人型年金に加入する場合、国民年金の付加保険料の納付および国民年金基金への加入はできません」 |
正解:2(4点)
1) | 付加年金の額=200円×付加保険料納付済月数より、200円/月×120月=24,000円となります。 |
2) | 正しい記述です。 |
3) | 確定拠出年金の個人型年金の掛金は、付加保険料や国民年金基金の掛金と同時に支払うことができます。 |
【問4】~【問6】は、以下の資料を元に解答してください。
《設例》
会社員のAさん(26歳)は、将来に向けた資産形成のため、株式や投資信託で積極的に運用したいと考えている。Aさんは、X社株式(東京証券取引所市場第一部上場)を購入したいと考えているが、友人が保有している上場不動産投資信託(J-REIT)にも興味を持っている。
そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。
会社員のAさん(26歳)は、将来に向けた資産形成のため、株式や投資信託で積極的に運用したいと考えている。Aさんは、X社株式(東京証券取引所市場第一部上場)を購入したいと考えているが、友人が保有している上場不動産投資信託(J-REIT)にも興味を持っている。
そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。
<X社に関する資料> | |
総資産 | 1兆4,000億円 |
自己資本(純資産) | 6,400億円 |
当期純利益 | 480億円 |
年間配当金総額 | 180億円 |
発行済株式数 | 3億株 |
株価 | 2,000円 |
※ | 決算期:2022年3月31日(木)(配当の権利が確定する決算期末) |
※ | 各問において、以下の名称を使用している。 |
・ | 非課税上場株式等管理契約に係る少額投資非課税制度=「一般NISA」 |
・ | NISA口座内に設定される非課税管理勘定=「一般NISA勘定」 |
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
【問4】
はじめに、Mさんは、X社株式の投資指標について説明した。MさんのAさんに対する説明として、次のうち最も不適切なものはどれか。
1. | 「株価の相対的な割高・割安を判断する指標として、PERがあります。<X社に関する資料>から算出されるX社株式のPERは、12.5倍です」 |
2. | 「株主への利益還元の度合いを測る指標として、配当性向があります。<X社に関する資料>から算出されるX社の配当性向は、3.0%です」 |
3. | 「<X社に関する資料>から算出されるPERやPBR等の投資指標の数値は、同業他社の数値やX社の過去の傾向などと比較して、投資判断材料の1つとすることをお勧めします」 |
正解:2(4点)
1) | PER=株価÷1株当たり当期純利益です。 1株当たり当期純利益=480億円÷3億株=160円より、PER=2,000円÷160円=12.5倍となります。 |
2) | 配当性向=年間配当金総額÷当期純利益=180億円÷480億円=0.375=37.5%です。 |
3) | 正しい記述です。 |
【問5】
次に、Mさんは、X社株式を購入する場合の留意点等について説明した。MさんのAさんに対する説明として、次のうち最も不適切なものはどれか。
1. | 「 Aさんが特定口座(源泉徴収あり)でX社株式を株価2,000円で100株購入し、同年中に株価2,400円で全株売却した場合、その他の取引や手数料等を考慮しなければ、売買益4万円に対して20.315%相当額が源泉徴収等されます」 |
2. | 「 X社株式を購入する場合、配当金や売買益等が非課税となる一般NISAを利用することが考えられます。2022年中に一般NISA勘定に新規で受け入れることができる限度額(非課税投資枠)は120万円です」 |
3. | 「一般NISA勘定に、2022年中に新規で受け入れることができる限度額(非課税投資枠)のうち、未使用分については、2023年以降に繰り越して使用することができます」 |
正解:3(3点)
1) | 正しい記述です。 |
2) | 正しい記述です。 |
3) | NISA口座の非課税投資枠の未使用額は、翌年以降に繰り越すことはできません。 |
【問6】
最後に、Mさんは、上場不動産投資信託(J-REIT)について説明した。MさんのAさんに対する説明として、次のうち最も適切なものはどれか。
1. | 「上場不動産投資信託(J-REIT)は、投資家から集めた資金を不動産等に投資し、その賃貸収入や売買益を投資家に分配する投資信託です」 |
2. | 「上場不動産投資信託(J-REIT)は、一般NISAを利用して購入することができないため、一般口座や特定口座で購入する必要があります」 |
3. | 「上場不動産投資信託(J-REIT)の分配金は、不動産所得として課税の対象となります」 |
正解:1(3点)
1) | 正しい記述です。 |
2) | J-REITは、一般NISAを利用して購入することができます。 |
3) | 個人が受け取るJ-REITの分配金は、配当所得となります。 |
【問7】~【問9】は、以下の資料を元に解答してください。
《設例》
会社員のAさんは、妻Bさん、長女Cさんおよび長男Dさんとの4人家族である。長女Cさんは、2021年に大学を卒業し、地元企業に就職した。また、Aさんは、2021年中に妻Bさんの入院・手術・通院に係る医療費を支払ったため、医療費控除の適用を受けたいと思っている。
会社員のAさんは、妻Bさん、長女Cさんおよび長男Dさんとの4人家族である。長女Cさんは、2021年に大学を卒業し、地元企業に就職した。また、Aさんは、2021年中に妻Bさんの入院・手術・通院に係る医療費を支払ったため、医療費控除の適用を受けたいと思っている。
<Aさんとその家族に関する資料>
[Aさん(51歳)]
会社員
[妻Bさん(49歳)]
専業主婦。2021年中の収入はない。
[長女Cさん(23歳)]
会社員。2021年中に給与収入240万円を得ている。
[長男Dさん(19歳)]
大学生。2021年中にアルバイトにより給与収入70万円を得ている。
<Aさんの2021年分の収入等に関する資料>
[給与収入の金額]
720万円
[一時払変額個人年金保険(10年確定年金)の解約返戻金]
契約年月 | : | 2013年9月 |
契約者(=保険料負担者) | : | Aさん |
被保険者 | : | Aさん |
死亡給付金受取人 | : | 妻Bさん |
解約返戻金額 | : | 600万円 |
一時払保険料 | : | 500万円 |
※ | 妻Bさん、長女Cさんおよび長男Dさんは、Aさんと同居し、生計を一にしている。 |
※ | Aさんとその家族は、いずれも障害者および特別障害者には該当しない。 |
※ | Aさんとその家族の年齢は、いずれも2021年12月31日現在のものである。 |
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
【問7】
Aさんの2021年分の所得税における総所得金額は、次のうちどれか。
<資料>給与所得控除額 | |
給与収入金額 | 給与所得控除額 |
180万円以下 | 収入金額×40%-10万円 (最低55万円) |
180万円超 360万円以下 |
収入金額×30%+8万円 |
360万円超 660万円以下 |
収入金額×20%+44万円 |
660万円超 850万円以下 |
収入金額×10%+110万円 |
850万円超 | 195万円 |
1. | 563万円 |
2. | 588万円 |
3. | 638万円 |
正解:1(4点)
給与所得=720万円-(720万円×10%+110万円)=538万円です。
一時所得=600万円-500万円-50万円=50万円です。
給与所得は全額総所得金額に算入されて、一時所得はその2分の1相当額が総所得金額に算入されますから、総所得金額=538万円+50万円×1/2=563万円となります。
一時所得=600万円-500万円-50万円=50万円です。
給与所得は全額総所得金額に算入されて、一時所得はその2分の1相当額が総所得金額に算入されますから、総所得金額=538万円+50万円×1/2=563万円となります。
【問8】
Aさんの2021年分の所得税における所得控除に関する以下の文章の空欄①~③に入る数値の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。
ⅰ) | 「Aさんが適用を受けることができる配偶者控除の額は、( ① )万円です」 |
ⅱ) | 「長女Cさんの合計所得金額は( ② )万円を超えますので、Aさんは長女Cさんに係る扶養控除の適用を受けることはできません」 |
ⅲ) | 「Aさんが適用を受けることができる長男Dさんに係る扶養控除の額は、( ③ )万円です」 |
1. | ① 38 ② 48 ③ 63 |
2. | ① 38 ② 103 ③ 48 |
3. | ① 48 ② 103 ③ 63 |
正解:1(3点)
① | 合計所得金額が900万円以下の人は、38万円の配偶者控除を受けることができます。 |
② | 扶養控除の対象となる親族は、合計所得金額が48万円以下である必要があります。 |
③ | 19歳以上23歳未満の扶養親族は、1人当たり63万円の扶養控除の対象となります。 |
【問9】
Aさんの2021年分の所得税における医療費控除および確定申告に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. | 「Aさんが、妻Bさんの通院時に自家用車で送迎していた場合、その際にかかったガソリン代や駐車料金は、医療費控除の対象となる医療費の範囲に含まれます」 |
2. | 「Aさんが2021年中に支払った医療費の総額が20万円を超えていない場合、医療費控除額は算出されません」 |
3. | 「Aさんは、医療費控除の適用を受けない場合であっても、総所得金額に算入される一時所得の金額が20万円を超えるため、所得税の確定申告をしなければなりません」 |
正解:3(3点)
1) | 自家用車のガソリン代や駐車料金は医療費控除の対象にはなりません。 |
2) | 総所得金額等が200万円以上である場合、医療費控除の金額は、医療費控除の対象額-10万円(最高200万円)です。 |
3) | 正しい記述です。給与所得と退職所得以外の所得の金額が20万円を超える場合(一時所得は総所得金額への算入額ベース)、確定申告をする必要があります。 |
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