お金の寺子屋

FP2級学科解説-2024年9月・問11~20

【問11】
少額短期保険に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 少額短期保険では、被保険者1人につき引き受けることができる保険金額の合計額は、原則として、1,500万円が上限とされる。
2. 少額短期保険業者が取り扱う保険契約は、その保障内容に応じて、生命保険契約者保護機構または損害保険契約者保護機構の保護の対象となる。
3. 少額短期保険の保険料は、所得税の生命保険料控除や地震保険料控除の対象とならない。
4. 少額短期保険の保険期間は、傷害疾病保険では1年、生命保険および損害保険では2年が上限である。
正解:
1. 少額短期保険業者が、被保険者1人につき引き受けることができる保険金額の合計額は、原則として、1,000万円までです。
2. 少額短期保険業者が取り扱う保険契約は、保険契約者保護機構による保護の対象とはなりません。
3. 正しい記述です。少額短期保険の保険料は、所得税や住民税の計算上、所得控除の対象外とされています。
4. 少額短期保険の保険期間の上限は、生命保険と傷害疾病保険は1年、損害保険は2年とされています。
【問12】
生命保険の保険料等の一般的な仕組みに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 大数の法則は、個々の事象では偶発的でも、事象を多く集めると一定の法則が見出せることをいう。
2. 収支相等の原則は、保険会社が受け取る保険料等の総額が、保険会社が支払う保険金等の総額と等しくなるように保険料を算定することをいう。
3. 責任準備金は、保険会社が、将来の保険金等および契約者配当金の支払財源として保険数理に基づいて算定し、積み立てておく準備金である。
4. 契約者が支払う保険料は、保険金等の支払財源となる純保険料と、保険会社が保険事業を運営・管理していくために必要な経費等の財源となる付加保険料から構成されている。
正解:
1. 正しい記述です。
2. 正しい記述です。
3. 保険契約準備金には、支払備金、責任準備金、契約者配当準備金があり、責任準備金は保険契約に対する配当を行うために積み立てられた準備金ではありません。
4. 正しい記述です。
【問13】
生命保険の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、記載のない特約については考慮しないものとする。
1. 養老保険では、被保険者が病気で高度障害状態となり、高度障害保険金が支払われた場合、保険契約は消滅する。
2. 変額保険(終身型)では、契約時に定めた保険金額(基本保険金額)は保証されておらず、運用実績によっては、死亡保険金額が基本保険金額を下回る。
3. 外貨建て終身保険では、円換算支払特約を付加することで、当該保険契約の締結時から保険金を受け取るまでの為替リスクを回避することができる。
4. 収入保障保険の死亡保険金を一時金で受け取る場合の受取額は、年金形式で受け取る場合の受取総額よりも多くなる。
正解:
1. 正しい記述です。養老保険では、被保険者が死亡または高度障害状態になった場合に、保険金が支払われて契約が終了します。
2. 変額保険(終身型)では、契約時に定めた基本保険金額が最低保証されているため、運用実績に関わらず、死亡保険金額が基本保険金額を下回ることはありません。
3. 円換算支払特約は、外貨建て保険に係る金銭のやり取りを円貨で行う為の特約であり、為替ヘッジの効果はありません。
4. 収入保障保険の死亡保険金は、一時金で受け取るよりも、(未支給の金額を運用によって増やすことができる)年金で受け取った方が受取総額が多くなります。
【問14】
生命保険の税金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、いずれも契約者(=保険料負担者)ならびに保険金、年金および給付金の受取人は個人であるものとする。
1. 契約者と被保険者が同一人である医療保険において、疾病の治療のために入院した被保険者が受け取った入院給付金は、非課税となる。
2. 契約から5年を超えた一時払変額個人年金保険(10年確定年金)を解約して契約者が受け取った解約返戻金は、一時所得として所得税(総合課税)の課税対象となる。
3. 契約者および死亡保険金受取人が夫、被保険者が妻である終身保険において、妻が死亡して夫が受け取った死亡保険金は、相続税の課税対象となる。
4. 契約者が夫、年金受取人が妻である個人年金保険において、妻が受け取る年金の年金受給権は、年金支払開始時に妻が贈与により取得したものとみなされ、贈与税の課税対象となる。
正解:
1. 正しい記述です。入院・手術・通院・診断等の「身体の傷害に基因」して支払われる給付金は、受取人が被保険者本人・配偶者・直系血族・生計同一の親族である場合、非課税となります。
2. 正しい記述です。所得税の計算上、確定年金タイプである一時払変額個人年金保険の解約返戻金は、契約から5年以下で受け取ると、源泉分離課税の対象となり、5年を越えて受け取ると一時所得となります。
3. 契約者と死亡保険金受取人が同一の個人である場合、死亡保険金は、一時所得として所得税の課税対象となります。
4. 正しい記述です。
【問15】
法人を契約者(=保険料負担者)とする生命保険等に係る保険料等の経理処理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、いずれの保険契約も保険料は年払いかつ全期払いで、2024年4月に締結したものとする。
1. 被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険を解約して法人が受け取った解約返戻金は、その全額を益金の額に算入する。
2. 被保険者が役員・従業員全員、給付金受取人が法人である医療保険について、法人が受け取った入院給付金および手術給付金は、その全額を益金の額に算入する。
3. 被保険者が役員・従業員、死亡保険金受取人および満期保険金受取人が法人である養老保険の支払保険料は、その全額を資産に計上する。
4. 被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人で、最高解約返戻率が60%である定期保険(保険期間30年、年払保険料100万円)の支払保険料は、保険期間の前半4割相当期間においては、その40%相当額を資産に計上し、残額を損金の額に算入することができる。
正解:
1. 法人が終身保険のような資産計上額がある保険契約の解約返戻金を受け取った場合、解約返戻金と保険料積立金(資産計上額)との差額を益金または損金とします。
2. 正しい記述です。法人が入院給付金や手術給付金を受け取った場合、個人に適用されるような非課税措置は無く、全額が益金に計上されます。
3. 正しい記述です。法人がハーフタックスプランの要件を満たさない養老保険の保険料を支払った場合、全額を資産計上します。
4. 正しい記述です。法人が、最高解約返戻率が50%超70%以下である長期平準定期保険の保険料(平準払い)を支払った場合、保険期間の前半4割相当期間においては、その40%相当額を資産に計上し、残額を損金の額に算入することができます。

【問16】
損害保険の基本的な仕組み等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 保険業法では、損害保険会社は、損害保険のみを引き受けることができ、生命保険や第三分野の保険を引き受けることはできないとされている。
2. 保険金額が保険価額を超える保険契約を超過保険といい、利得禁止の原則により、超過部分に係る保険金は原則として支払われない。
3. 損害保険において、契約者が負担する保険料と事故発生の際に支払われる保険金は、それぞれの事故の発生確率や損害の大きさに見合ったものでなければならないとする考え方を、適合性の原則という。
4. 損害保険の保険料のうち、純保険料は予定損害率および予定事業費率に基づいて計算され、付加保険料は予定利率に基づいて計算される。
正解:
1. 第三分野保険は、生命保険会社・損害保険会社ともに引き受けることができます。
2. 正しい記述です。
3. 給付反対給付均等の原則の説明です。
4. 損害保険の保険料も、生命保険の保険料と同様に、純保険料と付加保険料に分かれています。純保険料は、予定損害率に基づいて計算され、付加保険料は、予定社費率・予定代理店手数料率・予定利潤率に基づいて計算されます。
【問17】
傷害保険の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、特約および記載のない事項については考慮しないものとする。
1. 普通傷害保険では、被保険者が自動車を運転中に他の自動車と衝突してケガをした場合、被保険者の過失割合にかかわらず補償の対象となる。
2. 普通傷害保険では、海外旅行中に地震により倒壊した建物の下敷きになりケガをした場合、補償の対象となる。
3. 交通事故傷害保険では、デパートのエスカレーターに搭乗中の事故によりケガをした場合、補償の対象となる。
4. 国内旅行傷害保険では、被保険者が旅行中の飲食により細菌性食中毒を発症した場合、補償の対象となる。
正解:
1. 正しい記述です。傷害保険は契約時に定めた保険金額が保険金として支払われます(健康保険、生命保険、労災保険または賠償責任保険など、他の保険からの支払いとは関係なく保険金が支払われます)。
2. 普通傷害保険は、地震によるケガは補償しません。
3. 正しい記述です。交通事故傷害保険でいう交通乗用具には、エスカレーターやエレベーター等も含みます。
4. 正しい記述です。国内旅行傷害保険や海外旅行傷害保険では、旅行中の飲食により発症した細菌性食中毒を補償します。
【問18】
法人を契約者(=保険料負担者)とする損害保険に係る保険料等の経理処理に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 法人が所有する賃貸アパートを保険の対象として支払った地震保険の保険料は、地震保険料控除として5万円を限度として損金の額に算入することができる。
2. 法人が所有する賃貸アパートが台風により損壊し、法人が受け取った火災保険の保険金で原状回復のための修理をした場合、当該保険金を益金の額に算入し、修理費を損金の額に算入することができる。
3. 業務中の事故によりケガをするリスクに備えて、法人がすべての従業員を被保険者とする普通傷害保険に加入した場合、支払った保険料は、その2分の1相当額を限度として損金の額に算入することができる。
4. 法人が所有する業務用自動車が交通事故で全損となり、受け取った自動車保険の車両保険金で同一事業年度中に代替車両を取得した場合であっても、圧縮記帳は認められない。
正解:
1. 地震保険料控除は所得税の制度ですから、法人が支払った地震保険の保険料は地震保険料控除の対象外です。
2. 正しい記述です。法人が所有する資産が損害を受け、損害保険の保険金を受け取った場合、損害額と修理費を損金の額に算入し、保険金の額を益金の額に算入します。
3. 法人が支払った全ての従業員を被保険者とする普通傷害保険の保険料は、全額損金算入することができます。
4. 法人が所有する固定資産が損害を受けた場合、その損害を受けた日から3年以内に支払いが確定した一定の保険金等の支払いを受け、その支払いを受けた事業年度において、その保険金等で損害を受けた固定資産に代替する同一種類の固定資産を取得した場合には、圧縮記帳の適用を受けることができます。
【問19】
第三分野の保険の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 就業不能保障保険では、入院や在宅療養などにより所定の就業不能状態が一定日数以上継続した場合、就業不能給付金が支払われる。
2. 医療保険(更新型)は、所定の年齢の範囲内であれば、保険期間中に入院給付金を受け取った場合であっても、契約を更新することができる。
3. 医療保険では、退院後に入院給付金を受け取り、その退院日の翌日から180日を経過した後に前回と同一の疾病により再入院した場合、別の入院と扱われ、入院給付金の支払限度日数の判定において前後の入院日数は合算されない。
4. 先進医療特約で先進医療給付金の支払対象とされている先進医療は、契約時点において厚生労働大臣によって定められたものである。
正解:
1. 正しい記述です。
2. 正しい記述です。更新は契約者の権利ですから、給付金などの受取履歴や更新時の健康状態に関係なくすることができます。
3. 正しい記述です。医療保険の入院給付金の支払いにおいて、複数の入院を1回の入院として扱うのは、前回の入院の退院日の翌日から180日以内の、前回の入院の原因となった疾病と同一の疾病により入院した場合です。
4. 先進医療特約で先進医療給付金の支払対象とされている先進医療は、療養を受けた時点において、厚生労働大臣によって定められたものです。
【問20】
法人に対する生命保険等を活用した福利厚生に係るアドバイスに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 「従業員の自助努力による死亡保障の準備を支援したい」という顧客に対して、団体信用生命保険の活用をアドバイスした。
2. 「休業補償規程に基づいて従業員に支給する休業の補償に係る給付の原資を準備したい」という顧客に対して、団体就業不能保障保険の活用をアドバイスした。
3. 「従業員の定年退職時に支給する退職金の原資を準備したい」という顧客に対して、総合福祉団体定期保険の活用をアドバイスした。
4. 「従業員の死亡時に支給する弔慰金や死亡退職金の原資を準備したい」という顧客に対して、団体定期保険(Bグループ保険)の活用をアドバイスした。
正解:
1. 団体信用生命保険は、死亡保障の準備ではありません。従業員の自助努力による死亡保障の準備を支援したいというニーズには、Bグループ保険が適しています。
2. 正しい記述です。
3. 総合福祉団体定期保険は、1年更新の定期保険である(解約返戻金がない)ため、生存退職金の準備には不適切です。生存退職金の準備には、貯蓄性の高い(解約返戻金のある)生命保険が適しています。
4. Bグループ保険の保険金は、従業員の遺族が受け取るため、従業員の死亡時に支給する弔慰金や死亡退職金の原資を準備したいというニーズには適していません。このようなニーズには、法人が死亡保険金を受け取る生命保険が適しています。

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