お金の寺子屋

FP2級実技(FP協会)解説-2019年1月・問1~10

【問1】
ファイナンシャル・プランナー(以下「FP」という)が、ファイナンシャル・プランニング業務を行ううえでは「関連業法」を順守することが重要である。FPの行為に関する次の(ア)~(エ)の記述について、適切なものには○、不適切なものには×を解答欄に記入しなさい。

(ア) 生命保険募集人または保険仲立人の登録を受けていないFPが、生命保険契約を検討している顧客のライフプランに基づき、必要保障額を具体的に試算した。
(イ) 弁護士資格を有していないFPが、顧客から相続人間の交渉における代理人となることを依頼されたが、自分は代理人とならずに、提携している弁護士を紹介した。
(ウ) 税理士資格を有していないFPが、顧客の個別具体的な相続税納付額の計算を無償で行った。
(エ) 社会保険労務士資格を有していないFPが、顧客が持参した「ねんきん定期便」を基に公的年金の受給見込み額を計算した。
正解:○、○、×、○
(ア) 正しい記述です。必要保障額は誰でも計算することができます。
(イ) 正しい記述です。
(ウ) 税理士資格を持っていない人が、個別具体的な税金の計算をしてはいけません。
(エ) 正しい記述です。公的年金の受給見込み額の計算は誰でもすることができます。
【問2】
個人情報の保護に関する法律(以下「個人情報保護法」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1. 個人事業主であるファイナンシャル・プランナーが、事業の用に供する目的で100名分の顧客名簿を作成している場合であれば、個人情報保護法の適用対象とはならない。
2. 個人番号(マイナンバー)、基礎年金番号、健康保険の被保険者証の記号番号のいずれも、個人情報として取り扱う必要がある。
3. 個人情報取扱事業者が、税務署の職員による税務調査に応じ、個人情報を提出する場合には、第三者提供に関する本人の同意は不要である。
4. 個人情報取扱事業者が、本人との契約書を通じて、契約者本人の個人情報を取得する場合、原則として、契約締結前に本人に対し、その利用目的を明示する必要がある。
正解:
1. 顧客名簿は個人情報ですから、個人情報保護法の適用対象となります。
2. 正しい記述です。
3. 正しい記述です。個人情報保護法の規定は、法令に基づく場合(税務調査を含む)は適用除外とされています。
4. 正しい記述です。
【問3】
下記<資料>は、氷室さんが同一の特定口座内で行ったPX株式会社の株式取引に係る明細である。氷室さんが2018年12月12日に売却した300株について、譲渡所得の取得費の計算の基礎となる1株当たりの取得価額として、正しいものはどれか。なお、計算結果について円未満の端数が生じる場合は切り上げること。

<資料:PX株式会社の取引明細>
売買手数料や消費税については考慮しないこととする。
その他の記載のない条件については一切考慮しないこととする。
1. 2,450円
2. 2,595円
3. 2,657円
4. 2,740円
正解:
1株当たり取得価格は、移動平均法によって計算します。
(2,450円×300+2,820円×100+2,700円×200)÷600=2,595円です。
【問4】
下記<資料>は、福岡さんがWA銀行に預け入れている外貨定期預金の明細である。この外貨定期預金について、満期時の外貨ベースの元利合計額を円転した金額を計算しなさい。なお、計算結果(円転した金額)について円未満の端数が生じる場合は切り捨てること。また、解答に当たっては、解答用紙に記載されている単位に従うこと。

<資料>
預入額:10,000米ドル
預入期間:12ヵ月
預金金利:2.0%(年率)
[満期時の為替レート (1米ドル)]
TTS:112.00円
TTM(仲値):111.00円
TTB:110.00円

利息の計算に際しては、預入期間は日割りではなく月割りで計算すること。
為替差益・為替差損に対する税金については考慮しないこと。
利息に対しては、米ドル建ての利息額の20%(復興特別所得税は考慮しない)相当額が所得税・住民税として源泉徴収されるものとすること。
正解:1,117,600
満期時のドルベースの受取額は、10,000ドル×{1+00.2×(1-0.2)}=10,160ドルです。
よって、円転額は、10,160ドル×110円/ドル(TTB)=1,117,600円となります。
<別解>
ドルベースの利息(税引前)は、10,000ドル×2%=200ドルです。
ここから20%の税金が引かれますから、税引き後の受取額は、160ドルです。
よって、円転額は、10,160ドル×110円/ドル(TTB)=1,117,600円となります。
【問5】
個人型確定拠出年金(以下「iDeCo」という)に関する次の(ア)~(エ)の記述について、適切なものには○、不適切なものには×を解答欄に記入しなさい。

(ア) 国民年金基金とiDeCoの両方に重複して加入することはできない。
(イ) 掛金は毎月拠出する方法のほか、拠出限度額の範囲内で年1回以上、任意に決めた月にまとめて拠出することもできる。
(ウ) 国民年金保険料の半額免除を受けている場合でも、iDeCoに加入することができる。
(エ) 支払った掛金は、小規模企業共済等掛金控除として、所得控除することができる。
正解:×、○、×、○
(ア) 国民年金基金とiDeCoは、両方に重複して加入することができます。
(イ) 正しい記述です。
(ウ) 国民年金保険料の半額免除を受けている場合、iDeCoの掛金を支払う事はできません。
(エ) 正しい記述です。

【問6】
下記<資料>は、中井さんが購入を検討しているマンションの登記事項証明書の一部である。この登記事項証明書に関する次の(ア)~(エ)の記述について、正しいものには○、誤っているものには×を解答欄に記入しなさい。

<資料>
下線のあるものは抹消事項であることを示す。
(ア) 表題部に記載されている305号室の専有部分の床面積は、壁の中心(壁芯)から測った面積である。
(イ) 登記記録上、このマンションの305号室の現在の所有者は、株式会社しあわせ不動産であることがわかる。
(ウ) 中井さんが金融機関からの借入れによりこのマンションの305号室を購入して金融機関が抵当権を設定した場合、抵当権設定に関する登記事項は「権利部(甲区)」に記載される。
(エ) 登記事項証明書の交付を請求することができるのは、利害関係者に限られる。
正解:×、×、×、×
(ア) マンションの専有部分の登記簿面積は、内法面積です。
(イ) 株式会社しあわせ不動産の所有権が抹消されていますから、現在の所有者は株式会社しあわせ不動産ではない事が分かります。
(ウ) 抵当権のような、所有権以外の権利に関する登記事項は、権利部の乙区に記載されます。
(エ) 登記事項証明書の交付は、誰でも請求することができます。
【問7】
建築基準法に従い、下記<資料>の土地に耐火建築物を建てる場合、建築面積の最高限度(ア)と延べ面積(床面積の合計)の最高限度(イ)の組み合わせとして、正しいものはどれか。なお、<資料>に記載のない条件については一切考慮しないこと。

<資料>
1. (ア)192㎡ (イ)512㎡
2. (ア)192㎡ (イ)640㎡
3. (ア)224㎡ (イ)512㎡
4. (ア)224㎡ (イ)640㎡
正解:
(ア) 防火地域に耐火建築物を建てる場合、建蔽率の上限が10%緩和されます。
したがって、建築面積の最高限度は、320㎡×70%=224㎡です。
(イ) 前面道路の幅員が12m未満ですから、指定容積率もしくは前面道路の幅員×法定乗数のどちらか小さい方が、容積率の上限となります。
指定容積率=200%、前面道路の幅員×法定乗数=4×4/10=160%より、
延べ床面積の上限=320㎡×160%=512㎡となります。
【問8】
東さんは、FPで税理士でもある浅田さんに固定資産税について質問をした。下記の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる語句を語群の中から選び、その番号のみを解答欄に記入しなさい。

東さん : 「固定資産税とは、どのような税金ですか。」
浅田さん: 「固定資産税は、毎年( ア )現在の土地や家屋、償却資産の所有者に対して課される税金です。」
東さん : 「空き家となった住宅を取り壊すことを考えていますが、翌年から家屋に課されていた固定資産税がなくなり、その分今年より税額が軽減されますか。」
浅田さん: 「そうとも言い切れません。土地の固定資産税についても考慮する必要があります。一定の要件を満たす住宅が建っている住宅用地(小規模住宅用地)については、住宅一戸当たり( イ )までの部分について、固定資産税の課税標準額が固定資産税評価額の( ウ )になる特例があるからです。」
<語群>
1.1月1日 2.4月1日 3.7月1日 
4.200㎡ 5. 280㎡ 6.330㎡ 
7.2分の1 8.3分の1 9.6分の1
正解:1、4、9
(ア) 固定資産税の課税時期は、毎年1月1日です。
(イ) 固定資産税の小規模宅地等の特例を受けた場合、200㎡までの部分と200㎡を超える部分とで、それぞれ課税標準が減額されます。
(ウ) 固定資産税の小規模宅地等の特例を受けた場合、200㎡までの部分の課税標準は、6分の1になります。
【問9】
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例(被相続人の居住用財産に係るものを除く。以下「3,000万円特別控除」という)に関する次の(ア)~(エ)の記述について、適切なものには○、不適切なものには×を解答欄に記入しなさい。

(ア) 3,000万円特別控除は、譲渡した居住用財産の所有期間に関係なく適用を受けることができる。
(イ) 居住用財産を譲渡した年の前年または前々年に3,000万円特別控除の適用を受けていた場合、この特例の適用を受けることはできない。
(ウ) 3,000万円特別控除は、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例と併せて受けることができる。
(エ) 3,000万円特別控除は、特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例と併せて受けることができる。
正解:○、○、○、×
(ア) 正しい記述です。
(イ) 正しい記述です。
(ウ) 正しい記述です。
(エ) 3,000万円特別控除は、買換え特例と併用する事はできません。
【問10】
橋口浩太郎さん(58歳)が保険契約者(保険料負担者)および被保険者として加入している生命保険(下記<資料>参照)の保障内容に関する次の記述の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる数値を解答欄に記入しなさい。なお、保険契約は有効に継続し、かつ特約は自動更新しているものとし、浩太郎さんはこれまでに<資料>の保険から、保険金・給付金を一度も受け取っていないものとする。また、各々の記述はそれぞれ独立した問題であり、相互に影響を与えないものとする。

<資料/保険証券1>

<資料/保険証券2>

浩太郎さんが現時点で、交通事故で即死した場合、保険会社から支払われる保険金・給付金の合計は( ア )万円である。
浩太郎さんが現時点で、糖尿病の治療のため16日間入院した場合(手術は受けていない)、保険会社から支払われる保険金・給付金の合計は( イ )万円である。
浩太郎さんが現時点で、初めてガン(食道ガン・悪性新生物)と診断され、治療のため30日間入院し、その間に約款所定の手術(給付倍率40倍)を1回受けた場合、保険会社から支払われる保険金・給付金の合計は( ウ )万円である。
正解:3,510、12、496
(ア) 死亡給付金10万円+終身保険200万円+定期保険特約2,000万円+三大疾病保障定期保険特約300万円+災害割増特約500万円+障害特約500万円=3,510万円です。
(イ) 疾病入院特約5,000円×(16-4)+成人病入院特約5,000円×(16-4)=12万円です。
(ウ) ガン診断給付金100万円+ガン入院給付金1万円×30+ガン手術給付金20万円+三大疾病保障定期保険特約300万円+疾病入院特約5,000円×(30-4)+手術給付金5,000円×40+成人病入院特約5,000円×(30-4)=496万円です。

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