お金の寺子屋

FP2級学科解説-2023年5月・問51~60

【問51】
贈与税の申告と納付に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 贈与税の納付は、贈与税の申告書の提出期限までに贈与者が行わなければならない。
2. 贈与税の申告書の提出期間は、原則として、贈与があった年の翌年2月16日から3月15日までである。
3. 贈与税を延納するためには、納付すべき贈与税額が10万円を超えていなければならない。
4. 贈与税の納付について、金銭による一括納付や延納による納付を困難とする事由がある場合、その納付を困難とする金額を限度として物納が認められる。
正解:
1. 贈与税の納税義務者は受贈者です。
2. 贈与税の申告時期は、翌年の2月1日から3月15日までです。
3. 正しい記述です。
4. 贈与税では、物納は認められていません。
【問52】

相続人が次の(ア)~(ウ)である場合、民法上、それぞれの場合における被相続人の配偶者の法定 相続分の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。

(ア)被相続人の配偶者および子の合計2人
(イ)被相続人の配偶者および母の合計2人
(ウ)被相続人の配偶者および兄の合計2人

1. (ア)1/2 (イ)1/3 (ウ)1/4
2. (ア)1/2 (イ)2/3 (ウ)3/4
3. (ア)3/4 (イ)2/3 (ウ)1/2
4. (ア)1/3 (イ)2/3 (ウ)3/4
正解:
(ア) 相続人が配偶者相続人と第一順位の血族相続人の組み合わせである場合、配偶者相続人の法定相続分は1/2となります。
(イ) 相続人が配偶者相続人と第二順位の血族相続人の組み合わせである場合、配偶者相続人の法定相続分は2/3となります。
(ウ) 相続人が配偶者相続人と第三順位の血族相続人の組み合わせである場合、配偶者相続人の法定相続分は3/4となります。
【問53】
遺産の分割に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 共同相続人は、一定の場合を除き、遺産の全部ではなく一部の分割内容のみを定めた遺産分割協議書を作成することができる。
2. 換価分割は、共同相続人が相続により取得した財産の全部または一部を金銭に換価し、その換価代金を共同相続人の間で分割する方法である。
3. 代償分割は、現物分割を困難とする事由がある場合に、共同相続人が家庭裁判所に申し立て、その審判を受けることにより認められる分割方法である。
4. 相続人が代償分割により他の相続人から交付を受けた代償財産は、相続税の課税対象となる。
正解:
1. 正しい記述です。
2. 正しい記述です。
3. 代償分割をするために家庭裁判所の許可を受ける必要はありません。
4. 正しい記述です。
【問54】
遺言に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 公正証書遺言を作成する際には、証人2人以上の立会いが必要とされる。
2. 公正証書遺言を作成した遺言者は、その遺言を自筆証書遺言によって撤回することができる。
3. 自筆証書遺言を作成する際に財産目録を添付する場合、その目録はパソコン等で作成することができる。
4. 自筆証書遺言は、自筆証書遺言書保管制度により法務局(遺言書保管所)に保管されているものであっても、相続開始後に家庭裁判所の検認を受けなければならない。
正解:
1. 正しい記述です。
2. 正しい記述です。公正証書遺言と自筆証書遺言に効力の差は無く、内容が抵触する場合、作成日付が新しい遺言の内容が有効となります。
3. 正しい記述です。
4. 自筆証書遺言保管制度を利用した自筆証書遺言は、原本が法務局に保管されており、改ざんの恐れがないため、検認不要です。
【問55】
相続人が負担した次の費用等のうち、相続税の課税価格の計算上、相続財産の価額から債務控除をすることができるものはどれか。なお、相続人は債務控除の適用要件を満たしているものとする。
1. 被相続人が生前に購入した墓碑の購入代金で、相続開始時点で未払いのもの
2. 被相続人が所有していた不動産に係る固定資産税のうち、相続開始時点で納税義務は生じているが、納付期限が到来していない未払いのもの
3. 被相続人に係る初七日および四十九日の法要に要した費用のうち、社会通念上相当と認められるもの
4. 被相続人の相続に係る相続税の申告書を作成するために、相続人が支払った税理士報酬
正解:
1. 非課税財産に係る債務は、債務控除の対象外です。
2. 未払いの税金は、債務控除の対象です。
3. 法会に係る費用は債務控除の対象外です。
4. 税理士報酬は債務控除の対象外です。

【問56】

下記<親族関係図>において、Aさんの相続が開始した場合の相続税額の計算における遺産に係る基礎控除額として、最も適切なものはどれか。なお、Cさんは相続の放棄をしている。また、Eさんは、Aさんの普通養子(特別養子縁組以外の縁組による養子)である。

<親族関係図>
<親族関係図>
1. 4,200万円
2. 4,800万円
3. 5,400万円
4. 6,000万円
正解:
相続税の計算において、「法定相続人の数」は、民法上の相続人の決定方法をベースに、放棄をなかったものとして数え、実子がいる場合は、普通養子はその数に関わらず1人しか算入できないという制限があるため、妻Bさん、Cさん、Dさんと1人の合計4人と数えます。
よって、相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数=3,000万円+600万円×4=5,400万円となります。
【問57】
相続税における取引相場のない株式の評価に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、特定の評価会社の株式には該当しないものとする。
1. 類似業種比準方式における比準要素は、1株当たりの配当金額、1株当たりの利益金額および1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)である。
2. 会社規模が大会社である会社において、中心的な同族株主が取得した株式の価額は、原則として、類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式によって評価する。
3. 会社規模が小会社である会社において、中心的な同族株主が取得した株式の価額は、原則として、類似業種比準方式によって評価する。
4. 同族株主のいる会社において、同族株主以外の株主が取得した株式の価額は、その会社規模にかかわらず、原則として、純資産価額方式によって評価する。
正解:
1. 正しい記述です。類似業種比準方式における比準要素は、配当、利益、純資産の3つです。利益を比べるという趣旨の株式の評価方法ですから、利益だけでなく、これまでの利益の蓄積である純資産、利益を原資に支払われた配当金の3つを比べます。
2. 大会社に該当する会社の株式の評価方法は、類似業種比準価額方式、または、純資産価額方式です。
3. 小会社に該当する会社の株式の評価方法は、純資産価額方式、または、類似業種比準価額方式と純資産価額方式の併用方式(Lの割合=0.5)です。
4. 同族株主以外の株主が取得した株式の価額は、その会社規模にかかわらず、原則として、配当還元方式により評価します。少数株主にとっては、非上場株式は売却が難しく(=会社の価値に着目する必要性が乏しく)、配当金を受け取る程度のメリットしかない(=配当金に着目して評価すべきと考えられる)からです。
【問58】
宅地および宅地の上に存する権利の相続税における評価に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、評価の対象となる宅地は、借地権(建物等の所有を目的とする地上権または土地の賃借権)の設定に際し、その設定の対価として通常権利金その他の一時金を支払う「借地権の取引慣行のある地域」にあるものとする。また、宅地の上に存する権利は、定期借地権および一時使用目的の借地権等を除くものとする。
1. Aさんが、従前宅地であった土地を車庫などの施設がない青空駐車場(月極駐車場)の用に供していた場合において、Aさんの相続が開始したときは、相続税額の計算上、その土地の価額は貸宅地として評価する。
2. Bさんが、所有する宅地の上にアパートを建築して賃貸の用に供していた場合において、Bさんの相続が開始したときは、相続税額の計算上、その宅地の価額は貸家建付地として評価する。
3. Cさんが、借地権の設定に際して通常の権利金を支払って賃借した宅地の上にCさん名義の自宅を建築して居住の用に供していた場合において、Cさんの相続が開始したときは、相続税額の計算上、その宅地の上に存するCさんの権利の価額は、借地権として評価する。
4. Dさんが、借地権の設定に際して通常の権利金を支払って賃借した宅地の上にDさん名義のアパートを建築して賃貸の用に供していた場合において、Dさんの相続が開始したときは、相続税額の計算上、その宅地の上に存するDさんの権利の価額は、貸家建付借地権として評価する。
正解:
1. 青空駐車場は、相続税の計算上、自用地として評価します。
2. 正しい記述です。被相続人名義の土地の上に、被相続人名義の貸家が建っている場合、当該土地は、相続税の計算上、貸家建付地として評価します。
3. 正しい記述です。建物の所有を目的とする土地の賃借権は、相続税の計算上、借地権として評価します。
4. 正しい記述です。被相続人を借地権者とする借地権を設定した土地の上に、被相続人名義の貸家が建っている場合、当該土地は、相続税の計算上、貸家建付借地権として評価します。
【問59】
中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律における「遺留分に関する民法の特例」(以下「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1. 本特例の適用を受けることによって、後継者が旧代表者から贈与により取得した自社株式の全部または一部について、その価額を、遺留分を算定するための財産の価額に算入しないことができる。
2. 本特例の適用を受けることによって、後継者が旧代表者から贈与により取得した自社株式の全部または一部について、遺留分を算定するための財産の価額に算入すべき価額を、本特例の適用に係る合意をした時点の価額とすることができる。
3. 本特例の適用を受けるためには、経済産業大臣の確認および家庭裁判所の許可を受ける必要がある。
4. 後継者が贈与により取得した自社株式が金融商品取引所に上場されている場合であっても、本特例の適用を受けることができる。
正解:
1. 正しい記述です。除外合意の説明です。
2. 正しい記述です。固定合意の説明です。
3. 正しい記述です。
4. 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律における「遺留分に関する民法の特例」は、3年以上継続して事業を行っている非上場企業の株式を対象とした制度です。
【問60】
民法における配偶者居住権に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1. 配偶者居住権の存続期間は、原則として、被相続人の配偶者の終身の間である。
2. 被相続人の配偶者は、取得した配偶者居住権を譲渡することができる。
3. 被相続人の配偶者は、居住建物を被相続人と被相続人の子が相続開始時において共有していた場合であっても、当該建物に係る配偶者居住権を取得することができる。
4. 被相続人の配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始時において居住していなかった場合であっても、当該建物に係る配偶者居住権を取得することができる。
正解:
1. 正しい記述です。
2. 配偶者居住権は、譲渡することができません。
3. 配偶者居住権は、夫婦が共有している場合は成立しますが、親子が共有している場合は成立しません。
4. 配偶者居住が成立するためには、配偶者が、亡くなった人が所有していた建物に、その死亡時に居住している等の要件を満たす必要があります。

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