お金の寺子屋

FP2級実技(FP協会)解説-2024年5月・問29~34

【問29】~【問34】は、以下の資料を元に解答してください。

<設例>
小田孝義さんは、民間企業に勤務する会社員である。孝義さんと妻の真由利さんは、今後の資産形成や家計の見直しなどについて、FPで税理士でもある東さんに相談をした。なお、下記のデータはいずれも2024年4月1日現在のものである。

<家族構成>
[小田 孝義(本人)]
1983年12月 1日(40歳)
会社員(正社員)

[小田 真由利(妻)]
1986年 4月30日(37歳)
パートタイマー

[小田 菜々美(長女)]
2017年 6月 3日( 6歳)
小学生

[小田 大雅(長男)]
2020年10月 3日( 3歳)
保育園児

<収入金額(2023年)>
[孝義さん]
給与収入540万円(手取り額)。給与収入以外の収入はない。

[真由利さん]
給与収入100万円(手取り額)。給与収入以外の収入はない。

<金融資産(時価)>

[孝義さん名義]
銀行預金(普通預金) 140万円
銀行預金(定期預金) 280万円
上場株式 140万円
投資信託 60万円
企業型確定拠出年金 120万円
[真由利さん名義]
銀行預金(普通預金) 40万円
銀行預金(定期預金) 60万円
銀行預金(外貨預金) 40万円
投資信託 120万円
個人型確定拠出年金 30万円
<住宅ローン>
契約者:型確定拠出年金さん
借入先:YX銀行
借入時期:2016年6月(居住開始時期:2016年6月)
借入金額:3,200万円
返済方法:元利均等返済(ボーナス返済なし)
金利:全期間固定金利型(年1.3%)
返済期間:30年間

<保険>
[定期保険A]
保険金額(終身保険部分)500万円、(定期保険部分)2,800万円。保険契約者(保険料負担者)および被保険者は孝義さん、保険金受取人は真由利さんである。

[火災保険B]
保険金額2,000万円。地震保険付帯。保険の目的は自宅建物。保険契約者(保険料負担者)および保険金受取人は孝義さんである。

[学資保険C]
満期保険金200万円。保険契約者(保険料負担者)および保険金受取人は孝義さん、被保険者は菜々美さんである。18歳満期。

[学資保険D]
満期保険金200万円。保険契約者(保険料負担者)および保険金受取人は孝義さん、被保険者は大雅さんである。18歳満期。

[その他]
上記以外の情報については、各設問において特に指示のない限り一切考慮しないこと。
【問29】
孝義さんは、現在居住している自宅の住宅ローンの繰上げ返済を検討しており、FPの東さんに質問をした。孝義さんが住宅ローンを96回返済後に、100万円以内で期間短縮型の繰上げ返済をする場合、この繰上げ返済により短縮される返済期間として、正しいものはどれか。なお、計算に当たっては、下記<資料>を使用し、繰上げ返済額は100万円を超えない範囲での最大額とすること。また、繰上げ返済に伴う手数料等は考慮しないものとする。

<資料:小田家の住宅ローンの償還予定表の一部>
1. 9ヵ月
2. 11ヵ月
3. 12ヵ月
4. 13ヵ月
正解:
96回返済後の残高24,646,445円から、繰上げ返済の上限額100万円を引いた額は、23,646,445円です。
償還予定表の残高の中で、23,646,445円より大きい額で最小の額は、108回返済後の23,672,337円ですから、短縮期間は97回~108回の12ヵ月となります。
【問30】
下記<資料>は、小田さん夫婦(孝義さんと真由利さん)の預金保険制度の対象となるYQ銀行の国内支店における金融資産(時価)である。下記<資料>に基づくYQ銀行が破綻した場合の預金保険制度によって保護される金融資産の額に関する次の記述の空欄(ア)、(イ)にあてはまる数値を解答欄に記入しなさい。なお、預金の利息等の記載のない事項については一切考慮しないものとする。

<資料>
孝義さん 真由利さん
普通預金 30万円 10万円
定期預金(固定金利) 50万円
定期預金(変動金利) 60万円
外貨預金 40万円
投資信託 60万円
学資保険(満期保険金の額) 400万円
孝義さんおよび真由利さんはともに、YQ銀行からの借入れはない。
普通預金は決済用預金ではない。
孝義さんの金融資産のうち、預金保険制度によって保護される金額は( ア )万円である。
真由利さんの金融資産のうち、預金保険制度によって保護される金額は( イ )万円である。
正解:80、70
<資料>の金融商品のうち、外貨預金、投資信託、保険商品は、預金保険制度による保護の対象外ですから、
(ア) 孝義さんの金融資産のうち、預金保険制度によって保護される金額は、普通預金30万円+定期預金(固定金利)50万円=80万円です。
(イ) 真由利さんの金融資産のうち、預金保険制度によって保護される金額は、普通預金10万円+定期預金(変動金利)60万円=70万円です。
【問31】
下記<資料>の孝義さんが契約している学資保険Cおよび学資保険Dに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

<資料:学資保険Cおよび学資保険Dの「契約のしおり」(一部抜粋)>
1. 菜々美さんが15歳になった年の12月1日に生存していた場合、孝義さんに学資保険Cの学資祝金が支払われる。
2. 大雅さんが18歳まで生存していた場合、孝義さんに学資保険Dの満期祝金が支払われる。
3. 学資保険Cおよび学資保険Dの契約期間中に孝義さんが病気により重度障害の状態になった場合、以後の保険料は払込み免除となる。
4. 学資保険Cおよび学資保険Dの契約期間中に孝義さんが死亡した場合、相続人にこども死亡保険金が支払われる。
正解:
(ア) <設例>より、菜々美さんの誕生日は6月なので、被保険者である菜々美さんが14歳8ヵ月に達するのは2月です。よって、14歳8ヵ月に達した日の直後の12月1日は、15歳になった年の12月1日であると言えますから、この選択肢は正しいです。
(イ) <設例>に<資料>の学資保険の満期は18歳とありますから、この選択肢は正しいです。
(ウ) 正しい記述です。
(エ) 学資保険の契約期間中に契約者が死亡した場合、保険料の払込免除事由には該当しますが、こども死亡保険金の支払事由には該当しません。
以後の保険料の払い込みが免除されて、育英年金が支払われて契約は継続します。こども死亡保険金は、被保険者(子供)が死亡した場合に支払われます。

【問32】
会社員である孝義さんの父の秀和さん(64歳)は、現在の勤務先で、65歳の定年を迎えた後も継続雇用制度を利用し、厚生年金保険に加入しつつ、70歳まで働き続ける場合の在職老齢年金について、FPの東さんに質問をした。下記<資料>に基づく条件で支給調整された老齢厚生年金の受給額(月額)として、正しいものはどれか。

<資料>

[秀和さんに関するデータ]
65歳以降の給与(標準報酬月額) 34万円
65歳以降の賞与
(1年間の標準賞与額)
72万円
※6月と12月にそれぞれ36万円
老齢厚生年金の受給額(月額) 15万円
老齢基礎年金の受給額(月額) 6万円
[秀和さんに関するデータ]
65歳以降の給与
(標準報酬月額)
34万円
65歳以降の賞与
(1年間の標準賞与額)
72万円
※6月と12月にそれぞれ36万円
老齢厚生年金の受給額
(月額)
15万円
老齢基礎年金の受給額
(月額)
6万円

[在職老齢年金に係る計算式]
総報酬月額相当額:その月の標準報酬月額+その月以前の1年間の標準賞与額の合計÷12
支給停止額:(基本月額+総報酬月額相当額-48万円)×1/2

記載以外の老齢年金の受給要件はすべて満たしているものとする。
老齢厚生年金の受給額は、加給年金額および経過的加算額を考慮しないものとする。
1. 35,000円
2. 65,000円
3. 85,000円
4. 115,000円
正解:
老齢厚生年金の受給額は、加給年金額および経過的加算額を考慮しないものとすることから、老齢厚生年金の受給額(月額)は、全額報酬比例部分の金額であることが分かります。
また、老齢基礎年金は、在職老齢年金の影響を受けません(本問ではダミー資料です)。
よって、
基本月額=15万円
総報酬月額相当額=34万円+72万円÷12=40万円
ゆえに、支給停止額=(15万円+40万円-48万円)×1/2=35,000円となります。
したがって、支給停止後の老齢厚生年金の受給額(月額)は、150,000円-35,000円=115,000円となります。
【問33】
孝義さんの妹の真佐美さんは、民間企業に勤務する会社員であり、現在妊娠中である。孝義さんは、真佐美さんが出産のために仕事を休んだ場合に支給を受けることができる出産手当金について、FPの東さんに質問をした。出産手当金に関する次の記述の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。なお、真佐美さんは、会社に就職してから継続して全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)の被保険者であるものとする。また、問題作成の都合上、一部を「***」としてある。

出産手当金は、原則として、被保険者が出産のため会社を休み、その間に給与の支払いを受けることができなかった場合に支給される。支給されるのは、出産の日以前( ア )(多胎妊娠の場合は***日)から出産の日後***日までのうち、労務に服さなかった期間であり、出産の日が出産予定日より遅れた場合、その遅れた期間分( イ )。
出産手当金の額は、休業1日につき、支給開始日以前の直近の継続した12ヵ月間の各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額の( ウ )相当額となる。
1. (ア)42日 (イ)も支給される  
(ウ)3分の2
2. (ア)42日 (イ)は支給されない 
(ウ)4分の3
3. (ア)56日 (イ)も支給される  
(ウ)4分の3
4. (ア)56日 (イ)は支給されない 
(ウ)3分の2
正解:
(ア) 出産手当金が支給されるのは、原則として、出産の日以前42日から出産の日後56日までです。
(イ) 出産手当金は、出産予定日から遅れた期間分も支給されます。
(ウ) 出産手当金の日額は、支給開始日以前の直近の継続した12ヵ月間の各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額の3分の2相当額です。ちなみに、これは、傷病”手当金”と同じです。
【問34】

孝義さんは、労働者災害補償保険(以下「労災保険」という)について、FPの東さんに質問をした。労災保険の概要に関する次の(ア)~(エ)の記述について適切なものには○、不適切なものには×を解答欄に記入しなさい。

(ア) 労災保険が適用される労働者には、アルバイトおよびパートタイマーは含まれるが、在宅勤務労働者は含まれない。
(イ) 労災保険の給付には、脳血管疾患や心臓疾患の発症の予防等を目的とする二次健康診断等給付がある。
(ウ) 休業補償給付は、労働者が業務上の負傷または疾病による療養のため、労働することができず、賃金を受けない日の1日目から支給される。
(エ) 労働者が業務上の災害により、労災指定病院等において療養を受けた場合、その費用の1割を労
働者が負担し、残る部分が療養補償給付とされる。
正解:×、○、×、×
(ア) 労災保険が適用される労働者は、全ての労働者です。在宅勤務労働者も含みます。
(イ) 正しい記述です。
(ウ) 休業補償給付は、労働者が業務上の負傷または疾病による療養のため、労働することができず、賃金を受けられなくなった場合に、4日目から支給されます(3日間は事業主負担です)。
(エ) 労働者が業務上の災害により、労災指定病院等において療養を受けた場合、労働者の負担は0です。

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