FP2級実技(FP協会)解説-2023年1月・問1~10
【問1】
ファイナンシャル・プランナー(以下「FP」という)は、ファイナンシャル・プランニング業務を行ううえで関連業法等を順守することが重要である。FPの行為に関す次の(ア)~(エ)の記述について、適切なものには○、不適切なものには×を解答欄に記入しなさい。
(ア) | 生命保険募集人・保険仲立人の登録を受けていないFPが、顧客が持参したパンフレットの変額個人年金保険について商品説明を行った。 |
(イ) | 弁護士資格を有していないFP(遺言者や公証人と利害関係はない成年者)が、顧客から依頼されて公正証書遺言の証人となり、顧客から適正な報酬を受け取った。 |
(ウ) | 税理士資格を有していないFPが、参加費有料の相続対策セミナーを開催し、仮定の事例に基づく一般的な相続税対策について解説した。 |
(エ) | 投資助言・代理業の登録を受けていないFPが、顧客の相談を有償で受け、顧客自身が持参した投資信託の運用報告書の内容を確認し、この投資信託の価値等の分析に基づいて、解約するよう助言した。 |
正解:○、○、○、×
(ア) | 変額個人年金保険などの保険商品についての商品説明は、一般的な説明ですから誰でもする事ができます。 |
(イ) | 公正証書遺言の証人となるために保有しておくべき資格はありませんから、証人になることができない場合を除き、誰でも、公正証書遺言の証人になり、適正な報酬を受け取ることができます。 |
(ウ) | 仮定の事例に基づく一般的な税制の解説は、誰でもする事ができます。 |
(エ) | 投資助言・代理業の登録を受けていない人は、顧客に対して、有償で有価証券の価値または金融商品の価値等の分析に基づく投資判断に関して助言を行う事はできません。 |
【問2】
「金融サービスの提供に関する法律(以下「金融サービス提供法」という)」に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 金融サービス提供法は、金融商品販売業者等が金融商品の販売またはその代理もしくは媒介に際し、顧客に対し説明すべき事項等を定めること等により、顧客の保護を図る法律である。 |
2. | 金融サービス提供法は、「金融商品の販売等に関する法律(金融商品販売法)」が改称された法律である。 |
3. | 投資信託等の売買の仲介を行うIFA(Independent Financial Advisor=独立系ファイナンシャル・アドバイザー)は、金融サービス提供法が適用される。 |
4. | 投資は投資者自身の判断と責任において行うべきであり、金融サービス提供法では、金融商品販売業者等が重要事項の説明義務を怠ったことで顧客に損害が生じたとしても、金融商品販売業者等は損害賠償責任を負うわけではない。 |
正解:4
1. | 正しい記述です。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | 正しい記述です。 |
4. | 金融サービス提供法には、金融商品販売業者等が重要事項の説明義務を怠ったことで顧客に損害が生じた場合、当該金融商品販売業者等は損害賠償責任を負うべき旨の定めがあります。 |
【問3】
下記<資料>は、飯田さんが同一の特定口座内で行ったQW株式会社の株式取引に係る明細である。飯田さんが2023年1月10日に売却した200株について、譲渡所得の取得費の計算の基礎となる1株当たりの取得価額として、正しいものはどれか。なお、計算結果について円未満の端数が生じる場合には切り上げて円単位とすること。
<資料:QW株式会社の株式の取引明細>
※ | 売買委託手数料や消費税については考慮しないこととする。 |
※ | その他の記載のない条件については一切考慮しないこととする。 |
<資料:QW株式会社の株式の取引明細>
※ | 売買委託手数料や消費税については考慮しないこととする。 |
※ | その他の記載のない条件については一切考慮しないこととする。 |
1. | 3,410円 |
2. | 3,660円 |
3. | 3,699円 |
4. | 3,820円 |
正解:3
(3,660円/株×300株+3,410円/株×200株+4,390円/株×100株)÷(300+200+100)株=3,698.33…円/株≒3,699円/株(円未満切り上げ)となります。
【問4】
下記<資料>の債券を満期(償還)時まで保有した場合の最終利回り(単利・年率)を計算しなさい。なお、手数料や税金等については考慮しないものとし、計算結果については小数点以下第4位を切り捨てること。また、解答に当たっては、解答用紙に記載されている単位に従うこと(解答用紙に記載されているマス目に数値を記入すること)。
<資料>
表面利率:年0.10%
買付価格:額面100円につき99.62円
発行価格:額面100円につき100.00円
償還までの残存期間:8年
表面利率:年0.10%
買付価格:額面100円につき99.62円
発行価格:額面100円につき100.00円
償還までの残存期間:8年
正解:0.148%
{0.1+(100-99.62)÷8}÷99.62×100=0.14806…%≒0.148%です。
【問5】
安藤さんは、金投資について、FPの天野さんに質問をした。下記の空欄(ア)~(エ)に入る適切な語句を語群の中から選び、その番号のみを解答欄に記入しなさい。
安藤さん | : | 「金投資について教えてください。地政学的リスクが高まっているとき、金価格にはどのような影響がありますか。」 |
天野さん | : | 「一般的には、( ア )する傾向です。」 |
安藤さん | : | 「金を積立てで購入する、純金積立という方法があるそうですね。」 |
天野さん | : | 「はい。純金積立では、毎回、( イ )を積み立てるドルコスト平均法が採用されています。」 |
安藤さん | : | 「積み立てた金を、現物で受け取ることはできるのでしょうか。」 |
天野さん | : | 「地金で受け取ることが( ウ )。」 |
安藤さん | : | 「金を売却して利益が出た場合、所得税の区分はどうなりますか。」 |
天野さん | : | 「個人が金地金や純金積立を売却した場合の所得は、譲渡所得に区分されます。保有期間が( エ )以内の場合は短期譲渡所得です。( エ )超であれば、長期譲渡所得となります。」 |
<語群>
1.上昇 2.下落
3.その都度指定する金額
4.一定金額 5.一定数量
6.できます 7.できません
8.5年 9.10年 10.20年
1.上昇 2.下落
3.その都度指定する金額
4.一定金額 5.一定数量
6.できます 7.できません
8.5年 9.10年 10.20年
正解:1、4、6、8
(ア) | 一般的に、地政学リスクの高まりは、安全資産と考えられている金価格の上昇要因とされています。 |
(イ) | ドルコスト平均法は、定期的に一定金額ずつ積み立て投資をする投資手法です。 |
(ウ) | 純金積み立ては、金地金を現物で受け取ることができます。 |
(エ) | 金は、不動産と株式以外の資産ですから、金の売却に係る譲渡所得は、総合課税となります。 よって、正味の保有期間が5年を超えるか否かで、譲渡所得の長期と短期を区別します。 |
【問6】
下記<資料>に関する次の記述の空欄(ア)、(イ)にあてはまる語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。
PX株式 | PY株式 | |
株価 | 840円 | 5,200円 |
1株当たり利益 | 70円 | 325円 |
1株当たり純資産 | 800円 | 4,000円 |
1株当たり年間配当金 | 10円 | 80円 |
・ | PX株式のPBR(株価純資産倍率)は、( ア )倍である。 |
・ | PX株式とPY株式の配当利回りを比較した場合、( イ )株式の方が高い。 |
1. | (ア)0.95 (イ)PX |
2. | (ア)0.95 (イ)PY |
3. | (ア)1.05 (イ)PX |
4. | (ア)1.05 (イ)PY |
正解:4
(ア) | PBR=株価÷1株当たり純資産=840円÷800円=1.05倍です。 |
(イ) | 配当利回り(%)=1株当たり年間配当金÷株価×100です。 よって、PX株式会社の配当利回り=10円÷840円×100=1.1904…%となり、PX株式会社の配当利回り=80円÷5,200円×100=1.5384…%となります。 したがって、PX株式会社の方が配当利回りが高いです。 |
【問7】
下記<資料>は、湯本さんが購入を検討している物件の登記事項証明書の一部である。この登記事項証明書に関する次の(ア)~(エ)の記述について、適切なものには○、不適切なものには×を解答欄に記入しなさい。なお、<資料>に記載のない事項は一切考慮しないこととする。
<資料>
<資料>
(ア) | 所有権保存など所有権に関する事項が記載されている欄(A)は、権利部の乙区である。 |
(イ) | この物件には株式会社HZ銀行の抵当権が設定されているため、別途、ほかの金融機関が抵当権を設定することはできない。 |
(ウ) | 三上順二さんが株式会社HZ銀行への債務を完済すると、当該抵当権の登記は自動的に抹消される。 |
(エ) | 本物件の登記事項証明書は、現在の所有者である三上順二さんのほか利害関係者でなければ、交付の請求をすることができない。 |
正解:×、×、×、×
(ア) | 所有権に関する事項は、権利部の甲区に記載されます。 |
(イ) | 既に抵当権が設定されていたとしても、順位が劣後する抵当権を追加で設定することができます。 |
(ウ) | 抵当権の登記原因となっている債務が完済されたとしても、当該登記は自動的に抹消される訳ではなく、抹消するためには抵当権抹消登記をする必要があります。 |
(エ) | 登記事項証明書は、誰でも交付の請求をする事ができます(登記は広く自分の権利を主張するために行うものなので、交付の請求をする事ができない人がいると困ります)。 |
【問8】
建築基準法に従い、下記<資料>の土地に建物を建てる場合の建築面積の最高限度を計算しなさい。なお、<資料>に記載のない条件については一切考慮しないこととする。また、解答に当たっては、解答用紙に記載されている単位に従うこと。
<資料>
<資料>
正解:156㎡
準住居地域部分の建築面積の最高限度=180㎡×60%=108㎡、
近隣商業地域部分の建築面積の最高限度=60㎡×80%=48㎡です。
したがって、<資料>の土地全体の建築面積の最高限度は、108㎡+48㎡=156㎡(建蔽率65%)となります。
近隣商業地域部分の建築面積の最高限度=60㎡×80%=48㎡です。
したがって、<資料>の土地全体の建築面積の最高限度は、108㎡+48㎡=156㎡(建蔽率65%)となります。
【問9】
小山さんは、FPで税理士でもある牧村さんに固定資産税について質問をした。下記の空欄(ア)~(エ)にあてはまる語句を語群の中から選び、その番号のみを解答欄に記入しなさい。なお、同じ番号を何度選んでもよいこととする。
小山さん | : | 「マイホームを購入する予定です。固定資産税について、教えてください。」 |
牧村さん | : | 「固定資産税は、毎年( ア )現在の土地や家屋などの所有者に課される税金です。」 |
小山さん | : | 「今、新築住宅には、固定資産税が軽減される制度があると聞きました。」 |
牧村さん | : | 「新築住宅が一定の要件を満たす場合は、新築後の一定期間、一戸当たり120㎡相当分の固定資産税が( イ )に減額されます。」 |
小山さん | : | 「固定資産税には、住宅用地についての特例があるとも聞いています。」 |
牧村さん | : | 「そのとおりです。一定の要件を満たす住宅が建っている住宅用地(小規模住宅用地)については、一戸当たり( ウ )までの部分について、固定資産税の課税標準額が、固定資産税評価額の( エ )になる特例があります。」 |
<語句群>
1.1月1日 2.4月1日 3.7月1日
4.2分の1 5.3分の1 6.6分の1
7.200㎡ 8.280㎡ 9.330㎡
1.1月1日 2.4月1日 3.7月1日
4.2分の1 5.3分の1 6.6分の1
7.200㎡ 8.280㎡ 9.330㎡
正解:1、4、7、6
(ア) | 固定資産税は、毎年1月1日現在の土地や家屋などの所有者に課される税金です。 |
(イ) | 新築住宅が一定の要件を満たす場合は、新築後の一定期間、一戸当たり120㎡相当部分に係る固定資産税が2分の1に減額されます。 |
(ウ) | 一定の要件を満たす住宅が建っている住宅用地(小規模住宅用地)に係る固定資産税は、一戸当たり200㎡までの部分について、課税標準額が6分の1になる特例があります。 |
【問10】
下記<資料>は、北村さんが購入を検討している投資用マンションの概要である。この物件の実質利回り(年利)を計算しなさい。なお、<資料>に記載のない事項については一切考慮しないこととする。また、計算結果については、小数点以下の端数が生じた場合は、小数点以下第3位を四捨五入することとし、解答に当たっては、解答用紙に記載されている単位に従うこと(解答用紙に記載されているマス目に数値を記入すること)。
<資料> | |||
・ | 購入費用の総額 | : | 1,500万円(消費税と仲介手数料等取得費用を含めた金額) |
・ | 想定される賃料(月額) | : | 60,000円 |
・ | 運営コスト(月額) | : | 管理費・修繕積立金等 10,000円 管理業務委託費 月額賃料の5% |
・ | 想定される固定資産税・都市計画税(年額) | : | 36,000円 |
正解:3.52%
実質利回り(年利)=年間純収益(年間総収入-年間総支出)÷投資金額(物件価格)です。
年間総収入=60,000円×12=720,000円
年間総支出=(10,000円+60,000円×0.05)×12+36,000円=192,000円
より、年間純収益=720,000円-192,000円=528,000円となります。
したがって、実質利回り=528,000円÷1,500万円=0.0352=3.52%となります。
年間総収入=60,000円×12=720,000円
年間総支出=(10,000円+60,000円×0.05)×12+36,000円=192,000円
より、年間純収益=720,000円-192,000円=528,000円となります。
したがって、実質利回り=528,000円÷1,500万円=0.0352=3.52%となります。
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