FP2級実技解説-2018年(平成30年)9月・問1~10
【問1】
ファイナンシャル・プランナー(以下「FP」という)が、ファイナンシャル・プランニング業務を行ううえでは「関連業法」を順守することが重要である。FPの行為に関する次の(ア)~(エ)の記述について、適切なものには○、不適切なものには×を解答欄に記入しなさい。
(ア) | 投資助言・代理業の登録を受けていないFPが、顧客が保有する株式の発行会社のホームページからダウンロードしたIR資料を印刷して手渡した。 |
(イ) | 生命保険募集人または保険仲立人の登録を受けていないFPが、顧客から生命保険の見直し相談を受け、生命保険の契約締結の媒介を行った。 |
(ウ) | 弁護士資格を有していないFP(遺言者や公証人と利害関係はない)が、顧客から依頼され、公正証書遺言の証人となった。 |
(エ) | 税理士資格を有していないFPが、有料の相談業務において、仮定の事例に基づく一般的な税法の解説を行った。 |
正解:○、×、○、○
(ア) | IR資料は一般的な資料・情報ですから、投資助言・代理業の登録を受けていない人が提供しても問題ありません。 |
(イ) | 生命保険の契約締結の媒介は、生命保険募集人又は保険仲立人の登録を受けていなければ、行う事はできません。 |
(ウ) | 公正証書遺言の証人は、遺言者や公証人と利害関係がない人であれば、基本的に誰でもなることができます。 |
(エ) | 過程の事例に基づく一般的な税法の解説は、税理士資格を持たない人でも行うことができます。 |
【問2】
「金融商品の販売等に関する法律(以下「金融商品販売法」という)」に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. | 金融商品販売法は、金融商品販売業者等が行う金融商品の販売等に係る勧誘の適正の確保のための措置等について定めることにより、顧客の保護を図るものである。 |
2. | 金融商品販売業者が金融商品を販売する際、金融商品販売業者の破綻等により元本欠損が生じるおそれは説明義務の対象である。 |
3. | 金融商品販売業者による顧客への説明義務の対象である金融商品には、国内商品先物取引が含まれる。 |
4. | 金融商品販売業者が説明義務違反を行ったことにより顧客に損害が生じた場合の損害額は、元本欠損額と推定される。 |
正解:3
1. | 正しい記述です。 |
2. | 正しい記述です。 |
3. | 国内商品先物取引は、金融商品販売法の規制の対象外です。ちなみに、海外商品先物取引は規制の対象です。 |
4. | 正しい記述です。 |
【問3】
下記<資料>の債券を発行日から4年後に額面100万円分取得し、その後償還まで保有した場合の最終利回り(単利・年率)を計算しなさい。なお、手数料や税金等については考慮しないものとし、計算結果については小数点以下第4位を切り捨てること。また、解答に当たっては、解答用紙に記載されている単位に従うこと(解答用紙に記載されているマス目に数値を記入すること)。
<資料>
表面利率:年0.60%
買付価格:額面100円につき103.20円
発行価格:額面100円につき100.00円
償還期間:10年
償還までの残存年数:6年
表面利率:年0.60%
買付価格:額面100円につき103.20円
発行価格:額面100円につき100.00円
償還期間:10年
償還までの残存年数:6年
正解:0.064%
{0.6+(100-103.2)÷6}÷103.2×100=0.064%(端数切捨て)です。
【問4】
下記<資料>に関する次の記述の空欄(ア)、(イ)にあてはまる語句の組み合わせとして、正しいものはどれか。
<資料>
<資料>
・ | QX株式会社とQY株式会社の株価をPER(株価収益率)で比較した場合、( ア )株式会社の方が割安といえる。 |
・ | QX株式会社とQY株式会社の効率性をROE(自己資本利益率)で比較した場合、( イ )株式会社の方が効率的に利益を上げているといえる。 |
1. | (ア)QX (イ)QX |
2. | (ア)QX (イ)QY |
3. | (ア)QY (イ)QX |
4. | (ア)QY (イ)QY |
正解:3
(ア) |
PER=株価÷1株当たり純利益です。 QX株式会社:5,200円÷245円≒21.22倍 QY株式会社:27,880円÷1,450円≒19.22倍 PERは、低い方が割安と言えますから、QY株式会社の方が割安と言えます。 |
(イ) |
ROE=1株当たり純利益÷1株当たり純資産です(純資産=自己資本という前提です)。 QX株式会社:245円÷1,060円≒23.11% QY株式会社:1,450円÷6,420円≒22.59% ROEは、高い方が効率的に利益を上げていると言えますから、QX株式会社の方が効率的に利益を上げていると言えます。 |
【問5】
下記<資料>は、千田さんが同一の特定口座内で行ったPA株式会社の株式の取引に係る明細である。千田さんが2018年9月3日に売却した1,000株について、譲渡所得の取得費の計算の基礎となる1株当たりの取得価額として、正しいものはどれか。なお、計算結果について円未満の端数が生じる場合には切り捨てること。
<資料>
<資料>
※ | 売買手数料および消費税については考慮しないこととする。 |
※ | その他の記載のない条件については一切考慮しないこととする。 |
1. | 500円 |
2. | 560円 |
3. | 580円 |
4. | 620円 |
正解:3
株式分割前に1,000株×5,000円/株+2,000株×6,200円/株=1,740万円を投資して、3,000株を取得しています。
つまり、1株あたり5,800円で取得しているという事です。
1:10の株式分割を行ったということは、発行済株式総数が10倍になり、一株当たりの価値や取得価格が10分の1になったという事ですから、1株当たりの取得価格は、580円と考えられます。
<別の考え方>
1:10の分割が行われると、分割前の1株は、分割後には10株になりますから、保有株数は30,000株となります。
ゆえに、1,740万円を投資して、30,000株を取得した事になり、1株当たりの取得価格は、580円と考えられます。
【問6】
贈与税の配偶者控除(以下「本特例」という)に関する次の記述の空欄(ア)~(エ)に入る語句の組み合わせとして、正しいものはどれか。
・ | 本特例は、婚姻期間が( ア )以上ある配偶者からの居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与が適用対象である。 |
・ | 本特例の適用を受けると、贈与を受けた財産の価格から、贈与税の基礎控除110万円( イ )、最高2,000万円まで控除することができる。 |
・ | 本特例の適用を受けるためには、贈与を受けた年の( ウ )までに、贈与により取得した居住用不動産または贈与を受けた金銭で取得した居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みでなければならない。 |
・ | 本特例の適用を受けた財産の贈与を受けた後、3年以内に贈与者の相続が開始した場合、贈与されたその財産は相続財産に( エ )。 |
1. | (ア)20年 (イ)を含めて (ウ)12月31日 (エ)加算される |
2. | (ア)25年 (イ)とは別に (ウ)12月31日 (エ)加算されない |
3. | (ア)20年 (イ)とは別に (ウ)翌年3月15日 (エ)加算されない |
4. | (ア)25年 (イ)を含めて (ウ)翌年3月15日 (エ)加算される |
正解:3
(ア) | 贈与税の配偶者控除の適用を受けるための婚姻期間の要件は、20年以上であることとされています。 |
(イ) | 贈与税の配偶者控除と基礎控除は、併せて適用を受けることができます。 |
(ウ) | 贈与税の配偶者控除の適用を受けるためには、贈与を受けた年の翌年の3月15日までに、居住の用に供していなくてはいけません。 |
(エ) | 贈与税の配偶者控除の適用を受けた贈与財産は、生前贈与加算の対象外です。 |
【問7】
建築基準法に従い、下記<資料>の土地に建物を建築する場合の建築面積の最高限度を計算しなさい。なお、<資料>に記載のない条件については一切考慮しないこと。また、解答に当たっては、解答用紙に記載されている単位に従うこと。
<資料>
<資料>
正解:156㎡
土地が複数の用途地域にまたがっている場合、建蔽率や容積率の計算は加重平均します。
よって、建築面積の最高限度は、180㎡×0.6+60㎡×0.8=156㎡です。
よって、建築面積の最高限度は、180㎡×0.6+60㎡×0.8=156㎡です。
【問8】
馬場さんは、15年前に相続により取得して引き続き居住している自宅の土地および建物を売却する予定である。売却に係る状況が下記<資料>のとおりである場合の所得税における課税長期譲渡所得の金額として、正しいものはどれか。なお、<資料>に記載のない条件については一切考慮しないこと。
・ | 取得費:土地および建物とも不明であるため概算取得費とする。 |
・ | 譲渡価額(合計):4,700万円 |
・ | 譲渡費用(合計):180万円 |
※ | 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除の特例の適用を受けるものとする。 |
※ | 所得控除は考慮しないものとする。 |
1. | 1,456万円 |
2. | 1,285万円 |
3. | 1,212万円 |
4. | 1,050万円 |
正解:2
概算取得費は譲渡価額の5%ですから、譲渡所得=4,700万円-(4,700万円×5%+180万円-3,000万円)=1,285万円です。
【問9】
藤原さんは、下記<資料>の投資用マンションについて購入を検討しており、FPの湯本さんに質問をした。下記の空欄(ア)~(ウ)に入る適切な数値または語句を語群の中から選び、その番号のみを解答欄に記入しなさい。なお、<資料>に記載のない条件については一切考慮しないこと。
<資料> | |
・ | 購入費用の総額:2,000万円(消費税と仲介手数料等取得費用を含めた金額) |
・ | 想定される賃料(月額):100,000円 |
・ | [運営コスト(月額)] 管理費等10,000円 管理業務委託費 月額賃料の5% |
・ | 想定される固定資産税(年額):60,000円 |
藤原さん: | 「<資料>のマンションの購入を検討しています。気に入っているのですが、利回りについてもしっかり考えたいと思っています。」 |
湯本さん: | 「<資料>のマンションの場合、実質利回りは、( ア )万円÷2,000万円で計算できます。購入費用の総額を下げることができれば、実質利回りは( イ )。」 |
藤原さん: | 「購入にはローンを利用する予定です。確定申告で気を付けることはありますか?」 |
湯本さん: | 「不動産所得の金額の計算上、ローン返済額のうち( ウ )は必要経費になりません。」 |
<語群>
1.96 2.102
3.上がります 4.下がります
5.元金部分 6.利息部分
1.96 2.102
3.上がります 4.下がります
5.元金部分 6.利息部分
正解:1、3、5
(ア) | 収入の年額=10万円×12=120万円 管理費等の年額=1万円×12=12万円 管理業務委託費の年額=10万円5%×12=6万円 固定資産税の年額=6万円より、 年間の純利益は120万円-(12万円+6万円+6万円)=96万円です。 |
(イ) | 購入費用の総額を下げることができれば利回り計算式の分母が低くなり利回りは上昇します。 |
(ウ) | 不動産所得の金額の計算上、借入金の元本返済額は必要経費になりません。 |
【問10】
福岡弘子さん(58歳)が保険契約者(保険料負担者)および被保険者として加入している生命保険(下記<資料>参照)の保障内容に関する次の記述の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる数値を解答欄に記入しなさい。なお、保険契約は有効に継続し、かつ特約は自動更新しているものとし、弘子さんはこれまでに<資料>の保険から、保険金・給付金を一度も受け取っていないものとする。また、各々の記述はそれぞれ独立した問題であり、相互に影響を与えないものとする。
<資料/保険証券1>
<資料/保険証券2>
・ | 弘子さんが現時点で、交通事故で即死した場合、保険会社から支払われる保険金・給付金の合計は( ア )万円である。 |
・ | 弘子さんが現時点で、肺炎で6日間入院した場合(手術は受けていない)、保険会社から支払われる保険金・給付金の合計は( イ )万円である。 |
・ | 弘子さんが現時点で、初めてガン(乳ガン・悪性新生物)と診断され12日間入院し、その間に約款所定の手術(給付倍率40倍)を1回受けた場合、保険会社から支払われる保険金・給付金の合計は( ウ )万円である。 |
正解:1,860、1、160
(ア) | 終身保険150万円+保険特約1,200万円+傷害特約500万円+死亡給付金10万円=1,860万円です。 |
(イ) | 疾病入院特約5,000円×(6-4)=1万円です。 |
(ウ) | 疾病入院特約5,000円×(12-4)+手術給付金5,000円×40+女性疾病入院特約5,000円×(12-4)+ガン診断給付金100万円+ガン入院給付金12万円+ガン手術給付金20万円=160万円です。 |
スポンサーリンク
スポンサーリンク
ホーム | 進む> |