お金の寺子屋

FP2級実技(FP協会)解説-2023年1月・問29~34

【問29】~【問34】は、以下の資料を元に解答してください。

<設例>
大久保和雄さんは、民間企業に勤務する会社員である。和雄さんと妻の留美子さんは、今後の資産形成や家計の見直しなどについて、FPで税理士でもある岡さんに相談をした。なお、下記のデータはいずれも2023年1月1日現在のものである。

<家族構成>
[大久保 和雄(本人)]
生年月日:1977年5月13日(45歳)
会社員

[大久保 留美子(妻)]
生年月日:1979年7月28日(43歳)
パート勤務

[大久保 翔太(長男)]
生年月日:2007年11月3日(15歳)
中学生

<収入金額(2022年)>
[和雄さん]
給与収入450万円。給与収入以外の収入はない。

[留美子さん]
給与収入100万円。給与収入以外の収入はない。

<金融資産(時価)>
[和雄さん名義]
銀行預金(普通預金):50万円
銀行預金(定期預金):250万円

[留美子さん名義]
銀行預金(普通預金):100万円
個人向け国債(変動10年):50万円

<住宅ローン>
契約者:和雄さん
借入先:TA銀行
借入時期:2013年3月(居住開始時期:2013年3月)
借入金額:2,200万円
返済方法:元利均等返済(ボーナス返済なし)
金利:固定金利選択型15年(年3.55%)
返済期間:30年間

<保険>
[定期保険A]
保険金額3,000万円(リビング・ニーズ特約付き)。保険契約者(保険料負担者)および被保険者は和雄さん、保険金受取人は留美子さんである。

[火災保険B]
保険金額1,600万円。保険の目的は建物、保険契約者(保険料負担者)は和雄さんである。

[医療保険C]
入院給付金日額5,000円、保険契約者(保険料負担者)および被保険者は留美子さんであり、先進医療特約が付加されている。

【問29】
和雄さんは、現在居住している自宅の住宅ローンの繰上げ返済を検討しており、FPの岡さんに質問をした。和雄さんが住宅ローンを120回返済後に、100万円以内で期間短縮型の繰上げ返済をする場合、この繰上げ返済により短縮される返済期間として、正しいものはどれか。なお、計算に当たっては、下記<資料>を使用し、繰上げ返済額は100万円を超えない範囲での最大額とすること。また、繰上げ返済に伴う手数料等は考慮しないものとする。

<資料:大久保家の住宅ローンの償還予定表の一部>
1. 1年8ヵ月
2. 1年7ヵ月
3. 1年6ヵ月
4.  10ヵ月
正解:
17,064,318円-100万円=16,064,318円です。
16,064,318円より大きい額で最小の額は、139回返済後の16,109,623円ですから、短縮期間は121回~139回の19ヵ月(1年7ヵ月)となります。
【問30】
和雄さんは、翔太さんの高校の授業料負担についてFPの岡さんに質問をした。「高等学校等就学支援金制度」に係る下記<資料>に関する岡さんの説明のうち、最も不適切なものはどれか。

<資料:全日制高校の場合の支給額(※定時制・通信制の場合、支給額が異なる)>
<資料:全日制高校の場合の支給額(※定時制・通信制の場合、支給額が異なる)>
公立学校に通う生徒の支給額:公立高校授業料相当額(年間118,800円)
※1 「市町村民税の課税標準額×6%-市町村民税の調整控除の額」の式で算出
※2 年収目安は、両親・高校生・中学生の4人家族で、両親の一方が働いている場合の目安であり、家族の人数や年齢、働いている人の人数等により、実際に対象となる年収は変わる。
1. 「所得判定基準が304,200円未満の場合、国公立高校の授業料負担は実質0円になります。」
2. 「高校入学時に高等学校等就学支援金の受給資格に該当しない場合、その後在学中に申請はできません。」
3. 「高等学校等就学支援金は、学校設置者が生徒本人に代わって受け取り授業料に充てるしくみのため、生徒や保護者が直接お金を受け取るものではありません。」
4. 「高等学校等就学支援金制度を利用するためには申請が必要で、原則として、保護者等の収入状況を登録する必要があります。」
正解:
1. 正しい記述です。
2. 高等学校等就学支援金の申請は、在学中にもする事ができます(制度の存在を知らなかった人や、入学後に経済状況が変化した人に親切な制度設計になっています)。
3. 正しい記述です。
4. 正しい記述です。
【問31】
大久保家が契約している保険の保険金等が支払われた場合の課税に関する次の(ア)~(エ)の記述について、適切なものには○、不適切なものには×を解答欄に記入しなさい。

(ア) 和雄さんが余命6ヵ月以内と診断され、定期保険Aからリビング・ニーズ特約の生前給付金を受け取った後、和雄さんが死亡した場合、相続開始時点における残額は、相続税の課税対象となる。
(イ) 和雄さんが死亡したことにより、留美子さんが受け取る定期保険Aの死亡保険金は、相続税の課税対象となる。
(ウ) 自宅が火災で全焼となり、和雄さんが受け取る火災保険Bの損害保険金は、所得税(一時所得)の課税対象となる。
(エ) 留美子さんが、がんに罹患して陽子線治療を受けたことによって、留美子さんが受け取る医療保険Cからの先進医療給付金は、所得税(一時所得)の課税対象となる。
正解:○、○、×、×
(ア) 正しい記述です。リビング・ニーズ特約の生前給付金は、受け取った時には非課税ですが、使い切らずに死亡した場合、その額は相続税の課税価格に含まれます。
(イ) 正しい記述です。契約者(=保険料負担者)と被保険者が同一の個人である死亡保険金は、相続税の課税対象となります。
(ウ) 個人が受け取る、火災保険の保険金のような損害を補てんする性質のお金は、受け取っても儲かっているとは言えないため、非課税とされています。
(エ) 先進医療給付金のような、入院・手術・通院・診断等の「身体の傷害に基因」して支払われる給付金は、受取人が被保険者本人・配偶者・直系血族・生計同一の親族のいずれかである場合、非課税となります。

【問32】
和雄さんは、現在勤めている会社を自己都合退職した場合に受給できる雇用保険の基本手当についてFPの岡さんに質問をした。雇用保険の基本手当に関する次の記述の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる適切な語句を語群の中から選び、その番号のみを解答欄に記入しなさい。なお、和雄さんは2023年1月に自己都合退職するものと仮定し、現在の会社に22歳から勤務し、継続して雇用保険に加入しており、雇用保険の基本手当の受給要件はすべて満たしているものとする。また、和雄さんには、この他に雇用保険の加入期間はなく、障害者等の就職困難者には該当しないものとし、延長給付については考慮しないものとする。

基本手当を受け取るには、ハローワークに出向き、原則として( ア )に一度、失業の認定を受けなければならない。
和雄さんの場合、基本手当の所定給付日数は( イ )である。
和雄さんの場合、基本手当は、求職の申込みをした日以後、7日間の待期期間および待期期間満了後( ウ )の給付制限期間を経て支給が開始される。
<語句群>
1.2週間 2.4週間 3.150日 
4.270日 5.330日 6.1ヵ月 
7.2ヵ月 8.3ヵ月
<資料:基本手当の所定給付日数>

正解:2、3、7
(ア) 基本手当を受け取るためには、原則として、4週間に一度、ハローワークに出向き、失業の認定を受けなければなりません。
(イ) 雇用保険の被保険者期間が20年以上である人が、自己都合退職した場合、基本手当の所定給付日数は150日となります。
(ウ) 基本手当を受け取るための給付制限期間は、原則として、2ヵ月です。
【問33】
和雄さんの妹の枝里子さんは、民間企業に勤務する会社員であり、現在妊娠中である。和雄さんは、枝里子さんが出産のために仕事を休んだ場合に支給される出産手当金や、産前産後休業中の社会保険料の取扱いについて、FPの岡さんに質問をした。出産手当金および産前産後休業中の社会保険料に関する次の(ア)~(エ)の記述について、適切なものには○、不適切なものには×を解答欄に記入しなさい。なお、枝里子さんは、全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)の被保険者であり、かつ厚生年金の被保険者であるものとする。

協会けんぽの被保険者が出産のために仕事を休み、給料の支払いを受けられなかった場合、出産手当金が支給されます。支給されるのは、出産の日以前(***)日から出産の翌日以後( a )までの間において、仕事を休んだ日数分となります。出産の日が出産予定日より遅れた場合は、その遅れた期間分も支給されます。一日当たりの出産手当金の額は、支払開始日が属する月以前の直近の継続した12ヵ月間が被保険者期間である場合は、その各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額の( b )相当額となります。
産前産後休業期間中の健康保険および厚生年金保険の保険料については、事業主の申出により( c )が免除されます。この免除期間は、将来、被保険者の年金額を計算する際は、( d )として扱われます。

(注) 問題の作成上、一部を***としている。
(ア) 空欄( a )にあてはまる語句は「42日」である。
(イ) 空欄( b )にあてはまる語句は「3分の2」である。
(ウ) 空欄( c )にあてはまる語句は「本人負担分および事業主負担分」である。
(エ) 空欄( d )にあてはまる語句は「保険料を納めた期間」である。
正解:×、○、○、○
(ア) 出産手当金の支給対象期間は、出産日以前42日から出産の翌日以後56日まで(+出産の日が出産予定日よりも遅れた日数)です。
「死(42)にそうな思いをしながら出産ご苦労(56)様でしたとお母さんに(32)渡される手当」という語呂合わせで覚えることができます。
(イ) 出産手当金の額は、1日あたり、標準報酬日額の3分の2相当額です。
健康保険の手当金(傷病手当金と出産手当金)は、給料を補填する性質のお金であり、1日あたり、標準報酬日額の3分の2相当額が支給されるのが共通点です。
(ウ) 産前産後休業期間中の健康保険料と厚生年金保険料は、事業主が申請することで、本人負担分と事業主負担分の両方が免除されます。
(エ) 産前産後休業期間中に厚生年金保険料の免除を受けた期間については、将来年金額の計算上、保険料納付期間として扱われます。
【問34】
和雄さんは、労働者災害補償保険(以下「労災保険」という)について、FPの岡さんに質問をした。労災保険の概要に関する次の(ア)~(エ)の記述について、適切なものには○、不適切なものには×を解答欄に記入しなさい。

(ア) 労災保険は、在宅勤務をする労働者を給付対象としない。
(イ) 労災保険における保険料率は、業種にかかわらず一律である。
(ウ) 労災保険の保険料は、その全額を事業主が負担する。
(エ) 労働者が業務上の災害により労災指定病院等において療養を受けた場合は、その費用の1割を労働者が負担し、残る部分が療養補償給付となる。
正解:×、×、○、×
(ア) 労災保険は、在宅勤務をする労働者を含め、全ての労働者を被保険者とします。
(イ) 業種により労災事故が発生する危険度が異なるため、労災保険の保険料率は、業種により異なります。
(ウ) 正しい記述です。
(エ) 労働者が労災事故に遭い、労災指定病院等において療養を受けた場合、労災保険から療養補償給付を受けることで、労働者の負担額は0となります。

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