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FP2級実技(個人)解説-2020年9月・問10~15

【問10】~【問12】は、以下の資料を元に解答してください。

<設例>
Aさん(62歳)は、5年前に父親の相続により取得した甲土地および乙土地を所有している。父親の存命中から、甲土地は月極駐車場、乙土地は地元建設会社の資材置場として賃貸している。Aさんは、甲土地と乙土地を一体とした有効活用(賃貸マンションの建築等)の方法を検討している。

<甲土地および乙土地の概要>
甲土地のうち、近隣商業地域に属する部分は300㎡、第一種住居地域に属する部分は100㎡である。
甲土地、甲土地と乙土地を一体とした土地は、建蔽率の緩和について特定行政庁が指定する角地である。
指定建蔽率および指定容積率とは、それぞれ都市計画において定められた数値である。
特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域ではない。
甲土地および乙土地は、三大都市圏以外の地域に所在する。
上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。
【問10】
甲土地と乙土地を一体とした土地に耐火建築物を建築する場合、建蔽率の上限となる建築面積と容積率の上限となる延べ面積を計算した次の<計算の手順>の空欄①~④に入る最も適切な数値を解答用紙に記入しなさい。なお、問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」「ⓐ・ⓑ・ⓒ・ⓓ」で示してある。

<計算の手順>
1.建蔽率の上限となる建築面積

(1)近隣商業地域の部分
 300㎡×( ① )%=(ⓐ)㎡

(2)第一種住居地域の部分
 360㎡×□□□%=(ⓑ)㎡

(3)建蔽率の上限となる建築面積
 ⓐ+ⓑ=( ② )㎡

2.容積率の上限となる延べ面積

(1)近隣商業地域の部分
指定容積率:400%
前面道路幅員による容積率の制限:□□□%
したがって、上限となる容積率は、□□□%である。
延べ面積の限度:300㎡×□□□%=(ⓒ)㎡
(2)第一種住居地域の部分
指定容積率:300%
前面道路幅員による容積率の制限:□□□%
したがって、上限となる容積率は、□□□%である。
延べ面積の限度:360㎡×( ③ )%=(ⓓ)㎡
(3)容積率の上限となる延べ面積
ⓒ+ⓓ=( ④ )㎡
正解:100、588、300、2,280
建蔽率が80%である防火地域に耐火建築物を建てる場合には、建蔽率の上限が100%になります。
敷地全体に対して防火地域の制限が適用され、防火地域に耐火建築物を建てる場合には、建蔽率の上限が+10%されます。
また、特定行政庁が指定する角地の建蔽率は+10%されます。
よって、 ⓑ=360㎡×80%=288㎡です。
したがって、ⓐ=300㎡×100%=300㎡より、建蔽率の上限となる建築面積=300㎡+288㎡=588㎡となります。
前面道路幅員による容積率の制限=8×4/10=320%>指定容積率300%より、容積率の上限は300%です。
近隣商業地域の部分について、前面道路幅員による容積率の制限=8×6/10=480%>指定容積率400%より、容積率の上限は400%です。
よって、近隣商業地域の部分の延べ面積の限度ⓒ=300㎡×400%=1,200㎡となります。
また、第一種住居地域の部分の延べ面積の限度ⓓ=360㎡×300%=1,080㎡ですから、容積率の上限となる延べ面積=1,200㎡+1,080㎡=2,280㎡となります。
【問11】
甲土地と乙土地を一体とした土地(以下、「対象地」という)の有効活用に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。

「対象地に建築物を建築する場合、用途地域による建築物の制限については、その敷地の全部について、敷地の過半の属する第一種住居地域の建築物の用途に関する規定が適用されます」
「賃貸マンションを建築する方法として等価交換方式という手法があります。この方式は、Aさんが所有する土地の上に、事業者が建設資金を負担してマンション等を建設し、完成した建物の住戸等をAさんと事業者がそれぞれの出資割合に応じて取得する手法です」
「対象地に賃貸マンションを建築する場合、当該建築物の中にある駐車場の床面積については、当該建築物の各階の床面積の合計の3分の1を限度として、容積率算定上の延べ面積から除外することができます」
正解:○、○、×
正しい記述です。複数の用途地域にまたがる敷地の用途制限は、敷地に占める割合が大きい方の用途地域の制限が敷地全体に対して適用されます。
正しい記述です。
駐車場や駐輪場の面積は、建物の延べ面積の5分の1までは、除外する事ができます。
【問12】
甲土地と乙土地を一体とした土地(以下、「対象地」という)の有効活用に関する以下の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句を、下記の〈語句群〉のなかから選び、その記号を解答用紙に記入しなさい。

「 対象地の面する道路に付された『300C』『200C』の数値は、1㎡当たりの価額を千円単位で表示した相続税路線価です。数値の後に表示されている『C』の記号(アルファベット)は、借地権割合が( ① )であることを示しています」
「 正面と側方に路線がある宅地(角地)の価額は、『(正面路線価×奥行価格補正率+側方路線価×奥行価格補正率×( ② ))×地積』の算式により評価します。対象地の場合、正面路線は幅員8m市道になります」
「Aさんが対象地に賃貸マンションを建設した場合、相続税額の計算上、対象地は貸家建付地として評価されます。仮に、対象地の自用地価額を2億円、借地権割合( ① )、借家権割合30%、賃貸割合100%とした場合、当該土地の相続税評価額は( ③ )となります」
<語句群>
イ.60% ロ.70% ハ.80% 
ニ.3,600万円 ホ.4,200万円 
ヘ.1億5,800万円 
ト.1億6,400万円 
チ.側方路線影響加算率 
リ.二方路線影響加算率 
ヌ.不整形地補正率
正解:ロ、チ、ヘ
路線価図に付されている英数字Cは、借地権割合が70%であることを示します。
ちなみに、A(90%)~G(30%)まであります。
側方に路線がある土地(角地)の相続税評価額は、正面路線価に奥行価格補正率をかけたものに、側方路線価×奥行価格補正率×側方路線影響加算率を加算して求めます。
貸家建付地の相続税評価額=自用地価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)ですから、2億円×(1-70%×30%×100%)=1億5,800万円となります。

【問13】~【問15】は、以下の資料を元に解答してください。

<設例>
株式会社X社(非上場会社・製造業、以下、「X社」という)の代表取締役社長であるAさん(73歳)は、自宅で妻Bさん(73歳)と長男Cさん(46歳)家族と同居している。Aさんは、3年後をめどに、X社の専務取締役である長男Cさんに事業を承継する予定である。Aさんは、妻Bさんに自宅および相応の現預金等を相続させ、長男CさんにX社株式およびX社本社敷地・建物を承継する予定である。
二男Dさん(41歳)は、県外の企業に勤務しており、地元に戻ってくる予定はない。二男Dさんからは「子どもが大きくなる前に戸建て住宅を購入しようと考えている。資金を援助してほしい」と頼まれている。Aさんは、二男Dさんのために、資金援助をしたいと思っている。

<Aさんの親族関係図>

<Aさんの主な所有財産(相続税評価額)>
[現預金等]
2億5,000万円

[X社株式]
4億円

[自宅]
敷地(330㎡):8,000万円(注)
建物:3,000万円

[X社本社]
敷地(500㎡):9,000万円(注)
建物:5,000万円

合計 9億円

(注) 「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」適用前の金額
上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。
【問13】
「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」(以下、「本特例」という)に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。

「住宅用家屋の取得等に係る契約の締結日が2020年4月1日から2021年3月31日であること、消費税10%により住宅用家屋を取得したことなどの所定の要件を満たした場合、本特例の非課税限度額は省エネ等住宅で最高3,000万円、一般住宅で最高2,000万円となります」
「本特例の適用を受けるためには、二男Dさんの贈与を受けた年分の合計所得金額が2,000万円以下であること、取得する住宅用家屋の床面積が50㎡以上240㎡以下であることなど、所定の要件を満たす必要があります」
「本特例は、暦年課税の基礎控除または相続時精算課税の特別控除と併用して適用を受けることができます」
正解:×、○、○
住宅用家屋の取得等に係る契約の締結日が2020年4月1日から2021年3月31日であり、消費税10%によって住宅用家屋を取得する等の一定要件を満たした場合に、直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の適用を受けると、省エネ等住宅で最高1,500万円、一般住宅で最高1,000万円まで非課税になります。
正しい記述です。
正しい記述です。
【問14】
現時点(2020年9月13日)において、Aさんの相続が開始した場合における相続税の総額を試算した下記の表の空欄①~③に入る最も適切な数値を求めなさい。なお、相続税の課税価格の合計額は9億円とし、問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」で示してある。

(a)相続税の課税価格の合計額 9億円
(b)遺産に係る基礎控除額 ( ① )万円
課税遺産総額(a-b) □□□万円
相続税の総額の基となる税額
妻Bさん □□□万円
長男Cさん ( ② )万円
二男Dさん □□□万円
(c)相続税の総額 ( ③ )万円
<資料>相続税の速算表(一部抜粋)
法定相続分に
応ずる取得金額
税率 控除額
1,000万円以下 10%
1,000万円超
3,000万円以下
15% 50万円
3,000万円超
5,000万円以下
20% 200万円
5,000万円超
10,000万円以下
30% 700万円
10,000万円超
20,000万円以下
40% 1,700万円
20,000万円超
30,000万円以下
45% 2,700万円
30,000万円超
60,000万円以下
50% 4,200万円
正解:4,800、6,885、30,870
遺産に係る基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数で、法定相続人の数は3人ですから、遺産に係る基礎控除額=3,000万円+600万円×3=4,800万円となります。
課税遺産総額=9億円-4,800万円=8億5,200万円です。
よって、長男Cさんの法定相続分に応ずる取得金額=8億5,200万円×1/4=2億1,300万円となり、これに対応する税額は、2億1,300万円×45%-2,700万円=6,885万円となります。
課税遺産総額=9億円-4,800万円=8億5,200万円より、妻Bさんの法定相続分に応ずる取得金額=8億5,200万円×1/2=4億2,600万円となり、これに対応する税額は、4億2,600万円×50%-4,200万円=1億7,100万円となります。
また、長男Cさんと二男Dさんの法定相続分は等しいため、二男Dさんの法定相続分に応ずる取得金額に対応する税額は、長男Cさんと同じ6,885万円です。
ゆえに、相続税の総額は、17,100万円+6,885万円+6,885万円=30,870万円となります。
【問15】
Aさんの相続等に関する以下の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句を、下記の〈語句群〉のなかから選び、その記号を解答用紙に記入しなさい。

「遺言により、自宅および現預金等を妻Bさん、X社関連の資産(X社株式、X社本社敷地・建物)を長男Cさんに相続させた場合、二男Dさんの遺留分を侵害するおそれがあります。仮に、遺留分算定の基礎となる財産が9億円の場合、二男Dさんの遺留分の金額は、( ① )となります」
「公正証書遺言は、証人2人以上の立会いのもと、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し、公証人がこれを筆記して作成するものです。推定相続人である妻Bさんや長男Cさんを証人にすること( ② )」
「長男CさんがX社本社敷地を相続により取得し、当該敷地について、特定同族会社事業用宅地等に係る小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けた場合、当該敷地(相続税評価額9,000万円)について、課税価格に算入すべき価額を( ③ )とすることができます。なお、自宅敷地とX社本社敷地について、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けようとする場合、( ④ )」
正解:ニ、チ、ロ、ヌ
抽象的遺留分の額は、相続人が直系尊属のみである場合を除いて、遺留分算定基礎財産の2分の1相当額ですから、4億5,000万円になります。
具体的遺留分の額は、抽象的遺留分の額に法定相続分をかけて求めることができますから、二男Dさんの遺留分の金額は、4億5,000万円×1/4=1億1,250万円です。
遺言者の推定相続人は、公正証書遺言の証人になることはできません。
特定同族会社事業用宅地等の相続税評価額は、400㎡まで80%減額されますから、500㎡のうち5分の4部分の評価額が80%減額されます。
よって、当該土地の課税価格への算入額は、9,000万円×4/5×(1-80%)+9,000万円×1/5=3,240万円となります。
小規模宅地等についての評価減の特例の適用を受ける際、特定同族会社事業用宅地等と特定居住用宅地等は、調整計算をすることなく、それぞれの宅地の適用対象の限度面積まで適用を受けることができます。

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