お金の寺子屋

FP2級学科解説-2024年5月・問1~10

【問1】
ファイナンシャル・プランナー(以下「FP」という)の顧客に対する行為に関する次の記述のうち、職業倫理に照らし、最も適切なものはどれか。
1. 顧客から賃貸アパートの建築について相談を受けたFPのAさんは、事業計画策定のための資料として、顧客から預かっていた確定申告書のコピーを顧客の同意を得ずに不動産業者に提供した。
2. 顧客から生命保険の加入について相談を受けたFPのBさんは、顧客の家族構成や世帯収入を確認することなく、Bさんが得られる手数料の多い保険商品についてのみ説明し、加入を勧めた。
3. 顧客から投資信託の購入について相談を受けたFPのCさんは、投資信託について、比較的少額から投資可能であることや運用の専門家により運用が行われることなどのメリットだけでなく、元本保証および利回り保証がないことなどの留意点についても説明した。
4. 顧客から外貨預金による資産運用について相談を受けたFPのDさんは、この先も円安ドル高の傾向は絶対に変わらないと説明し、円建ての預金の大半をドル建ての預金に移すべきだとアドバイスした。
正解:
1. 原則として、顧客の同意なしに、当該顧客の個人情報を第三者に提供してはいけません。
2. FPは、顧客の利益を最優先させなければなりません。
3. 正しい記述です。相談業務においては、メリットだけでなくデメリットや注意点も説明するべきであると言えます。
4. 資産運用の相談において、断定的な判断の提供をしてはなりません。
【問2】
ファイナンシャル・プランナーがライフプランニングに当たって作成・利用する各種の表や各種係数に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. キャッシュフロー表の作成において、一般に、可処分所得には、年間の収入金額から所得税、住民税、社会保険料および生命保険料を控除した金額を計上する。
2. 個人の資産や負債の状況を表すバランスシートの作成において、一般に、株式等の金融資産や不動産の価額は、取得時点の価額を計上する。
3. 住宅ローンの利用を検討している者が年間返済額から借入可能額を試算する際、年間返済額に乗じる係数は、年金現価係数である。
4. 老後の生活資金を準備するため、一定の利率で複利運用しながら一定期間経過後に目標とする額を得るために必要な毎年の積立額を試算する際、目標とする額に乗じる係数は、年金終価係数である。
正解:
1. 可処分所得=年収-所得税-住民税-社会保険料です。可処分所得は、手取りのようなものですから、自分の意志で支払っている生命保険料やローンの返済額などは、計算上控除しません。
2. 個人バランスシートは、作成時点の時価で作成します。
3. 正しい記述です。取崩型運用の現在の金額を求める訳ですから、6文字、「げん」がある、「年金」がつくという条件を満たす、年金現価係数を用います。
4. 積立型運用の現在の金額を求める訳ですから、6文字、「げん」がある、「年金」がつかないという条件を満たす、減債基金係数を用います。
【問3】
全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)の保険給付に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 被保険者が業務外の事由により死亡した場合、所定の手続きにより、その者により生計を維持されていた者であって、埋葬を行うものに対し、埋葬料として10万円が支給される。
2. 傷病手当金は、同一の疾病または負傷およびこれにより発した疾病に関して、その支給を始めた日から通算して最長で1年6ヵ月支給される。
3. 被保険者が同一月内に同一の医療機関等で支払った医療費の一部負担金等の額が、その者に係る自己負担限度額を超えた場合、所定の手続きにより、支払った一部負担金等の全額が高額療養費として支給される。
4. 被保険者が産科医療補償制度に加入する医療機関等において出産した場合、所定の手続きにより、出産育児一時金として1児につき42万円が支給される。
正解:
1. 埋葬料は、5万円です。
2. 正しい記述です。傷病手当金は、支給開始日から通算して最長で1年6ヵ月支給されます。
3. 高額療養費として支給されるのは、一部負担金等と自己負担限度額との差額です。
4. 産科医療補償制度に加入する医療機関等において出産した場合に支給される出産育児一時金の額は、1児につき50万円です(未加入の医療機関で出産した場合は48.8万円)。
【問4】
雇用保険に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 雇用保険に係る保険料のうち、失業等給付および育児休業給付に係る保険料は、事業主と労働者が折半して負担する。
2. 雇用保険の適用事業所に雇用される労働者であって、所定の要件を満たす者は、日本国籍の有無にかかわらず、雇用保険の被保険者となる。
3. 特定受給資格者等を除く一般の受給資格者に支給される基本手当の所定給付日数は、算定基礎期間が10年以上20年未満の場合、150日である。
4. 一般被保険者が失業した場合、基本手当の支給を受けるためには、原則として、離職の日以前2年間に被保険者期間が通算して12ヵ月以上あること等の要件を満たす必要がある。
正解:
1. 正しい記述です。失業等給付および育児休業給付(労働者が受ける給付)に係る保険料は、事業主と労働者が折半して負担し、雇用保険二事業(事業主が受ける給付)に係る保険料は、全額事業主が負担します。
2. 正しい記述です。外国籍の労働者も、所定の要件を満たせば雇用保険の被保険者となります。
3. 一般の受給資格者に支給される基本手当の所定給付日数は、最高で150日(算定基礎期間が20年以上の場合)であり、算定基礎期間が10年以上20年未満の場合は120日です。
4. 正しい記述です。一般被保険者が失業した場合、基本手当の支給を受けるためには、原則として、離職の日以前2年間に被保険者期間が通算して12ヵ月以上(倒産・解雇・雇止めの場合は離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6ヵ月以上)あること等の要件を満たす必要があります。
【問5】
雇用保険の育児休業給付および介護休業給付に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
1. 被保険者が保育所への子の入所を希望しているが、空きがなく入所できない場合、所定の手続きにより、最長で子が3歳に達するまで育児休業給付金が支給される。
2. 被保険者が同一の子について2回以上の育児休業をした場合、2回目以後の育児休業について育児休業給付金は支給されない。
3. 介護休業をした被保険者に対し、事業主から支給単位期間に賃金が支払われた場合において、当該賃金の額が休業開始時賃金日額に支給日数を乗じて得た額の67%相当額以上であるときは、当該支給単位期間について介護休業給付金は支給されない。
4. 介護休業給付金の支給に当たって、介護の対象となる家族には、被保険者の父母だけでなく、被保険者の配偶者の父母も含まれる。
正解:
1. 育児休業給付金は一定要件を満たせば、最長で子が2歳に達するまで支給されます。
2. 育児休業給付は、2回まで分割して受け取ることができます。
ちなみに、介護休業給付は、3回まで分割して受け取ることができます。
3. 育児休業給付は、支給単位期間に休業開始時賃金日額に支給日数を乗じて得た額の80%相当額以上の賃金が支払われた場合、支給停止されます。
ちなみに、介護休業給付も同様です。
4. 正しい記述です。介護の対象となる家族は、1親等内の親族と、2親等の血族です(内縁関係者や養父母も、配偶者や父母とみなします)。

【問6】
公的年金に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 学生納付特例の承認を受けた期間は、その期間に係る国民年金保険料の追納がない場合であっても、老齢基礎年金の受給資格期間に算入される。
2. 国民年金の第1号被保険者が出産する場合、所定の手続きにより、出産予定月の前月から6ヵ月間、国民年金保険料の納付が免除される。
3. 老齢厚生年金の受給権者が老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をする場合、老齢基礎年金の繰下げ支給の申出を同時に行わなければならない。
4. 老齢厚生年金の額に加給年金額が加算されるためには、原則として、厚生年金保険の被保険者期間が300月以上なければならない。
正解:
1. 国民年金保険料の学生納付特例の承認を受けた期間のうち、その期間に係る国民年金保険料の追納がない期間は、老齢基礎年金の年金額には反映されませんが、受給資格期間に算入されます。
2. 国民年金保険料の産前産後期間の免除制度の適用を受けた場合、出産予定日または出産日が属する月の前月から4ヵ月間(多胎妊娠の場合は、出産予定日または出産日が属する月の3ヵ月前から6ヵ月間)の国民年金保険料が免除されます。
3. 公的年金の繰上げは同時に行わなければなりませんが、繰下げは別々に申し出ることができます。
4. 老齢厚生年金の額に加給年金額が加算されるためには、原則として、厚生年金保険の被保険者期間が20年(240月)以上なければなりません。
【問7】
公的年金の障害給付に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 障害基礎年金の受給権者が新たに所定の要件を満たす子を有するに至った場合、所定の手続きにより、その子を有するに至った日の属する月の翌月から、その子に係る加算額が加算された障害基礎年金が支給される。
2. 障害厚生年金の額の計算上、その計算の基礎となる被保険者期間の月数が300月に満たない場合、300月として計算する。
3. 厚生年金保険の被保険者が病気により障害を負い、その障害の状態が障害認定日においては所定の障害等級に該当していなかったものの、その後病状が悪化して、所定の障害等級に該当するに至った場合、65歳に達する日の前日までに請求することにより、原則として、障害厚生年金の支給を受けることができる。
4. 同一の事由により、労働者災害補償保険の障害補償年金と障害基礎年金および障害厚生年金が支給される場合、障害基礎年金および障害厚生年金は、所定の割合で減額されて支給される。
正解:
1. 正しい記述です。子の加算の対象となる子には、受給開始後に生まれた子も含みます。
2. 正しい記述です。遺族厚生年金と障害厚生年金には、被保険者期間を300月保証する制度があります(老齢厚生年金は、厚生年金保険の被保険者が死亡した場合等、一定の場合)。
3. 正しい記述です。障害年金の額は、障害の程度によって異なり、障害の程度が重くなったり軽くなったりしたときには、年金の額が増減額または支給停止されます。
なお、障害認定日に法令に定める障害の状態に該当しなかった方でも、その後病状が悪化し、法令に定める障害の状態になったときには、請求日の翌月分から年金を受け取ることができます。これを、事後重症による請求といい、65歳の誕生日の前々日(65歳に達する日の前日)までに請求書を提出する必要があります。
4. 同一の事由により、労働者災害補償保険の障害補償年金と障害基礎年金および障害厚生年金が支給される場合、労災年金が減額されます。
【問8】
確定拠出年金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 企業型年金加入者掛金(マッチング拠出により加入者が拠出する掛金)の上限額は、事業主掛金の額の多寡にかかわらず、拠出限度額から当該加入者に係る事業主掛金の額を差し引いた額となる。
2. 企業型年金加入者掛金(マッチング拠出により加入者が拠出する掛金)は、所得税の小規模企業共済等掛金控除の対象となる。
3. 企業型年金の老齢給付金を年金で受け取った場合、当該給付金は雑所得として所得税の課税対象となり、雑所得の金額の計算上、公的年金等控除額を控除することができる。
4. 企業型年金加入者が退職し、国民年金の第3号被保険者となった場合、所定の手続きにより、企業型年金の個人別管理資産を個人型年金に移換し、個人型年金加入者または個人型年金運用指図者となることができる。
正解:
1. マッチング拠出により加入者が拠出する掛金の額は、事業主掛金と合算で限度額以下、かつ、事業主掛金の額以下です。
2. 正しい記述です。個人が拠出した確定拠出年金の掛金は、個人型・企業型を問わず、全額小規模企業共済等掛金控除として、所得控除の対象となります。
3. 正しい記述です。確定拠出年金の企業型年金の老齢給付金を年金で受け取った場合、当該給付金は公的年金等の雑所得となります。公的年金等の雑所得の額は、収入金額から公的年金等控除額を控除して計算します。
4. 正しい記述です。企業型年金加入者が退職し、国民年金の第3号被保険者となった場合、所定の手続きにより、企業型年金の個人別管理資産を個人型年金に移換し、個人型年金加入者(掛金を拠出して継続する)または個人型年金運用指図者(掛金を拠出せずに継続する)となることができます。
【問9】
住宅ローンの一般的な特徴に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 固定金利選択型の住宅ローンでは、一般に、固定金利期間終了後に適用される金利について、変動金利または固定金利のいずれかを選択することができる。
2. 住宅ローンの返済方式では、借入額や返済期間等の他の条件が同一であれば、元金均等返済方式よりも元利均等返済方式の方が総返済額は多い。
3. 住宅ローンの一部繰上げ返済では、繰上げ返済額や金利等の他の条件が同一であれば、毎回の返済額を変えずに返済期間を短縮する返済期間短縮型よりも返済期間を変えずに毎回の返済額を少なくする返済額軽減型の方が支払利息の軽減効果は大きい。
4. 住宅ローンの借換えに際して、現在借入れをしている金融機関の抵当権を抹消し、借換先の金融機関の抵当権を新たに設定する場合、登録免許税等の諸費用が必要となる。
正解:
1. 正しい記述です。固定金利期間終了後に適用される金利は、契約者が選択しますから、必ずしも変動金利になる訳ではありません。
2. 正しい記述です。住宅ローンの返済方式のうち、借入額や返済期間等の他の条件を同一として、元金均等返済方式と元利均等返済方式を比較した場合、総返済額は多いのは、元利均等返済方式です。
3. 住宅ローンの一部繰上げ返済の方法のうち、繰上げ返済額や金利等の他の条件を同一として、返済期間短縮型と返済額軽減型を比較した場合、支払利息の軽減効果は大きいのは、返済期間短縮型です。
4. 正しい記述です。住宅ローンの借換えは、現在住宅ローンの契約をしている金融機関を変更して、別の金融機関で新たに住宅ローンを契約する手続きです。よって、借り換えに際して、現在借入れをしている金融機関の抵当権を抹消し、借換先の金融機関の抵当権を新たに設定する場合、登録免許税等の諸費用がかかります。
【問10】
リタイアメントプランニング等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 将来、本人の判断能力が不十分になった場合に備えて、あらかじめ本人自らが選んだ者と締結する任意後見契約は、公正証書によってしなければならない。
2. 金融機関が取り扱うリバースモーゲージのうち、「リコース型」では、利用者が死亡し、担保物件の売却代金により借入金を返済した後も債務が残った場合、通常、利用者の相続人はその返済義務を負わない。
3. 高齢者の居住の安定確保に関する法律に定める「サービス付き高齢者向け住宅」に入居した者は、「状況把握サービス」や「生活相談サービス」を受けることができる。
4. 介護老人保健施設は、入所者が看護、医学的な管理の下で、介護や機能訓練、日常生活上の世話などを受けながら在宅復帰を目指すリハビリテーション施設である。
正解:
1. 正しい記述です。任意後見契約は、必ず公正証書によって締結しなくてはなりません。
2. 金融機関が取り扱うリバースモーゲージには、利用者の相続人がその残債の返済義務を負うリコース型と、利用者の相続人がその残債の返済義務を負わないノンリコース型に分かれます。
「リコース」とは「遡及」という意味で、リコース型が遡及するタイプ、ノンリコース型が遡及しないタイプという意味です。
3. 正しい記述です。サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、高齢者にふさわしい規模と設備、見守りサービス、契約に関する基準を満たして登録された住宅です。見守りサービスは、「状況把握(安否確認)サービス」と「生活相談サービス」が必須とされており、ケアの専門家が少なくとも日中建物に常駐し、これらのサービスを提供します。
4. 正しい記述です。

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