FP2級実技(個人)解説-2022年9月・問1~9
会社員のAさん(46歳)は、妻Bさん(44歳)、長女Cさん(16歳)、長男Dさん(14歳)および二男Eさん(12歳)との5人暮らしである。Aさんは、住宅ローンの返済や教育資金の準備など、今後の資金計画を再検討したいと考えている。その前提として、自分が死亡した場合に公的年金制度から遺族給付がどのくらい支給されるのかを知りたいと思っている。また、自分の介護が必要になった場合の公的介護保険の保険給付等について確認したいことがある。そこで、Aさんは、懇意にしているファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。
Aさんとその家族に関する資料は、以下のとおりである。
<Aさんとその家族に関する資料>
[Aさん(会社員)]
1976年3月22日生まれ・46歳・会社員 | |
公的年金加入歴: | 下図のとおり(60歳までの見込みを含む) |
公的年金加入歴: | 全国健康保険協会管掌健康保険、公的介護保険、雇用保険に加入中 |
[妻Bさん(専業主婦)]
1977年10月20日生まれ・44歳・専業主婦 | |
公的年金加入歴: | 20歳から22歳までの大学生であった期間(30月)は国民年金の第1号被保険者として保険料を納付し、22歳からAさんと結婚するまでの5年間(60月)は厚生年金保険に加入。結婚後は、国民年金に第3号被保険者として加入している。 |
全国健康保険協会管掌健康保険の被扶養者であり、公的介護保険に加入中 |
[長女Cさん]
2006年5月10日生まれ・16歳
[長男Cさん(高校生)]
2008年8月16日生まれ・14歳
[長男Cさん(高校生)]
2010年6月18日生まれ・12歳
※ | 妻Bさん、長女Cさん、長男Dさんおよび二男Eさんは、現在および将来においても、Aさんと同居し、Aさんと生計維持関係にあるものとする。 |
※ | 家族全員、現在および将来においても、公的年金制度における障害等級に該当する障害の状態にないものとする。 |
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
Ⅰ | 「遺族基礎年金を受給することができる遺族の範囲は、国民年金の被保険者等の死亡の当時その者によって生計を維持されていた『子のある配偶者』または『子』です。『子』とは、□□□歳到達年度の末日までの間にあるか、( ① )未満で障害等級1級または2級に該当する障害の状態にあり、かつ、現に婚姻していない子を指します」 |
Ⅱ | 「子のある配偶者が受給する遺族基礎年金の額(2022年度価額)は、『( ② )円+子の加算』の計算式により算出され、子の加算は第1子・第2子までは1人につき□□□円、第3子以降は1人につき( ③ )円となります。したがって、仮に、Aさんが現時点(2022年9月11日)で死亡した場合、妻Bさんが受給することができる遺族基礎年金の額は、年額□□□円です。また、妻Bさんが遺族基礎年金を受給し、前年の所得が一定額以下である場合、妻Bさんは、遺族年金生活者支援給付金を受給することができ、その年額は60,240円(2022年度価額)となります」 |
イ.20歳 ロ.25歳 ハ.30歳
ニ.74,600 ホ.223,800 ヘ.583,400
ト.777,800 チ.972,250
① | 年金法上の「子」とは、18歳到達年度の末日までの子、または、20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある人を指します。 |
② | 遺族基礎年金の額は、老齢基礎年金の満額+子の加算額です。 |
③ | 第3子以降の1人当たりの子の加算額は、第1子・第2子の子の加算額の3分の1です。 |
Ⅰ | 「Aさんが厚生年金保険の被保険者期間中に死亡した場合、遺族厚生年金の額は、原則として、Aさんの厚生年金保険の被保険者記録を基礎として計算した老齢厚生年金の報酬比例部分の額の( ① )相当額になります。ただし、その計算の基礎となる被保険者期間の月数が□□□月に満たないときは、□□□月とみなして年金額が計算されます。仮に、Aさんが現時点(2022年9月11日)で死亡した場合、《設例》の<Aさんとその家族に関する資料>および下記<資料>の計算式により、妻Bさんが受給することができる遺族厚生年金の額は、年額( ② )円となります」 |
Ⅱ | 「二男Eさんが遺族基礎年金および遺族厚生年金に係る年齢要件を満たさなくなり、妻Bさんの有する遺族基礎年金の受給権が消滅したときは、妻Bさんが( ③ )歳に達するまでの間、妻Bさんに支給される遺族厚生年金に中高齢寡婦加算が加算されます」 |
① | 遺族厚生年金の額は、基本的に、無くなった人の厚生年金保険の被保険者記録を基礎として計算した老齢厚生年金の報酬比例部分の額の4分の3相当額です。 |
② | ⓐ250,000円×7.125/1,000×60=106,875円 ⓑ370,000円×5.481/1,000×233=472,517.01円です。 厚生年金保険の被保険者が死亡した場合に支払われる遺族厚生年金の計算上、被保険者期間は最低300月が保証されますから、遺族厚生年金額は、(106,875円+472,517.01円)×300月/(60月+233月)×3/4=444,925.6…≒444,926円となります。 |
③ | 中高齢寡婦加算を受給する為の配偶者の年齢要件は、40歳以上65歳未満とされています。 |
① | 「介護保険の保険給付を受けるためには、都道府県から、要介護認定または要支援認定を受ける必要があります。ただし、介護保険の第2号被保険者に該当するAさんは、要介護状態または要支援状態となった原因が、末期がんや脳血管疾患などの加齢に伴う特定疾病によって生じたものでなければ、保険給付は受けられません」 |
② | 「仮に、Aさんが現時点(2022年9月11日)で介護保険の保険給付を受けた場合、原則として、実際にかかった費用(食費、居住費等を除く)の3割を自己負担する必要があります」 |
③ | 「Aさんが65歳以後に、年額18万円以上の公的年金を受給している場合の介護保険の保険料の納付は、原則として、公的年金からの特別徴収の方法によります」 |
① | 介護保険の保険給付を受けるためには、市区町村から、要介護認定または要支援認定を受ける必要があります。 |
② | 介護保険の第2号被保険者の自己負担割合は、1割です。 |
③ | 正しい記述です。 |
会社員のAさん(45歳)は、妻Bさん(43歳)および長男Cさん(18歳)との3人家族である。長男Cさんが2021年12月に18歳になり、2022年4月には成年年齢が18歳に引き下げられたことをきっかけに、Aさんは、 長男Cさんの金融リテラシーを高めるため、株式への投資を勧めてみた。長男Cさんの投資資金は、50万円を限度にAさんが出す予定である。
長男Cさんは、Aさんの提案に乗り気で、Aさんのアドバイスのもと、同業種のX社株式とY社株式(いずれも東京証券取引所上場銘柄)のいずれかに投資しようとしているが、未経験の株式投資に対して不安も感じている。そこで、Aさんは、長男Cさんと一緒に、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。
<株価データ>
[X社]
株価1,600円
発行済株式数2,100万株
1株当たり年間配当金20円
[Y社]
株価4,050円
発行済株式数1,000万株
1株当たり年間配当金30円
※ | 本問においては、以下の名称を使用する。 |
・ | 少額投資非課税制度に係る非課税口座を「NISA口座」という。 |
・ | 非課税上場株式等管理契約に係る少額投資非課税制度を「一般NISA」といい、当該非課税管理勘定を「一般NISA勘定」という。 |
・ | 非課税累積投資契約に係る少額投資非課税制度を「つみたてNISA」といい、当該累積投資勘定を「つみたてNISA勘定」という。 |
・ | 未成年者少額投資非課税制度に係る非課税口座を「ジュニアNISA口座」という。 |
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
① | X社のROE、Y社のROE |
② | X社のPER、Y社のPER |
① | X社のROE=2,300百万円÷29,000百万円=0.07931…≒7.93%です。 Y社のROE800百万円÷11,000百万円=0.07272…≒7.27%です。 |
② | X社のPER=1,600円÷(2,300百万円÷2,100万株)=14.608…≒14.61倍です。 Y社のPER=4,050円÷(800百万円÷1,000万株)=50.625≒50.63倍です。 |
① | 「PBRは、X社株式のほうがY社株式よりも高くなっています。しかし、これだけをもってX社株式が割高であると判断することはお勧めしません。PERなどの他の投資指標についても比較検討するなど、多角的な視点が望まれます」 |
② | 「株主への利益還元の大きさに着目した指標として、配当性向があります。配当性向は、Y社のほうがX社よりも高くなっています」 |
③ | 「一般に、自己資本比率が高いほど、経営の安全性が高いと考えられます。自己資本比率は、Y社のほうがX社よりも高くなっています」 |
① | PBR=株価÷1株当たり純資産(=純資産の額÷発行済株式数)です。 X社のPBR=1,600円÷(29,000百万円÷2,100万株)=1.158…≒1.16倍です。 Y社のPBR=4,050円÷(11,000百万円÷1,000万株)=3.681…≒3.68倍です。 よって、PBRはY社の方が高いです。 |
② | 配当性向=配当金総額額÷当期純利益です。 X社の配当性向=420百万円÷2,300百万円=0.18260…≒18.26%です。 Y社の配当性向=300百万円÷800百万円=0.375≒37.5%です。 よって、配当性向はY社の方が高いです。 |
③ | 自己資本比率=自己資本の額÷資産の総額です。 X社の自己資本比率=29,000百万円÷54,000百万円=0.53703…≒53.70%です。 Y社の自己資本比率=11,000百万円÷18,000百万円=0.61111…≒61.11%です。 よって、自己資本比率はY社の方が高いです。 |
① | 「長男Cさんの場合、現時点(2022年9月11日)ではジュニアNISA口座しか開設することができませんが、2023年以降はNISA口座を開設することができます。上場株式を購入し、長期の積立・分散投資を行う場合、つみたてNISAの利用がお勧めです」 |
② | 「2023年中にNISA口座を開設する場合、一般NISAまたはつみたてNISAのいずれかを利用することができます。2023年中に一般NISA勘定に受け入れることができる金額は122万円、つみたてNISA勘定に受け入れることができる金額は40万円がそれぞれ上限となります」 |
③ | 「NISA口座やジュニアNISA口座で購入した上場株式の配当金を非課税とするためには、配当金の受取方法として株式数比例配分方式を選択する必要があります。配当金領収証方式や登録配当金受領口座方式を選択しても非課税扱いにはなりません」 |
① | つみたてNISAで上場株式を買い付けることはできません。 |
② | 一般NISAの非課税投資枠は、年間120万円です。 |
③ | 正しい記述です。どの口座からいくらの配当金を受け取ったかが分かる方法で受け取る必要があるからです。 |
会社員のAさんは、 妻Bさんおよび長男Cさんとの3人家族である。 Aさんは、2022年6月に住宅ローンを利用して中古の分譲マンション(築10年)を購入し、同月中に当該マンションの引渡しを受けて入居した。
Aさんとその家族に関する資料等は、以下のとおりである。
<Aさんとその家族に関する資料>
[Aさん(47歳)]
会社員
[妻Bさん(44歳)]
2022年中に、パートタイマーとして給与収入80万円を得ている。
[長男Cさん(18歳)]
高校生。2022年中の収入はない。
[給与収入の金額]
1,200万円
<Aさんが取得した分譲マンションに関する資料> | ||
取得価額 | : | 4,000万円 |
土地 | : | 40㎡(敷地権の割合相当の面積) |
建物 | : | 85㎡(専有部分の床面積) |
資金調達方法 | : | 自己資金500万円 父親からの資金援助1,500万円(2022年5月に受贈) 銀行からの借入金2,000万円(2022年12月末の借入金残 高は1,950万円、返済期間は20年) |
留意点 | : | 当該マンションは、個人間売買(消費税の課税対象外) で購入。新耐震基準適合住宅に該当しているが、認定長 期優良住宅、認定低炭素住宅、特定エネルギー消費性能 向上住宅(以下、「ZEH水準省エネ住宅」という)、エネ ルギー消費性能向上住宅(以下、「省エネ基準適合住宅」という)には該当していない。 父親から受けた1,500万円の資金援助については、相続時精算課税制度の適用を受けない。 |
※ | 妻Bさんおよび長男Cさんは、Aさんと同居し、生計を一にしている。 |
※ | Aさんとその家族は、いずれも障害者および特別障害者には該当しない。 |
※ | Aさんとその家族の年齢は、いずれも2022年12月31日現在のものである。 |
※ | 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。 |
控除額は、住宅ローンの年末残高に所定の控除率を乗じて算出しますが、その年末残高には限度額が設けられています。取得した既存住宅が認定長期優良住宅、認定低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅または省エネ基準適合住宅(以下、「認定住宅等」という)のいずれかに該当するときの年末残高の限度額は、( ④ )万円となり、 認定住宅等に該当しないときの年末残高の限度額は、□□□万円となります」
イ.10 ロ.13 ハ.15
ニ.20 ホ.30 ヘ.50
ト.70 チ.2,000 リ.3,000
ヌ.4,000 ル.5,000
① | 住宅ローン控除を受けるための床面積の要件は、50㎡以上(合計所得金額が1,000万円以下の場合は40㎡以上)で、その2分の1以上が専ら自己の居住の用に供するものである事とされています。 |
② | 住宅ローン控除を受けるための合計所得金額の要件は、2,000万円以下とされています。 |
③ | 既存住宅を取得した場合の控除年数は、10年間です。 |
④ | 既存住宅を取得した場合の住宅ローン控除の額の計算においては、控除の対象となる住宅が、認定住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅に該当する場合、計算上のローン残高の上限は3,000万円とされます。 |
① | 「Aさんは、2022年分の所得税において、住宅借入金等に係る年末残高証明書を所定の期日までに勤務先に提出することにより、年末調整で住宅借入金等特別控除の適用を受けることができます」 |
② | 「Aさんが2023年に適用を受ける住宅借入金等特別控除の額がその年分の所得税額から控除しきれない場合、その残額は、Aさんの所得税の課税総所得金額等の額に7%を乗じて得た額(最高13万6,500円)を限度に、2024年度分の住民税額から控除されます」 |
③ | 「Aさんが、父親から受けた1,500万円の資金援助について『直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の特例』の適用を受けた場合、その贈与を受けた金額の全額について贈与税が課されません」 |
① | 給与所得者が住宅ローン控除を受ける場合、最初の年は必ず確定申告をする必要があります。 |
② | 翌年の住民税から控除することができる住宅ローン控除額は、最高97,500円です。 |
③ | 「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の特例」によって非課税となる贈与財産の価額は、省エネ等住宅の場合には1,000万円まで、それ以外の住宅の場合には500万円までです。 |
(a)総所得金額 | ( ① )円 |
社会保険料控除 | □□□円 |
生命保険料控除 | □□□円 |
地震保険料控除 | □□□円 |
配偶者控除 | 380,000円 |
扶養控除 | ( ② )円 |
基礎控除 | 480,000円 |
(b)所得控除の額の合計額 | 2,800,000円 |
(c)課税総所得金額((a)-(b)) | □□□円 |
(d)算出税額((c)に対する所得税額) | □□□円 |
(e)税額控除(住宅借入金等特別控除) | ( ③ )円 |
(f)差引所得税額 | □□□円 |
(g)復興特別所得税額 | □□□円 |
(h)所得税および復興特別所得税の額 | □□□円 |
<資料>給与所得控除額 | |
給与収入金額 | 給与所得控除額 |
180万円以下 | 収入金額×40%-10万円 (最低55万円) |
180万円超 360万円以下 |
収入金額×30%+8万円 |
360万円超 660万円以下 |
収入金額×20%+44万円 |
660万円超 850万円以下 |
収入金額×10%+110万円 |
850万円超 | 195万円 |
① |
23歳未満の扶養親族を有する給与所得者は、所得金額調整控除の適用を受けることにより、「{給与等の収入金額(1,000万円超の場合は1,000万円) - 850万円}×10%」の式により計算された金額を給与所得の計算上控除することができます。 <別解> |
② | 16歳以上19歳未満の控除対象扶養親族については、一般の控除対象扶養親族として、38万円の控除を受けることができます。 |
③ | 住宅ローン控除の額は、年末のローン残高の0.7%相当額ですから、1,950万円×0.7%=136,500円です。 |
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