お金の寺子屋

FP2級学科解説-2024年5月・問21~30

【問21】
消費者物価指数に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 消費者物価指数のうち、「生鮮食品を除く総合指数」や「生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数」は、消費者物価の基調を把握するうえで有用である。
2. 国民年金や厚生年金保険の年金額は、物価変動率等に応じて毎年度改定を行う仕組みとされており、当該物価変動率には、消費者物価指数のうち、「総合指数」が用いられている。
3. 消費者物価指数のうち、「生鮮食品を除く総合指数」は、景気動向指数の一致系列に採用されている。
4. 消費者物価指数は、基準となる年の物価を100として算出されており、基準年は5年ごとに改定されている。
正解:
1. 正しい記述です。消費者物価指数のうち、一時的な要因や外的要因を除いた指数は、消費者物価の基調を把握するうえで有用であると言えます。具体的には、天候の影響を受けやすい生鮮食品や、海外要因で変動する原油価格の影響を受けやすいエネルギーを除いた指数を指します。
2. 正しい記述です。
3. 生鮮食品を除く総合指数は、景気動向指数の遅行系列に採用されています。
4. 正しい記述です。
【問22】
銀行等の金融機関で取り扱う預金の一般的な商品性等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、本問においては、「民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律」を休眠預金等活用法という。
1. オプション取引などのデリバティブを組み込んだ仕組預金には、金融機関の判断によって満期日が繰り上がるものがある。
2. スーパー定期預金は、預入期間が3年以上の場合、単利型と半年複利型があるが、半年複利型を利用することができるのは法人に限られる。
3. 期日指定定期預金は、据置期間経過後から最長預入期日までの間で、金融機関が指定した日が満期日となる。
4. 2009年1月1日以降、取引がないまま5年が経過した預金等は、休眠預金等活用法に基づく「休眠預金等」に該当する。
正解:
1. 正しい記述です。期日指定定期預金の満期に関する権限を握っているのは預金者ですが、仕組預金の満期に関する権限を握っているのは金融機関です。
2. スーパー定期預金は、預入期間が3年以上の場合、単利型と半年複利型があります。半年複利型を利用することができるのは、個人に限られます。
3. 期日指定定期預金は、据置期間経過後から最長預入期日までの間で、預金者が指定した日が満期日となります。
4. 休眠預金等活用法に基づく「休眠預金等」に該当する預金は、取引がないまま10年が経過した預金等です。
【問23】
株式投資信託の一般的な運用手法等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. マクロ的な環境要因等を基に国別組入比率や業種別組入比率などを決定し、その比率に応じて、個別銘柄を組み入れてポートフォリオを構築する手法を、ボトムアップ・アプローチという。
2. 割高な銘柄の買建てと割安な銘柄の売建てをそれぞれ同程度の金額で行い、市場全体の変動に左右されない収益の確保を目指す手法を、マーケット・ニュートラル運用という。
3. 企業の将来の売上高や利益の成長性が市場平均よりも高いと見込まれる銘柄を組み入れて運用するグロース運用は、PERやPBRが低い銘柄中心のポートフォリオとなる傾向がある。
4. 「ブル型」「ベア型」と呼ばれる特殊型の投資信託のうち、「ベア型」は、ベンチマークが下落すると基準価額が上昇するように設計されている。
正解:
1. ボトムアップ・アプローチは、個別企業の調査・分析機に基づいてポートフォリオを構築する手法です。なお、問題文はトップダウン・アプローチの説明です。
2. マーケット・ニュートラル運用は、割安な銘柄の買い建てと割高な銘柄の売建てをそれぞれ同程度の金額で行い、市場全体の変動に左右されない収益の確保を目指す手法です。
3. グロース運用は、成長性が見込まれている銘柄(≒株価の水準が高い銘柄)に投資する運用手法ですから、株価を1株当たりの利益や純資産で割って計算する、PERやPBRが高い銘柄中心のポートフォリオとなる傾向があります。
4. 正しい記述です。ブル型は、ベンチマークの上昇時にその上昇率よりも高い上昇率で基準価額が上昇するように設計された投資信託で、ベア型は、ベンチマークの下落時に基準価額が上昇するように設計された投資信託です。
【問24】
表面利率が0.5%、償還までの残存期間が10年の固定利付債券を額面100円当たり100円で購入し、購入から2年後に額面100円当たり96.3円で売却した場合の所有期間利回り(単利・年率)として、最も適切なものはどれか。なお、手数料、経過利子、税金等は考慮しないものとし、計算結果は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入するものとする。また、「▲」はマイナスを意味するものとする。
1. ▲1.40%
2. ▲1.35%
3.  0.04%
4.  1.00%
正解:
所有期間利回り(%)={0.5+(96.3-100)÷2}÷100×100=▲1.35%です。
【問25】
債券投資のリスクに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 債券の発行体の所在する国や地域における政治・経済状況の変化等により、債券価格が大きく変動したり、債券の元本や利子の支払不能等が生じたりするリスクを、一般に、カントリーリスクという。
2. 債券の価格変動リスクは、表面利率などの他の条件が同一であれば、一般に、残存期間が長いほど高くなる。
3. 債券の信用格付けにおいて、B(シングルビー)格相当以上の格付けが付された債券は、一般に、投資適格債と呼ばれ、信用リスクが低い債券とされる。
4. 外貨建て債券の為替変動リスクを回避または軽減する方法の一つとして、当該債券の購入時に、その償還日にあわせて為替予約を行う為替ヘッジが考えられる。
正解:
1. 正しい記述です。
2. 正しい記述です。残存期間が長いほど、金利変動の影響を受ける期間が長くなるため、債券の価格変動リスクは、残存期間が長いほど高くなると言えます。
債券の価格変動リスクは、他の条件が同一であれば、一般に、残存期間が長いほど、また、表面利率が低いほど高くなります。
3. 債券の信用格付けにおいて、一般的に、投資適格債はトリプルB格相当以上の格付けが付された債券です。
4. 正しい記述です。

【問26】
下記<X社のデータ>に基づき算出される投資指標に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

<X社のデータ>
株価 9,000円
発行済株式数 25億株
時価総額 225,000億円
自己資本(=純資産) 37,500億円
配当金総額 3,375億円
PER 20.0倍
1. 1株当たり当期純利益は、500円である。
2. 株式益利回りは、0.6%である。
3. PBRは、5.0倍である。
4. 配当性向は、30.0%である。
正解:
1. PER=株価÷1株当たり当期純利益=20倍より、9,000円÷1株当たり当期純利益=20となりますから、1株当たり当期純利益=9,000円÷20=450円です。
2. 株式益利回り=1株当たり当期純利益÷株価=450円÷9,000円=0.05=5%です。
株式益利回りはPERの逆数(1÷PER)ですから、1÷20=0.05=5%と計算することもできます。
3. PBR=株価÷1株当たり純資産=9,000円÷(37,500億円÷25億)=6倍です。
4. 配当性向(%)=1株当たり年間配当金÷1株当たり当期純利益です。1株当たり配当金=3,375億円÷25億=135円より、135円÷450円=0.3=30%となります。
【問27】
外貨建ての金融商品の一般的な特徴等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 外貨預金の払戻し時において、預金者が外貨を円貨に換える場合に適用される為替レートは、預入金融機関が提示する対顧客直物電信買相場(TTB)である。
2. 外貨預金は、その金額の多寡にかかわらず、預金保険制度による保護の対象とならない。
3. 為替予約を締結していない外貨定期預金を満期時に円貨で払い戻した結果生じた為替差益は、一時所得として所得税の課税対象となる。
4. 外貨建てMMFは、主に外国の格付けの高い公社債やコマーシャル・ペーパー(CP)などの短期金融商品を投資対象として運用される外貨建ての投資信託である。
正解:
1. 正しい記述です。預入時にはTTSが適用され、円転時にはTTBが適用されます。
2. 正しい記述です。
3. 為替予約を締結していない外貨定期預金を満期時に円貨で払い戻した結果生じた為替差益は、雑所得として所得税の課税対象となります。
なお、預入時に為替予約をした外貨定期預金を満期時に円貨で払い戻した結果生じた為替差益は、源泉分離課税されます。
4. 正しい記述です。
【問28】
金融派生商品の一般的な特徴等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 取引の当事者間で、異なる種類の通貨について、元本を交換せずに金利のみを一定期間交換する取引を、クーポンスワップという。
2. 取引の当事者間で、同じ種類の通貨の異なる種類の金利を一定期間交換する取引を、金利スワップという。
3. 先物取引は、将来のあらかじめ定められた期日に、特定の商品(原資産)を現時点で取り決めた価格で売買することを約束する取引である。
4. オプション取引では、プット・オプションの買い手は、満期日において原資産の市場価格が権利行使価格よりも低い場合、通常、「権利行使価格で売る権利」を放棄することになる。
正解:
1. 正しい記述です。異なる通貨の金利のみを交換する取引をクーポンスワップと言い、同じ種類の通貨の異なる種類の金利を交換する取引を金利スワップと言います。
2. 正しい記述です。異なる通貨の金利のみを交換する取引をクーポンスワップと言い、同じ種類の通貨の異なる種類の金利を交換する取引を金利スワップと言います。
3. 正しい記述です。
4. プットオプションの買い手は、満期日において原資産の市場価格が権利行使価格よりも低い場合、権利を行使します。
プットオプションの買い手は、「あるものを一定金額で売る権利」を持っていますから、「りんごを500円で売る権利」を持っていると考えて下さい。
りんごの市場価格が400円であれば、通常400円でしか売れないのに、誰かが500円で買い取ってくれる訳ですから、権利を行使します。
【問29】
下記<資料>に基づくファンドAとファンドBの過去5年間の運用パフォーマンスの比較評価に関する次の記述の空欄(ア)、(イ)にあてはまる語句または数値の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。

<資料>ファンドAとファンドBの過去5年間の運用パフォーマンス
ファンド名 実績収益率 実績収益率の標準偏差
ファンドA  4.0% 1.5%
ファンドB 10.0% 4.0%
<資料>ファンドAとファンドBの過去5年間の運用パフォーマンス
ファンド名 実績収益率 実績収益率の
標準偏差
ファンドA  4.0% 1.5%
ファンドB 10.0% 4.0%
ファンドの運用パフォーマンスに係る評価指標の一つとして、シャープレシオがある。無リスク金利を全期間にわたり1.0%とし、<資料>の数値により、ファンドAのシャープレシオの値を算出すると、( ア )となる。同様にファンドBのシャープレシオの値を算出したうえで、両ファンドの運用パフォーマンスを比較すると、過去5年間は( イ )の方が効率的な運用であったと判断される。
1. (ア)2.0 (イ)ファンドA
2. (ア)2.0 (イ)ファンドB
3. (ア)2.5 (イ)ファンドA
4. (ア)2.5 (イ)ファンドB
正解:
(ア) (4.0-1.0)÷1.5=2
(イ) ファンドBのシャープレシオ=(10.0-1.0)÷4.0=2.25より、Bの方がシャープレシオの値が大きい。
【問30】
金融商品の取引等に係る各種法令に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 消費者契約法において、消費者が事業者の一定の行為により誤認または困惑し、それによって消費者契約の申込みまたは承諾の意思表示をしたときは、消費者はこれを取り消すことができるとされている。
2. 消費者契約法において、契約の解除に伴って消費者が支払う損害賠償の額を予定し、または違約金を定める消費者契約の条項は、すべて無効になるとされている。
3. 金融商品取引法において、株式の信用取引を行うに当たっては、新規建時の委託保証金率が30%以上必要とされ、かつ、最低委託保証金は100万円とされている。
4. 金融商品取引法において、投資助言業務を行う金融商品取引業者等は、原則として、その助言を受けた取引により生じた顧客の損失を補てんし、またはその助言を受けた取引により生じた顧客の利益に追加するため、当該顧客に対して財産上の利益を提供することができるとされている。
正解:
1. 正しい記述です。消費者契約法は、消費者が誤認または困惑して契約したものを取り消したり、消費者に一方的に不利益である条項を無効にするなどのルールを定めた法律です。
2. 消費者契約法において、契約の解除に伴って消費者が支払う損害賠償の額を予定し、または違約金を定める消費者契約の条項は、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるものが無効になるとされています。
つまり、損害賠償の額を予定したり、違約金を定めたりすること自体は可能です。
3. 金融商品取引法において、株式の信用取引を行うに当たっては、新規建時の委託保証金率が30%以上必要とされ、かつ、最低委託保証金は30万円とされています。
4. 金融商品取引法において、損失補てん等の特別の利益の提供は禁止されています。

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